京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.2749 荒島岳スキー&雪上訓練

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【日程】2006年3月18日(土)~19日(日)
【参加者】6名
【行程】
18日 8:00山科駅前集合-10:30勝原スキー場駐車場-11:15出発-12:00リフト終点-14:00もちが壁(雪洞作り)
19日 7:30出発-8:30リフト終点(8:30~9:00ビーコン捜索練習)-9:30勝原駐車場-入浴-14:30京都
【記録】 47期 C.O.
3月18日(土)曇り後雨
アルプスほど目立っていないが、一応百名山のひとつである荒島岳。また雪洞に適した場所がある荒島岳。だったら雪洞を作って、そこで泊まって、ピークハントもして、スキーヤーはスキーも楽しんで、斜面で雪上訓練もしてしまおうという、非常に欲張りな企画だった。しかし、出発時点で降水・降雨はなかったが、夜半に気圧の谷の通過が予想された。よって、雪上訓練は見送り、そのための登攀用具も車にデポ、ピークハントは翌日の天候次第という方針になった。

勝原スキー場からは淡々とした登りが続いた。S、A、Uさんはスキーで登り、私とMさんは普通に歩いた。大野市内や白山方面への視界はよく、美しい山並みを望みながら高度をあげていった。リフト終点からは樹林帯を尾根筋に沿って登っていった。風下側には雪庇ができており、雪庇側を歩かないよう注意した。2月、3月が暖かかったので雪質を心配していたが、週初めに雪が降ったようで、きれいな新雪が乗っかっていた。もちが壁に到着後、雪庇の下に雪洞を掘った。3mぐらい離れて2方向から掘り進み、内部で貫通させ、6人が生活できる立派な雪洞ができあがった。

Sさんといえば焼肉。この日も焼肉、石狩汁という豪華メニューで食事を楽しんでいたら、「ホホホーイ」という声が聞え、Nさんが到着した。雨が本格的に降り出したようでNさんのカッパは濡れていた。「雪山で雨なんて最悪!!」だそうだ。暗くなってからは、雪洞にろうそく台をつくって、4箇所から灯りを照らした。ヘッドライトがいらない明るさになった。山の歌の合唱が始まり、本当に楽しい夜を過ごせた。

3月19日(日)曇り時々雨
起床時点での天候は雨。大雨ではないが視界は悪く、風もやや強めだったのでピークハントは見送り、下山することになった。雪洞は安全のため壊して帰るのだが、非常に名残惜しいものを感じた。下山は登ってきた尾根筋を下るだけ。一箇所尾根を間違え易いポイントがあったが、Mさんがルートを覚えていたので、迷うこともなかった。早めに降りてきたので、リフト終点でビーコン2つを使った捜索訓練をした。1つを埋めて、もう一方で埋没地点を探した。1m四方の範囲で埋没地点を特定できており、捜索ツールとしてビーコンは強力なツールであることを再認識した。下山後、みらくる温泉で入浴したがきれいでいい感じの温泉だった。

念願の雪洞は、私たちだけの秘密基地みたいで楽しく、居住性も抜群だった。来年はイグルーもつくって、そしてピークハントも達成したい。あと、非常に楽しい企画なので恒例化してくれたら嬉しく思う。
【感想】 43期 H.M.
リーダーのSさん石狩汁ご馳走様でした。とてもリッチな夕食でした。二つ玉低気圧にもひるまないメンバーの気合のおかげで今回は雨の雪洞という経験をさせてもらえました。これまでの雪洞は「新雪+しまり雪+ザラメ雪」のパターンが多く、ほぼザラメ雪のみの雪洞は比良で掘ったとき以来でしたが、強度の面で予想以上に安定していました。(「雪崩リスクマネジメント」という本に詳しく雪質の説明が載っていますので参照してください。)雪洞で雨というのも初めての経験でした。前述の本に雨と雪質の関係も出ていますが、知識はともかく感覚的にはもっと雪に雨が浸透すると思っていたので、雪洞が雨に強いことが実際に中で確認できたのはいい経験でした。(全く雨漏りや天井の変化はありません) 雪洞は計画的に掘る場合以外に遭難時の緊急用シェルターとなります。雪が少ない場合の作製方法と合わせてセルフレスキューの知識として経験しておくべきかと思いますが、それ以外に、弱層テストの練習や雪質に関する知識を増やす面でもよい機会だと思います。雪崩救助訓練や雪上訓練と併せて、恒例化できるといいですね。ともあれ楽しい2日間でした。リーダー・メンバーのみなさんありがとうございました。