京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3684 唐沢岳 B沢より唐沢岳に登る

 2017年9月8日(金)夜~10日(日)

 

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【メンバー】L A.T、辻 博史、藤井康司、T.S、増川雄太 5名

 

【記録】59期 T.S※(太字)部分は51期 A.Tが加筆

 

98日)夜 快晴

21:30 京都を出発~2:30 七倉山荘駐車場着~3:00 就寝~2:30 七倉山荘駐車場に到着した。暗いので分かりにくかったが、駐車場には空きがあった。明日に備えて仮眠をとる。寒さを警戒していたが、それほど寒くはなかった。

 

99日土) 晴のち雨

5:00 起床~6:20 七倉山荘をタクシーで出発~6:34 高瀬ダム下到着~6:50 唐沢入渓~7:30 梯子が掛かった堰堤~9:00 金時の滝~10:10 B沢~10:50 幕岩北側ルンゼ~11:50 唐沢岳山頂へ続く稜線に乗る~16:45 幕営

 

910土) 快晴

5:00 起床~6:30 出発~7:40 唐沢岳山頂~10:56 餓鬼岳山頂~11:30 餓鬼岳小屋から下山開始~15:28 白沢登山口

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【9土)】

タクシーで高瀬ダムへ向かう。乗り合わせで対応してくれていたので、待ち時間は短くて済んだ。入渓を予定していた高瀬ダム下では降車できない。ダム上まで乗車しないとけない。(ダム下の唐沢本流から入渓して山行開始。)入渓したしばらくは踏み跡があり歩きやすい。7:30 堰堤に到着した。架かっている梯子は歪んでいたが、意外にしっかりしていた。

 

 

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9:00 金時の滝に至る。右側(右岸)のルンゼを巻いた。急傾斜で、落石を起こさずに登ることができないくらいにガレている。過去に落石による負傷者を出していた。今回の山行の核心部であるとこの時までは思っていた。落石対策のため、パーティー5名は間を空けずに進むことにした。(行く手に幕岩が見えてきて、A沢と合流。A沢を過ぎてしばらく遡上したところでB沢の合流点であるワシの滝の前に到着。ワシの滝を登ってB沢に入った。2011年に苦戦したCS滝8m滝だが、前回は右岸から登ったはずだが明らかに左岸の方が登りやすい。ロープも出す必要が無いほどのものだったが念のためロープ確保。その時は自分の登攀技術が上がっていたために簡単でルートをみる目も変わったのかと思ったが、あとから2011年の写真と見比べるとB沢自体がずいぶん土砂で埋まって滝が4mほど低くなっているのがわかる。この後も顕著な滝は無く、当時と比べて面白いところは大分埋もれてしまったのだろうと思う。)我々は幕岩下(B沢を)を北上(北に遡上)して、唐沢岳ピークへ続く尾根(主稜線)を進む予定だったが、途中で発見した稜線に続くであろうルンゼ(左岸の支沢。この支沢の前にも左岸に左方ルンゼがあったが、こちらは急峻だったのでパスした。)を進んだ。ルートとしては良い選択だった(ショートカットにはなったものの落石・浮石多く危険度が高かった)。稜線に上がった。楽に歩けることを期待したが、大間違いだった。ここから幕営地までが今回の核心部であった。

急登、ヤブ漕ぎ、危険な岩場がミックスされいた。ヤブはものすごい茂り方でをしたいた。

 

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上手く枝を分けてその上に足を置かなければ、枝が絡まって足を抜くことができない。上半身も同様にしないと枝に捕まってしまう。力任せに進もうとすると、体力を無駄に消耗するだけだ。ときどき、クマのものと思われる獣道があった。歩き易く助けられた。Sクラスのヤブと急登に体力を奪われ、危険な岩場で集中力を消耗していった。疲れ果てて日没が近づいた時、ベストタイミングで稜線上の幕営適地に至った。テント設営を完了した後、雨が降り出した。慌てて、5名はテントの中に入った。「することもないので」ということで、みんなで回し飲みしたウイスキーは人生で一番うまかった。無理をして、この幕営地を過ぎて餓鬼岳小屋を目指していたら、疲労困憊しているところで雨に濡れることになったていた。

 

【10日)】

6:30行動を開始直後からヤブ漕ぎになる。ヤブの強度は昨日よりも軽い。

 

 

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7:40唐沢岳山頂に到着した。稜線に上がってからの困難なルートを克服してのピークハントだった。嬉しさが溢れる。みんなで握手をした。ここまで、来ればこの山行の成功はほぼ間違いない。ケガをしないで下山すればよい。餓鬼岳小屋で大休止した。ビールの回し飲みで祝杯を挙げ、カップヌードルの昼食を摂った。うまい!小屋にタクシーを白沢登山口への配車を頼んだ。11:30下山を開始した。ここからが意外に長かった。進んでも高度が下がらない。途中で水場があるので、小屋で水を買う必要はなかった。魚止めの滝は見事だった。15:28白沢登山口に到着した。タクシーの運転手は「大町小町」と呼びたくなるような美人だった。彼女が指南してくれた大町駅近くの「昭和軒」のソースかつ丼は美味しかった。他のお客さんが食べていたカツカレーのカツがとても分厚かった。次はカツカレーを食べる。

(翌日、主稜線をつめて午前7時40分、無事に唐沢岳の山頂に到着。餓鬼岳まで縦走し、白沢登山道から下山した。下山しようとすると餓鬼岳小屋の主人と思われる人に呼び止められ、どこから来たのか尋ねられたので答えると、主人が言うには我々のような「もの好きが年に何人かやってくるのだが今年はあんた達がはじめて」だそうである。それにしてもどうして我々が変なところから登って来たということが察知されてしまったのだろうか。)

 

【感想】59期 T.S

どんな状態になっているのか、予定通りに目的地にたどり着けるのかわからない、登山道ではないルート。道がないところに道を見出す「探検」をしたくて参加した。

高瀬ダム下から入渓してしばらくの間は明瞭な踏み跡があり、堰堤には梯子まで掛けられていた。しかし、その先はすぐに落石が起こるルンゼ、恐ろしい岩壁、前進不可能かと思われるほどの密集度のハイマツ帯があった。進むことも引き返すこともできなくなって、「ハイマツ遭難」もあると思った。歩行可能であることは約束されておらず、危険もそのままの形で存在している。これがありのままの自然の姿だと実感した。

私にとっては体力的にも技術的にも難しかった。特に、幕岩北側のルンゼを登った時、間違ったルートを修正するためのトラバースはほんとうに落ちそうで恐かった。そうやって、唐沢岳山頂に立てたことは最高に嬉しかった。

バリエーション登山は高いレベルの体力、登山技術、知力、判断力などを必要とすることを思い知らされた。

 

【感想】57期 藤井康司

当初練習会だけでもと思って参加を申し込んだ。あっさり参加を了承され、登攀技量のない自分がチームの足を引っ張ることが心配になり、遅まきながら人工壁での練習と筋トレを始めた。

出発前共同装備のテントとロープを振り分ける最初のジャンケンで一人負けし、ロープを背負うこととなり、あとあと泣かされることとなる。

前半は沢ステージ。筋トレが効いたのかウォームアップ後の足取りは軽かった。前回撤退の原因となった落石不可避の岩溝。リーダー判断により近接方式をとり、体重の軽い順に進むこととなった。チームで唯一メタボ体形の自分は最後尾に立つ。死ぬならやはり最年長の自分か、と思う。案の定、こぶし大の石が何度か落ちてきたが、かすりもしなかった。この後も1トン級の岩を抱くようにとりついた途端、崩れた。うまい具合に自分と反対側に2メートルほど落下し止まった。天は我を見捨てず。縦走路にはない初踏みの石は容易に崩れる。

要所要所でリーダーの出すお助け紐に助けられ、滝やチョークストーンを配するルンぜ帯を突破し。尾根への取りつきを開始。これまでザラザラ、ガラガラ、ゴロゴロとすれば、この後はグズグズ、ボロボロ、バシバシの世界。リーダーは熊の足跡と野生の感を頼りに巧みにルートファインディングしていく。後続は藪の急斜面を草木の根元をつかみながら這い進んでいく。ふくろはぎと胸の筋肉が悲鳴を上げる。

やっと尾根に出たと思ったら、塔状の岩稜を取り囲むように深いハイマツの藪が延々と続く。弾力のある高さ2~3メートルのハイマツ帯を空中遊泳さながら押分け、踏みつけ、漕いでゆく。ザックとはみ出たロープが引っ掛かる。この夏5~6時間藪漕ぎした涸沢岳西尾根をA級とするなら、ここはS級だ。

餓鬼岳小屋のビールと平な寝どころを目指していたが、夕暮れ近くなり唐沢岳手前1時間のところに奇跡的にキャンプ適地を見つける。テントを張った途端夕立ちが始まる。2500メートルの稜線行動中、雨に濡れたらと思うとゾッとする。その夜は熊しか来ないような場所で満点の星空が広がる中深い眠りについた。

翌朝唐沢岳にたどり着いた時には感動した。思わず涙が出そうになった。快晴の中、槍や裏銀座の稜線が広がる。他の登山客からどこから来たんですかと聞かれ、誇らしげに「いやあのダムから」と道なき山を指さす自分がいる。

そこから餓鬼岳までは登山道だがちょっとした登りで息が上がり、亀の歩みとなる。チャカ類とロープの重さに辟易し、水の携行をセーブしたため、脱水気味だったようだ。小屋で回し飲みしたビールがうまかった。4時間かけて鎖と梯子が連続する登山道を下山する。50メートルはあろうか、魚止めの滝が見事だった。

立ち寄った温泉で湯上りに体重計に乗ったら先週71キロあった体重が今世紀最軽量の66キロになっていた。帰京し一夜あけたら4キロ戻っていた。今までで一番キツイ山行だった。無事に戻ってこれたことを、リーダー、同行者に感謝したい。行動中は二度とこんな山は御免だと思っていたが、しばらくしたらまた、行きたくなるんだろうな。

 

【感想】54期 辻博史

今回の山行はただのバリエーションルートでは無く、本当に人が入っていないバリエーションルート。

山頂まで行けるかどうかもはっきりわからない開拓要素を含んだ物でした。

地形図では谷筋から尾根に乗越せれば山頂までいけそうだが…

過去の敗退記録を読んで悪いことは分かっていたが、谷筋はザレて足場も手掛かりも怪しく、気を抜くと崩壊・崩落する岩ばかり。

緊張しつつ谷筋を這い上がり、尾根筋への取付きがうまくいったので、やれやれと思いましたが、ここからが本当の苦難の始まりでした。

木登りと藪漕ぎの連続で一歩一歩の歩みが非常に遅く、木々にはじかれながらの前進でした。

行く前から想像がついていましたが、想像以上の藪漕ぎでへとへとになりました。

思わずトラバースして藪の薄いところに逃げたくなるところを、A.Tリーダーは着実に尾根筋をたどられ、そのメンタルに改めて感服しながら付いて行きました。

こうゆう状況ではたいてい惨めなビバークになるのではと思っていたのが、非常に快適な幕営地が見つかり、まったりと疲れをいやすことができました。

よく休息をとれたこともあり、翌日は1時間ほどで唐沢岳山頂に到着。

下山は登山道のありがたみを噛みしめながら快調に降りましたが、下山道は登山道でありながらはしごや人口の足場、崖など危険個所があり、これなら登りのルートを整備して登山道にした方がよいのでは?と思いながらの下山でした。

ご同行いただいた皆様、ありがとうございました。また、過去何度かこのルートに挑戦されたA.Tリーダーのおかげで安心して歩けました。

なによりもみんな大きなけががなく(おそらく擦り傷、切り傷、軽い打撲はあったと思いますので)下山できたことが良かったです。

今回のようなルートは山岳会に入っているから行けたルートで、改めて皆さんのご協力・ご同行に感謝します。

 

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【感想】59期 増川 雄太

青空と白い雲、気温も高すぎず、湿度もちょうど良く、まさに登山日和と言える気候の中、山に足を踏み入れます。

沢筋を歩いて行くと、サイズ表に -KON- と書いてある、泥だらけのNorth Faceの帽子があり、私はそれを拾いました。ヘルメットの上からでも被りやすく設計された帽子です。

小1時間程度で森林帯を抜け、岩場に出ます。ほとんど人が踏み入れない場所のため道は固まっておらず、高い確率で浮き石に乗ります。

岩場を出てすぐ、我ら比良山岳の親方が負傷した悪名高き、急勾配の泥・岩の道に取り付きます。

腐りかけのロープを時折掴みながら、滑る足元の覚束ない泥道を、散弾のように降る小さな落石、一発で人を仕留められるような落石を躱しながら、なんとか全員無事に登りきりました。

しばらくすると、10~20mそこそこありそうな滝に出ます。リーダーが滝の左を巻きながら進みます。沢の経験がない私は、「ホールドが全て滑る」岩登りの緊張感をはじめて味わいました。ホールドの掛かり具合を丹念に検証し、なんとか登りきりました。

その後、前回の涸沢岳西尾根を超える、終わりなき藪と戦います。生命力が尋常ではない植物、その群勢に常に行くてを阻まれます。

足下はハイマツ、頭上に枝あり、足を取られると、上ではザックが引っかかる場面が何度もありました。これはフラストレーションが溜まります。

一本一本のハイマツの生命力が強く、帯重なる枝の上にに乗ると、トランポリンのように跳ねつつ、空中歩行ができました。

逆に、岩場に生息しているハイマツはもろく。岩登りの際にホールド代わりに掴み、体重をかけると折れ、冷や汗を何度かかきました。

こんな道を、たまに小熊と思しき踏み跡に助けられつつ、6時間以上歩くと、唐沢岳が見えてきました。

山頂まで少しということで、リーダーがテン泊に適当な場所を見つけました。整地をすませ、テントを張ると、ちょうど雨が降ってきました。

テントに入り込み、全員で回し飲みした、ポケットボトルのJIM BEAMは、最高級のお酒でした。疲れ切った気持ちと身体に、ようやく居場所を得た安心感が、お酒の味わいを深くしました。

あくる日、朝イチの藪漕ぎをすませると、唐沢岳の山頂に取り付き、はじめてのバリュエーションを終えました。

その後、リーダーがドローンを飛ばしましたが、通信不良でうまく映像が撮れず断念。餓鬼小屋は、ものしずかな佇まいが良かったです。あとは、たまに雄大な滝を眺めながら、無事に怪我なく下山しました。

先行く道がわからず、景色も特別いいわけでもない。ただ、自分自身や目の前の自然に向かい合えた、今後の糧に、記憶に残る登山だったと思います。

最後に、-KON- のご加護に感謝いたします。

 

【感想】51期 A.T

どうしてこんな一風変わった山行を行うことになってしまったかということについて説明しておかなければいけない。

そもそも唐沢岳に登ろうということになったきっかけは随分前の話になり、2009年の9月のことになる。

当時山岳会に入ってまだ数年という時だったと思うが、豊田さんに例会を組んでいただき、シルバーウイークを利用して北アルプス表銀座へ連れて行っていただいた。

そのとき常念岳からスタートして餓鬼岳まで縦走したのだったが、最後のピークであった餓鬼岳から見えた唐沢岳の姿がとても美しく神々しく感じ、ぜひ登りたいと思ったのが初めて唐沢岳を見たときであった。

しかし唐沢岳は縦走して抜ける登山道が無く、餓鬼岳から半日かけて往復しないと登れない山。その時は日程の関係で登る機会を得られず、下山せざるを得なかったのであった。

その後、上坂師匠に色々な事を教わり、山へ連れて行っていただくようになって、上坂さんより「行ってみたい山はあるか?」と尋ねられた。

そこでパッと頭に浮かんだのが唐沢岳である。

唐沢岳に登りたいということを上坂さんに伝えると、当時は自分も上坂さんにかわいがっていただいていたもので、2010年の秋に上坂リーダーに例会を組んでいただけることになった。

そしてここから話がややこしくなるわけだが、上坂さんのことだからただ登山道から登って帰ってこよう、ということにはならない。

そして唐沢岳といえば西壁に有名な幕岩という大岩壁が聳えている。

この幕岩にある大凹角という有名な登攀ルートがあるのだが、ここから山頂に登って、今度は沢筋を下降しながら高瀬ダムの方へ下山するという計画になったのである。

言われるままについて行ったものの、今思えばこの計画はかなり無謀で、当時は沢登りを多少やった程度で、登攀やロープワークも覚束ない様な技術しかなかった。

幸いにも?山行当日は天候が優れず、ガスで何も見えなかったので大凹角の取付きがわからずさまよった挙句、計画は失敗。

結局壁の南側の弱点部分から立木を伝って取付き、壁の途中で危険になってきたため撤退。

懸垂下降を5、6回繰り返し、闇の中をヘッドランプでD沢を下降。途中でビバークして高瀬ダムまで戻ってくる羽目になった。

その翌年の2011年9月、上坂リーダーの例会で再びリベンジと称し唐沢岳へ。

前回の反省点?を踏まえて今度は取付きやすそうなB沢を辿って山頂へ行こうという一風変わった計画となる。

天気もよく、今度こそ山頂へ立てそうだと思ったが、金時の滝の巻きの急斜面での落石が上坂さんの脛に刺さって出血が止まらず、途中で山行は中止。

救急で大町の病院で診察してもらう騒ぎになってしまった。(幸い大きな怪我ではなかった。)

その後、上坂さんから「どうや?来年リベンジするか?」と聞かれ、「いや、もう良いでしょう」と返答したためこの計画は休眠することとなったのである。

他にも美しい山、登りたい山はたくさんあるのに、あの地味な山の地味なルートにそこまで情熱を傾ける必要はない、と当時は思ったのである。

しかしそれから数年が経ち、自分も山行を重ねるうち少ないながらも経験を積んで、記録の無い沢や尾根を辿る、この冒険心に満ちた計画がいかに興味深いものであるか、ということがようやく自分にも解ってきたのであった。

また義務感の様なものもあり、日に日に「いつかあの時の山を登りたい」という思いが強まっていった。

そこで、ここ数年で勢いのある新しい会員の方々が入って来られ、良いメンバーが揃い今回の機会を得た次第である。

じっさいに登ってみて、「落石と藪の殿堂」と言うべき非道い山行内容だったのにも関わらず、心からワクワクし、ほんとうに楽しい山登りだった。

ただ、反省点もあり、B沢を最後まで詰めずに支沢へショートカットしたが、この支沢が落石も多く、パーティーを危険にさらす結果になってしまった(特に藤井さん)ことについては反省し、次回の教訓にしたい。

帰りは餓鬼岳から下山する白沢登山道を、豊田さん達と一緒に下山したことを非常に懐かしく思いながら、山登りって良いものだな、と思いながら下った。

上坂さんの計画が無ければ、こんな登山的登攀的に価値の無いところにここまで血道をあげて登ろうということは無かっただろう。

ご一緒いただいた皆さまをはじめ、上坂さんや自分にご指導いただいた会の方々に心から感謝したい。

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No.3683 赤坂山大谷山(高島トレイル)  ハイキング

2017年9月2日(土)

【メンバー】小西幸一郎CL(車)、鹿嶽眞里子、横川陽子、TW、梅村重和(車)、N.E(体験)

会員5名、非会員1名 計6名

 

【行程】57期 TW

9月2日天候(快晴)

6:30ロッジ前集合=8:25マキノ高原駐車場~9:10石庭登山口~(9:20猿集団に遭遇)(10:00 NEさんより梨差し入れ)~10:50山頂と展望ルート分岐(山頂へ)~11:20大谷山山頂〜11:50寒風・昼食/12:40寒風発~13:10粟柄越~13:20赤坂山~13:45鉄塔下・全員で大の字に寝転ぶ~15:00マキノ高原駐車場=さらさの湯で入浴し帰京

 

【記録】56期 小西幸一郎

 ここ数日で朝晩がめっきり涼しくなったこともあり、車での移動中も清々しい山行を予感させたが、その通りとなった。石庭登山口までしばらく舗装道が続くが、真っすぐ規則正しく続くメタセコイア並木道の壮大さに圧倒されながら先に進むとあっという間に石庭の集落までたどり着いた。集落とその周辺を取り囲むように張り巡らされている大変立派な鳥獣対策のフェンスを開扉し、ようやく登山道へ。ここからは梅村さんを先頭に進む。しばらくすると猿の集団に遭遇したが、かなりの群れ数であり、この辺りは彼らには理想的な生息環境なのだろうなと推察する。しかし、先ほどのフェンスは猿たちが田畑を荒らすのを防ぐために設置されたものである。農家の人たちの苦悩も知っているだけに、複雑な気持ちで猿たちを見送った。

大谷山南西稜までの登りは、梅村さんにペースコントロールいただきながら、順調に到着。

 この辺りの稜線歩きは、本当に気持ちが良い。右には常に琵琶湖が、左に日本海が垣間見える。大谷山山頂で昼食と思ったが、台風の影響か風が強く、鹿嶽さんの提案で寒風なら樹木が風を防いでくれるとのことで、場所を変更することとした。登山道を覆い隠す時には背丈ぐらいのススキをかき分けながら寒風へ到着し、各自昼食をとった。

 その後、真っすぐに延びるメタセコイア並木道を確認しながら赤坂山までの稜線歩きを楽しみ、赤坂山山頂へ到着。高圧線鉄塔が錯覚で動く様が見れたり、みんなで芝の上寝っ転がったりで、下山時も和気あいあいでマキノ高原へと下山した。下山後は、マキノ高原温泉さらさで入浴し帰京。

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【感想】57期 TW

 大谷山から赤坂山の稜線歩きを楽しみにしていたところ、終日とてもきれいな青空。大谷山付近では、左右に琵琶湖と若狭湾がはっきりと見え、中央分水嶺の上に立っているのだなぁと、感慨ひとしおでした。大谷山からの行程はススキが大量に茂っており、歩きにくさを感じましたが、風が吹くと一面、ススキの葉がさざ波のようにうねって見えて、これもまた素晴らしかったです。季節を変えて、また行きたいと思いました。

小西リーダー、みなさま、楽しい山行をどうもありがとうございました。中村さん、美味しい梨をごちそうさまでした。

 

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5【感想】59期 梅村重和

 

 今週に入り空気はぐっと秋めいてきた。今日は絶好のハイキング日和。比良は何度も行っているが、赤坂山のエリアは初めてのところ。知らないエリアに行くときのワクワク感っていいな。マキノ高原の駐車場にクルマを置いて登山口までメタセコイヤの道を行く。シーズン前の朝ということなのか、人もクルマも少なくってなかなかいい。イノシシ&鹿の防護柵を抜け山道に入る。比良とは、また違った雰囲気である。小一時間ばかり行ったところで猿の群れと遭遇。子猿も含めてざっと15頭ばかりの群れ。野生動物を育む豊かな森であることを実感する。稜線に出れば大谷山から赤坂山へは右に琵琶湖、左は山並みの向こうに日本海(ちと、靄っていてよく解らなかったが)を望むことが出来る。稜線は快適なハイキングが楽しめるススキ野原である。ススキがサワサワと風になびく。標高は1000mにも満たないが、ススキ野原を渡る乾いた風が、心地よさを通り越して寒いくらいだ。綺麗なブナの森を抜け送電線の鉄塔の下の芝生でみんなして寝っ転がる。鉄塔の上空を強い西風にあおられた雲が流れ、何とも爽快な気分!今回も充実した山行だった。

 

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No.3681  日帰りハイキング 能勢妙見山

2017年8月26日(土)

 【メンバー】
小泉賀奈子(CL)、四方宗和、中尾 諭、四方真知子、辻 春見、船木佐織、田中靖之、山形眞知子              計8名
【行 程】
8
26日(土) 晴れ
9:00
能勢電鉄 妙見口駅~(初谷渓谷コース)~9: 17 奥橋~1054初谷出合い~1108鳥居~1111能勢妙見山 本殿,散策~1154 昼食~1300~(天台山コース)~1343光明山639 13511422 天台山 640 14381545 車道に出る~1605能勢電鉄 妙見口駅

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能勢妙見山 本殿前にて

 

【記録】     52期 小泉賀奈子
天気予報では、明け方に天気が崩れると

言っており、実際に十三駅あたりでは小雨

が降っていたので、雨の山行になるかと心

配した。しかし、能勢電に乗る頃には晴天

が現れ、天気が回復したので、気持ちよく

歩くことができた。

 妙見山には5つのハイキングコースがある。行きは少しでも涼しく登れるように、川沿いを歩く初谷渓谷コースを。帰りは隣の里山2座を巡る天台山コースを通ることにした。初谷渓谷は「大阪みどりの百選」指定の美しい渓谷コース。きれいな渓谷を横目に、気持ちよく歩くことができた。中腹からは徒渉が10か所ほどあり、石伝いに進んでいく。

 

 

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初谷渓谷 大阪みどりの百選の碑

 

車道に出たら本殿までもう少し。再び山道を歩き、大きな鳥居に出迎えられ、到着。山頂では日蓮宗霊場能勢妙見堂にお参り。たくさんの神馬が奉納されていた。ガラス張りの信徒会館では、何かイベントがあるらしく、人が集まっていた。

少し散策して、広場で昼食。四方さんが、家でとれた葡萄を分けてくださった。少し酸っぱかったが、おいしい葡萄だった。

帰りの天台山コースは、下るだけのコースだと思っていたが、甘かった。光明山と天台山を登り下りするアップダウンがあり、なかなか歩きごたえがあった。途中、二手に分かれる道があり、迷ったが、最終は一本道に集約されていた。天台山の三角点をすっと見付けた四方さん。最近買い換えられたスマホのアプリのおかげで迷わず辿り着けた。田中さんが、テルモスにアイスの実を入れてこられ、皆に配ってくださった。山形さんからは、よく冷えたグレープフルーツを。気遣いがとても嬉しかった。

 たくさんのきのこを見付け、食べられる、食べられないと言いながら下る。やっとの思いで車道に出た。田んぼを守る不思議な案山子を見ながら妙見口駅へ。ビールで乾杯。またまた能勢電に乗って帰京した。

 

【感想】       6期 四方宗和

 日蓮宗霊場としてよく耳にする「能勢の妙見さん」ですが大阪に在住しながら足を向けたことがなく、山の上なのか平地なのか?寺はあるのかその大きさは?年寄りが行くようなところかハイキングを楽しめるような場所なのか?まったくの白紙状態で参加しました。

 登山口から往復16㎞(実動5時間)のコースはハイキイングとして十分楽しめました。山頂の本龍寺を中心に旅館跡、門前町様の茶店など昔賑わいを感じながらの昼食でした。

私は4月にスマホを変え「ジオグラフィカ(国土地理院地図)」を取り込めるようにし大江山などでテストをしていましたが以前より自分の歩いた山の軌跡を取り込むために相談に乗ってもらっていた辻君が参加していたので、これ幸いにいろいろご教授を頂きまた一歩前へ進むことができました。

いよいよPCに送り地図上に軌跡を入れることができるでしょう。能勢の妙見さんを知ったことスマホのステップアップ、実りの多い例会でした。

 

 

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    天台山の三角点

 

【感想】      26期 中尾

妙見山は、子どもがまだ小さいころ、妙

見山の近くにある大阪府民牧場(今は閉鎖)によく連れていったついでに、何度か車で立ち寄っていた山(寺)で、一度は歩いて登ろうかな、と思ってたところ、今回、例会になっていたので、参加することとしました。標高が600m程度の低山ではありますが、登りの沢沿いのルートは、川のせせらぎを聞きながら、渡渉を繰り返しての道で、適度な変化があり、楽しく、涼しく登ることができました。また、お寺にお参りした後の下山の尾根筋のルートは、数箇所アップダウンがあり、山頂で視界が利かないのは残念でしたが、思ったより歩き応えがありました。

右肩腱ばん断裂のリハビリ中で、ちょうどいい、楽しいリハビリ山行になりました。

 

【感想】      53期 辻 春見
夜中の台風のような大荒れの天気が嘘の

ように晴れ、また強風が暑さを払ってくれ

たのか、ここ数日の暑さに比べたら比較、

涼しい山行となりました。

今回はハイキングとはいえ、渡渉が13

回ほどあるとかで、雨で増水していたら
と思い、替えのソックスも持って行きました。しかし、全く爽やかな沢沿いの道で大変涼しく、又傾斜も緩やかで、気が付けば山頂に到着していました。
 山頂はややアミューズメント化された感は否めませんか、遊びに行くなら一日つぶせそうな施設でした。
 帰りは、最終に急坂の下りがある程度と思っていましたが、二つのピークを超えるため、結構な登り返しがあり、また眺望も望めず、結構歩きごたえのある帰路となりました。
 しばらく歩いていなかったので、リフレッシュできた有意義な一日となりました。
リーダー、皆様、大変お世話になり、ありがとうございました。

 

【感想】      55期 船木佐織
関西にパラダイスのような山があったの

に知らずに損をしていた!というほど楽し

い山でした。パラダイスというのは、山頂

が観光施設のようだったり、思いの外人が

少なかったこと、川沿いに渡渉を繰り返し

ながら登るコースも変化があって楽しかっ

たからでしょうか。ちなみに、妙見山の境

内には馬の像があちこちにいます。お願い

をすると運気が上がるそうです。ここぞと

いう時にお願いしに行くのも良さそうで、

また行きたくなる山でした。例会を企画し

ていただいた小泉さん、ご一緒させていた

だいた皆様、楽しい一日をありがとうござ

いました。

 

【感想】      55期 田中靖之
今回妙見山は、初めて登りました。登り

は沢沿いのコースで涼しく、下山路は距離

もほどよくあり、変化に富んだコースでし

た。
最近は一人で近郊の山を登ることが多か

ったので、皆さんとおしゃべりしながら山

行ができ、とても良い気分転換になり、楽

しい1日でした。またよろしくお願いいた

します。

 

【感想】     59期 山形真知子

もう少し涼しくなるまで、山はお休みにしようと思っていたのですが、北摂の山は、思いの外涼しく静かな山でした。

妙見口駅よりの歩き始めは、夏の名残のユリの花が迎えてくれました。少し行くと、色付き始めた田畑には案山子が有り、のどかな田園風景を楽しませていただきました。

途中、センニンソウ、ツルリンドウ、ハギ、ススキ、クズの花などが少し咲いて居り、小さなアケビやたわわなエゴノキの実などが、秋の訪れを告げて居りました。

それにしても、四方相談役のスマホでGPSを見る眼差しは、少年の様で感動致し

ました。(何時までも、夢は追いかけたいですね)ホッコリとした、楽しい山行でした。リーダー、皆様、有難うございました。

 

 

〈個人山行〉台高の沢 奥ノ平谷

〈2017年8月12日(土)~13(日)  【参加者】CL小松久剛 長野浩三 W.S. 計3名

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仙人滝をフォローする長野

 

【天候】8月12日(土)雨のち晴れ

    8月13日(日)晴れ

【記録】52期 小松

(注記)今回、多くの遡行記録を参考にさせていただき、ようやく遡行を成し遂げることが出来たことから、この谷については特に詳細に記録を残す。長文になることについてご容赦願いたい。なお、メンバーはクライミングレベルとしてはジムグレード4級程度3名で構成されており、靴は全員ラバーソール。登攀、巻きの難易度はこのメンバーの感覚をもとに記載している。

また、滝の名前は山と渓谷社「関西起点沢登りルート100」吉岡章著を参照している。

8/11 烏丸六角を20時に出発。途中湖南トンネル付近で事故渋滞があったものの、おおむねスムーズに進み、23:20蓮ダム着。少し宴会をして翌日に備え、すぐ寝る。

地面も平らで蛭の心配もなく、涼しく、快適に眠ることが出来た。

8/12 4:30起床、6:00発。快晴。車で千石谷林道に入り、ヌタハラ谷の橋を越えたところの左手に駐車。6:45装備を整えて出発するも、空が真っ黒な雲で覆われ、突然雨が降り出す。川への降り口を探しがてら様子を見るも、青空も見えていることから一時的な雨と判断し、出発。6:50林道の車止めから数m進んだ箇所から明瞭な道が下っていたのでここから川に向かって下り始めた。踏み跡は明瞭。

6:55奥ノ平谷出合着。最初はガレた感じの広い河原だが、徐々に巨岩が現れ始め、7:20初音滝着。事前の下調べ通り、岩と岩の隙間をすり抜けるが、思ったよりも高い位置であり、ザックも引っかかりやすく、しょっぱなから緊張する。登り自体は容易。

ここを過ぎると徐々に両岸が立ち始め、うねうねとした怪しげな暗い廊下が始める。

7:40戻滝前着。右岸に固定ロープが下がるのを確認しつつ、せっかく来たので魚止めの滝を見るため、戻滝の突破を試みる。最初は多くの遡行記録で見られるように泳いで取りつこうかと考えたが、左岸側水面付近にステップが続いており、戻滝右まで容易にトラバースすることが出来た。そこからは戻滝右上の岩まで簡単なクライミングをして戻滝上に上がることが出来る。泳ぎによる体力消耗やロープを出す時間等を考えるとこれが最短かと思われる。

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魚止滝の深いゴルジュを進む

 

深いゴルジュから深淵に落ち込む魚止滝を見てから、戻滝右岸を飛び込んで下り、8:00から巻きに入る。

巻き始めが垂壁で、かつ、ホールドも甘く、滑っているので、ロープをつけ、全体重をかけない程度に固定ロープを使いつつ3m程度上の木まで空身で進み、ザックを引き上げ、そのままロープを引いてバンドの上まで這い上がる。途中ややバランスを要する箇所もあったので、ロープを出しておいて良かった。8:35分頃に歩いて谷に下りることが出来た。このあたりから空には青空が広がり出した。

続いて目の前に3段8mがかかるが、左岸をトラバースできる。登攀自体は容易だが、激流の横の登攀で、緊張する。ゴルジュはうねうねと続き、8:50、すぐに仙人滝の深い淵が現れる。

圧倒的な沢の狭さと暗さにたじろぎつつ、トップがロープをつけて淵を泳ぎ、淵の奥の岩に乗り上げる。天気も良く、日がさしているはずだが、周囲は真っ暗で目を凝らさないとホールドもよく見えないほど。

左岸からトラバースをトライするも、1段目の滝の右側の甘いステップに乗り込むのに苦労する。

滝横はずっと左岸側をトラバースするが、結構急な傾斜をノーハンドで靴のグリップ頼りにトラバースする箇所もあり、かなり緊張した。

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仙人滝をリードする小松

 

後続のトラバースのために仙人滝の手前のテラスにハーケンを1本設置。

仙人滝の水量は多く、水流をまたぐのに躊躇するが、ぎりぎり手が届くところにスローパーがあり、これに両手を置いて、水流に負けないギリギリの足場に足を置き、気合一発で右岸のバンドに乗り上がることができた。右岸にわたってしまえばガバホールドも多く、容易に安全地帯に入ることが出来る。

仙人滝を越えると一瞬沢が明るくなるが、6m滝を左側から簡単に超えると、また一気に沢が狭まり、洞窟のようなゴルジュに入り、10:10、ほら貝の滝前に至る。

この直登はできないので、先ほどの6m滝すぐ上の岩の切れ目から右岸のバンドに乗ると、10:40、ほら貝の滝の上の河原に懸垂なしで降りることが出来た。

少し進むと、10:50、息つく間もなく、巨瀑がはるかな高みから降り注ぐ。ドーム状の釜に一気に直瀑が降り注ぐ鎌滝だ。

滝の巨大さもさることながら、滝周囲のドーム状の空間があまりに圧倒的で、しばらく見とれてしまう。

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鎌滝の左岸を巻く

 

巻きは左岸から。最初の数mが微妙なクライミングとなるが、後は容易。11:00に巻き始め、11:30に巻き終わる。

滝上はこの沢にしては珍しく普通の小滝と河原の連続となり、しばらく癒される。

11:50、直瀑20m。左岸から巻き始めるも、途中出てきたルンゼを避けようと、上へ、上へ、と上がり過ぎ、旧道らしきところまで達してしまう。そこからトラバースを始めるも、ルンゼを越えることが出来ず、もう一段上に上がろうとして、尾根に達してしまい、少し上がりすぎていることに気づき、懸垂で下降、なんとか本来の巻き道らしきバンドに戻り、ほぼ切れているトラロープが張られている箇所をバイルを突き刺しながら通過し、13:30、佐助滝前にたどり着いた。

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佐助滝

 

佐助滝も写真などで見るよりも圧倒的に大きく、逆くの字状の滝とすだれ状の滝が両方かかっており、荘厳なたたずまいを見せる。ここは左から入るワサビ谷から巻き始めるが、ワサビ谷から入る滝はツルツルのスラブなので、佐助滝の下部を左に一段上がったところから、ワサビ谷の滝の右側の溝状をクライミングで上がることになる。

13:50から登り始め、10分程度でビレイ点となる木にたどり着いたが、溝の中が非常に滑りやすく、足場もホールドも不明瞭で、いかにも沢っぽいクライミングとなった。途中、ハーケンを1本打ったが、ラストがどうしても抜くことが出来ず、打ち直して残置することとした。溝状のクライミングさえこなせば、あとはややズルズルの登りではあるが、容易に滝の落ち口に向かって歩いていくことが出来る。

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佐助滝巻き。溝状を登る長野

 

14:40佐助滝落ち口右岸に到着。時間も押してしまったので、予定通りここで幕営とした。

場所的には若干狭いのと、落ち口付近ということで水をくむのにやや注意を要したが、この沢の長さを考えると、この地点に幕営適地があるのは非常にありがたい。

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落ち口すぐ横の幕営

 

タープを張り、いつも通りたき火と串焼きを楽しみ、沢の夜を楽しむことが出来た。

 

8/13 4:30起床、6:00発。朝一から3m、5mの巻き。3m滝上から左岸の岩に乗り、そこから垂壁を数mモンキークライムすると、歩いて上流に抜けることが出来た。上流に少し進むと、6:15、美瀑15mとされる滝が現れる。どう見ても右岸からしか巻きようがないが、いまいちよいルートが見当たらないまま、滝から10mほど下流の斜面をロープを引いて上がったが、ルートを誤ったようで、とんでもなく悪いズルズルの斜面を腐った根やあんまり効いていないバイルを頼りによじ登る、という精神力を消耗する巻きとなってしまった。なんとかバンドに至り、7:20、上の4m滝も合わせて巻き、歩いて沢に戻る。

続いて、両岸立ち始め、7:30、右から支沢の小滝が、左から8m滝が落ちる箇所につくが、少し戻って右岸から容易に巻くことが出来た。巻き終わるとすぐ、25m滝が右から降り注ぐが、これは右岸側のガレた斜面を10分程で容易に歩いて越えることが出来る。

25m滝を越えるとしばらく巨岩のゴーロとなり、左岸側からすり抜けると、8:00、右岸から二つの滝が並んで落ちる大石滝にたどり着く。二つ並んで落ちる滝が朝日に輝き、虹もかかって非常に美しい。数多くの困難を乗り越えた者だけが見ることが出来る絶景だ。時間的にも順調なので、しばらく大休止する。

8:20出発。ここは奥のルンゼに入り、そこから左側の土の斜面をよじ登って水際に進路を取ると大石滝上の連瀑帯の際にたどり着くので、リッジをよじ登る。

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大石滝

 

リッジはややバランスを要する箇所もあり、落ちたらただでは済まないのでロープを引いた方が良いが、これまでの悪い登攀や巻きを考えると、容易な方だ。

9:10、歩いて上流に至る。

ここからはしばらく小滝を乗り越す程度の穏やかな渓相となる。幕営地となりうる箇所も何か所か見当たった。

9:25、25m滝前に到着。まだまだ水量多く、美しい。この巻きも大きくなりそうだったので大休止し、左岸を巻き始める。左岸側はすぐ5mほどの岩壁が現れるので、一段乗り越えられそうな箇所はないか探してみたが、いまいちよい所が見当たらないまま、ルンゼ付近までバックして岸壁の切れ目を上がる。

そのまま上流に向けて斜面を歩き、支沢を一つまたいで歩いて、10:10、上流に降り立つことが出来た。25m滝の上流は小川の横に平らな草地が広がる幕営適地で、どこでも寝られそうな場所だ。これまでの厳しい渓相とは打って変わった景色に心を癒される。

何本か支沢が現れるが、基本的に西に進路を取れば問題はなく、最後は全く藪漕ぎもなく、11:10、台高の縦走路にたどり着いた。

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上流部の穏やかな流れ

 

そこからは千石山まで約1時間ほどの急登をこなし、12:25、笹ヶ峰通過、笹ヶ峰から東南東の急な尾根を下ると13:30、千石谷と赤嵓滝谷の出合に着く。ここまでの下りは基本的にテープがあるが、一部不明瞭な個所もあるので、GPSを多用した。また、1か所ボロボロの固定ロープを伝う箇所があったが、安全のため懸垂下降を行った。

出合いから千石谷林道終点までは赤テープが設置されているので、容易。14:00林道終点に到着。もう安全地帯か、と思いきや、途中林道が崩壊しているどころか、完全に滝の中になってしまっている箇所が3か所程度あり、全く気の抜けない下山となった。15:10、駐車場所着。 無事遡行を完了した。

 

【感想】46期 長野浩三

今までで一番凄い沢だった。小松さんらに誘われなければ行くことはなかったでしょう。仙人滝の登攀,いくつかのやばい巻きのリードなど小松さんの突破力がなければ遡行は完成しなかったでしょう。たき火も盛大にできて本当に充実した沢でした。

W.S.さんには詳細な調査をしていただいた。小松さん,W.S.さん,本当にありがとうございました。次の沢があれば,ついて行きます。

 

【感想】52期 小松久

冒頭に挙げた吉岡氏の本に「悪絶をもって聞こえる」と表記される上級の沢だけあって、心・技・体のいずれにおいても我々のパーティーの実力のギリギリまで要求された遡行でした。

逆に言えば、パーティーの3人でそれぞれの力を補い合ったからこそ完遂できた遡行だったと強く感じています。

終始トップでパーティーを引っ張り、巻きでも適切な判断をして下さった長野さん、事前準備で数限りないメールのやり取りをして、遡行情報を収集し、何よりもこの沢に対する熱意で、心が折れがちなリーダーの背中を押してくださったW.S.さんに感謝したいと思います。

2011年に上坂さんに白川又川本流に連れて行っていただいた時に感じたのと同じ充実感を感じるほどの沢にいつか行きたいと毎年少しずつ高みを目指し続けていますが、今回の沢で少しは手ごたえを感じることが出来ました。引き続き、少しずつ、高みを目指していきたいと思います。

 

【感想】59期 W.S.

奥ノ平谷は滝を巻けばすぐ奥にはまた滝が出てくるような贅沢な沢だったが、先月の堂倉谷に比べるとかなり難しかった。美しく、印象的なところばかりだったが、1日目のハイライトは仙人滝ゴルジュだらう。

仙人滝は左岸から容易に巻けるらしいのだが、gorge strong styleの小松さんに巻きという選択肢はなかった。核心と言える箇所が複数ある長いルートで水量も多く、あの激流の突破は素晴らしい。5日前には大型台風、前日にも大雨が降っていたというコンディションの中、真のゴルジャーと言えるだろう。しかし、そうまでして貫いたGSSも、翌日には冷たい水につかりたくないといって簡単に捨て去ってしまっていた。

テン場で焚き火をしていると、少し酔った長野さんが、切りたくなってきた、と言って倒木から直径20cmはこえるであろう巨大な薪を切り出してきた。もう木こりやんと思ったがそんな長野さんは素敵だった。

2日目は寝起き早々出てくる15mの巻きだった。

比良の奥深谷の高巻きを木の根ホールドを無くして、ズルズルにしたようなルートでフォローで登るのも一苦労だった。帰ってから調べるとどうも巻き道は違うところにあるらしく、ただの崖を小松さんのクライミング力にまかせてゴリ押しで登ったというに近かった。

長く厳しいゴルジュを抜けると一転して、木漏れ日の射す林の中を小川が流れるような平穏な場所にかわって、地獄から天国に来たかのような気持ちになる。暴力を振るった後に優しくしてくるDV彼氏と別れられないという人の気持ちが少しわかった気がした。

今回の沢は、長野さんの的確なroute findingと小松さんの突破力に必死でついて行く格好となり申し訳ない限りですが、濃密な時間を過ごさせていただくことが出来、本当にありがとうございました。

これぐらいの沢をゆとりを持って遡行出来るために、もう少しダウングレードして着実に力をつけて行きたいと思った。

No.3677D 夏山合宿D 「徳本峠と霞沢岳」

 2017810日(木)~13日(日)

 

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写真:徳本峠への道

 

【メンバー】L秋房伸一、横川陽子、山形真知子、会員3名、会員外1名、計4名

 

【行程】

10日(木):阪急西院15:3022:30島々林道広場(車デポ)

11日(金)曇 デポ地4:506:30二股6:558:58岩魚留小屋9:1311:08力水11:1512:11徳本峠(幕)

12日(土)曇 徳本峠5:456:40ジャンクションピーク6:467:18池塘9:10尾根2560m付近(ATさん合流)~9:15K1ピーク~9:54霞沢岳10:0510:42K1ピーク~11:57池塘12:35ジャンクションピーク~13:18徳本峠14:2015:38明神(三叉路)~16:20徳沢16:3517:26横尾(幕)

13日(日)/7:389:26明神(徳本峠三叉路)~10:18河童橋上高地BT10:4011:36安曇支所前~11:52デポ地=竜島温泉=京都

 

 

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写真:徳本峠

 

【記録】52期 秋房伸一

 夏合宿(横尾集中)参加のため、クラシックルートである徳本峠に霞沢岳ピストンを加えた例会を企画した。

 徳本峠への道は、20097月にも例会で訪れているが、その時よりも断然整備されていた。特に危険を感じるところは無い。

 冷たくて美味しい「力水」で力を頂き、峠へは昼頃に着いた。

 午後は昼食と夕食を兼ねてゆったりと過ごし、早めに就寝した。テン場は混雑しておらず、快適であった。雲に阻まれて穂高の眺望が得られなかったのは残念。

 翌日は、霞沢岳ピストン。道はしっかりしているが、アップダウンの連続。途中、朝に横尾を出発した会員に追いつかれた。横尾からノンストップとのこと。その後は5人パーティーとして行動した。

 雨の心配はなかったが、穂高連峰の眺望は得られなかった。山の日3連休ではあったが、出会ったパーティーは数組で、静かな山行が楽しめた。

 徳本峠小屋の昼食時間に間に合い、とても美味なうどんを食べたが、時間がかかってしまった。

 横尾集中テン場到着が17時半になってしまい、何の手伝いもできないどころか心配をかけてしまい、真に申し訳ない次第であった。食当をはじめ諸準備に携われた皆さん、ありがとうございました。

 メンバーの足も揃っていて特に何かトラブルがあったわけでもないので、朝の出発時刻を早くするべきだった。

 翌日は、上高地での待ち時間がほとんどなくバスに乗れて、温泉入浴後に昼食をとることができた。

 

【感想】59期 山形真知子

 私にとって、山は静かに心を癒されに行く所です。(本人は少々賑やかなのですが)

 徳本峠は、一度は越えてみたい峠でした。 予想通り、静かな登りやすい峠でした。

 霞沢岳は、忘れていた夏山の楽しさを、思い出させてくれました。お花畑、ハイ松、稜線のアップダウンなどです。

 でも、もっと忘れていたものがあったのです。テント生活の楽しさ。仲間との交流の楽しさ。

 合流を目的に霞沢岳まで登って来て頂いた会員さん。自分達の荷物だけでも重たいのに、すき焼きの材料をボッカして頂いた小西パーティーの皆様。

 合宿の楽しさを、十分に味わえた横尾の夜でした。

 

 

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写真:徳本峠テン場

 

 

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写真:霞沢岳への縦走路

 

 

 

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写真:霞沢岳ピーク