京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉御坂山地~毛無山 縦走

2017年12月30日~2018年1月1日 

【メンバー】

江村一範+I(会員外)

 【日程】

2017年12月30日〜2018年1月1日

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【行程】

12月30日 8時半河口湖駅集合 富士急行バス・河口湖駅9時5分発~

天下茶屋9時半着、

10:00 天下茶屋~10:54 御坂山~12:13 黒岳~13:32 中藤山〜14:20 大石峠(ビバーク

 

12月31日 6:00 大石峠~6:57 節刀ヶ岳~7:19 金山〜7:42 鬼ヶ岳~8:39 鍵掛峠〜9:55 王岳~11:25 五湖山〜12:09 女坂峠〜12:49三方分山~14:38 パノラマ台〜15:54 本栖湖~17:15 本栖湖キャンプ場(泊)

 

1月1日 3:36 本栖湖キャンプ場~端足峠~6:09 雨ヶ岳~7:03タカデッキ~8:20毛無山~10:30 朝霧グリーンパーク下山 

富士急山梨バス 朝霧グリーンパーク発~河口湖駅着(当初乗る予定だったバス)

 

(はじめに)

御坂山地は甲府盆地と富士山北麓の間に位置し、東の三つ峠から西の三方分山まで伸びる山塊である。端から縦走すると南に富士五湖と富士山を拝めながら歩く事ができ、また多くの峠が繋がっているので甲府側へも富士五湖側へも降りやすい。地味ながらも手軽に富士山の眺望が長く楽しめる縦走ルートなのである。

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(写真 黒岳からの眺め)

 

ここ数年、関西に住む私は東京在住の友人・Iさんと2人で正月山行を奥秩父の山で行ってきた。一年前には雁ヶ腹摺山から三つ峠まで縦走し、三つ峠で正面に見える富士山と西へ伸びる御坂山地に感激した。次はぜひ続きをやろうと意気込み、今年は大晦日までに御坂山から本栖湖まで縦走し、正月を富士山の西に位置する毛無山で富士山からのご来光を見ようと計画した。

 

(1日目 12/30 天下茶屋〜大石峠)

この日の行程では水場は峠から降りたところが多く確実ではないので、水を一人5Lボッカすることにした。8時半に河口湖駅に集合し、富士急行バス・9時5分発天下茶屋行きのバスに乗り天下茶屋で下車する。 富士三景のひとつであるここからの眺めは、絵葉書のような富士と河口湖が見える。茶屋周辺の道路から太宰治の文学碑のある遊歩道へ入っていく。文学碑には「富士には月見草がよく似合ふ」と刻まれている。

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(写真 天下茶屋からの上り)

 

最初の登りはきつくはないが、急登がありそれを登り切ると御坂山だ。山頂の展望は雑木のせいでそれほど良くはない。

御坂山を下ると、枝越しに富士山が見えるポイントが何箇所かある。

御坂峠まで下りると小屋があるが廃屋となっている。そこから尾根を下りて旧坂を登るとすぐに黒岳である。展望良と書かれた道標を頼りに南へ200Mほど行くと、開けた展望場所が設けられ富士山と河口湖、南アルプスの山々が見える。少し離れているがこの展望場所はぜひ行っておいた方がいいだろう。

 

黒岳山頂に戻り破風山・中藤山を目指す。正月休みだというのに他の登山者とは遭遇しない。代わりにトレイルランナーと数人すれ違った。この辺りは比較的平坦な尾根が多く、極端なアップダウンも少ない。山を走るには最適だろうと思うも、我々は生活水を満載にしたザックを背負っている。破風山を過ぎて新道峠へ。ここにはカメラ台つきの展望台があった。中藤山・不遭山を過ぎてここに来て私とさんもだんだん富士山の景色にも飽きてきた。

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(写真 疾走するトレイルランナー)

 

14時半に大石峠に到着。ここは富士山と毛無山の大展望である。ここで今日の幕営地で迷う。明日は本栖湖のキャンプ場まで下りたいので今日はなるべく先へ進みたい。だがここから先の節刀ヶ岳と鬼ヶ岳はザレていて気を抜けない箇所が多いと聞いていた。鋭く尖った節刀ヶ岳に気持ちが負けて、日没に間に合わず核心部で暗くなるのはゴメンだと今日は大石峠でビバークする事にした。写真を撮ったり、コーヒーを飲んだりしていると時間は経ち、17時には日が傾いてきた。Iさんお手製の餃子野菜鍋をつつきビールを飲みながら、夕日に染められた黄金色の枯れすすきと富士山が茜色から群青色に変わる光景に見とれてしまう。景色が勿体無いので、火を止めた鍋が凍結するくらい寒いにもかかわらず、私達はテントに入らずギリギリまで外で時間を過ごした。ここからの富士山の眺めは天下茶屋よりも素晴らしい。太宰治もここなら素直に富士の美しさを受け止められたろうにと考えながら就寝した。

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(写真 大石峠でビバーク

 

(2日目 12/31 大晦日 大石峠〜本栖湖

2017年の山納め。明るくなるのを待って6時に大石峠を出発する。夜明け前から雪がちらついており、薄く積もっていたが軽アイゼンを付けるほどではない。ゆるいアップダウンを繰り返し、急登を少し登ると節刀ヶ岳に着いた。節刀ヶ岳は御坂山地では最高峰の山であり、晴れていれば眼下に西湖・正面に富士山が見える好展望らしいが、この日は白くガスっていて何も見えなかった。金山分岐点を過ぎて、十二ヶ岳方面を見るもガスで何も見えない。ここから十二ヶ岳へも行ってみたいが、今日は行程がたんまり残っているので先を急ぐ。此処から先、ザレた急峻なアップダウンが続くが、鎖やお助けロープが張られており注意すれば問題ない。鬼ヶ岳というおとぎ話に出てきそうな山を過ぎて、崩れた登山道のある岩をトラバースして、鍵掛峠へ。そこから西へ少し進むと2張りくらい張れそうなビバーク箇所がある。寒いので黙々と足を進める。

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(写真 鍵掛峠の登り)

 

王岳に着くとガスも多少晴れて、急峻な下りも落ち着いてきた。標高が低くなると雪も溶けて、空から晴れ間が差してきた。熊笹の茂る尾根を何度か過ぎた後、五湖山へ。ここでIさんが靴ずれが痛みだしたので応急処置をする。西を見るとこれから登る三方分山が遠くに見えた。

車道の車の音がだんだん近くなってきて、正午ごろに女坂峠を通過する。ここから南へ30分も降りると精進湖だ。町へ下って温かい物でも食べたいなと一瞬思う。エスケープし放題というのも考えものだ。眼の前の町の誘惑に惑わされる。女坂峠から50分位で三方分山に到着する。三方分山はその名の通り、北に釈迦ヶ岳、南へ行くと精進峠を過ぎて本栖湖へ下りる尾根とに分かれている。私達はここで昼ごはんを食べて、精進山・精進峠へと進む。精進峠を過ぎるとパノラマ台という展望良さそうな箇所がある。

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(写真 樹海しか見えないパノラマ台)

 

本来ならここから、毛無山と富士山が眼前に見えるのであろうが、昨日あんなに見えていた富士山は雲に隠れ、樹海しか見えなかった。ここから南の烏帽子岳を下って本栖湖に降りても良いのだが、車道歩きは極力避けたいので、中之倉峠に連なる尾根を歩く。ここで私は寒さのあまり具合が悪くなり、Iさんには申し訳ないが走って身体を温める事にした。穏やかな尾根が続き、とても気持ちよく走れるトレイルだった。中之倉峠から本栖湖に降りた。本当は浩庵キャンプ場という所でテントを張るつもりだったのだが、テン場は正月を過ごすお客さん達で溢れ返っていた。年末とは言えまさかここまで人が多いとは予想しておらず、トイレで水を給水しながらIさんと対応を考える。翌日は少しでも毛無山に近づいた方がいいだろうと、本栖湖の南にある、いこいの森キャンプ場でビバークしようという事になった。ただしここは冬季閉鎖されているので、管理している浩庵キャンプ場の事務所に赴いて交渉しビバークする許可を取った。車道を一時間ほど歩いて本栖湖いこいの森キャンプ場へ。 先ほどとは打って変わって誰も居ない真っ暗なキャンプ場でテントを張った。ラジオで明日の天気予報と紅白歌合戦を聞きながら、夕食の年越しそばを食べる。天気予報では明日は晴れるみたいだ。本当は宴会でもしたいところだが、今日は景色も見えず寒く長い一日で、とても私達は疲れていた。明日のご来光で全てチャラにしたいと願って就寝した。

 

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(写真 大晦日なので年越しそば)

 

(3日目 1/1 元旦 本栖湖〜毛無山)

元旦。寝坊して3時に起床。一富士二鷹三茄子を見れたかは覚えていない。棒ラーメンを主食に、正月気分にと雑煮とインスタントおしるこを食べた。3時半に出発するも雨ヶ岳へ続く端足峠の登山口がわからない。しばらく徘徊して、道標を見つけてやっと登山道へ入る。標高が上がると、雪がうっすらと積もっている。寝てる間に雪が降ったのか、それとも一昨日の雪が残っていたのか。とりあえず今は雪は降っておらず、空も星が見えている。

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(写真 夜明け前の富士を背に歩く)

 

夜明けが近づくに連れて、6時過ぎ、雨ヶ岳にて富士山のシルエットが薄っすらと浮かんできて、これは素晴らしいご来光が拝めるぞとほくそ笑む。だがご来光には時間がない。これはもう毛無山でご来光を迎えるのは無理そうだ。

7時、当初のビバーク予定地であったタカデッキに着いた頃には完全に日の出を迎えた。それでも富士山の背後から初日の出が出てくる瞬間は見ることが出来た。今年も良い山に登れますようにと合掌してみる。もう日は昇ってしまったので、落ち着いて毛無山へ進む。

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(写真 タカデッキからのご来光)

 

昨日とは打って変わって今日は雲ひとつ無い快晴である。だんだん暖かくなってくる。雪は積もっているが少ないので、ギリギリまでアイゼンを履かずにストックを差して歩く。8時過ぎについに毛無山山頂に到着。辺りは朝霧高原から登ってきたであろう人がチラホラいる。 富士山をバックにIさんと記念写真を撮った。幸先の良い写真が撮れたので二人で満足して東の朝霧高原の方へ下りる。太陽の当たるこの斜面には雪は全くついておらず、暑いくらいだった。10時半、毛無山登山口へ下山。 だがバスの便が無い時間帯なので、そのまま車道歩きで朝霧高原の道の駅まで1時間半ほど歩いた。道の駅のレストランでビールと定食を食べ、河口湖駅行きのバスを待つ。30分過ぎてもバスは来ない。どうやら初詣のお客さんで遅延が発生しており、次に来るのは2時間後という情報がきた。ここでIさんがヒッチハイクをやろうと言い出し、薄汚れた登山者なんて無理だろと思いながらも笑顔でサムズアップをしてみる。10分ほど経つと、なんと親切な車が一台停まってくれた。やってみるもんだ。河口湖駅へは行かないが、本栖湖へは行くとの事。そこまで行けば別の系統のバスがあるだろうと乗せてもらう。乗せてくれたご夫婦に、さっき撮った初日の出の写真を見せて山の話をした。いい人はいるものである。本栖湖で降ろしてもらい、別の系統のバスにうまいこと乗れてなんとか河口湖駅へ。河口湖駅からはホリデー快速で東京のIさん宅へ向かい、改めて正月を祝った。

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(写真 ホリデー快速に乗って帰京)

 

(ふりかえって)

御坂山地は峠からエスケープできる箇所がとても多く、どこからも入山できて、どこからも降りれる安心感があった。今回は東の端から西の端まで歩いたが、もっとバリエーション豊かな様々なプランを考えられるだろう。ただ確実な水場が少ないので、初日は多めに水のボッカをしなくてはならない。また毛無山までつなぐとなると行動時間も長くなり、多少の脚力も必要だと感じた。この年はたまたま雪が少なかったが、年によっては雪で苦労を強いられるだろう。また2日目に幕営した本栖湖いこいの森キャンプ場は冬季は通常閉鎖されており、毎回許可を貰える訳ではない事も注意が必要だ。

 それでも御坂山地から毛無山は、晴れてさえいれば終始富士山が眺められて正月山行にはこれ以上無いうってつけの山域だった。また正月以外にも歩きたいと思う。

(了)

〈個人山行〉《山紀行946》京都百名山シリーズNo.38・39 鎌倉山・峰床山

  平成291223()

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写真1: お地蔵様の祀られたオグロ坂峠

 

鎌倉山(950m)は、安曇川の坊村から登るのが一般的だが今回は久多下の町からオグロ谷右岸尾根を登った。オグロ坂峠を越えて京都府標高第2位の峰床山(970m)へと縦走し、寺谷峠からコクンド谷を歩いたが地形図のルートは堰堤で寸断され大きく変わっていた。山頂域は20㎝程の積雪があり、雪晴れの北山を楽しむことができた。

 

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【メンバー】 山本浩史L(車)、藤井康司、梅村重和、江村一範 4

【山  域】 京都府京都市左京区滋賀県高島市

【行  程】 桂6:528:26久多下の町8:3910:18鎌倉山10:2711:31オグロ坂峠~12:10床山12:4213:39寺谷峠~14:06林道出合~14:40古淵神社~14:51久多下の町14:5815:22朽木温泉16:5618:56桂川

【登山データ】 晴れ 歩行114 6時間12 延登高954m 延下降954m 2座登頂

 

今年は雪が早く久の多集落にも雪が残っていた。丁度8年前にオグロ谷を登った時にも車を止めた空き地に今回も止めた。オグロ谷を右岸に渡る橋は傾いていたが鉄の桁が通っているので一人づつそろそろと渡った。藤井さんを先頭にオグロ谷右岸尾根に取付き一貫した登りで鎌倉山を目指した。オグロ谷は漢字で書けば大黒谷で近くに大黒谷キャンプ場がある。針葉樹の濃い処には殆ど雪はなかったが疎らな木立の尾根は標高が上がるにつれて積雪が増してきた。地形図に登山道は描かれていないが我々同様の物好きが付けた赤テープが続いていた。標高550mで一旦傾斜が落ち着き一息付けた。その後620m780mでもなだらかになった。

標高780mの平坦地で一息入れ見上げると明らかなニセピーク、標高900m地点の京都府滋賀県の府県境尾根のようだ。乗り上ると北東方向にあるP895を通り谷に下りて行っているのが見て取れた。府県境尾根まで来ると鎌倉山(950m)は指呼の間、10分程で山頂に到った。山頂付近の積雪は20㎝程あったが3等三角点「鎌倉岳」は露出してた。樹林帯で展望は利かないが葉を落とした広葉樹の隙間から武奈ヶ岳(1,214m)の姿が確認できた。東に続くカマクラ谷北尾根は坊村から登って来るメインの登山道でこの先は嘗て歩いた道、しっかりしている筈だ。

暫し休憩して南西方向に進むと梅村さんは1月の雪山ハイクに向けて赤布の設置をしながら進んだ。P901に上がる手前の鞍部に大杉があり「千年杉」と案内板が設置されていた。カマクラ谷の源頭部にあたる稜線は地形複雑で以前遭難事故があったと梅村さんが云っていた。カマクラ谷南尾根の分岐ピークに乗り上るとこの尾根も歩けそうなので次の機会には歩いてみたいところだった。

オグロ坂峠(868m)は、オグロ谷を登ってきた道が越える峠で毎年5月には鯖街道のトレイルランナーが駆け抜け八丁平へと走って行く。峠には壊れた標識と古くから往来を見守ってきたお地蔵様の祠があり古き時代が偲ばれた。西に続く稜線を進みP895を過ぎると南側の樹林越しに雪に覆われた八丁平湿原が垣間見られた。

床山(970m)皆子山(971m)に続いて京都府標高第2位の山であり南から西側の展望が開けている。3等三角点「久田村二」がありこれも露出していた。12時を回り昼食休憩にした。今日はプレクリスマスイブで江村さんが何とクリスマスケーキを作って振舞ってくれた。大きな苺付きのロールケーキで山頂でのクリスマス、味わって頂いた。そうこうしていると単独行の男性が登ってきた。坊村から鎌倉山経由で来たそうだ。

今日の下山は寺谷峠からコクンド谷を通る。8年前に来たときは寺谷峠から下る道が見出せず林道を遠回りした。今日はしっかり見極めたい。峰床山山頂から北東尾根を下り左に回り込むように進むと久多尾越林道が寄ってきて稜線の際まで削られ危なっかしい稜線を歩いた。近づいた林道が離れて行き小ピークを越えるとこの林道が稜線を横断し東側に移った。横断部分は断崖絶壁で降りられず東側の斜面から林道に下り立った。尾根の続きは分岐した林道の支線が略稜線に付けられP838の麓まで行って稜線に乗った。ピークを迂回した林道が再び近づき再び林道に下りると次のピークの手前で終点となった。

西から縦走してき来た8年前は分岐が分からず通過してしまっているので、慎重に地形を見ながら進んだ。小さなプレートに寺谷峠と表示があった。道を探すと南の寺谷方面はそれらしい道形があるが北側にはかなり怪しい。少し探りに行ってみるとどうもこれが下山路のようで地形図では20m程真北に下りて東へトラバースしているがすぐにトラバースしていた。少し際どい個所もあったが北流れる尾根に近づき倒木の乗越しの難はあったが地形図通りの尾根に乗ることができた。

尾根に乗ると洗掘の進んだ登山道が明瞭で嘗て頻繁に利用された峠道であったことが知れた。尾根から谷への下降点を注意しながら進んだが何時までも現れず道が続き尾根の先端部を回り込む林道に近づいた。林道に下り立ってGPSで現在位置を確認すると地形図の林道交差の位置より500m程北に下りたようだ。工事道路の跡のような所を下って行くと堰堤が見えるが堰堤の前後に登山道は見当たらない。少し戻って作業道を辿ると次の堰堤が現れたがその脇を行くことができた。古道は堰堤工事で失われ工事に使われた作業道が荒れたまま残っているようだ。しかし辿って行くことが出来そうでそのまま谷沿いに下って行った。やがてコクンド谷本流に合流し地形図通りの位置に橋があり左岸に渡るが相当朽ちているようでおっかない。点検して見るとレールの鋼材が橋桁に使われ落っこちる心配はなさそうでまたもや一人づつ渡った。

暫く進むと里に出て宮の谷口橋で大谷川を渡り、宮の町の志古淵神社に到った。以前この神社の裏手の尾根先端に取付きフカンド山に登ったことがあり懐かしく無事下山できたことに感謝し手を合わせた。以前京都比良山岳会の会員だった小西博さんからしこぶちさんのことを聞いたことがある。安曇川流域の地域で信仰されている神様で久多の他、滋賀県の小川、坂下、坊村、梅ノ木、岩瀬、中野に漢字は違うがシコブチさんを祀った神社がある。

久多川沿いの府道110号線を歩き駐車地点に戻った。朽木温泉てんくうに立ち寄り汗を流した。藤井さんと梅村さんを送った後、江村さんと二人で桂川のイオンで反省会を行ない解散した。

 

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写真2: 峰床山(970m)山頂にて江村さん特製のクリスマスケーキ

 

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写真3: コクンド谷を渡る橋は傾きおっかない

No.3705京都外周ウォーク④-2 ~大原から比叡山横川を歩く~

2017年12月 16 日(土)f:id:hirasankun:20180109172850j:plain

【大尾山の肩にあった雪だるま】

【メンバー】57崎山康治

【天候】曇り 大原側は薄日が差す 琵琶湖側は北風が強い

【行程】9:15京都バスバス停大原出発~

三千院~来迎院~8:40音無滝登山口~

10:00標識「大尾山1」~10:20三の滝

~10:30標識「3」~10:50標識「4」~

11:00「標識5」~11:15大尾山の肩~

11:20大尾山(681m)小休止~(林道)

~11:55登山道取付き~12:10小野山

(P670m)~12:30伐採地 (昼食休

憩)12:50~13:00仰木峠~(東海自然歩

道)~13:10横川分岐~13:30谷川の橋

~13:50横川地下道~14:00横川中堂入

口 (休憩所・トイレ有)~14:30せりあ

い地蔵(小休止)~15:30谷川~15:50

登山口バス停着 

【歩行距離等】

歩行距離:10km

所要時間:6時間35分

累積標高差(+)949(-):1005m

【記録】大原バス停から三千院前、来迎院前と進み音無滝の北側の登山道を沢に沿って上る。「大尾山1」の標識で東の沢へ辿り「三の滝」を経て標識「3」を過ぎ、谷を離れて尾根筋を北に直登し大尾山の肩に着く。東に向かい大尾山に到着。「古知谷・仰木峠6」の標識があり積雪5センチ。小休止後南に下り、広幅の林道を経て再び山中に入り西に登り尾根筋に達し、南に辿って小野山を経て伐採地に到着。北風に吹かれながら昼食休憩。南下してすぐに仰木峠に到着し、東海自然歩道を登り水井山への道と分かれ東寄りの横川への急坂を下る。谷川に架かる小橋を渡って南へ急坂を登り、ドライブウエイ下の地下道を潜り、横川への急坂を登り横川中堂の門に至る。門の近くに休憩小屋と広い駐車場の南にトイレがある。トイレの近くから横高山南麓に向かう。西寄りのなだらかな行者道を辿りドライブウエイ下の地下道を潜り、せりあい地蔵前に登る。小休止し、「横高山6」から「3」までの標識を辿ってがれきの急坂を下る。台風の影響かモミの大木が倒れているのを越えて谷川まで降りる。標識「2」から少し登って「1」に至り杉の大木が根こそぎ倒れているのを越えてバス停登山口に到着

【感想】今回は次の4つのタイプのコースが楽しめました。

①スタートから大尾山までは門前の観光路、沢沿いの細道と急な尾根道、②大尾山から仰木峠までは、林道を経て北風に吹かれ琵琶湖を眺めながらの尾根道、③仰木峠からせりあい地蔵までは東海自然歩道で階段状の坂道の上下や穏やかな行者道、④せりあい地蔵からゴールまではがれきの坂道と穏やかな山道で倒木を越えながらの山行でした。

それぞれに地元設置の標識がありオリエンテーションのような感じも楽しめました。

腰折れを2句

「寒風に歯ごたえのあるカップ麺」

「尾根に立つ我の発する比叡おろし」

【経路図】

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No.3704 油日岳から鈴鹿峠縦走

2017年12月9日(土)

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写真: 鈴鹿峠への縦走路

 

【メンバー】L秋房伸一、加藤一子、

平川暁朗、山形眞知子 会員4

 

【行程】

9日(土) [加藤・平川・山形]JR京都駅6:56琵琶湖線快速・米原行き)乗車=7:20草津7:29JR草津線・柘植行き)乗車=8:16油日駅

[秋房]自宅=(自動車)=鈴鹿峠デポ7:30=(自転車)=8:30油日駅

[全員]油日駅8:359:05油日神社9:1010:18林道終点~10:48油日岳10:5511:15忍者岳-道間違え~引き返す11:3011:42忍者岳~11:52望油峠~11:58三国岳~13:20那須ヶ原山13:3014:42坂下峠~15:07溝干山~15:30高畑山15:3716:27鈴鹿峠16:33車デポ地=油日駅(自転車回収)=山科駅

 

【記録】52期 秋房伸一

 白州正子の「隠れ里」という著作の冒頭を飾るのが「油日」の集落。油日神社とご神体の油日岳。白州正子の関心は古美術や能などの古典芸能や文学作品にあるようで、その視点からその地域を語り、地域そのものへの興味関心とは違うのだが、油日岳には登ってみたいと、その作品を読んで、思った。

 油日岳だけではすぐに済んでしまうので、鈴鹿峠への縦走とした。鈴鹿峠からは公共交通機関が無いので、峠に車をデポし、集合地点のJR油日駅までは車に積んだ自転車で行き、帰りに回収することにした。ちょうど1時間程のサイクリングも楽しめる。

 荘厳でなかなかの雰囲気に満ちた油日神社に参拝し、林道歩きを約1時間。登山道に入って半時間で油日岳の頂上。

頂上は雪が舞い、プチ冬山の雰囲気。

 縦走路は、はっきりしているが、支尾根もこれまたはっきりしており、「忍者岳」の尾根に間違えて入ってしまい、約30分のロスタイム。

やせ尾根やちょっとした岩場風のところもあり、変化に富んだ面白い道が続いた。 

那須ヶ原山の山頂は積雪3㎝程。

高畑山は360度の展望で、感動した。

アップダウンの多い縦走路を60歳代後半女子を含むメンバーで、想定の時間内にデポ地に着いた。

帰宅後、ヤマケイの「主要登山地行程表」をみると記載の時間よりも早かった。

 

【感想】 59期 平川暁朗

有名な山、よく知っている山、そういうところへ行く場合がほとんどだが、たまには全く知らない山へ行ってみたいこともある。

今回は例会として挙げられていた中の油日岳という何やら不思議な名前に惹かれて参加希望させていただいた。

仕事が忙しかったり、忘年会があったりで予備知識を何も蓄えず、それでもまぁ600mそこそこの低山なので問題なかろうと高を括っていたが、序盤は延々長い舗装路で予想以上にゆるいなと思っていたが、油日岳から東へ向かう縦走にこそ、この山行の神髄が待っていた。

ザレた下りや痩せた尾根、そこそこの攀じ登りなどもあって、うっすら雪の張った根っこに足を取られたりもした。

なんだこのコンパクトながらアスレチック感満載の山はと驚いた。鈴鹿山系の地味なパートではあるが侮れないものである。途中に掠めた忍者岳というピークから今秋に行われていた忍者トレイルというトレランの大会を思い出したが、やはり油日岳近くを通るレースだったようだ。そう考えるとルートのバリエーションも色々組めそうに思える。

高畑山からの眺望は360度開けており伊勢湾も見渡せる。須磨アルプスに似た格好のよい岩場もある。

一回こっきりのコレクションと考えていたが、また来てみたいと思えるような変化に飛んだ山だった。

自転車デポという労力を厭わず企画してくださったAさん、最近私が熱心になってきたマラソン談義におつきあいくださったKさん、数十年ぶりの油日岳と思い出話を聞かせてくださったYさん、ご一緒させていただきありがとうございました。

 

【感想】 59期 山形眞知子

昨夜の雨が山では雪になって居り、思いがけず冬景色を楽しませて頂きました。

小さな花芽を付けたアセビやツバキの緑の葉の上に、白い雪が被さって居り、春まで耐え忍ぶのだと思うと、自然の力強さを感じます。

足元のスギゴケも、透き通る様な白い化粧をしていました。

心はルンルンと踊っていたのですが、アップダウンや岩場のある縦走路では、足が思う様に進まず、優しく私のペースに合わせて頂いた皆様。有難うございました。

昔は鈴鹿峠下の熊野神社前から亀山まで、国鉄バスを利用したものですが、秋房リーダーの計画のお蔭で、再びこの様な山行が出来ました事に、感謝いたします。有難うございました。

高畑山より望む伊勢の海は、疲れを癒してくれました。

 

 

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写真:油日岳

 

 

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写真:溝干山を正面にみる

〈個人山行〉《山紀行927》 京都百名山シリーズNo.36・37 桑谷山・大悲山

平成29129()

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写真1: 桑谷山山頂にて

 

前日の雨は、北山では雪だった。府道38号線で花脊峠を越えるとシャーベット状の雪が積もっていた。広河原杓子屋町から桑谷山(925m)に登り、大悲山(741m)に縦走し花脊原地町に下り周回した。

 

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【メンバー】 山本浩史L(車)、藤井康司

【山  域】 京都府京都市左京区

【行  程】 桂川駅7:047:42花園橋8:008:57原地町駐車地点9:079:24広河原杓子屋~11:17桑谷山11:4111:58桑谷山東峰~12:54蔵王権現13:11大悲山~13:23蔵王権現14:25花脊原地町~14:25原地町駐車地点14:3015:15宝ヶ池=16:34桂川駅

【登山データ】 曇り 歩行10.5 5時間18 延登高798m 延下降798m 3座登頂

  

車を止めようと目論んでいた天照皇天神宮の前は人家が近く憚られるので少し戻って原地町の山端に止めた。府道38号線を1.6㎞歩き広河原杓子屋町から林道に入った。杓子屋町は此の山間部に不似合いの集合住宅があり子供たちの声が聞こえていた。桑谷山南西尾根の途中から西に派生する枝尾根は地形図には林道が描かれ標高500m位まで上がり東の谷に分かれて行く。実際歩いてみると地図の林道とは別に尾根に絡みつくように新しい林道が上がっていた。何処に行くのか分からないので林道に惑わされず、藤井さんを先頭に山屋らしく忠実に道のない稜線を歩いた。稜線を登って行くと右手の下に林道が見え稜線を横切った。更に進むとまた横切り遂にP756直下まで到り北側へと離れて行った。下りの場面なら最初からこの林道を歩いたことだろう。

P756を過ぎると林道とは無縁の稜線となった。昨日市内で降っていた雨はこの地では雪で積雪が徐々に増してきた。曇り空で雪解けもなく木に積もった雪はそのままで、道なき稜線で雪塗れになりながら進んで行った。桂川の支流の谷(名前は分からない)の源頭を弧を描いて歩き北側から桑谷山南西尾根に合流した。倒木や樹林の濃い処もあったがそれほど問題はない。一部岩場や大杉もあり中々登り甲斐のある尾根だった。林道の入口から2時間弱で桑谷山(925m)に到り昼食にした。山頂には3等三角点「長戸」があり雪を頭に載せひっそりしていた。樹林帯で展望はなく暖かいコーヒーが癒してくれた。山頂部の積雪は5㎝程あった。

桑谷山は双耳峰で東峰は等高線から標高は930mと読み取れるので本峰の西峰より高い。こちらは木に巻き付けられたテープに「東峰」と書かれただけの寂しさで「←西峰」の指導標の方が立派だった。木の間から少し展望は得られそうだが雲の中で何も見えなかった。桑谷山からは登山道があり格段に歩き易くなった。南に進路を変えると稜線を斜めに横切る2組の送電線があり開けているが此処も雲の中で見通しが利かなかった。登山地図に描かれた桑谷への下山路がある筈だが指導標もなく今一分からなかった。稜線には雪を被った台杉が聳え立ち北山を満喫できた。

次の目標は大悲山(741m)、今日のコースから少し飛び出している。分岐点を気にしながら歩いていたが何時しか祠が現れた。此れは蔵王権現! 何時しか分岐を通り過ぎてしまったようだ。今日の目的の山の一つであるのですっ飛ばす訳にはいかないので改めてコンパスを合せ直して引き返したがやはり分岐が分からない。樹林が深く見通すこともできないのでまた行き過ぎてしまいGPSで確認して最高所から分岐した。以前来たときは反対から来たので問題はなかったが藪の中道もなく一旦鞍部に下りて大悲山に到った。これぞ大悲惨と云うべきか! 山頂の展望はないが真新しい赤い山頂標識が迎えてくれた。

此の山の南中腹にある大悲山峰定寺は久寿元年(1154)鳥羽上皇勅願により観空西念が創建した修験道のお寺で大和の大峰山と並び北の大峰と呼ばれる程の勢力があった。14世紀以降衰退し1718世紀に再興されたと云う。山中には鐘掛岩、蟻の門渡りなどと称する行場があるそうだが一般人の立ち入りはできない。蔵王権現の先に進もうとすると岩場があり傍らに小さな祠が断崖に向いて建っていた。蔵王権現も含めて峰定寺の行場の一部かもしれない。

下山は大悲山西尾根を下り原地町の寺谷川と桑谷の出会う辺りへの下山を目論んだ。登山道はなく尾根を稜線伝いに下ったが2つ目の曲がり角で少し大回りをしてしてしまった。桑谷山東峰の南で潜った送電線が再び上空に現れ南西方向を見ると湯槽山(763m)P756を伴って姿を現した。北に見える筈の桑谷山は雲の中に隠れていた。真西に向かう心算だったが送電線沿いに送電巡視路と思われる踏み跡があり辿って行った。

集落に達し林道に出ようとすると鹿ネットが張られ出られないので仕方なく民家の敷地に入って行った。無住の屋敷で入口もネットだったが緩くなっていたので跨いで乗り越えた。大悲山口のバス停から府道を歩き駐車地点に戻り周回縦走を終えた。

 

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写真2: 北山の代表的風景である台杉 桑谷山南尾根にて

 

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写真3: 大悲山西尾根からり湯槽山(763m)P756を伴って望めた。