京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.2779 夏山合宿:北八ヶ岳と高原散策

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【日程】2006年8月17日(木夜)~20日(日)
【参加者】会員4人、非会員2人、合計6人

朝日岳から北八ヶ岳に変更例会*台風接近を考慮して、行先変更


第1日目 霧ヶ峰高原と八島湿原散策
【コースタイム】8月18日(金)曇り
療養園8:15(WC) 霧ヶ峰高原散策8:40~8:58 八島湿原散策9:20~11:30 13:30春日温泉(進入禁止地帯落石痕多数あり) 15:00春日温泉引き返し 17:00麦草ヒュッテ(2127m)
【記録】48期 T.Y.
霧ヶ峰高原近辺にて仮眠の為テントを張っている時には、雨が降っていたが、今朝はすっかり雨もあがり、高原特有のすがすがしい空気で目覚める。「とりあえず、花が見たい」と言うメンバーの希望で行先を協議しながら、決める。車を進め霧ケ峰高原にて少し散策。
高原の下側にはコオニユリやタカネグンナイフウロが咲いていて、上側にはヤナギランやクサソテツが群生している。ヤナギランを、初めて見ましたが背が高くきれいだけど、派手な花でした。ちなみにヤナギランは長野県の県花だそうです。(N雄様に教わりました。)さらに車を進め、八島湿原に到着。八島湿原は南方620m、東西1050mの卵形をしていて、西側に八島ヶ池、東側に鎌ヶ池、その中間に鬼ヶ泉水と呼ばれる池があり、一周3.7kmの遊歩道にかこまれた高層湿原である。早速遊歩道を歩き出す。遊歩道の周りには、色とりどりの草花があり、花好きメンバーはメモや写真をとったりで、かなりのスローペースにて進んでいく。ここには、ハクサンフウロ、アサマフウロ、タチフウロと3種のフウロが咲いていて、それがいちばん印象的でした。
その後、再び車で移動し美ヶ原で軽く昼食をとり、大河原峠登山口へ向かい移動。大河原峠までは、標識も道を尋ねる人も少なく、迷いながら春日温泉(大河原峠の手前)へ到着。春日温泉から奥へ進んだが、大きな落石が所々道路に転がっており、戻った方がよいと判断し、もと来た道を引き返す。再びメンバーで協議し、麦草峠までは車が入るとのことだったので、そちらへ車を回す。麦草峠ヒュッテに着くころは、少し暗くなりかけていた。みんなでご飯を食べ、明日の山行に備えて就眠。本日は高原や湿原散策と自然を満喫し、たまにはこのような山行も楽しいものだと思いました。急な行先変更にもかかわらず行き先を臨機応変に考えて頂いたCLのN雄さんに、深く感謝します。またN彦さんK西さんをはじめ花好きな皆様にも、さらに花をたくさん教えて頂き、本当にありがとうございました。


第2日目 北八ツ彷徨ー北横岳経由
【コースタイム】8月19日(土)
5:20ヒュッテ出発 6:15竜源橋駐車場 6:20出発 8:30蓼科山分岐通過 8:45天祥寺平(地図読み講習) 9:00出発 9:20亀甲池 10:10双子池(軽食) 11:10双子池ヒュッテ出発 12:10天狗の露地(2180m) 13:05大岳、北横岳分岐 13:20大岳へ 13:30山頂 13:40分岐 13:50出発 15:00北横岳山頂(2480m) 15:10出発 15:30亀甲池 16:10双子池 16:20双子池ヒュッテ
【記録】44期 N.Y.
さて、麦草ヒュッテの真っ赤な朝焼けを見て5時過ぎに車で龍源橋めざして出発だ。昨日の夕方はかなりのドライブで疲れたみんなの目を癒してくれたのは、小屋の前の「お花畑」。寄せ集めとはいえ、今の花の状態が良く分かる。
 昨日見た花では、いろいろな花が咲いていたし、早くもトリカブトが咲いていたし、今日のルートも花が期待できそうだ。実は台風10号が朝鮮半島に向かいながら、チョコッと東も伺うという状況で、天気予測を行って、やむえず北八ツに変更。花の朝日岳というふれこみだっただけに、北八ツに花はあるのだろうか?花については不安を抱いた北八ツ行きとなったからだ。
 龍源橋に車を置いて滝ノ湯川の右岸につけられた登山道を登る。良く踏まれたいい道だ。ただし、朝露に全員のズボンはビショ濡れ。「北八ツは花がないよ!」と言っていたリーダー。が、あるある!タテヤマリンドウのおでまし。ハクサンフウロマツムシソウ・タチフウロ・マルバタテブキ。それに、オサバグサ(思い出せなくて困りました!)・ズダヤクシュなどなど。
 天祥寺平の分かれ道でコンパスの使い方の講習を受ける。講師は今回のリーダーY本さん。現地点確認後、目的地にコンパスの直線を合わせて、地図の上をNにあわせる。その赤い針がNと重なるまでコンパスを体の前に直角かつ水平に構えて体を回していく。すると、赤い針がNとぴったり重なる方角が決まる。そして、コンパスの定規の矢印の進行線が自分がこれから進む目的地のある方角なのだ。今回は記録係なので忘れないように書くこととする。
 Y田さんはこの講習にはまっている。完全に習得するまでリーダーに聞いている。他の人も熱心にやり始める。まわりで笹藪のへりからタテヤマリンドウが見まっもっている。
 同じ見るなら、「これが北八ツだ!」というのを見たい。南八ツは何度か入っているが、北はわざわざ来られないところだ。私は山口耀久氏の「北八ッ彷徨」を何回も読むうちに行った気になったり、行くと却ってイメージが壊れるのではないかというおそれもあった。それが突発的な北八ツへの訪問となってしまったのだ。
 ところがどうだ。「北八ッ彷徨」にでてくる苔むした森がいきなり美しい姿で目の前に現れたではないか。あとで昭文社の地図を見ると「ここはコケが美しいところ」とわざわざ書いているではないか。
 ふと気が付くと、私が先頭を歩いている。後ろをリーダーが歩いている。普通なら前がサブリーダー、最後尾はチーフリーダー、という当たり前の隊列なのだが、今日は私とリーダーの間に超ベテランのK西さんとTさんらが挟まっているせいか、歩きやすい。超ベテラン2人の足取りはしっかりしているし軽い。亀甲池をすぎると、40分ほどでテン場到着。それから双子池の雌池の池畔を10分ほど歩くと双子池ヒュッテだ。小屋泊まりの女性3人を小屋まで送り届けたときに無線の連絡を入れて無線機のテストをする。リーダーに私の無線の送受信・応答は問題ないと言ってもらう。
 その間に、リーダーとY田さんはテントを張ってくれているはずだ。3人の女性は今夜はテーブルの前に座って食事が取れそうで良かった。シャワーも入れるようで、もう一つ良かった。小屋主が、「この小屋の飲料水は小屋の下にある湧き水をポンプで揚げているので有料なのだが、泊まり客は無料だ、」と説明する。私はその泊まり客の仲間だから只でいいか?と言って私のプラティパスに水を入れるとなんと穴が空いて水が吹き出ている。(気が付くのが山の上でなくて良かった)それを見ていた小屋主はテン場に運ぶポリタンクを貸してやると言う。そうこうしていると、リーダーとY田さんが来る。全員がそろった。
 さて、いよいよザックを軽くして北横岳に登ることに。目の前に双子池の雄池が見えている。小屋主に「この池は何か由来があると思うけど教えて」と私が訪ねると、彼曰く「それは部屋の前に書いてるからあとで読みなさい」ときた。あとでK西さんから教えてもらってやっと分かった。池の周りにはマルバダケブキの黄色い花が満開だ。
  龍源橋から双子池まで多数の花たちの出迎えを受けたので、大岳への登りはどうかな?と期待に胸をふくらましかけると、リーダーから「ここは岩のある登りで集中しなければならないし時間がかかるのでお花の観察はダメ!」とのお達しで、やむなく岩山に集中して立ち向かうことに。確かに花どころではない。大きな岩がごろごろしている登りが2時間あまり。でも目の高さにたくさんのゴゼンタチバナがほほえんでいる。お昼過ぎに大岳の頂上直下に到着。リーダーと私だけが空荷で頂上を踏みに。目の前に雨池が見えている。そうこうしていると、女性軍も登ってきた。私達がペチャクチャしゃべりながら登っているので「あの様子は今までの大岩の登りではない。自分らも行ける!」と判断して来たというのだ。正解です!やっと6人で岩の上にて写真に収まる。石の仏像が2体ある。お賽銭が盛られている。ここも修験道の修行の場だったのだろうか。
 それからは山腹を巻いていく。途中で横岳ヒュッテが見える。七ツ池も見える。すてきな山小屋だ。40分ほどで北横岳の頂上に到着。すでにピラタスで登ってきたと思われる14、5人の人たちが陣取っている。うちのみんなは前半の急な登りと巻道の岩のアップダウンの足場探しで疲れていたが、今日の目的地に到達して満足げだ。
 今度は双子池の反対側の亀甲池の方に降りていく。途中で花もあったり、風穴があったりで、比較的楽に降りていく。
 2時間もかからずに池に着く。この池は忘れられない。計3回も眺めた池になるから。テン場を通過するころには暗くなりかけていたが、池のところは空が開けているので明るい。そうか、苔たちはもう暗い世界でひっそりと限りなく長い夜をすごすのだ。その間にギンリョウソウが頭を出して踊り出すかもしれない。
 みんなで小屋まで行って「カンパーイ!」おいしいビールだった。それからテントに帰って夕食。こんなにラーメンライスがおいしい!と思ったことはない。昨日の今日で多少疲れ気味。持ってきた焼酎もよく回る。寝ながら飲みながら星を眺めながら山を語る。世の中でこれほどの幸せがあろうか。今回の目玉ー急な変更とはいえーにはみんなが満足したものになったようだ。2日目の夜は満天の星とともに更けていった。


第3日目 双子池から自宅まで
【コースタイム】8月20日 晴れ
ヒュツテ6:15~テント地6:40~亀甲池(コーヒータイム)着 7:20発7:55~天祥寺平8:15~龍源橋10:05~京都着18:30
【記録】N.Y.
4時30分ごろ起床、残った焼きそばを水を多い目して朝食を頂く。朝が早いのか池から水蒸気がたっている。憲彦さんが感激して写真を撮る。
早々にテントをたたみ時間が余ったのでツェルトの張り方の講習をする。ストックを使って何処でも張れるやり方を行う。Y田さんにロープの結び方の8の字、グローブヒッチの2種類だけでも正確に伝わらなかった。やはり軽いRCT(金毘羅のY懸尾根)が必要に感じた。
 そうこうしている間にヒュッテ泊まりの3人さんの声が聞こえてくる、ツェルトの張ったのを見てもらい、ザックに仕舞い亀甲池に向かう。途中「ささ」が夜露に濡れて美しかった。なかなか北山では見られない光景でした。時間も有つたので池でコーヒータイムで35分休む。前回M山さん達と来たのを思い出す。昨日の下山路を写真に撮る。
 出発して昨日の花の確認をN彦さんがしてくれる。彼は花に大変詳しく説明を聴きほれる。途中唐松についている「さるおがせ」をN彦さんの説明に共感する。Y田さんを練習でトップで歩いてもらい龍源橋につく。無事、車に再会。荷物を整理していつもの温泉に行く。時間まで覚えていなかつたが朝9時からを確認してお風呂に入る。
 下山報告をメールでN彦さんに送ってもらう。早々に出発して高速道路に入る。諏訪湖のSPで昼食を頂き次ぎの休憩所を打ち合わせて走る。事故車で少し停滞するがほとんど停滞に巻き込まれずに京都まで帰れた。


【リーダーで感じた事】
☆会報に載せた「朝日岳」は10号台風が北上して来たので皆さんと協議して急遽北八ヶ岳に変更。家でインターネットの天気図を5回ほど見て多分北西に進むと判断するが九州や四国は雨との事で、朝日岳は「泊」近くまで行き長い高速や小川温泉からタクシーで奥に入り雨ではと思い説明をして皆さんの意見で北八ヶ岳に決めました。
北八ヶ岳を初めての人もおられ結果的には喜んでもらえる山行が出来ました。参加者は6人でしたが、皆さんのご協力で大変楽しい思い出に残る山行になりました。特にK西さんやTさん、N彦さん、奥さん、Y田さんとも初めての3人テント泊まりで親交の時間をもてました。叉機会がありましたら登りたいものです。その時はよろしくお願いします。特に車を提供して頂たN彦さんに感謝します。
☆地図で判断した大川原峠は7月の雨で落石が有り峠まで車でと思い中に入りましたがリーダーの判断が少し遅かったのは反省します。過去に峠に10台ほど駐車しているのを見たり、地図の「P有り」や道路の幅で判断したのは誤りでした。過去にも同じ様な事も有り、地図の情報を鵜呑みしない事を勉強しました