京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3752  富士登山例会

2018年8月25日(土)~26日(日)

【メンバー】
小泉賀奈子(CL)、中尾諭、中村恵子、齋藤庄一、サーデバンディ ニカン  計5名


【行 程】
8
24日(金) 曇り
22:58
京都駅八条口F3バス乗り場発=(富士急行バス 金太郎号車中泊)=

 

825日(土) 快晴
5:29 新富士駅着 近くの浅間神社にお参り7:15=(富士急静岡バス)=7:50 富士宮 8109:30 富士宮口五合目 9:5410:10 六合目~10:54 新七合目 11:0511:46 元祖七合目 12:1512:43 八合目 13:0513:36 九合目 13:5814:30 九合五勺 14:4815:48 頂上富士館、浅間大社奥宮参拝、17:00夕食、19:00就寝(富士館泊)

 

826日(日) 快晴
4:00
起床~5:05成就岳にて御来光を見る。

5:25富士館~6:06剣ヶ峰△3775.6~お鉢めぐり(中尾、中村、齋藤)~8:00御殿場口八合目~8:40 砂走り館 8:599:05七合目~9:26 馬の背~9:36 宝永山 9:4610:43御殿場口新五合目=(タクシー)=11:40 御胎内温泉 13:03=(富士急静岡バス)=13:40 御殿場駅(昼食)14:4015:16沼津 15:32=(JR)=15:37 三島 15:48=(新幹線ひかり号)=17:45 京都駅着、解散

 

【記録】      52期 小泉賀奈子

  富士山に登りたい、という声が会の皆さんから聞かれ、久しぶりに例会を組むことにした。頂上にある浅間大社奥宮にお参りするために時期を8月に決め、まだ訪れたことのない富士宮口から登ることにした。

 京都駅発の夜行バスに乗るために八条口に集合。思ったより早く皆が集合され、富士山への期待で話が弾んだ。同日昼に、参加予定だった塩見さんから「天候が悪いためキャンセルしたい」旨の申し出があり、不安が頭をよぎったが、前線も雨雲も天気図上には見当たらず、決行を決めた。

新富士駅に着くと、近くの浅間神社に安全登山祈願をした。小さいながらも立派な造りの祠が、この辺りには点在している。朝食を摂り、駅の構内でゆっくりしてから富士宮行きのバスに乗車。もう一本乗り継ぎ、富士宮口五合目に到着。バス停はすでに雲の上。ぶ厚い雲の上は、スカイブルーの美しい空が広がっていた。「おはよう朝日です」のMCアナウンサーが撮影しているところを発見。同じ日程で登頂を目指すようだ。放送日は約一週間後だと言っていた。協力金を納め、缶バッジを受け取る。富士宮口は青色で、富嶽三十六景が真ん中にプリントされていた(ちなみに御殿場口は緑色)。

 

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  「おはよう朝日です」撮影中

 

 山じまい間近の富士山はさすがに登山客が多く、長い列をなしてゆっくり進む箇所もいくつかあった。七合目、八合目と休憩をとりながら登っていく。高度が上がるにつれて、駿河湾伊豆半島が望め、美しい景色に心が躍った。九合目にさしかかったあたりで、確実に酸素が薄くなり、呼吸がしにくくなってきた。メンバーの足の痛みも加わり、ペースを落として進む。九合五勺の山小屋で休憩をとった後は、山頂の鳥居がすぐそこまで見えているのに息苦しさがぬぐえず、私は岩に突っ伏してしまった。頂上から下りてきた見ず知らずの登山客に心配され、酸素ボンベを譲り受け、中村さんに迎えにきてもらってなんとか頂上へ。これまで2度登頂しているから、とあなどっていたけれど、高山病は本当に恐ろしいと感じ、事前準備をしていなかった自分を恥じた。

 

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 浅間大社奥宮参拝

 

 頂上富士館は16時にしか開かず、先に皆で浅間大社奥宮にお参りに行った。無事に登頂できたことへのお礼を伝え、御朱印をいただいた。富士館は大部屋に布団が所狭しと並べられ、あっという間に登山客で埋まっていく。夕食はカレーと卵スープ。お酒の販売はなく、中尾会長と齋藤さんは、柿ピーを肴にお水で晩酌。夕日に映える影富士を、いつの間にか見に出られていたようで、後で写真を見せてもらった。19時就寝。高山病に悩まされた私は、夜中に3度も吐き気をもよおした。

 翌朝4時起床。山小屋の人に追われるように出発準備をし、近くの成就岳まで歩いた。山頂に泊まると、朝一番に登らずに御来光を見られるのがいい。すでにたくさんの人でいっぱいだったが、思い思いの場所で、うっすら赤く染まる東の空を眺めた。20分くらい経った頃だっただろうか。太陽の丸い輪郭が雲の上に顔を出した。何度見てもこの景色には涙が出る。またここに来られたこと、皆で御来光を拝めたことに感謝して剣ヶ峰を目指した。

 

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    山頂から御来光を拝む

 

すでに行列ができていたので、しばらく待って皆で記念撮影。その後、中尾会長、中村さん、齋藤さんはお鉢巡りへ。南アルプスや影富士がきれいに見えた様子。高山病で体調の悪いニカンさんと私は八合目まで先に下りることにした。

 

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 最高峰の剣ヶ峰(△3775.6m)にて

 

 宝永山から見る富士山は、火山であることを生々しく物語っていて、六甲おろしならぬ富士おろしに体をさらわれていきそうになる。ここから先は大砂走り。いつの間にか皆走り出し、ズルズルと大きく一歩を進め、あっという間に御殿場口へ。茶店でかき氷を食べ、タクシーに乗って御胎内温泉へ。この日は自衛隊の富士火力演習の一般公開があり、タクシーはそちらのお客さんで手いっぱいだったようだが、我々はたまたま御殿場駅から登山口へ来るお客さんの乗ってきたタクシーに入れ替えで乗ることができ、幸運であった。温泉で汗を流し、電車を乗り継いで帰京した。

 

 

【感想】       61期 齋藤庄一

新年会の年間登山計画に話が出ていた富士山山行が会報にのり、具体的な話となりました。例会が実施されれば是非参加したいと考えていました。

私自身、2000mを超える山に今まで登った事もなく若干不安でしたが、ベテランの諸先輩達と一緒という事で落ち着いて参加出来ました。富士宮ルート五合目からの出発でしたが、もうその時点で標高2300mです。既に私が過去に登った中で最高地点に立っています。五合目からも雲海を見渡す事が出来、とても感動しました。

中尾会長が先頭を無理のないペースで引っ張ってくれます。六合目、七合目と標高を重ね、なんとか山頂の山小屋前まで着く事が出来ました。事前に心配しておりました高山病の症状も出る事がなく登ることが出来ました。山小屋の受付は16:00からで、荷物もおろし、外に出て雲海に映る影富士も見る事が出来ました。

その後、夕食のカレーライスを頂き、19:00消灯に向け準備をし眠りますが、初めての山小屋ということと、標高の高い所にいる為か寝ては覚めの繰り返しで熟睡する事は出来ませんでした。それとなにより、すごいすし詰め状態で眠る事が初めてだったせいかもしれません。

4:00起床で、5:00過ぎに見られるご来光に向け出発の準備をします。外は寒いとの事で冬用装備で外に出ます。いきなり皆さんとはぐれてしまい、山小屋の近くのご来光が見える場所から、時間を待ちます。

新年の初日の出など、過去に何度となく日の出を見てきましたが、富士山の山頂でみるご来光は格別なものがありました。その後、小泉リーダーに探して頂きなんとか皆さんとも合流でき、剣ヶ峰に向かいます。

大渋滞のなか日本最高峰に立つ事が出来、記念撮影も出来ました。その後、お鉢巡りをしましたが、場所によっては風も非常に強く慎重に歩きました。お鉢巡りから見える富士五湖南アルプスなどを堪能し、御殿場ルートを下ります。途中からある大砂走りを駆け下り、登る時も見えていた宝永山に向かいます。この宝永山に向かう場所の風はとても強かったです。また、大砂走りを駆け下り、登った時のしんどさは嘘のように、五合目に下る事が出来ました。先程までの涼しさは嘘のように下界はとても暑く、山の上が恋しくなりました。

今回はとても天気にめぐまれ、貴重な経験ができ、企画して頂きましたリーダー、ご一緒して頂きました皆様どうも有難うございました。

 

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       宝永山にて

 

【感想】       54期 中村恵子

今日本で一番高いところにいるんや、と思うとなんか嬉しくてテンションが上がる感じだった。日本人のほとんどが(たぶん)一度は富士山にと思うように、私も日本に生まれたからには、富士山に登らなければと最近強く感じ機会があれば是非と思っていたが、今回行けて本当に良かった。それも絶好のお天気で行けるとは。ご来光もお鉢巡りも大砂走も影富士も体験できて最高だった。お鉢巡りの際、北岳間ノ岳八ヶ岳も見られた。行く前ビクビクしていた高山病は、私自身大したことなかった。行った人の中には、一回でいいと言われる人もおられるが、やっぱり富士山は日本一であり、機会があれば、何回でも行きたいと思った。

 

【感想】       26期 中尾 諭

富士山へは今回2回目、幸いにも天気が良く、初めて山頂に立つことができました。頂上からは、ご来光を拝み、早朝と夕暮れには雲に写る影富士も見ることができ、印象に残る山行となりました。

前回は56年前、本栖湖から山頂を目指す山行で、青木ヶ原の樹海にビバーク8合目の小屋に泊まって早朝に頂上を目指すこととしていた。8合目の小屋から出発するとき、雨は小雨模様でたいしたことはありませんでしたが、小石が吹き飛ばされる程の強風が吹き荒れていたため、遭難対策のスタッフが危険として登るのを止めていたため、風が収まるのを待たずに下山し、再度の挑戦を考えていた。

今回は5合目からの、大勢の人が登る一般化されている登山コースではありますが、さすがに日本一高い山、6月の地震の後始末で運動不足気味の身にとっては、ちょっと足に応えました。単調な登りだけですが、8合目辺りから両足の太腿と脹ら脛がつり気味になり、騙し騙し歩いていたのですが、山頂小屋の手前では四つん這いで状態での登りとなってしまいました。

下山の御殿場コースの砂走りは、細かい砂利が堆積してふかふかした感じだったので、雪道の下山のような感じで斜面を駆け降りるように下り、若干しんどくはあったが快適に下りることができ、楽しく登山を終えることができました。

同行の皆さん、ありがとうございました。

 

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    大砂走りを駆け下りる

 

【感想】  61期サーデバンディ ニカン

I had always wanted to visit and possibly climb Mt. Fuji ever since I came to know about Japan. Being a foreigner and living in Japan for quite a long time (5 years & five months, to be exact) and above all, being a hiker, I often got asked if I had climbed Mt. Fuji. People would be very surprised when I said “No, not yet, but it is on my bucket list!” Anyways, after I entered the Kyoto Hira-San Mountaineering Club in Spring 2018, I was told about the imminent plan of climbing Mt. Fuji. Hearing the good news, I got very excited and decided to give it a try!

On August 24, I joined four of the other members and together we departed Kyoto for Fujinomiya. It was one of the incredible hiking experiences that I have ever had in my life. Immediately upon arriving at Mt. Fuji, I was very much reminded of my home country’s mountains, which are also mainly covered with stones and rocks on the slopes. Nearly all the Japanese mountains that I had climbed before are green, mainly consisting of forests and partly rivers and streams, but Mt. Fuji was a different one in my experience.  

I felt fine hiking all the way up to the mountain hut where we were supposed to get warm food and spend the night. However, after arriving at the same altitude where the hut was located, I immediately started to feel nauseous, light-headed, and cold. Actually, I was not the only one feeling that way. Earlier during our hike, I realized that another friend was not also feeling well. I wanted to help, but did not know what to do. She joined us a while later in front of the hut and we all waited for the hut to open and let us in. Meanwhile, she kindly offered her Oxygen can to me which she had also received from other hikers earlier during the hike. I applied that and it was quite helpful! The next day, all of us went to watch the sunrise (splendid!!!) and to see the summit of Mt. Fuji at a 20 minute hiking distance from the hut, afterwards. We were also able to take some good shots together. While at the summit, three friends decided to head for a "Ohachimeguri" walk around the volcano crater and me and my not-feeling-so-good friend descended and wait for the others at a lower altitude where we could also breathe properly and get rid of the terrible headaches we were experiencing. After almost less than 30 minutes of waiting, the five of us could finally reunite and continue descending on the Gotemba trail down the volcanic ash fields. The walk was fun!  In the end, we had crushed ice at the last station after a friend booked a taxi for the hot spring. I will never forget the refreshing taste of that crushed ice and the very talkative taxi driver who took us to the hot spring that day! :) I would like to thank all the other four members for letting me be part of that amazing adventure!

No.3747 比良山ボッカ例会 ボッカポイント

2018年8月5日(日)

【メンバー】
小泉賀奈子(CL)、田辺久美子、中村恵子、江村一範、YK、齋藤庄一、MN 

                計7名
【行 程】
8
5日(日) 快晴
8:40JR
比良駅8:55イン谷口9:059:24 大山口9:3410:25カモシカ 10:3411:38北比良峠~12:00 八雲ヶ原(かき氷休憩)12:2913:36 武奈ヶ岳1214m(昼食) 14:1114:57八雲ヶ原15:1215:20北比良峠~16:22カモシカ台~16:58大山口~17:07イン谷口 比良とぴあ入浴後、解散

 

【ボッカ重量】

小泉 17.2kg   田辺 15.0kg   

中村  15.2kg   江村  20.9kg

YK  17.5kg   齋藤  20.0kg

MN 30.5kg

 

【記録】      52期 小泉賀奈子

  8月初めの暑い暑い一日。夏山に向けたボッカトレーニングを7名で行った。今回は各々の課題に合わせて、15Kg以上で背負う重量を決めてもらった。
  
イン谷口から歩きだしてすぐ、汗が吹き出してきた。ぐらぐらするとのことだったので、YKさんのザックを大山口で詰め直し、先に進む。小休止をたくさんとり、水分と塩分補給をこまめに行った。ダケ道は歩きやすいけれど湿度が高く、この日は噛み付く黒い虫がいて、気が休まらない。大山口からコースタイム50分のカモシカ台が、遠く感じた。
   
やっとの思いで北比良峠に到着。ここからしばらくはなだらかな道で、会話も弾む。当初の予定を変更して、八雲ヶ原でかき氷をすることに。田辺さんからの呼び掛けで、

江村さんにも協力を得て、真夏の山腹でかき氷。この暑さでテルモスの中の氷は少し溶けていたものの、十分な量をいただいた。イチゴ、マンゴー、抹茶に練乳。豊富なシロップのご用意にも感謝しています。

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      八雲ヶ原でかき氷

 

ここから武奈ケ岳山頂まではコースタイム1時間半。「この先は空身でも良いですよ。」とお伝えしたものの、皆さんザックを担がれストイックにスタート。木陰のない急な登りは思った以上にきつく、一度は引いた汗がまた噴出。各々、水を捨てたり、石を出したりして重量を調整しながら進んだ。最後の登りで、齋藤さんの足の調子が悪く、先に八雲まで戻られた。

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   武奈ヶ岳山頂を目指す

 

武奈ケ岳の山頂は、ハイシーズンに比べて人が少なく、ゆったり昼食を摂ることができた。同じ道を下り、八雲で齋藤さんと合流して下山した。下山も多く休憩をとったので、イン谷口に着いたのは17時を回っていた。個人の課題に取り組んでもらうためのボッカトレーニングだが、リーダーとしての判断はこれで良かったのか、課題が多い山行と感じ、反省している。

 

  【感想】       54期 中村恵子
久しぶりの登山でボッカでした。15Kg

も持てるか心配でしたが、なんとか行けていいトレーニングになりました。暑さは覚悟していましたが、尋常な暑さではなく、体力気力を奪われる感じでした。それと名前はわかりませんが虫の集中攻撃に何回もあって辛かった!です。
 でもボッカをしておくとなんか山に行く自信になります。

 

【感想】       59  江村一範

ここ数年、真夏の比良山でのボッカに毎年参加している。そしてテルモスに氷を詰めて山の上でかき氷をするのだ。そして今年も当然のように参加させて頂いた。ザックの重さは山行の数日前に膝を強打したので20キロに遠慮した。登り始めて数分で穴の空いたバケツのように汗が出る。ただ木陰に入るとまだマシに感じられ、標高が上がりカモシカ台を過ぎると、時折心地よい風も吹いた。7月は毎週の様に山に行っていたので、足が出来ていたのか比較的楽に登れた。ただ20Kgは軽すぎたかなと思う。武奈ヶ岳に登る前に八雲ヶ原で大休止してかき氷屋を開店。今年は田辺さんもかき氷器を持ってきてるので製造が早い。シロップはメロン、イチゴ、みぞれの3種類。それに練乳をかけて食べる。この灼熱の中のひと時の涼味を味わえるのが良い。そこで一息ついてからの武奈ヶ岳の登りは大変キツかった。山頂で食べた昼飯の冷凍チャーハンはヒットだった。これはコンビニで買った凍ったままのチャーハンを、ザックの中で自然解凍するだけ。安くて美味かった。帰りは比良山岳会の心のオアシス「ひらとぴあ」で風呂にも入れたが、行楽帰りの人でとても混んでいた。帰りの湖西道路はこれまた大渋滞で難儀した。また来年、比良山でかき氷屋を開店しているのだろうなと思う。

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     八雲ヶ原に向かう

 

【感想】         60期 YK

 いつも当日慌てるのだが、人生初ボッカの日はさすがに前日までにパッキングをすませた。当日詰めるものを詰めて比良駅で測ると17Kg…。しかしテント泊だとそれくらいになることもあるとのことなので、がんばってみることにした。背負うことすらままならず、背負い方を教えてもらい、体もヨロヨロするが、リーダーの小泉さんに荷物を詰め直してもらうと少し楽になった。山行は、荷物をおろしたり休憩をとってもらったりしても、暑さとザックの重さでふらふらになり、ペースが守れず大変困った。しかし曲がりなりにも武奈ヶ岳山頂にはたどり着けたこと、八雲ケ原でひと休みし皆でかき氷が食べられたことは嬉しかった。

 

【感想】      44期 田辺久美子

なかなか山に行けない今日この頃を過ごしていましたが、本当に久しぶりに例会に参加することができました。最近は通勤以外荷物を背負うこともなかったし、今年の夏は、荷物を背負って山に行く予定もなく、気持ち的にも15Kgも背負って歩けるかな?と不安でしたが、いろんな意味でのトレーニングのつもりで頑張りました。さすがに日向は暑くて暑くて辛かったですが、全体的には思ったより涼しいところも多くて、何とか元気に歩くことかできました。 

久しぶりにボッカに参加させてもらい、ゆっくりテント泊縦走ができる日が来るまでしっかりトレーニングしてこれ以上衰えないようにしていきたいなと思いました。小泉リーダー始め、皆さんまたよろしくお願いします。

 

【感想】         61  MN
歩荷トレーニングは、以前から気になっ

ており、その必要性も感じていました。しかし、なかなか一人で行う気にもなれないので、いい機会だと思い参加しました。
 当日は、例会初参加に加え歩荷、そして酷暑が予想されたため、相当身構えて参加しました。しかし、終わってみればとても充実した山行となりました。暑さはありましたが、時折吹く風が心地よく、振舞っていただいたカキ氷が、なんとも夏を感じさせるものでした。猛暑&歩荷は、普通であれば、ただただしんどい内容ですが、そんな中でも充実した山行になったのは、リーダーを始め、皆様のお陰です。ありがとうございました。

 

【感想】      61期 齋藤庄一

8月の猛暑が続くなかのボッカ例会となりました。参加を決めたのは、小泉リーダーが8月末に企画されている富士山例会に向けて、体力をつけるためでした。しかし、乗る予定列車にも遅れてしまい参加されましたメンバーの方にはご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。

待ち合わせの比良駅でリュックの重量の測定を行うと20Kg強と、15Kgに比べて重くし過ぎてしまったと思っていたのですが、江村さんからの行くところまでいってみましょうの言葉で、そのまま頑張る事としました。8月のボッカは経験がなく、登っていく中で汗が滝のように出てきます。

水分も、塩分も出て行く中で、補給をしっかりしながら登っていきました。それでも体力的にきつかった為、途中の休憩の中で、ボッカ荷重を少し下ろさせてもらいました。

 八雲ヶ原まで到着し、江村さんらが用意して下さっていたかき氷を頂きました。山の中で味わえるかき氷はとても冷たくて、なんともいえないくらい美味しかったです。

 体も冷え、頑張って歩いていたのですが、体力的にきつくなり、コヤマノ分岐の手前でボッカを解除させてもらい登ることにしたのですが、今度は今までつった事もないような場所の筋肉がつるようになり、武奈ヶ岳の頂上近くまで登っていたのですが、頂上まで登るのをあきらめ、先に八雲ヶ原まで下りさせてもらうことにしました。

下りている途中も、足がつったり治ったりで体調も芳しくなく、なんとか八雲ヶ原に到着できたという感じでした。その後、武奈ヶ岳まで登って戻ってこられたメンバーの方達と合流し、メンバーの方からコムレケアを頂き飲むと、足のつるのもなんとか治まり、無事下山することが出来ました。

 その後、メンバーの方達と比良トピアの温泉につかり、大量にかいた汗を流し、すっきりしました。今回のボッカで想像以上に暑さに自分が弱いのと、もう少し体力をつけなくてはならないと感じました。8月末の富士山例会に向け頑張りたいと思います。御一緒していただきましたメンバーの方には迷惑をおかけし、すみませんでした。

〈個人山行〉奥ノ深谷遡行

2018年8月4日(土)

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斜滝2段12m

【遡行日】2018年8月4日(土)快晴

【メンバー】高橋秀治・AT・秋房伸一

【行程】坊村駐車場8:20~入渓9:30~12:05遡行終了地点12:20~(登山道下山)~12:55林道~13:45坊村駐車場

【記録と感想】高橋秀治

 連日38度以上の酷暑が続く中、今年初めての沢登り。急遽参加頂いたATさんは以前比良の、「夫婦滝」や「楊梅の雄滝」を登られているスペシャリストさん。また秋房さんは「冬の比良全山縦走」を引っ張って頂き踏破させてもらった全山縦走のスペシャリストさん。そんなお二人と遡行が出来ると思うと、小学生時代の遠足前夜からの幸せ感一杯で当日を迎えました。

 水温は連日の酷暑でぬるいかと思っていましたが、日陰ではスウェットを着ていないため少し寒く感じての遡行開始です。

 

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今回はトップを行きたいと申し出て、最初に現れた7m滝の直登後、一気に体中をアドレナリンが駆け巡りました。また、水量も多くなくその後は、しばらく現れる滝も敢えて直登して進み、気が付けば4段40m大滝まで遡行して来ました。ここは当然水線の直登ではなく、右側を直登し進みますが、ATさんはここも涼しい顔をして水線を直登されて行きました。さらにその上の10m滝は落口にはNさんが打った残置ピトンが有り当然ここはロープを出すものと用意をしていると秋房さんが、「ここもロープを出さずに直登できそうです。」と言われそれではとさらにアドレナリンを振り絞り直登しました。

今回はここをトップで登る事がしたいと思って秋房さんにお願いして同行して頂きましたからこれで目的は達したと思い、後の遡行はおまけと思っておりました。

 

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10m滝

しかし、この遡行ルートで巻の核心部である右岸を高か巻く手前にある大岩を2年前は難なく越えられたのに、今回は秋房さんにお助けロープ出して頂き何とかよじ登る結果になりました。

ATさん秋房さんご一緒頂きありがとうございました。

また、ATさんは全ての滝を巻く事無く直登され、新たな遡行記録を創られました。

私は、体力の衰えを改めて痛感した遡行でした。

 

 

No.3749 ポンポン山〜サントリー山崎蒸留所 真夏のポンポン山から山崎蒸溜所へ リーダーポイント

7月22日(日)

メンバー

CL 59期 江村一範、SL 55期 船木佐織、22期 加藤一子、26期 中尾諭、52期 米山佳秀、59期 TS、60期 YK、見学1名、合計8名

 

【行程】

2018年 7月22日 日曜日

7:15集合 阪急高槻市駅→7:27発 高槻市営バスで移動→7:51 高槻市営バス 川久保バス停→9:40ポンポン山→10:40釈迦岳→11:30大沢→12:20大休止昼食→浄土谷→13:44天王山→14:16宝積寺(山麓)→15:00サントリー山崎蒸溜所

 

【記録と感想】59期 江村一 範

比良山岳会は月に1回集会がある。そこでは会員が山行の呼び込みや会の決めごと、終わってからの飲み会などを行っているのだが、入会希望者は見学する事が出来て、さらに希望すれば例会にも見学として参加できる。ところが見学者さん向けのゆる~い山行が少ないのが、新人係の間で頭を悩ましていた。4月に結構な数の見学参加者が来られたので、そこで急遽立ち上げたのがこの山行である。そもそもは船木さんから大山崎にあるサントリー山崎蒸留所のウィスキー工場見学ツアーの事を聞いたのが発端だった。ただ見学に行くのも工夫に欠けるし、近場の山を登ってから行こうとゆる~い動機で計画した。

 

連日の猛暑が続く中、7月22日も朝から晴れ渡っていた。ところがメンバーの中尾さんが集合時間になってもなかなか現れない。電話すると集合時間を勘違いしていたと言うので中尾さんは麓の川久保バス停で集合とした。8時前に川久保バス停に着いたが、中尾さんは来ない。暑さが増していく中、道路脇で待つのも苦しいので尾根に入ることにする。当初は川久保尾根から釈迦岳まで行く予定だったのだが、川久保尾根へ入る登山道がなかなか見つからない。暫く迷ってやっと見つかるも、あまり歩かれていなさそうで急勾配そうである。嫌な予感がしたので川久保尾根は止めて、谷からポンポン山へ続くメジャールートを行く事にした。谷ぞいには小川が流れており、街中に比べてひんやりと涼しい。だが勾配がきつくなるととたんに皆汗が吹き出してくる。遅れてくるメンバーも出てきた。休憩をこまめにして、水分を用心して取った。

 

9時40分、ポンポン山に到着。山頂は日曜とあって、大勢のグループで賑わっていた。直射日光が痛いくらいに我々に降り注ぐ。木陰に逃げ込んだその時、私の肩を叩く一人の男性が居た。そう、今朝遅刻していた中尾さんその人である。聞いてみると川久保バス停に間に合わないのがわかったので、西側の神峯山寺の駐車場までタクシーで駆けつけ、大急ぎで尾根を登ってきたようだ。そもそも当初はポンポン山はパスする予定だったのだが、急遽我々がポンポン山を登ることになった事すら読んでいた感があり、凄い先輩だと感じた。メンバーがすべて揃った所でポンポン山は後にして、釈迦岳を目指す。今日はそこでデザートを食べるのである。

 

10時40分、釈迦岳に到着。ベンチがあるのでそこで休止する事にした。私は夏の低山では必ずかき氷をすると決めている。今朝もテルモス(水筒)に氷を詰めて持ってきており、かき氷器でメンバー分のかき氷を作っていく。シロップは「いちご」と「みぞれ」の2種類。そこに船木さんが持ってきてくれたフルーツ缶詰の冷凍したものを添えていく。誰がどう見ても立派なかき氷が8人分出来上がり、酔狂で持ってきた「氷」の旗も脇に飾って、釈迦ヶ岳山頂はかき氷屋同然である。一同「うまい」「冷たい」とありがたく頂いた。

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(写真1 釈迦岳でかき氷屋オープン)

 

釈迦岳から先は下りが続き、涼しかった尾 根を下山し、炎天下の大沢という地区に降りる。暫くの車道歩きが続くのだがこれがアスファルトの跳ね返りの熱でひたすらきつい。大沢から府道76号を東へ歩いていると道路脇で野菜の直売所があり、覗くとご婦人が店番をしていた。安いので私が買ってみると(万願寺とうがらし100円と自家製梅干し100円)他のメンバーも続いた。帰りに御婦人から飴ちゃんを頂いて子供のような気分になる。

 

79号をずっと歩こうとしていたが、かつて夏にこのへんを歩いたというTSさんのアドバイスによって地図では破線の林道に入る。あまり歩かれていない細い道に不安を抱きながらも獣用ゲートを抜けて、また車道(79号)に出た。ちょうどお昼なのでここで木陰に入ってお昼ご飯を食べた。出発しようとすると逆方向に歩くご夫婦がいたので挨拶すると道を聞かれた。浄土谷の乗願寺へ行きたいのだそうだが、逆方向であったので一緒に寺の近くまで歩くことに。また林道に入って日光から逃げる。13時10分浄土谷へ降りて、ご夫婦と別れて天王山へ続く登山道へ入る。道は水の流れによってV型に削られて大変歩きずらい。おまけに太陽さんがいよいよ本領発揮とばかりに、木陰に入っていても暑い。メンバーも口数が少なくなってきた。

 

13時44分、天王山山頂へ到着。低山なのにこんなに疲れている。休憩して水を取る。もう木陰に入っても関係無い、暑さがじっとりと全身を包み込む。加藤さんからゼリーを頂いて少し落ち着いた。10分休憩の後、出発。もう後は下るだけだ。今日は15時から山崎蒸留所の見学予約をしており、その前に駅前の銭湯で汗を流そうと思っていたので、14時半には下山したい。そう思って私の足は早くなった。だが山を下れば下るほど気温は高くなり、足取りは重くなる。こんなのは初めてだ。

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(写真2 大沢から府道79号を東に歩いた所にあった野菜直売所)

 

 

14時16分、麓の宝積寺へ着く。そこから山崎蒸留所までは20分くらいのはずだが、ここからが核心だった。山崎の住宅街を歩くのだが、これがもう暑いのなんのって筆舌に尽くしがたいものだった。銭湯に入る為、先頭の私が少し早足になっていたのもあってメンバーみんな消耗していた。ウィスキーとかじゃなく冷たいビールを頂きたいという気分。ここでメンバーの一人が、気分が悪くてウィスキー飲めなさそうだと相談があった。また暫くして、先程体調不良を訴えたメンバーがもう見学どころじゃないほど体調が優れないとのことで、大事を取って一人だけ帰宅することになった。大山崎駅まで送る。なんだか私達だけ 山崎蒸溜所へ行くのも申し訳ない気分だが予約をしているので行くことにする。銭湯は私が営業開始時間を見誤っていたせいで入れず(本当にごめんなさい)、汗だくのままサントリー山崎蒸留所へ向かう。

 

15時、山崎蒸留所へ到着。受付で名前を告げて見学の手続きを行う。今回はツアー見学ではないので、見学者向けのウィスキー館という所を勝手に見て回るだけ。それでも従業員の方が解説しながら歩いてくれるものがあるというので、それに申し込む。サントリーのお姉さんにウィスキーの作り方やこだわりを聞きながら、館内を歩いて回る。私達が喉が乾いているのを察してくれて、まずはサントリーの天然水コーナーでお水を飲ましてもらう。私達がポンポン山~天王山から歩いて来たと言うとお姉さんもいつか天王山を歩いてみたいですと言っていた。館内には様々な調整・調合のされた異なるウィスキーの瓶が整然とな並び、ウィスキーの製造工程がわかりやすく展示されていた。そして最後はお待ちかねの、ティスティングコーナーである。様々な銘柄のウィスキーが下は300円からティスティングできる(勿論良いものは高い)。基本はストレートなのだが、水で割る事もできる。色が付く前の前の透明な蒸留水も飲めるのだが、なんとも不思議な味がした。一同、程よくほろ酔いし、先程までの灼熱地獄から売って変わってご機嫌になってきた。このまま解散するのも勿体無いので、高槻駅まで移動して中華屋さんで反省会をした。そこで飲んだ冷たいビールは本当に美味かった。皆、夏はウィスキーじゃなくてビールだねという結論に達した。

 

「夏は暑い。」そんな事はわかりきっていたけれど、今年の夏は異常である。それを身をもって体感した山行だった。(了)

 

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(写真3 ティスティングコーナーで上機嫌)

 

【感想】26期 中尾諭

地震で罹災し、土日は何らかの所要の調整等が入るなどするため、若干むしゃくしゃしているなか、手頃な山行があったので気分転換がてら

 思いきって参加することにした。

地震でパソコンが破損し、修理に出したもののインターネットの調子が悪く、情報が思うように入らないことと、勘違いで

 集合時間に遅れてしまい、くそ暑い中でしたが、老体をむち打ってみんなを追いかけることとした。

・ポンポン山山頂で皆さんと合流できほっとし、釈迦岳ではリーダーがかき氷店を店開きしてくれたおかげで、

 一瞬でしたが暑さが吹き飛びました。

・炎天下の中、下山にかかると、さすがにうだるような暑さが襲いかかり、汗でずくずくになり、風呂に飛び込みたい気分でした。

・最後に、山崎のサントリーウイスキー工場で、ウイスキー製造等の話を聞き、日頃は飲まないウイスキーをテイスチングし、ほろ酔い加減で

 楽しく山行を終えることができました。

 

【感想】59期 TS

気温35度を超える猛暑の中を歩いた後に、ウイスキーを飲むという恐ろしい計画である。自分がどんなひどい目に会うのか楽しみだった。歩き出しの川久保渓谷はずっと涼しい風が吹いていて、予想に反して快適である。水がある谷筋はこうも違うのかと驚いた。ポンポン山山頂→釈迦ヶ岳→大杉→大沢へ至る。ここからのアスファルト道が、今回の熱中症山行の核心である。ゴルフ場を過ぎたところの、日陰になっている登山道へ入る分岐を見逃して延々とアスファルト道を、過去に歩いたことがある。道路からの熱気の所為で意識がもうろうとした。こうした方が良かったかもしれないが、嫌なので登山道に入ることを進言した。高度は下がるし、太陽は高くなっていくので、気温はどんどん高くなる。

山崎は子供のころから美しいところだと思っていた。高槻から京都へ向けて電車に乗ると、すぐに広い田んぼが見えてくる。やがて、田んぼの向こうにあった山裾が近づいて来る。最も近くなるのが山崎駅の辺りだ。各駅停車だけが止まる。乗り降りする人はまばらだ。この街をなるべく長く眺めていたいので、学生時代いつも各駅停車乗っていた。電車から見ているだけのサントリー山崎蒸留所に、初めて入ることができた。琥珀色の瓶が整然と並べられている様は素晴らしかった。楽しい機会を作っていただき、有難うございました。

 

【感想】55期 船木佐織

今年の夏は異常だといわれる気温で、暑さへの不安をかかえつつの参加となりました。とはいえ3週間前にも同じような暑さの中、問題なく歩けたのだからと変な自身もあったのですが、早々からどこか様子がいつもと違い、体に熱がこもったような感覚とだるさに最後まで苦しめられました。後から調べてみると自分の状態は熱中症の初期から中期症状だったようです。ご一緒させていただいた皆様、江村リーダーにはご心配をおかけしました。

 

熱中症に苦しめられた山行でしたが、サントリーでの試飲が山行と一緒になった面白い企画なだけに、山でお会いしたことがない先輩ともご一緒することができ、色々なお話をさせていただきました。おかげで、とても楽しい山行でした。例会を企画してくださった江村さん、ありがとうございました。

 

【感想】60期 YK

ウイスキーは飲めないが、初心者向けの山行と聞いて飛びついた。大山崎は、美術館には行ったことがあるが山登りできるとは知らず、身近な山に登れることも楽しみにしていた。民家を抜けて山道に入る。川沿いの道は涼しい風が吹いており、心地よかった。(川沿いの道以外は、記録的な猛暑というだけあって堪えた。)地元民Sさんの地域の話、体験山行の方とのおしゃべり、すでに夏山を満喫されているメンバーの武勇伝など楽しく聞きながら登る。ポンポン山山頂で、待ち合わせできなかったNさんと出会えたのは感動的だった。しばらく歩き、メンバー揃ってリーダーお手製のかき氷をいただく。トッピングも充実し美味しかった。下りでは、猛暑でぼうっとしたのか転んでしまったが、ケガの手当の仕方も知らなかったので、それもいい経験になった。山崎蒸溜所は、この地が、水がきれいで湿度があり、気候が穏やかということで全国の候補地から選ばれ、つくられたそうだ。山崎12年をテイスティングしたが香りが素晴らしく、山行のしめにふさわしいと思った。

〈個人山行〉分水嶺トレイル2018 Bコース

2018年7月14日(土)〜2018年7月16日(月)

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【メンバー】 59期 江村一範

【行程】 

スタート奥多摩駅前広場→石尾根→鷹ノ巣山→ブナダワ→小雲取山→巻道→雲取山荘→雲取山→将籃小屋→山の神土→唐松尾山→雁峠→雁坂小屋→破風山避難小屋→甲武信小屋→甲武信ヶ岳国師ヶ岳→大弛小屋→金峰山→大日岩→八丁平→ヤナギ坂交点→小川山→ヤナギ坂交点まで戻る→ヤナギ坂→瑞牆登山道で富士見平小屋→瑞牆山→不動沢→駐車スペースのあるところから、右岸に渡る→松平林道交点にあるカーブミラー→尾根線→石ッコツ→信州峠→横尾山→飯盛山→ゴール獅子岩駐車場

◯総距離 97km 累積標高 9650m

◯行動記録
14日
00:00 奥多摩駅前広場スタート
03:27 鷹ノ巣山避難小屋
05:54 雲取山荘CP IN (水補給)
06:12 雲取山荘CP OUT
06:37 雲取山
08:37 飛竜権現
10:02 将監小屋 IN (水補給)
10:25 将監小屋 OUT
11:29 唐松尾山
12:30 水干
12:46 3つの分水嶺
13:02 雁峠(10分休憩)
14:37 水晶山
14:57 雁坂小屋CP IN (水補給)
16:07 雁坂小屋CP OUT
16:22 雁坂峠
16:51 雁坂嶺 15分休止
18:03 東破風山
18:49 東破風山避難小屋 10分休止
20:00 甲武信小屋 20分休止
20:46 甲武信ヶ岳
23:14 東梓

15日
00:01 国師のタル
02:07 国師ヶ岳
02:48 大弛峠CP IN
06:22 大弛峠CP OUT
07:16 朝日岳
08:10 金峰山
09:32 大日岩 15分休止
10:23 小川山分岐 10分休止
12:01 小川山
13:16 小川山分岐 10分休止
14:10 富士見平小屋CP IN 昼食のちツェルト泊
20:54 富士見平小屋CP OUT
22:38 瑞牆山
23:40 不動沢 (水補給)

16日
00:38 松平林道
01:16 読図ルート取り付き
01:50 トラバース箇所を見つけられずロスト
03:08 巨岩
03:30 中央分水嶺復帰
05:00 信州峠 30分休止
05:40 信州峠出発
06:38 横尾山
07:09 豆腐岩
07:52 槍 大休止15分
09:41 飯盛山
10:23 獅子岩ゴール

 

分水嶺トレイルの概要と準備】

ここ数年、7月の三連休は分水嶺トレイルという縦走大会に参加している。奥多摩・奥秩父山系の中央分水嶺を軸に、4つの百名山 雲取山甲武信岳金峰山瑞牆山を超えて、長野・野辺山駅近くの獅子岩まで踏破する。トレイルランニングではなく縦走、但し夜を徹して歩くカモシカ山行の大会である。
AコースとBコースで2種類あり、Aコースは奥多摩・鴨沢出発の84km・累積標高8200m、Bコースは前夜発の更に距離の長い120km(今年は100km)・累積標高12000m。
基本的にエイドは無く、各自で水と食料を計算して背負わなければならない。ただ小屋のご飯は営業時間内のみ食べられる。小屋に泊まる事はできずツェルトなどの幕営装備を背負う。関門で制限時間が設定され山と高原地図コースタイムの7割弱で歩かなくては間に合わない。読図区間が一部あり、地図読みの能力も必要。 ボッカ力と持久力、そして山域や他の登山者へ迷惑のかからない様に歩く注意力が要求される。まぁまぁしんどい大会なのである。

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(今回持っていった装備)

 

私は5年前に選手として参加して以来毎年出場している。3年前からは選手兼カメラマンを努めている。選手と同じ荷物を背負い、関門も間に合わなくてはならない。カメラの機材の分だけ重くなるが(予備機・バッテリー・フィルムなど含めて3キロ位増える)、選手と同じ苦しみを体験しないと撮れない写真があるのでこのスタイルになった。
カメラは防滴・防塵のミラーレス一眼を持っていく。また、壊れた時に備えて予備に「現場監督」という工事現場用のフィルムカメラも用意した。昨年は2台の一眼が途中で壊れたので後半「現場監督」が活躍した。今年は壊れた一眼を1台だけ新調して一眼と現場監督の計2台で挑んだ。
例年、大会の1ヶ月くらい前から走り込みのトレーニングをしているのだが、今年は食事制限も同時に行って一ヶ月で8キロ減量した。出発前に家でパッキングしたザックを測ると14キロだった。去年よりは軽いか。

 

【1日目】スタート奥多摩駅前広場
13日の昼に上京し、立川のネットカフェで仮眠をとった後、21時前にスタート地点の奥多摩駅前広場へ向かった。設営を少し手伝って、続々と集まる選手たちを撮っていく。
スタート地点では必携装備のチェックが厳密に行われ、終わった選手は仮眠を取ったり選手同士で談笑したりしている。今年は例年より20キロ短いので皆リラックスしてるように見えた。

23時頃、実行委員長より諸注意が伝達され、集合写真を撮る。
そして14日の0時、静かにスタートした。

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(スタート直後、この後私は電柱にぶつかる)

 

住宅街を抜けて林道へ入っていく。スタート序盤、えらく皆のペースが早く私は早々に潰れかけた。また新調したてのカメラの操作が今ひとつ分からず撮影に手こずった。
3時27分、鷹ノ巣避難小屋を通過。避難小屋のベンチでは休憩したり仮眠する選手もいる。私も少し休憩して出発した。
4時頃、七ツ石山を通過して夜が明るくなってきた。例年なら心臓破りの日向沢ノ峰や長く退屈な長沢背稜を歩いているので、無くなった分だけ得した気分になる。
緩やかなこの七ツ石の稜線は歩いていて心地が良かった。
5時54分、雲取山荘のチェックポイントに到着。(Bの関門は9時)
まだ小屋の空いてない時間であるが、大会スタッフによってカップヌードルやコーラが売られ、ありがたいことにお湯も用意されていた。
自分はコーラを買って補給をとり、顔を洗って6時12分に出発した。
6時半に雲取山を通過。西の遠くに富士山が小さく見えた。
秩父主脈縦走路ではあまり選手にも登山者にも遭遇することなく黙々と歩いた。天気は晴れてだんだんと気温が高くなってくるが標高が高いのでまだマシだった。
8時37分、飛竜権現を通過。
10時、将監小屋に到着。将監小屋は豊富な沢の水が流れてきており、
この水の音が心地いい。顔を洗って水を補給し、水で戻しておいたアルファ米を食べる。続々と後続の選手がやってくる。
今回が初参加の愛知から来たという4人チームと少し話した。普段はロゲイニングをしており今回は試走せずに(分水嶺トレイルは試走を推奨)参加したという。

唐松尾山のトラバースコースは昨年に引き続いて通行止めとなっており、
今年も尾根歩きとなった。11時29分唐松尾山の山頂を通過。太陽がじりじりと稜線を照らし、標高が高くても暑くなってきた。そろそろAコースはスタートの時間帯だ。スタート地点の鴨沢は暑いだろうなとぼんやりと考えていた。この辺り例年の夜通過してた時は楽に歩いていたのだが、今年は暑さのせいか消耗した感じがあった。雁峠からの古礼山もなかなか山頂にたどり着かず、クタクタになってしまった。

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唐松尾山で仮眠する選手)

 

14時57分、第2関門の雁坂小屋に到着(関門は20時半)。さすがに大休止した。
小屋の食事を注文しようと思ったが、選手の注文が殺到しかなり待たされそうだったので、ガスバーナーでお湯を沸かして持参したラーメンを食べた。ここでも将監小屋で会ったロゲイニングのチームと会った。もう大体この辺りの選手は同じような足の速さなので、ここから抜きつ抜かれつの長い付き合いになっていく。
16時に出発し、雁坂峠についた所でさっき小屋で話していた選手に呼び止められた。どうやら私は補給食の入った袋をベンチに1個忘れてきたようだった。なんという失態。戻ると往復で40分近いロスになる。食料はまだ豊富にあったのでこのまま進むことにした。
雁坂嶺のベンチで仮眠をとろうと横になるが、ブヨや虫が寄ってきて刺されまくりとても寝ていられず10分で出発する。
18時50分、東破風山避難小屋で小休止。だんだん休憩の間隔が短くなる。仮眠をどこでとろうかと思案するが、第3関門の大弛峠の関門時間が翌朝の7時半なので、なるべく近づいておきたい。まだ体が動けるので出発する。

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(日没する甲武信ヶ岳の上り)

 

日が沈んで空が紫色に染まっていくのを稜線からぼーっと見ながら歩く。甲武信の登りに入って、眠気と疲れで体が重く速度が落ちてきた。
20時、甲武信ヶ岳小屋に到着。小屋は営業していないが、コーラとかは買えるようだった。自分は昼の残りのアルファ米を食べようとするが腐っていた。もういい加減食い飽きたジェルとクッキーを無理に流し込み10分だけ目を瞑った。この食事を大して取らなかった事は後で大きな代償を払うことになる。
20時45分、甲武信ヶ岳を通過し事務局に通過の連絡をするが電波が不安定で送信できない。
そしてここから分水嶺トレイルのメインディッシュである国師ヶ岳へ向かう長い暗い稜線となる。
この稜線は前半は地味で平坦な稜線が延々と続く。最初の年は疲労のあまりここで幻覚を見た。
暫く行くと前半何度か会っていた選手の木村さんと出会う。この稜線は一人より二人の方が心強いので一緒に歩いた。

 

【2日目】水が飲めなくなる

ここに来て私にトラブルが発生する。それは「水が飲めない」という致命的な事だった。最初はポカリスエットが飲めなくなり(経口補水液もジェルも無理)、水ならなんとか飲めたので難をしのいでいたが、水が無くなり、木村さんと水とポカリを交換してもらったが30分後には水すら飲めなくなった。水を飲むと吐いてしまうのである。こんな事は初めてなので焦った。幸い足は大丈夫なので動き続けた。水を口に含んだまま暫く歩き捨てる事を繰り返し、僅かでも口の粘膜から吸収を試みた。
東梓の手前で後続から別の選手がやってきた、聞くとAの選手だという。Aの選手に会うのは初めてなのでおそらく現時点で1位の人だ。熱中症のせいか食欲が無く補給がとれないとの事だった。無理やりアルファ米を流し込んでフラフラと出発していった。
国師ヶ岳の登りに差し掛かる。この国師ヶ岳だけは山頂の手前に何度も偽ピークがあり、これが疲労困憊の選手の気持ちを翻弄する。
木村さんはこの登りで大変やられてしまい、ここでは私が引っ張った。水は飲めないが足はまだ残っていた。

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(悪役の国師ヶ岳を前に項垂れる木村さん)

 

2時7分、憎き国師ヶ岳の山頂に到着して「国師ぃー!」と絶叫した。木村さんは道標に頭を垂れる。ここから大弛峠までは板で出来た回廊と階段歩きが30分くらい続くのだがこれが地味に効いた。もう3時間くらいまともに補給できていない私は完全にガス欠となり今度は木村さんに引っ張ってもらった。

2時48分、大弛峠の関門になんとか到着。大会用のテントがなかなか見つからず、しばらく右往左往した。大会用のテントはテント場を越えた道の向こうの登山口にあった。
チェックを済ませると、大会スタッフにインスタント味噌汁を貰った。また吐き出すかと思ったが、少しずつなんとか飲めた。味噌汁は凄い! 疲労困憊も極まったのでここで初めて眠りについた。
5時45分頃、明るさと賑やかな音で目が覚める。ここで仮眠していた選手が続々と出発しているのだ。昨日の事を思い出し、恐る恐るクッキーを食べるとなんとか食べれた。胃も復活したようだ。
ここまで付き合ってくれた木村さんも起きてきた。先に出発するというのでお礼を言って別れた。
スタッフにお礼代わりに写真を撮って6時22分に出発。(大弛関門は7時半到着)
7時16分朝日岳を通過。下の富士見平から来たのか朝にも関わらず賑わっている。ここでまた富士山が綺麗に拝めた。天気はまた快晴で気温が上がりそう。

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(晴天の下の金峰山

 

8時10分、金峰山を過ぎて岩場を下っていく。金峰山に登る大勢の登山客と通り過ぎた。
9時32分、大日岩に到着。ここからは今年から追加された小川山山頂へのピストンへの道である。全くの未知の区間。腹ごしらえにアルファ米を食べた。ポカリはまた飲めなくなっていたが水はまだ飲める。ここからは岩場の上りなのでストックをしまおうとすると、中の糸が切れてしまう。仕方がないのでテーピングで補修する。もうたためない。
食事をしていると木村さんが小川山の方から戻ってきた。小川山の取り付きの道がわかないのだという。一緒に探しましょうと出発した。
小川山の取り付きはペンキで書かれた○と矢印を辿れば問題なく行けた。
岩場を過ぎて足場の危うい破線歩きが続くが、大会のスタッフによってリボンがつけられており、10時23分八丁平まで無事辿り着けた。
八丁平では既に小川山へのピストンを終えた選手が休憩していた。遠いですかと聞くとまぁまぁ遠いとの答え。
八丁平で少し荷物をおろして軽くして出発する。道なき道だが、尾根歩きなので迷う事は無い。
後続の選手も増えてきて、普段は人もそう歩かないだろう稜線は賑わっていた。降りてきた選手も多く、カメラマンとしてはすれ違いざまに写真がたくさん撮れて助かった。
12時小川山到着。辺りは木に覆われ展望も何もない。でも、その場にいた4人の選手で喜びを分かち合う。

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(小川山の下り、奥に金峰山の稜線)

 

この時に一緒に歩いた選手の中に、Mさんという方がいてTJARの出場を控えていると聞いてビックリ。大いに激励した。他にもトルデジアンに出場したという方もいて、分水嶺には強い人が集まっているなと感じた。
13時16分、八丁平に戻って小休止。これからピストンするという選手を数人見送って下の富士見平小屋へ降りた。
この道中ではなぜ分水嶺が魅力的なのかということを木村さんと話した。それは大会という体裁にも関わらず、
長距離故に「旅」をしてるかのような時間の流れ方と、道中の困難さから選手同士の出会いと助け合いが濃厚だからという事だった。
14時10分、最後の関門である富士見平小屋へ到着。(関門時間は19時半)
小屋できのこうどんを注文してベンチで食べ、小屋で買った「お〜いお茶」を飲んだ。この時飲んだお茶のなんと美味かったことか。食欲減退時にお茶は効くことを学んだ。
腹が満たされて少し落ち着いた。ここはもう本格的に仮眠しようと選手用エリアにてツェルトを張った。ペグを忘れたのでそこらの枝で無理やり差してこしらえたのでブサイクな張り具合。木村さんと出発時間を決めて就寝した。
だが寝袋に入ったと同時に、小屋の前でキーボードの生演奏のコンサートが始まり、ルパン三世など小粋な音楽が流れ出した。意識を集中して音楽を気にしないようにしたが、無理だった。演奏が終わり夕方近くになってやっと意識が遠のいた。
19時半に起きて、ツェルトを片付けるが、段取りが悪くえらく時間がかかった。
小屋前で木村さんと合流し、21時に富士見平小屋を出発。
瑞牆山の登りは岩場だが、危険箇所には鎖がついており難なく登れる。だがどうも私のペースが遅くなり木村さんにも待ってもらう場面が増えてきた。
山頂は登らなくても良いのだが、木村さんが登りたいと言うので登ることに。山頂からは一面の星が見えた。後続の選手チーム来たのでスローシャッターを使って何枚か写真を撮る。

 

【3日目】1時間のロストとゴール

瑞牆から不動沢へ下って、途中で木村さんに教えてもらった水場で水を給水する。ここは沢の水の音が人の話し声に聞こえて気持ちが悪い。0時38分松平林道へ出る。
本来は渡渉するはずだったのだが、台風で渡渉箇所の渡し木が流されてしまい、ただの松平林道歩きとなったのだった。
1時16分、読図区間の取り付きに到着。県境の稜線へ向けて道なき道を歩いていく、この区間を歩くのは初めてだという木村さんが率先して読図をして引っ張ってくれた。
だが途中で大きな巨岩に出くわし、それを回避するルートが見当たらない。その場に5人位の選手が溜まって手分けしてあーでもないこーでもないと探すがわからない、やがて木村さんと逸れてしまう。私はソロ4人組と道を探し続けた。ロストして1時間くらいしてやっと見つけた。左に巻いてから尾根に戻るのが正解だった。

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(巨岩のトラバースポイントを探す)

 

3時30分、中央分水嶺に復帰。そこからは一ヶ月前に試走したという選手にひっぱってもらう。私は昨年も歩いてるはずなのにさっぱり忘れていた。
空は明るくなり、Aコースの選手もちらほら見えてきた。
5時、なんとか信州峠に到着。もうここまで来れば大丈夫だと一安心。そこでは木村さんが食事をとっていた。巨岩は越えられたがその先でロストしたそうだ。もうここまで来たら木村さんと最後まで歩こうとソロ4人組と別れて5時40分出発。
ここから先の区間はかつては読図区間だったはずなのだが、踏み跡がつきすぎて迷うことは無くなった。
6時38分、横尾山通過。横尾山の登りは地味に長くつらかった。
7時9分豆腐岩を過ぎて、太陽が容赦なく私達を照らしつける。
標高もだいぶ下がったので、もう暑い暑い。この区間は何度か急登が続くのだが、その最後の急登である「槍」を上りきって、先頭だった私はバテてしまった。木村さんに待ってもらい15分ほど伸びていた。
そして、最後の稜線の分岐にさしかかる。
分水嶺トレイルの最後のピークである「飯盛山」がはっきり見えた。
飯盛山とはその名の通りご飯を茶碗に盛ったような可愛い山で、いつもこの分岐でそれを見るたびにここまで来たかと感動するのだ。
補給がしずらくなっていた私はフラフラだったがなんとか木村さんについていく。カメラを構える時だけシャキッとした。
やっとの思いでゴールの分岐にさしかかる。毎年撮ってくれている定点カメラマンが私達を撮ってくれた。ここは20メートル位上がる飯盛山のピークとゴールの獅子岩駐車場の分かれ道だ。飯盛山自体は登らなくても良くほとんどの選手がスルーするのだが、木村さんは登りたいと言い出した。
木村さんは家庭の忙しさなどから今年が最後の分水嶺トレイルになるかもしれないとの思いがあったのだ。カメラマンとしては付き合わない訳にいかない。分水嶺最後の登りをここまでの道程を思いながら登った。
9時41分、飯盛山山頂に到着。山頂からは自分たちが歩いてきた長い長い稜線が見えた。嬉しさのあまり大いに笑って稜線を指さしながら撮影した。

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(最後のピーク、飯盛山


獅子岩までの最後の道で息も絶え絶えだったが、最後の踏ん張りでなんとか歩く。
10時23分、木村さんと共に獅子岩にゴール。木村さんと互いの健闘を称え合う。ゴールしてすぐビールをスタッフの方より貰う。木村さんと乾杯して飲み干す。私は減量と同時に禁酒もしていたので、久しぶりのビールは空っぽの胃に染み渡った。思えばこの一杯の為にここまで歩いてきたようなものだ。

その後は温泉に移動して3日間分の汗を流した。体重は4キロも減っていた。レストランで唐揚げ定食を食べた。木村さんや他の選手たちと分水嶺の思い出話であーでもないこーでもないと話は尽きなかった。

 

【感想と覚書】
今回の完走率はBがソロ70%、チームが36%だったようだ。
Bのルートが短縮されたことで雲取山までは楽に感じれたが、唐松尾山~雁坂小屋は暑さのせいか例年よりかなり辛かった。昼間スタートのAコースではスタート序盤から熱中症者が多かったらしい。
またBは距離が短かくなった分、関門が厳しくなったせいで大弛峠で多くの足切りがあったようだ。チームは今年から一人も欠ける事が許されなくなったのでそのせいもあるかと思う。小川山のピストンは、今回一番警戒していたが歩いてみると大した事はなかった。

私に関していえば、雁坂小屋で食料を落としたこと、国師ヶ岳で水が飲めなくなった事は失態だった。水が飲めなくなったのは、経口補水液を飲みすぎたからなのか、熱中症だったのかは分からない。
ただ口を濡らして経口から補給を試みたのは良かったと思う。富士見平小屋で飲んだ日本茶が本当に美味かったので来年はお茶パウダーを持っていこうと思う。
またアルファ米は毎年腐らすので来年は小分けしようと思う。
良かった点はカメラが今年は壊れなかった事だ。おかげで予備機の出番が無かった。今年は3日間晴れ渡って、カメラが濡れる事も少なかったので気を使うこともなかった。今年は写真と同時におまけで動画も撮っていて分水嶺トレイルのプロモーションビデオを作成した。8月の報告会で披露してまぁまぁの好評を得ることができたので来年はミラーレス一眼とビデオ用ハンディカムを持とうと考えている。

そして何より思い出深いのは国師ヶ岳からほぼ一緒に行動した木村さんだ。どちらか一方が潰れていた時は、片方が引っ張れた。長い間色んな事を話した。出るのは今年が最後との事だったが来年もひょっとしたら出てるのでは無いかと思う。
他にもここには書いていない多くの選手との出会いと助けがあった。カメラを向けると笑顔を向けてくれた選手、また睡眠返上で尽力された大会スタッフの皆さんには本当に感謝したい。
また来年、分水嶺で多くの選手のドラマを撮影できたらと思う。(了)

 

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 (ゴール後の美酒)