京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉分水嶺トレイル2018 Bコース

2018年7月14日(土)〜2018年7月16日(月)

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【メンバー】 59期 江村一範

【行程】 

スタート奥多摩駅前広場→石尾根→鷹ノ巣山→ブナダワ→小雲取山→巻道→雲取山荘→雲取山→将籃小屋→山の神土→唐松尾山→雁峠→雁坂小屋→破風山避難小屋→甲武信小屋→甲武信ヶ岳国師ヶ岳→大弛小屋→金峰山→大日岩→八丁平→ヤナギ坂交点→小川山→ヤナギ坂交点まで戻る→ヤナギ坂→瑞牆登山道で富士見平小屋→瑞牆山→不動沢→駐車スペースのあるところから、右岸に渡る→松平林道交点にあるカーブミラー→尾根線→石ッコツ→信州峠→横尾山→飯盛山→ゴール獅子岩駐車場

◯総距離 97km 累積標高 9650m

◯行動記録
14日
00:00 奥多摩駅前広場スタート
03:27 鷹ノ巣山避難小屋
05:54 雲取山荘CP IN (水補給)
06:12 雲取山荘CP OUT
06:37 雲取山
08:37 飛竜権現
10:02 将監小屋 IN (水補給)
10:25 将監小屋 OUT
11:29 唐松尾山
12:30 水干
12:46 3つの分水嶺
13:02 雁峠(10分休憩)
14:37 水晶山
14:57 雁坂小屋CP IN (水補給)
16:07 雁坂小屋CP OUT
16:22 雁坂峠
16:51 雁坂嶺 15分休止
18:03 東破風山
18:49 東破風山避難小屋 10分休止
20:00 甲武信小屋 20分休止
20:46 甲武信ヶ岳
23:14 東梓

15日
00:01 国師のタル
02:07 国師ヶ岳
02:48 大弛峠CP IN
06:22 大弛峠CP OUT
07:16 朝日岳
08:10 金峰山
09:32 大日岩 15分休止
10:23 小川山分岐 10分休止
12:01 小川山
13:16 小川山分岐 10分休止
14:10 富士見平小屋CP IN 昼食のちツェルト泊
20:54 富士見平小屋CP OUT
22:38 瑞牆山
23:40 不動沢 (水補給)

16日
00:38 松平林道
01:16 読図ルート取り付き
01:50 トラバース箇所を見つけられずロスト
03:08 巨岩
03:30 中央分水嶺復帰
05:00 信州峠 30分休止
05:40 信州峠出発
06:38 横尾山
07:09 豆腐岩
07:52 槍 大休止15分
09:41 飯盛山
10:23 獅子岩ゴール

 

分水嶺トレイルの概要と準備】

ここ数年、7月の三連休は分水嶺トレイルという縦走大会に参加している。奥多摩・奥秩父山系の中央分水嶺を軸に、4つの百名山 雲取山甲武信岳金峰山瑞牆山を超えて、長野・野辺山駅近くの獅子岩まで踏破する。トレイルランニングではなく縦走、但し夜を徹して歩くカモシカ山行の大会である。
AコースとBコースで2種類あり、Aコースは奥多摩・鴨沢出発の84km・累積標高8200m、Bコースは前夜発の更に距離の長い120km(今年は100km)・累積標高12000m。
基本的にエイドは無く、各自で水と食料を計算して背負わなければならない。ただ小屋のご飯は営業時間内のみ食べられる。小屋に泊まる事はできずツェルトなどの幕営装備を背負う。関門で制限時間が設定され山と高原地図コースタイムの7割弱で歩かなくては間に合わない。読図区間が一部あり、地図読みの能力も必要。 ボッカ力と持久力、そして山域や他の登山者へ迷惑のかからない様に歩く注意力が要求される。まぁまぁしんどい大会なのである。

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(今回持っていった装備)

 

私は5年前に選手として参加して以来毎年出場している。3年前からは選手兼カメラマンを努めている。選手と同じ荷物を背負い、関門も間に合わなくてはならない。カメラの機材の分だけ重くなるが(予備機・バッテリー・フィルムなど含めて3キロ位増える)、選手と同じ苦しみを体験しないと撮れない写真があるのでこのスタイルになった。
カメラは防滴・防塵のミラーレス一眼を持っていく。また、壊れた時に備えて予備に「現場監督」という工事現場用のフィルムカメラも用意した。昨年は2台の一眼が途中で壊れたので後半「現場監督」が活躍した。今年は壊れた一眼を1台だけ新調して一眼と現場監督の計2台で挑んだ。
例年、大会の1ヶ月くらい前から走り込みのトレーニングをしているのだが、今年は食事制限も同時に行って一ヶ月で8キロ減量した。出発前に家でパッキングしたザックを測ると14キロだった。去年よりは軽いか。

 

【1日目】スタート奥多摩駅前広場
13日の昼に上京し、立川のネットカフェで仮眠をとった後、21時前にスタート地点の奥多摩駅前広場へ向かった。設営を少し手伝って、続々と集まる選手たちを撮っていく。
スタート地点では必携装備のチェックが厳密に行われ、終わった選手は仮眠を取ったり選手同士で談笑したりしている。今年は例年より20キロ短いので皆リラックスしてるように見えた。

23時頃、実行委員長より諸注意が伝達され、集合写真を撮る。
そして14日の0時、静かにスタートした。

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(スタート直後、この後私は電柱にぶつかる)

 

住宅街を抜けて林道へ入っていく。スタート序盤、えらく皆のペースが早く私は早々に潰れかけた。また新調したてのカメラの操作が今ひとつ分からず撮影に手こずった。
3時27分、鷹ノ巣避難小屋を通過。避難小屋のベンチでは休憩したり仮眠する選手もいる。私も少し休憩して出発した。
4時頃、七ツ石山を通過して夜が明るくなってきた。例年なら心臓破りの日向沢ノ峰や長く退屈な長沢背稜を歩いているので、無くなった分だけ得した気分になる。
緩やかなこの七ツ石の稜線は歩いていて心地が良かった。
5時54分、雲取山荘のチェックポイントに到着。(Bの関門は9時)
まだ小屋の空いてない時間であるが、大会スタッフによってカップヌードルやコーラが売られ、ありがたいことにお湯も用意されていた。
自分はコーラを買って補給をとり、顔を洗って6時12分に出発した。
6時半に雲取山を通過。西の遠くに富士山が小さく見えた。
秩父主脈縦走路ではあまり選手にも登山者にも遭遇することなく黙々と歩いた。天気は晴れてだんだんと気温が高くなってくるが標高が高いのでまだマシだった。
8時37分、飛竜権現を通過。
10時、将監小屋に到着。将監小屋は豊富な沢の水が流れてきており、
この水の音が心地いい。顔を洗って水を補給し、水で戻しておいたアルファ米を食べる。続々と後続の選手がやってくる。
今回が初参加の愛知から来たという4人チームと少し話した。普段はロゲイニングをしており今回は試走せずに(分水嶺トレイルは試走を推奨)参加したという。

唐松尾山のトラバースコースは昨年に引き続いて通行止めとなっており、
今年も尾根歩きとなった。11時29分唐松尾山の山頂を通過。太陽がじりじりと稜線を照らし、標高が高くても暑くなってきた。そろそろAコースはスタートの時間帯だ。スタート地点の鴨沢は暑いだろうなとぼんやりと考えていた。この辺り例年の夜通過してた時は楽に歩いていたのだが、今年は暑さのせいか消耗した感じがあった。雁峠からの古礼山もなかなか山頂にたどり着かず、クタクタになってしまった。

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唐松尾山で仮眠する選手)

 

14時57分、第2関門の雁坂小屋に到着(関門は20時半)。さすがに大休止した。
小屋の食事を注文しようと思ったが、選手の注文が殺到しかなり待たされそうだったので、ガスバーナーでお湯を沸かして持参したラーメンを食べた。ここでも将監小屋で会ったロゲイニングのチームと会った。もう大体この辺りの選手は同じような足の速さなので、ここから抜きつ抜かれつの長い付き合いになっていく。
16時に出発し、雁坂峠についた所でさっき小屋で話していた選手に呼び止められた。どうやら私は補給食の入った袋をベンチに1個忘れてきたようだった。なんという失態。戻ると往復で40分近いロスになる。食料はまだ豊富にあったのでこのまま進むことにした。
雁坂嶺のベンチで仮眠をとろうと横になるが、ブヨや虫が寄ってきて刺されまくりとても寝ていられず10分で出発する。
18時50分、東破風山避難小屋で小休止。だんだん休憩の間隔が短くなる。仮眠をどこでとろうかと思案するが、第3関門の大弛峠の関門時間が翌朝の7時半なので、なるべく近づいておきたい。まだ体が動けるので出発する。

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(日没する甲武信ヶ岳の上り)

 

日が沈んで空が紫色に染まっていくのを稜線からぼーっと見ながら歩く。甲武信の登りに入って、眠気と疲れで体が重く速度が落ちてきた。
20時、甲武信ヶ岳小屋に到着。小屋は営業していないが、コーラとかは買えるようだった。自分は昼の残りのアルファ米を食べようとするが腐っていた。もういい加減食い飽きたジェルとクッキーを無理に流し込み10分だけ目を瞑った。この食事を大して取らなかった事は後で大きな代償を払うことになる。
20時45分、甲武信ヶ岳を通過し事務局に通過の連絡をするが電波が不安定で送信できない。
そしてここから分水嶺トレイルのメインディッシュである国師ヶ岳へ向かう長い暗い稜線となる。
この稜線は前半は地味で平坦な稜線が延々と続く。最初の年は疲労のあまりここで幻覚を見た。
暫く行くと前半何度か会っていた選手の木村さんと出会う。この稜線は一人より二人の方が心強いので一緒に歩いた。

 

【2日目】水が飲めなくなる

ここに来て私にトラブルが発生する。それは「水が飲めない」という致命的な事だった。最初はポカリスエットが飲めなくなり(経口補水液もジェルも無理)、水ならなんとか飲めたので難をしのいでいたが、水が無くなり、木村さんと水とポカリを交換してもらったが30分後には水すら飲めなくなった。水を飲むと吐いてしまうのである。こんな事は初めてなので焦った。幸い足は大丈夫なので動き続けた。水を口に含んだまま暫く歩き捨てる事を繰り返し、僅かでも口の粘膜から吸収を試みた。
東梓の手前で後続から別の選手がやってきた、聞くとAの選手だという。Aの選手に会うのは初めてなのでおそらく現時点で1位の人だ。熱中症のせいか食欲が無く補給がとれないとの事だった。無理やりアルファ米を流し込んでフラフラと出発していった。
国師ヶ岳の登りに差し掛かる。この国師ヶ岳だけは山頂の手前に何度も偽ピークがあり、これが疲労困憊の選手の気持ちを翻弄する。
木村さんはこの登りで大変やられてしまい、ここでは私が引っ張った。水は飲めないが足はまだ残っていた。

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(悪役の国師ヶ岳を前に項垂れる木村さん)

 

2時7分、憎き国師ヶ岳の山頂に到着して「国師ぃー!」と絶叫した。木村さんは道標に頭を垂れる。ここから大弛峠までは板で出来た回廊と階段歩きが30分くらい続くのだがこれが地味に効いた。もう3時間くらいまともに補給できていない私は完全にガス欠となり今度は木村さんに引っ張ってもらった。

2時48分、大弛峠の関門になんとか到着。大会用のテントがなかなか見つからず、しばらく右往左往した。大会用のテントはテント場を越えた道の向こうの登山口にあった。
チェックを済ませると、大会スタッフにインスタント味噌汁を貰った。また吐き出すかと思ったが、少しずつなんとか飲めた。味噌汁は凄い! 疲労困憊も極まったのでここで初めて眠りについた。
5時45分頃、明るさと賑やかな音で目が覚める。ここで仮眠していた選手が続々と出発しているのだ。昨日の事を思い出し、恐る恐るクッキーを食べるとなんとか食べれた。胃も復活したようだ。
ここまで付き合ってくれた木村さんも起きてきた。先に出発するというのでお礼を言って別れた。
スタッフにお礼代わりに写真を撮って6時22分に出発。(大弛関門は7時半到着)
7時16分朝日岳を通過。下の富士見平から来たのか朝にも関わらず賑わっている。ここでまた富士山が綺麗に拝めた。天気はまた快晴で気温が上がりそう。

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(晴天の下の金峰山

 

8時10分、金峰山を過ぎて岩場を下っていく。金峰山に登る大勢の登山客と通り過ぎた。
9時32分、大日岩に到着。ここからは今年から追加された小川山山頂へのピストンへの道である。全くの未知の区間。腹ごしらえにアルファ米を食べた。ポカリはまた飲めなくなっていたが水はまだ飲める。ここからは岩場の上りなのでストックをしまおうとすると、中の糸が切れてしまう。仕方がないのでテーピングで補修する。もうたためない。
食事をしていると木村さんが小川山の方から戻ってきた。小川山の取り付きの道がわかないのだという。一緒に探しましょうと出発した。
小川山の取り付きはペンキで書かれた○と矢印を辿れば問題なく行けた。
岩場を過ぎて足場の危うい破線歩きが続くが、大会のスタッフによってリボンがつけられており、10時23分八丁平まで無事辿り着けた。
八丁平では既に小川山へのピストンを終えた選手が休憩していた。遠いですかと聞くとまぁまぁ遠いとの答え。
八丁平で少し荷物をおろして軽くして出発する。道なき道だが、尾根歩きなので迷う事は無い。
後続の選手も増えてきて、普段は人もそう歩かないだろう稜線は賑わっていた。降りてきた選手も多く、カメラマンとしてはすれ違いざまに写真がたくさん撮れて助かった。
12時小川山到着。辺りは木に覆われ展望も何もない。でも、その場にいた4人の選手で喜びを分かち合う。

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(小川山の下り、奥に金峰山の稜線)

 

この時に一緒に歩いた選手の中に、Mさんという方がいてTJARの出場を控えていると聞いてビックリ。大いに激励した。他にもトルデジアンに出場したという方もいて、分水嶺には強い人が集まっているなと感じた。
13時16分、八丁平に戻って小休止。これからピストンするという選手を数人見送って下の富士見平小屋へ降りた。
この道中ではなぜ分水嶺が魅力的なのかということを木村さんと話した。それは大会という体裁にも関わらず、
長距離故に「旅」をしてるかのような時間の流れ方と、道中の困難さから選手同士の出会いと助け合いが濃厚だからという事だった。
14時10分、最後の関門である富士見平小屋へ到着。(関門時間は19時半)
小屋できのこうどんを注文してベンチで食べ、小屋で買った「お〜いお茶」を飲んだ。この時飲んだお茶のなんと美味かったことか。食欲減退時にお茶は効くことを学んだ。
腹が満たされて少し落ち着いた。ここはもう本格的に仮眠しようと選手用エリアにてツェルトを張った。ペグを忘れたのでそこらの枝で無理やり差してこしらえたのでブサイクな張り具合。木村さんと出発時間を決めて就寝した。
だが寝袋に入ったと同時に、小屋の前でキーボードの生演奏のコンサートが始まり、ルパン三世など小粋な音楽が流れ出した。意識を集中して音楽を気にしないようにしたが、無理だった。演奏が終わり夕方近くになってやっと意識が遠のいた。
19時半に起きて、ツェルトを片付けるが、段取りが悪くえらく時間がかかった。
小屋前で木村さんと合流し、21時に富士見平小屋を出発。
瑞牆山の登りは岩場だが、危険箇所には鎖がついており難なく登れる。だがどうも私のペースが遅くなり木村さんにも待ってもらう場面が増えてきた。
山頂は登らなくても良いのだが、木村さんが登りたいと言うので登ることに。山頂からは一面の星が見えた。後続の選手チーム来たのでスローシャッターを使って何枚か写真を撮る。

 

【3日目】1時間のロストとゴール

瑞牆から不動沢へ下って、途中で木村さんに教えてもらった水場で水を給水する。ここは沢の水の音が人の話し声に聞こえて気持ちが悪い。0時38分松平林道へ出る。
本来は渡渉するはずだったのだが、台風で渡渉箇所の渡し木が流されてしまい、ただの松平林道歩きとなったのだった。
1時16分、読図区間の取り付きに到着。県境の稜線へ向けて道なき道を歩いていく、この区間を歩くのは初めてだという木村さんが率先して読図をして引っ張ってくれた。
だが途中で大きな巨岩に出くわし、それを回避するルートが見当たらない。その場に5人位の選手が溜まって手分けしてあーでもないこーでもないと探すがわからない、やがて木村さんと逸れてしまう。私はソロ4人組と道を探し続けた。ロストして1時間くらいしてやっと見つけた。左に巻いてから尾根に戻るのが正解だった。

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(巨岩のトラバースポイントを探す)

 

3時30分、中央分水嶺に復帰。そこからは一ヶ月前に試走したという選手にひっぱってもらう。私は昨年も歩いてるはずなのにさっぱり忘れていた。
空は明るくなり、Aコースの選手もちらほら見えてきた。
5時、なんとか信州峠に到着。もうここまで来れば大丈夫だと一安心。そこでは木村さんが食事をとっていた。巨岩は越えられたがその先でロストしたそうだ。もうここまで来たら木村さんと最後まで歩こうとソロ4人組と別れて5時40分出発。
ここから先の区間はかつては読図区間だったはずなのだが、踏み跡がつきすぎて迷うことは無くなった。
6時38分、横尾山通過。横尾山の登りは地味に長くつらかった。
7時9分豆腐岩を過ぎて、太陽が容赦なく私達を照らしつける。
標高もだいぶ下がったので、もう暑い暑い。この区間は何度か急登が続くのだが、その最後の急登である「槍」を上りきって、先頭だった私はバテてしまった。木村さんに待ってもらい15分ほど伸びていた。
そして、最後の稜線の分岐にさしかかる。
分水嶺トレイルの最後のピークである「飯盛山」がはっきり見えた。
飯盛山とはその名の通りご飯を茶碗に盛ったような可愛い山で、いつもこの分岐でそれを見るたびにここまで来たかと感動するのだ。
補給がしずらくなっていた私はフラフラだったがなんとか木村さんについていく。カメラを構える時だけシャキッとした。
やっとの思いでゴールの分岐にさしかかる。毎年撮ってくれている定点カメラマンが私達を撮ってくれた。ここは20メートル位上がる飯盛山のピークとゴールの獅子岩駐車場の分かれ道だ。飯盛山自体は登らなくても良くほとんどの選手がスルーするのだが、木村さんは登りたいと言い出した。
木村さんは家庭の忙しさなどから今年が最後の分水嶺トレイルになるかもしれないとの思いがあったのだ。カメラマンとしては付き合わない訳にいかない。分水嶺最後の登りをここまでの道程を思いながら登った。
9時41分、飯盛山山頂に到着。山頂からは自分たちが歩いてきた長い長い稜線が見えた。嬉しさのあまり大いに笑って稜線を指さしながら撮影した。

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(最後のピーク、飯盛山


獅子岩までの最後の道で息も絶え絶えだったが、最後の踏ん張りでなんとか歩く。
10時23分、木村さんと共に獅子岩にゴール。木村さんと互いの健闘を称え合う。ゴールしてすぐビールをスタッフの方より貰う。木村さんと乾杯して飲み干す。私は減量と同時に禁酒もしていたので、久しぶりのビールは空っぽの胃に染み渡った。思えばこの一杯の為にここまで歩いてきたようなものだ。

その後は温泉に移動して3日間分の汗を流した。体重は4キロも減っていた。レストランで唐揚げ定食を食べた。木村さんや他の選手たちと分水嶺の思い出話であーでもないこーでもないと話は尽きなかった。

 

【感想と覚書】
今回の完走率はBがソロ70%、チームが36%だったようだ。
Bのルートが短縮されたことで雲取山までは楽に感じれたが、唐松尾山~雁坂小屋は暑さのせいか例年よりかなり辛かった。昼間スタートのAコースではスタート序盤から熱中症者が多かったらしい。
またBは距離が短かくなった分、関門が厳しくなったせいで大弛峠で多くの足切りがあったようだ。チームは今年から一人も欠ける事が許されなくなったのでそのせいもあるかと思う。小川山のピストンは、今回一番警戒していたが歩いてみると大した事はなかった。

私に関していえば、雁坂小屋で食料を落としたこと、国師ヶ岳で水が飲めなくなった事は失態だった。水が飲めなくなったのは、経口補水液を飲みすぎたからなのか、熱中症だったのかは分からない。
ただ口を濡らして経口から補給を試みたのは良かったと思う。富士見平小屋で飲んだ日本茶が本当に美味かったので来年はお茶パウダーを持っていこうと思う。
またアルファ米は毎年腐らすので来年は小分けしようと思う。
良かった点はカメラが今年は壊れなかった事だ。おかげで予備機の出番が無かった。今年は3日間晴れ渡って、カメラが濡れる事も少なかったので気を使うこともなかった。今年は写真と同時におまけで動画も撮っていて分水嶺トレイルのプロモーションビデオを作成した。8月の報告会で披露してまぁまぁの好評を得ることができたので来年はミラーレス一眼とビデオ用ハンディカムを持とうと考えている。

そして何より思い出深いのは国師ヶ岳からほぼ一緒に行動した木村さんだ。どちらか一方が潰れていた時は、片方が引っ張れた。長い間色んな事を話した。出るのは今年が最後との事だったが来年もひょっとしたら出てるのでは無いかと思う。
他にもここには書いていない多くの選手との出会いと助けがあった。カメラを向けると笑顔を向けてくれた選手、また睡眠返上で尽力された大会スタッフの皆さんには本当に感謝したい。
また来年、分水嶺で多くの選手のドラマを撮影できたらと思う。(了)

 

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 (ゴール後の美酒)

 

No.3744 比良山系 ネムの木の花をもとめて

2018年7月14日(土)

【メンバー】CL山形真知子、SL辻春見、崎山康治、計3

 

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【行 程】

坊村9:45~牛コバ10:35~
12:10摺鉢山12:40~烏谷山
13:10~荒川峠13:50~登山口
15:50~志賀駅17:00

 

天候 快晴 京都市内は38度超を記録

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【記 録】 59期 山形真知子

坊村より牛コバ方面に行くのは、我々だけでした。牛コバまでの林道は、豪雨の影響はありませんでした。最初の急登はゆっくりと一揆に登りました。

休憩を兼ねて地図を出し、取り付く尾根を確認する。後はテープを確認する事もなく道は出来ている。
摺鉢山で昼食と記念写真を撮る。烏谷山で比良の山脈と琵琶湖を眺めて、下山開始する。荒川峠から水場までは豪雨の影響で道が荒れていました。

それ以後の道はいつもと同じでした。

樹林に囲まれた風のある、静かな山行でした。

 

【感想】59期 山形真知子

久しぶりの摺鉢山に満足致しました。

静かである事。奥の深谷と白滝谷よりの風がある事。雑木林が有る事。

烏谷山に出て突然現れる琵琶湖。
何時かこの尾根で、ワカンやスノーシューで雪遊びをしたい夢を持っています。

SLをして下さった辻さん、同行して下さった崎山さんに、感謝いたします。

 

 

軌跡

 

【感想】57期 﨑山 康治

今回の山行は、
①防村から牛コバまでは、涼しげな瀬音を聞きながらの林道歩き。
②摺鉢山までは、鋸状の急坂登り。
③素晴らしい眺望が待っていた、摺鉢山から烏谷山までの尾根歩き。

④途中の冷水が嬉しかった。荒川峠から中谷出合、大谷川への下山道と、変化にとんだ行程でした。
私のスローペースに合わせていただき、見所を教えていただいた山形L、辻SLありがとうございました。山形Lおすすめのつつじの咲くころに登ってみたいと思いました。

腰折れを二句 
「烏谷山夏空連山琵琶の海」
「振り向けば炎ゆるごとくに比良の山」

 

【感想】53期 辻 春見

この山域は何度も来ているはずなのに、

摺鉢山、烏谷山(カラトヤマ)は初めて歩く山でした。

京都市内で、38度超えという猛暑を記録した日が、連日続いた中での例会でした。

この季節の山行を予測してのリーダーのコース選択だったと思いますが、雑木林の中を涼しげな風が吹きわたり、また「猛暑」の影響からか、誰一人会うことの無い、
大変静かな山行となりました。

(荒川峠以降では数名には合いました。)

豪雨の影響による道の崩落等はありませんでしたが、参道に大きな樹木や根っこが流れ着いており、雨量の多さ、怖さを感じました。

コースは結構踏み跡もなく、判り辛い箇所もあったので、皆さんとご一緒できて良かったです。

 

ありがとうございました。

 

 

 

No.3743  白馬大雪渓から白馬鑓温泉山行き

2018年7月13日(金)夜 ~16日(祝)

 

【メンバー】L 高橋秀治、小泉賀奈子、鹿嶽眞理子、土井 司、会員4

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【行 程】

13日:各自宅周辺ピックアップ→京都東→21002430道の駅安曇野松川()

14日:0500道の駅→0600二股駐車場→0700猿倉~0800白馬尻~大雪渓~1230白馬岳頂上宿舎(幕営

15日:0700幕営地~0730白馬山荘~0830白馬岳~小蓮華山~1200白馬大池テン場(幕営

16日:0630白馬大池テン場~0930栂池自然園駅→二股駐車場→入浴→京都

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【感想】56期 土井司

> 山肌には白い雪渓、雲一つない真っ青な空。これぞ7月のアルプスといった風景の中大雪渓を目指し猿倉をスタート。大勢の登山者に混じり1時間弱で白馬尻に到着。小休憩の後いよいよ大雪渓に突入。

> 10年程前に来たときは小屋の前から雪渓歩きしたが、今回は10分弱登山道を登ってから雪渓に入る。これで雪の量は例年並みとの事であり、10年前は多かったのか、10年間で大きく縮小したのかたぶん温暖化の影響で後者であろうと思われる。

> 雪渓歩きは直射日光を受けながらの急登歩きで汗が噴き出すが、ときおり吹く風が冷たく気持ちいい。途中後ろを振り向くと登山者が延々と数珠つなぎになって登ってきており、芥川龍之介蜘蛛の糸を連想させられる。長い雪渓を登り切り途中水が流れている個所で頭に水浴びすると最高に気持ちよく、これを見ていた他の登山者も同様に浴びていた。

> テント場へ着くと超過密でイモ洗い状態。斜面、トイレマンホールの上などいたるところに立てており、これから察すると山小屋の中は想像を絶する状態であったであろう。

> 白馬の稜線からは立山連峰、後ろ立山連峰、頚城山域、志賀高原富山湾能登半島、更には佐渡島、また能登半島方面に沈む夕日、頚城山域から昇る朝日などなど絶景を満喫した。ただ残念であったのは槍温泉への登山道が通行止めになっていたのと小屋の営業が725日であった為、目的の半分である露天風呂からのご来光を拝めなかったことである。「もう一度おいで」ということなのかも知れない。

> 高橋リーダーをはじめご一緒下さいました皆様、楽しい語らいと美味しい食事など素晴らしい山行、更には下山後のサプライズにも楽しんでいただきましてありがとうございました。尚、次回では蕎麦粒山という食事のできるお店にご案内いたします。

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【感想】 52期 小泉賀奈子

 高橋リーダーから、海の日連休に白馬大雪渓と鑓温泉を巡る山行を計画していると聞き、すぐに参加を申し込みました。されど、海の日連休は梅雨が明けていない年が多いので、テント泊は難しいかなと期待半分でいたのですが、なんと3日間快晴に恵まれなんともラッキーでした。お花畑は色とりどりの高山植物が咲き誇り、頂上宿舎のテン場からは沈む夕日も昇る朝日も堪能することができまし た。雪崩の危険があるため、鑓温泉へのルートが通行禁止になっていて、なくなく大池をめぐるルートに変更。鑓温泉に入りたかったなあ、と残念ではありましたが、気持ちの良い稜線に、目を楽しませてくれる可憐な高山植物と時折姿を現す親子のライチョウ。遠くに見える剣岳鹿島槍ヶ岳の雄姿。のんびりゆっくり大自然を満喫できる、贅沢な3日間でした。栂池のさるなしソフトは絶品!下山後は、16日が入浴料半額になるという十郎の湯で湯浴み。幻の蕎麦「粒山」にも行けたし、土井さんの情報ツウには驚くばかりでした(いろんな意味で!)。高橋リーダー、ご一緒してくださった皆様、ありがとうございました。とても楽しいテント泊でした。

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【感想】 54期 鹿嶽眞理子

 スイス・ドイツの旅からの帰国の翌晩出発ということもあり、しばらく申し込みを躊躇していましたが、どうしても白馬に行きたくて申し込みました。直前の大雨(といっても私は体験していないのですが)が嘘のような晴天続きで抜群の景色と可愛い高山植物を楽しむことができました。夕日も朝日も拝むことができ、最高でした。雷鳥にも三度もであい、特に親子連れがかわいいでした。残念ながら鑓温泉小屋への道が不通となってしまい、白馬大池周りで下ることになりましたが、こちらのコースもなかなか素敵な稜線歩きで良かったです。土井さんの前に行ったという温泉も蕎麦屋もなかなかの案内をしていただき、新たな伝説ができた旅でした。

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【感想】53期 高橋秀治

 以前から登りたかった白馬大雪渓。雪渓の上では降りてくる冷気が身体を包み込んでくれる。そして延々と続く人の隊列。

「らく」と叫び声が聞こえ、見上げるとはるか先を大きな石が転げ落ち、時折岩から石が剥がれ落ちる音も聞こえる。雪渓歩きを思う存分楽しみ、次に待っていたのは、テン場まで続くお花畑。5時間以上重いリュックを背負い、汗だくになって登って来た事もこの景色を見ると忘れるくらい実に素晴らしい。

 初めて夏場の夕食を引き受ける事になり、「夏の山飯」等で検索していると、「ご飯を炊きたい、野菜が欲しい」等の声が聞こえそうな気がして、麻婆ナス丼と麻婆春雨丼にしようと決めた。しかし、5月の蝶ヶ岳ヒュッテの炊事場で食べておられた「豚の角煮丼」が忘れられず、それに変更する。そもそも麻婆ナス・麻婆春雨と2日間も同じような夕食を選ぶ事がおかしい()

さらに調味料類の準備等食担は想像以上に労力を強いられた。

 白馬三山を縦走して白馬鑓温泉に浸かりながら望むご来光を見る事も出来なかったが、2日間テン場でまったりした時間を過ごし、稜線からの雄大な景色や色とりどりの高山植物を十分楽しめた山行きでした。そして、何よりも皆さんの笑い声が終日途切れる事のない素晴らしい23日のテント泊例会でした。

皆さんありがとうございました。

 

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〈個人山行〉 劔岳 源次郎尾根と立山三山

2018年7月8日(日) ~9日(月)

【メンバー】CL AT、辻博史  会員2名

 

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【Ⅱ峰を越えてⅠ峰へ】

 

【行程】

8日(日)室堂バスターミナル8:30~雷鳥平キャンプ場9:18~劔沢キャンプ指定地11:20~平蔵谷12:30~Ⅱ峰15:30~Ⅰ峰16:00~劔岳本峰16:35~17:15前劔~18:00一服劔~劔沢キャンプ指定地19:00

9日(月)劔沢キャンプ指定地5:50~別山6:48~雄山8:45~一の越山荘9:24~ロッジ立山連峰10:54~室堂バスターミナル12:30

 

 

 

【記録と感想】51期 AT

 初日、雨の中源次郎尾根を登るが、Ⅰ峰に上がる頃には予報通り天候が良くなってきて、我々で独占の劔岳山頂では、素晴らしい絶景に感動!

 

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二日目、朝から快晴なので立山三山を縦走して帰る。昨日から絶景につぐ絶景で胸一杯になりながら帰京。

 

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すばらしい山旅をありがとうございました。

 

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No.3741  京都外周ウォーク⑬ 経ヶ岳・イチゴ谷山を歩く

2018年6月30日(土)

 

【メンバー】

CL 57期 崎山康治

【行 程】

6月30日 曇り時々晴れ午後雷雨

昼気温26度 湿度80%

8:50自家用車で久多川合町到着、9:06

高島市営バス乗車=9:16桑原橋バス停

到着~地蔵堂前(トイレ有)9:30出発

~登山口~[丹波越え]~P622m~

10:55三国岳・経ケ岳分岐、小休止~林

道出合~11:20林道別れ~11:30経ケ岳

889m小休止~イチゴ谷山北麓~12:20

ブナ等倒木の平地、休憩・昼食12:45~

13:10 イチゴ谷山892m小休止

13:30中峰~13:30P909m小休止~

14:10鉄塔2か所下~14:25P865m~

15:15P685m~15:30小川への分岐~

16:00柴ヶ谷~16:10小川シコブチ神社

前(県道出合)~床鍋橋バス停~

16:30久多川合町到着

【歩行距離等】

歩行距離:12km

所要時間:7時間00

累積標高差(+)927m(-)992m

【記 録】57期崎山康治

久多川合町の県道・府道分岐点で高島市営のマイクロバスに乗車し、桑原橋バス停で下車(運賃220円)。

針畑川の桑原橋を右岸に渡り、トイレ前を通り地蔵堂手前からロープを張った山道に入る。間なしの「経ヶ岳登山口」の標識を過ぎたところから谷川の小橋を渡り登山道を南に登る。急坂を交え、イワウチワ、ユズリハ、ブナ、杉などの樹間を進み、北方の連山を振り返りながら「丹波越え」の標識のある三国岳との分岐点の峠に到着。

休憩後、南の斜面を登り降りして東進し、「経ヶ岳1㎞」の標識から林道に出る。しばらく林道を歩き「経ヶ岳0.5km」の標識で林道と別れユズリハの中を進み経ヶ岳に到着。

眺望はなく、休憩後、緩急のあるユズリハの坂を平良谷源のイチゴ谷山北麓まで下る。獣害防止ネットに沿って、経ヶ岳を振り返りながら南に登り、ブナなどの倒木が並ぶ平地に着き休憩。

昼食後東に登りイチゴ谷山に到着。ここも眺望はなく、小休止後緩やかな尾根道を南に向い台杉の古木の立つ中峰

 

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 [中峰の古木]

を通過し、P909m地点に着く。ここは南の眺望良く、朽木の連山にかかる雲や送電線を遠望する。

南東から雨雲が近づくのを見ながら雨具を着けて出発し、送電線の鉄塔を2か所潜り、685地点あたりから雷雨の中を南から東に弧を描く形で雑木林の緩やかな尾根道を急ぐ。途中で北に折れて滑りながら小川(こかわ)への急坂を下り、「小川・シコブチ神社0.5km」の標識から西に下り、柴ヶ谷の林道に至る。濁流の谷川に沿って東に向かい小川の県道出合に到着。雨上がりの県道を針畑川に沿って久多川合町まで戻る。

 【感想】57期 崎山康治

  今回のコースは、朽木と久多の境の尾根歩きで、①丹波越え、②経ヶ岳・イチゴ谷山・中峰と辿る比較的緩やかな府県境の尾根道、③尾根筋と別れて小川に下る急坂の3つにわけられ、変化がありました。イワウチワ、ユズリハの緑が鮮やかで風雪に耐えた台杉も見られましたが、眺望が良いところは一部でした。

2時過ぎからは雷雨があり滑りながらの下山となり、靴には蛭が数匹付いていました。夏は着替えと蛭除け、虫除けが必需品だと改めて思いました。

行き帰りにバスを利用する場合は、帰りに梅ノ木から17:18発の出町柳行きのバスに乗る必要があり、久多川合町に4時には戻りたいところでしたが、30分ほど超過してしまいました。休憩時間の短縮が必要でした。

腰折れを2句

「梅雨晴間谷に五線譜浮かびおり」

「連山に雷雲を見る朽木谷」

 

【ルート図】

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