京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3790  残雪期の五竜岳山行

2019年4月27日(金) 夜発~29日(月)*テント泊P

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 【メンバー】

CL土井司、SL高橋秀治、鹿嶽眞理子、小前竜吾、TW、YN     計6名

【記録・感想】61期 小前竜吾

4月27日(土)

京都20:00=(名神高速)=20:45草津SA=(中央道)安曇野IC=25:00 道の駅「安曇野松川」幕営

 28日(日)

道の駅「安曇野松川」6:30=7:30エイブル白馬五竜(車デポ) 五竜テレキャビンとおみ駅8:20-8:30アルプス平駅 (アイゼン装着)~9:10 地蔵の頭~10:50小遠見山~11:30中遠見山~12:20大遠見山~13:30 標高2170mあたりに幕営

 29日(月)

幕営地4:00~4:40西遠見山~5:45五竜山荘~6:50 標高2630m鞍部 これ以上の登頂は危険と判断し小休止後下山開始7:25五竜山荘~8:30幕営地 雪のテーブルにて朝食を取った後に幕撤収 10:10~12:10地蔵の頭~12:30アルプス平駅12:50-とおみ駅14:00=14:20 手打ちそば山品 15:20=安曇野IC=20:40草津SA=21:10京都

 

五竜と言えば険しい山という認識と私の名前が竜吾なので必ず踏まなければならない山と思っていました。土井Lより企画を伺ったので、即答で参加表明させていただきました。山と高原の地図にてルートを確認しイメージをインプットしていると、2日前に八方尾根から唐松岳をピストンした知人がおり、計画ルートを説明すると「かなりやんちゃですね(笑)」と回答がありました。五竜山荘を越えたところで下山ハイカーに「私たちは敗退ですよ」と聞いた際にやっと回答の意味が分かりました。噂通りの険しい山であり、私にはクリアする術がない事を突きつけられます。夏山でもなかなか難しい登頂と聞いていますが、まず夏山から再チャレンジしたいと強く感じ、準備を進めていきたいと思います。同行いただきましたメンバーに感謝申し上げます。

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【感想】57期 TW

お天気と景色、メンバーのみなさんに恵まれ、自分の実力不足を助けてもらった山行でした。出発日から体調が悪く、アップダウンが多く長い遠見尾根に苦しみましたが、中遠見を過ぎた辺りから五竜岳の迫力ある武田菱や、鹿島槍の双耳峰が間近に見えて、晴れ晴れした気持ちになりました。また予定よりも手前に幕地を決めていただき、早めに就寝できた事で2日目は元気に行動できました。メンバーの皆様には申し訳なかったのですが、リーダーのご判断は本当にありがたかったです。

出発前に会のHさんから「残雪期の五竜は初心者の山とちゃうで、気を付けてね」とアドバイスをもらっていましたが、ピークに近づく程その言葉の通り、五竜岳はきびしい山だなぁと実感しました。白岳までは踏み跡のはるか上にある雪庇の大きさにビビりながらも進めましたが、山頂直下の雪壁トラバースは見るだけでも恐ろしく、先へ行く気になれませんでした。天気もよく、風もほとんどない絶好の状況でしたが、ハッキリと私の実力では無理だと感じました。頂上付近を見上げると大きな荷を背負い、ダブルアックスで切り立った雪壁を慎重に登る登山者がくっきりと見えました。やはり冬山はえげつない、でも私ももっと雪山登山の総合力を高めて、頂上からの景色を見てみたいと強く感じました。ピークを踏むことは出来ませんでしたが、この五竜岳山行が平成最後の登山として、次に繋がる良い締めくくりになったと感謝しています。土井リーダー、高橋さん、細やかなお心遣いを頂き、どうもありがとうございました。鹿嶽さん、出発前から励まして下さり、ありがとうございました。晩ごはんの鯖缶鍋とっても美味しかったです。小前さん、Nさん、テントを担いでくださってありがとうございました。

 

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【感想】60期 YN

残雪期五竜岳山行、当初五竜岳など全く知らず、あまり深く考えず参加した。後から普通の山でなかったと思い知ることになる。テレキャビンとおみ駅からアイゼンを装着し先頭を任されていざ出発、無風で雲一つない空の下、地蔵の頭に着くとくっきりと武田菱を見せる五竜岳鹿島槍ヶ岳が最高の表情で見えてくる。あれに登るのかとワクワクしながら進むが、途中小遠見山を過ぎたあたりから左太ももに違和感を感じつつ歩いていたら大遠見山手前でかなり痛みだし歩けなくなる。雪山だからそんなに喉は乾かんやろと少ししか水分をとっていなかったからか、冬靴とアイゼンの重さに耐えるだけの筋力がなかったからかもしれない。鹿獄さんやWさんに助けられてなんとか幕営地まで辿り着く。少し休ませて頂き、先に幕営地を探しに行かれていたリーダーと高橋さんと小前さんが地面を掘り下げるのを眺めていると何とかましになり、切り出された雪のブロックを風よけに積んでゆく。自分が忘れた土嚢袋も使わないで済む立木の横に幕地を張られていたのには感心しつつ、申し訳なかったです。雪山のテント泊は初体験で水作りから色々と勉強になった。翌日は3時起床の4時出発で無風の中五竜山荘まで登る。パーティーの安全を考慮されやむなく撤退となる。最終的にピークは踏めませんでしたが、次回は実力をつけ計画のルートを踏破したい。アイトレや滑落停止の訓練もせず、鈍くさい自分を心よく受け入れてくださった土井リーダー始め、的確にアドバイスされる高橋様、美味しい鯖缶鍋を作って下さった鹿獄様,色々と助けて頂いたW様、話題の豊富な頼もしい小前様、大変お世話になりありがとうございました。

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【感想】53期 高橋秀治

「今年の残雪期は五龍岳です。」の発言で、早速に五龍岳についてググると、「トラバース」と「雪庇」に要注意の表現が多く気になる。さらに計画書には、ピストンでなく唐松岳縦走とある。不安と縦走ができた時の充実感とが混在した気持ちで当日を迎えました。

スキーやスノボーを担いだ人混みに混じりアルプス平に到着。五龍岳や鹿島槍のカッコ良さに見とれてスタート。地蔵の頭を過ぎ、遠見尾根を進むにつれて、切れ落ちたナイフリッジが出現し、これはやばいとアドレナリンが出てくる。

中遠見山を過ぎたあたりから、前方に急登の西遠見山がはっきりと見え、白岳直下のトラバースルートも見えてくる。ここをテント装備を担いで這い上がるのかと想像すると、「無理」の単語が頭をよぎる。リーダーから、「大遠見山付近で幕営します。」と告げられ、一安心となりました。夜半に目が覚めてテントから抜け出すと、眩いばかりの大町の夜景と星空で明日の登頂の不安より期待が勝りました。しかし、五竜山荘から先は、アイゼンとピッケルで確保して一歩一歩慎重に急斜面のトラバースを進みます。そして、先行しているパーティーが雪壁をトラバース通過している様子を見て、リーダーが登頂を断念。コルであえて残念な表情をして記念写真を撮り、幕営地に戻り、快晴の下での遅い朝食となりました。

土井リーダーとは、1月の甲斐駒岳登頂、2月の赤岳から硫黄岳縦走と厳冬期の山行きを楽しみましたが、今回は残雪期ではありましたが、一番こわかったです。しかし、毎度ながら、土井リーダーの判断力と山に対する造詣の深さには頭がさがりました。ご一緒頂いた皆様ありがとうございました。

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【感想】56期 土井司

今年は残雪が多く雪庇に気をつけるよう白馬五竜のパトロール隊の方に注意喚起され遠見尾根を登った。地蔵の頭からはっきりと武田菱が見える。あれが目指す五竜岳だと気持ちが高揚し、まだ一面雪世界の急登を登る。晴れ渡り真っ青な空、真っ白な山々、気温は寒くもなく暑くもなく風もなく最高の景色と最高のコンディションである。これだけで今山行の満足度は30%をクリア。当初は長い遠見尾根を登り五竜山荘のテン場で幕営の予定であったが諸事情により大遠見山を越えたところでの幕営に変更した。が、これはこれで正解であった。この付近では我々以外にも数パーティー幕営しており、皆とる行動は似たり寄ったりという事であろう。この時点で八方尾根下山はあきらめ遠見尾根のピストンとした。

翌朝五竜岳の頂上をめざし暗いうちから出発。暗い中に堂々たる五竜岳の雄姿がうかぶ。一歩一歩近づくにつれ少しずつ明るくなり一層山が迫ってくる。太陽が顔を出すと山域全体がモルゲンロートで赤く燃え輝く。素晴らしいの言葉しか出てこない。白岳直下の急登を登りきると山荘に到着した。すでに多くのパーティーがアタックをかけておりピークを目指している様子が見える。我々も後を追ってアタック開始する。途中、下山者に話を聞くとピーク直下のトラバース道はかなり危険であり一旦第2峰へ登り、そこから頂上を目指した方がよいとのアドバイスを受ける。しかし我々はロープを持参しておらず、よじ登ったとしても下山がかなり難しいと判断しトラバース道手前で引き返すことにした。尚、アドバイスをくれた登山者も頂上はあきらめたとの事であった。頂上での万歳写真ではなく、途中での頂上をバックの残念写真撮影に切換え下山した。

あまりに天候が素晴らしいので幕営地まで戻りテント横にテーブルをつくりそこで遅い朝食をとった。五竜岳のバックと降り注ぐ太陽の下での食事は最高においしい。

今回頂上は踏めませんでしたが、それでも充実した素晴らしい山行でした。ご一緒いただいた皆さんありがとうございました。来年はもう少し雪の少ない時期にリベンジしますので是非ご同行下さい。

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〈個人山行〉鳥海山&月山 ~山岳スキーの旅~

2019年4月26日(金)~5月1日(水)

【メンバー】

CL梅村重和、SL中尾 愉、加藤一子、小泉賀奈子  計4名

【行 程】

4月26日(金)

室町四条 池坊短大前20:00集合=小布施ハイウェイオアシス(仮眠)

4月27日(土)

小布施ハイウェイオアシス8:00=イオンスーパーセンター本荘店(買い出し)=ゆりえもん(立ち寄り湯)=花立牧場公園18:00(コテージ泊)

4月28日(日)

花立牧場公園6:30=秡川ヒュッテ駐車場8:20発-七ツ釜避難小屋付近9:50-標高1912m/12:00-七ツ釜避難小屋13:20-駐車場14:00=鳥海荘あっぽ(立ち寄り湯)=花立牧場公園16:00(コテージ泊)

4月29日(月)

花立牧場公園6:30=鳥海ブルーラインゲート7:45=大平山荘先の駐車ポイント1080m地点8:50発-御浜小屋12:00-御浜ヶ原12:30-標高1600m/14:00-駐車ポイント15:00=西浜コテージ村(コテージ泊)

4月30日(火)

西浜コテージ村=月山ネイチャーセンター=湯殿山神社=大日坊=湯野浜温泉(民宿泊)

5月1日(水)

湯野浜温泉7:45=志津野営場9:35=月山スキー場=リフト上駅10:45発-金姥のコル11:30-装束場11:50-石跳川-月山ネイチャーセンター12:30-野営場13:30=京都 池坊短大前23:30解散

 

【記 録】59期 梅村重和

4月26日(金曜日)

いよいよ明日から10連休。今日こそ定時に退社のつもりが何だかんだで遅くなり、出撃は20時30分ごろとなった。まあ、今夜の宿は小布施だし明日は移動のみ。いつもと違って心の余裕は大きい。雨の中央道を走行、一度小布施ICを出て、小布施オアシスの軒下の駐車スペースにクルマを停め仮眠となった。

4月27日(土曜日)

当初、小布施でお花見&観光を予定していたが、象潟から山を越え花立牧場公園に抜けるルートが積雪で使えず由利本荘を経由する大迂回ルートを行かねばならなくなった為、観光は中止、真っ直ぐ花立牧場公園に向かう。18時頃やっと到着。アラレ交じりの雨が降る寒い夜だった。

4月28日(日曜日)

今日はいい天気。昨夜の雨は標高1000mあたりから雪になったらしい。途中から圧雪状態に!タイヤチェーンを履いて両サイドが雪の壁となった道路を走行。雪の壁の間を通って秡川駐車場にたどり着く。

真っ青な空の下、最高の山岳スキー日和。

稜線付近には雪煙が上がっている。  

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▲めざせ!鳥海山 山頂

 

標高1700mあたりまで来ると、昨夜の冷え込みで雪面はパッキンパッキンのアイスバーン!今まで何度か来ているものの、こんなアイスバーンは初めてである。

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▲この辺りから上部はアイスバーン

 

シールも効かず、標高1912m地点にて撤退となった。ここから標高差750m、距離にして約4kmのダウンヒル。シールを剥がして大斜面に飛び込む瞬間が堪らないね!駐車場に着けば道路の雪は消えており、タイヤチェーンを外し、温泉を目指す。

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▲大滑降

 

4月29日(月曜日)

週間天気予報はいい具合に外れ、今日も晴れの予報となった。今日は鳥海ブルーラインを通って西の登山口、吹浦口コースに行く。6時過ぎ、コテージを撤収、吹浦から鳥海ブルーラインを少し上がり、7時40分ごろゲート手前でオープンの順番待ちの列に並ぶ。8時、ゲートが開くと各車一斉にスタート。大平山荘先の駐車スペースに辛うじて駐車できた。ちなみに鳥海ブルーラインは金曜日に開通式を済ませたものの土曜日の雪で再び閉鎖。日曜日の除雪作業ののち、月曜日に全面開通となった。駐車スペースのやや先、道路の山側の雪の壁に切ってある段差を利用し斜面に取り付く。雪も緩み絶好のコンディション。眼下に日本海を望みながらシールにて広大な雪原を

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日本海を背に登行

 

登行。アドレナリン全開である。御浜小屋の先、鳥海山が見渡せる御浜ヶ原で大休止。ここから新山まで、まだまだ遠い。鳥海ブルーラインのゲートは17時で閉鎖されるので今回はここでのんびりする。

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▲御浜小屋前

 

途中、何度も写真を撮りながら日本海に向かって滑降となった。

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▲大斜面の斜滑降

 

4月30日(火曜日)

今日は朝から雨模様。月山は潔く中止。

取りあえず月山ネイチャーセンターへ行く。開館は明日からであったが、ガイドをやっている職員の方からルートの情報を頂く。湯殿山神社即身仏の大日坊を訪れて、今夜の宿は湯野浜温泉の民宿泊。

5月1日(水曜日)

今日は雨予報がチト外れ、時折薄日が差す

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▲姥ヶ岳の大斜面と湯殿山

 

まあまあの山日和。雲は厚いものの視界は効きそう。よって月山のショートコースに行くことに決定。時間の都合で山頂には行かず、リフト終点から金姥に出て姥ヶ岳の大斜面を回り込み、装束場から石跳沢のブナの森を月山ネイチャーセンターまで滑降

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▲石跳沢へGO!!!

 

する。雪の大斜面~すり鉢状となった沢の源頭~沢沿いのブナの森、と山岳スキーの魅力が集約された好ルートである。石跳沢が傾斜を緩めるころ月山ネイチャーセンターに到着。駐車場でそそくさと着替えを済ませ、かっ飛びで京都に帰還したのは午後11時を回っていた。

 

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▲ブナの森

 

【山行メモ】

鳥海ブルーラインは午後5時~翌朝8時までゲートが閉鎖される。よって、吹浦若しくは象潟口から山頂の往復は時間との競争となる。

・吹浦ルートのスタートポイントは大平小屋の先にある道路脇の駐車スペースに停めると便利。ただし駐車可能台数が少ないので出来るだけ早い目にゲート前に並びたい

湯殿山神社と大日坊は拝観料500円で共にお祓いも受けられます。

・天気によっては雪解けが遅れたり、季節外れの雪となったりするので、出発前に地元市役所の観光課から道路情報を得ておいた方がいい。

 

〈個人山行〉京都百名山シリーズNo.76 比叡山

平成31年4月20日(土)

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比叡山(848m)は京都市を代表する山、愛宕山と並んで京都人の心のふる里の山。八瀬ふるさと前バス停か稜線ルート西山(559m)経由で東塔に到り比叡山駐車場南の尾根を下りてんこ山(442m)経由で曼殊院横に下山した。

【メンバー】 山本浩史L、 船木佐織、中井純子、井上はるみ

【山  域】 京都市左京区

【行  程】 国際会館9:54=(京都バス19系統)=10:07ふるさと前10:15~11:36西山12:02~13:34大比叡13:42~14:48音羽川~15:08大鳥居~15:27てんこ山~16:11武田薬品薬用植物園~16:40一乗寺16:44-16:51出町柳16:55-17:00京阪三条

【登山データ】 曇り 歩行13.4㎞ 6時間25分 延登高913m 延下降998m 3座登頂

八瀬秋元町の“ふるさと前”で京都バスを降りると中井さんが待っていた。国道を横断すると道端にお地蔵様があり登山道の入口のようなので入って行った。西山北尾根の側面から取付くと倒木が道を阻んでいた。何処からともなく表れた踏み跡を辿って尾根道を行くと展望地があり八瀬の里と反対側の山襞に咲く山桜がまだ盛りを誇っていた。

今日のルートは登山地図にはルートの記載がなく地形図の点線道が途中からあり此れを辿る。比較的時間に余裕があるので皆にしっかり地形図とコンパスで進行方向を定めてもらい、適宜地形確認をしながら進んだ。また展望地があり、横高山(767m)や水井山(794m)、八瀬秋元町の集落越しに焼杉山(717m)などを展望することができた。歩き始めて45分でP445に達したが何もなく給水を行って先に進んだ。登り返しは一貫した登りで西山(559m)に達した。山頂標識はなく、小さな石塔が並び異様な雰囲気を醸していた。少し下った処には大きめの石碑でどう見ても墓のようだ。刻まれた文字を見るとどうも延暦寺の僧侶の墓のようだった。

昼食休憩を取っていると話題は、“霊”がどうのこうのと云うことになり、皆何かを感じたのだろうか。少し進むと西山峠で八瀬に下る松尾坂と釈迦堂への道が越え、直進すればケーブル駅へと達する。釈迦堂方面に進み八丁谷に下ると林道に出た。尾根の先端部に展望地があり、横高山(767m)や水井山(794m)や京都北山が一望できた。1週間前に登った瓢箪崩山(532m)や小倉山(157m)も望めた。

奥比叡ドライブウェイの直前で林道はヘアピンカーブして南に向きを変えた。“元三大師道”の石碑があり横川へと導いていた。「40丁、4粁5」と付記され。1丁=109mで正確に記されていた。その先には何の施設の跡だったのか正体不明のコンクリートの残骸があった。更に進むとケーブル駅からの道に合流した。“国家鎮護”の石碑と京都一周トレイルの「北山No.5」の標識があった。東塔を目指して歩いているとゼッケンを付けたランナーが走って来た。先ほど掲示されていた“京都一周トレイルラン”の大会の参加者のようだ。そう云えば、3月末に水井・横高に登った時、スタッフが団体で試走していたのに遭遇した。4/20が本番だと云っていたのを思い出した。後日譚だが当会の長野さんはやはり出場していた。

東塔に到ると料金所があり有料エリアとなるが大比叡に登ると告げると、切符を買わせず通してくれた。東塔阿弥陀堂前でトイレ休憩を取って、東塔院の裏から今日のメイン大比叡(848m)へと登り出した。山頂域は駐車場の跡?や電波塔、給水施設等があり、山頂は小塚のように僅かに残された丘に上がり1等三角点「大谷」と対面した。展望はなくしっかりした山頂標識が数枚掲げられていた。広大な比叡山駐車場に下りると売店があり、日差しが強く初夏を感じる気候になっていたので300円を投資してソフトクリームを賞味した。

下山は四明岳南尾根を下る。途中から登山道が描かれているが下り口が分からない。駐車場は石垣で降りることができないのでガーデンミュージアム入口付近のトイレの横から下りて行った。トラバースして東の支尾根に乗るが急な下りで気が抜けない。そして南尾根への乗り換えは殆ど歩かれていないようで危険、比叡山にこんな処があったのかと思わせる高さ10mの岩壁の下を通り尾根の乗り換えに成功し一安心した。微かに付いた踏み跡を辿って尾根を下り音羽川へと達した。

この辺りの音羽川は砂防工事による堰堤設置や河川改修ですっかり人工の河川になり、川沿いは山桜が満開だった。大鳥居に到ると清掃登山でおなじみのエリア、最後の山、てんこ山(432m)に取付くが意外と険しい。3等三角点「掛橋」が置かれているが展望は得られない。集合写真を撮って下り出しが10分ほど歩いた処で山頂にストックを忘れてきたことに気が付き取りに戻る羽目に陥ってしまった。

地形図にはてんこ山西側の道は南を巻く林道に出るように描かれているが、明瞭な道は南西尾根に乗って曼殊院へと下っている。予定とは違うがそのまま下ることにした。モトクロスバイクの轍がはっきり残り、登山道はかなり荒れていた。それでなくても結構険しい道なのに嘆かわしい。曼殊院の裏側で林道に飛び出すと直ぐにゲートがあり施錠されていたが自転車は此の脇をすり抜けて侵入するのだろう。看板には「自転車・諸車の通行禁止」と明確に書かれていた。

気持ちよく整備された庭園があった。“武田薬品薬草植物園”で観光客が楽しむ植物園ではなく研究のための施設のようだ。曼殊院に立ち寄り拝観の予定をしていたが380m坂道を登らなければならないので皆のテンションが上がらず敢無く中止にした。街の道路が2.5万図と一致せず修学院へ行く積もりだったが分かり易い曼殊院道一乗寺へと出ることにした。途中に一乗寺下り松があり宮本武蔵と吉岡一門の決闘の地を見ることができ若干歴史に触れて叡電の駅に達した。

 

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写真1: 西山(599m)山頂、延暦寺の僧侶の墓であろうか小さな石塔が多数ある

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写真2: 大比叡(848m)山頂

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写真3: 比叡山駐車場より大比叡(848m)を望む

 

〈個人山行〉京都百名山シリーズNo.74・75 瓢簞崩山・小倉山

平成31年4月13日(土)

 瓢簞崩山(532m)は北山の入口、八瀬と岩倉の間の稜線にある。小倉山(157m)は、岩倉の盆地の中央にある丘で京都百名山の名が重い山だった。岩倉では実相院や岩倉具視幽棲旧宅の拝観にゆっくり時間を取り桜満開に岩倉の里を満喫した。

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 【メンバー】 山本浩史L、小泉賀奈子、船木佐織、SS(会員外)

【山  域】 京都市左京区

【行  程】 桂川9:00-9:06京都9:21-9:42国際会館9:54=(京都バス)=10:12戸寺10:20~12:31寒谷峠~11:52瓢簞崩山12:22~12:31寒谷峠~13:08ブルージュ13:20~14:22小倉山~14:38実相院15:08~15:12岩倉具視幽棲旧居15:48~16:04岩倉16:07-16:20出町柳16:25-16:29京阪三条河原町19:24-19:36洛西口

【登山データ】 晴れ 歩行10.9㎞ 5時間41分 延登高450m 延下降562m 2座登頂

 

大原の里戸寺は今を盛りに桜が咲き誇っていた。高野川の堤防は桜並木になっており、背景に横高山(767m)を従え、静かな山里の素晴らしい風景を醸し出していた。旧家の庭に咲く紅枝垂桜も一際美しく、満ち足りた気分で長谷の林道へと入って行った。真新しい堰堤は未だ工事中のようで、左岸を高巻いて付けられた林道はコンクリートの色もまだ白かった。獣除けフェンスの扉を開け入って行くと暫く幅の広い林道が続いた。

当初の予定では左岸の尾根に上がる登山道を行く予定だったが道形が認められず、指導標もあり確実な長谷から寒谷峠経由で登ることにした。徐々に道が狭まり小泉さんを先頭に隊列を組んだ。台風の爪痕は比較的軽微だったようで、苔生した倒木の方が目立った。傾斜が強まり稜線に乗り上ると寒谷峠に達した。戸寺と岩倉を結ぶ峠で稜線は江文峠からの道が瓢箪崩山へと繋がっている。

倒木の目立つ稜線の南側に道があり偵察してみるが山頂を目指しているようではないので倒木を避けて稜線道に取付いた。東南東に進み10分余りで瓢箪崩山(532m)山頂に到った。角の欠けた3等三角点「大谷」とケルンがあった。南東方向が開け比叡山(848m)が真正面だった。行動時間はまだ1時間半しか経っていないが長閑な日差しを浴びて昼食休憩を取った。

寒谷峠に戻り岩倉へと寒谷を下って行った。満開のツツジが点在し足元にはタチツボスミレ、着実に春は深まっているようだった。岩倉の里に近づくと聖護院門跡の長谷廟所を左手に見た。歴史がある筈なのに比較的新しい施設のようだった。“飛騨の池”は溜池で鴨が3羽長閑に泳いでいた。住宅が始まる頃、“ブルージュ洛北”というベーカリー&スイーツの店があり立ち寄ってお持ち帰りのパンなどを買った。

岩倉の静かな街を歩き小倉山(157m)を目指したが、屈辱的な道間違いを犯し西側の山中に迷い行ってしまった。引き返す途中比叡山が素晴らしく展望できる箇所があり、それだけが慰めだった。小倉山(157m)は岩倉上蔵町の北西側から踏み跡がある。山頂は特に何もなく最高所を探し山頂写真を撮って引き返した。

今日の登山はこれでお終。後は岩倉観光で実相院を訪ねた。実相院は寛喜元年(1229)に静基(じょうき)によって開山された単立寺院で嘗て天台宗に属していた門跡寺院である。枯山水の庭は桜が見事で比叡山を借景として素晴らしい眺めだった。この後、岩倉具視幽棲旧宅に立ち寄りボランティアガイドの説明を受け充実したひと時を過ごした。岩倉具視は、都を追われ3年間この地で隠棲したがこの屋敷で過ごしたのは後の1年間だったそうだ。

岩倉川に沿って駅に向かうと、山住神社の鳥居前に到った。実相院の北にある石座神社の旧地で御旅所になっている。「岩倉」の地名は「石座」がから来ており、この神社の鳥居の向こうには、高い処に小さな祠があり石座にまします神が宿る神々しさが感じられた。鳥居前で岩倉川を左岸に渡り叡電岩倉駅に到った。

 

 

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写真1: 瓢箪崩山(532m) 岩倉の里より

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写真2: 小倉山(157m)は岩倉の里真ん中にある

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写真3: 小倉山山頂にて

〈個人山行〉京都百名山シリーズNo.71~73 大尾山・水井山・横高山

平成31年3月30日(土)

大尾山(681m)、水井山(794m)、横高山(767m)は、比叡山の北稜線上に位置し京都市内からも望め親しみのある山だ。桜の開花が待たれる大原の里から登り、八瀬秋元町の登山口バス停に下った。

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【メンバー】 山本浩史L、梅村重和、ST、小前竜吾

【山  域】 京都市左京区滋賀県大津市

【行  程】 国際会館8:26=8:48大原8:54~9:13音無滝~10:09大尾山10:19~10:52小野山~11:27仰木峠~12:01水井山12:31~12:45横高山~12:55峰辻~13:44登山口14:02=14:32国際会館

【登山データ】 曇り一時小雨 歩行9.9㎞ 4時間50分 延登高924m 延下降992m 4座登頂

 この1年京都百名山シリーズ山行に雨はなく天候に恵まれてきたが、今日は午後から雨の予報が出ている。27日に京都市開花宣言のあった桜も大原ではまだ蕾、三千院の入り口前を通り来迎院の奥から登山道が始まった。川迫谷を遡ると落差20mの音無滝に到った。案内板には、「平安時代に来迎院を建立した聖応大師良忍上人がこの滝に向かって声明の修行をしていると滝の音と声明の声が和して遂に滝の音が聞こえなくなったことから『音無滝』と呼ばれるようになった。」とあった。

この先谷沿いの道は、昨秋の台風の被害が放置され荒れ方が酷い。谷を埋め尽くすように大木が倒れ辛うじて確保された隙間を縫って進んで行った。谷の分岐点に達すると地形図には真ん中の尾根に登山道が描かれているが、現地には道形が全くなく、恐ろしい急斜面が立ちはだかっていた。右の谷に指導標があり登山道が続いているので予定していた尾根ルートを捨てて谷ルートを進んだ。谷が狭まり梯子で高巻くと三の滝の標識のあり、落差5m程の滝の上部に出た。

暫く行くと谷が分岐し左の谷に登山道が続き、次の分岐点で尾根に取付いた。稜線に達し右方向に進むと大尾山(だいおさん681m)山頂で、地形図には“梶山”と記され、現地には“童髯山(どうぜんやま)”の表示もあった。2等三角点「大原村」があり琵琶湖方向が辛うじて望めた。

暫し休憩して断然明瞭になった稜線を南下した。P662を知らない間に通過し西に回り込んで小野山(670m)に達した。山頂標識には括弧書きで「大原山」とも書かれていた。山頂で一瞬ポツポツと来たがまだ大丈夫だろうと高を括ったが5分ほど歩くとザザっと来たので本格的な雨になる前に雨具を着た。仰木峠の手前で展望箇所があり振り返ると小野山が望め、前方には延暦寺横川エリアの稜線が望めた。仰木峠(573m)に到ると東海自然歩道と京都一周トレイルの指導標があった。“ぐるり!大原の里”の標識には「大原の里と仰木の里を結ぶ峠で江州米や藁工品が運ばれた。」と記されていた。

峠を過ぎると水井山への一貫した登りとなり、グループで走るトレイルランナー達と頻繁にすれ違った。水井山(794m)に達するとゆっくり昼食休憩を取った。3等三角点「釈迦岳」があったが展望は得られない。10人位のランナー集団が来たので話をすると5月25日に開催される「第5回 比叡山 International Trail Run 2019」の運営スタッフで試走に来たとのことだった。ランナーが多いのはこの大会のためだったようだ。

600m程南下すると横高山(767m)で京都市内から見ると水井山とセットで駱駝の瘤のように見える分かり易い山だ。山頂には「比叡山」と読める石柱があった。横高山の下りは恐ろしく急で傍らには倒木が散乱していた。鞍部の“峰辻”に下りると3体の地蔵があり傍らに“元三大師道”の石碑があり北に進むと横川(よかわ)中堂へと続く。反対側の八瀬秋元町への道は京都一周トレイルの標識には「大原街道登山口(難路)」とあったが赤で「×」が記されていたのが気になった。

“難路”に入ったがさしたることはなく谷のトラバース地点の倒木が気になる程度だった。国道367号線に下り立ち単に“登山口”とだけ書かれたバス停から国際会館行の京都バスに乗り帰路に着いた。京都タワー浴場で汗を流し反省会をして解散した。

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