京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉 山中湖・丹沢表尾根《山紀行629》

毎年恒例になった、1月の山梨山行、関東の友人に声を掛けても「付いて行けないと」と袖にされ単独行となった。毎年好天に恵まれていたが、今年は3日間とも陽の光を見ることもなく消沈していたが、丹沢では素晴らしい霧氷が見られた。

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毎年恒例になった、1月の山梨山行、関東の友人に声を掛けても「付いて行けないと」と袖にされ単独行となった。毎年好天に恵まれていたが、今年は3日間とも陽の光を見ることもなく消沈していたが、丹沢では素晴らしい霧氷が見られた。

【日程】2008年1月12日(土)~14日(月)

【参加者】48期 H.Y.

 

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1日目(1/12):山中湖周回 雨一時曇り

【行程】京都22:48=(▲フジヤマライナー)=山中湖・Hマウント富士入口BS 7:10-22~大出山7:54~長池山8:12-16~飯盛山8:23~大平山8:41-46~平尾山9:08-13~石割山9:36-49~日向峰10:15~山伏峠10:48~大棚ノ頭11:04~富士岬平11:34~高指山11:44-55~鉄砲木ノ頭12:50-57~三国峠13:03-05~三国山13:24-29~楢木山13:50~大洞山14:10-19~畑尾山14:43~立山14:52-56~籠坂峠15:15-21~△平野・レーク荘16:16

【登山データ】歩行 31.1㎞ 8:56 延登高 1,878m延下降 1,875m 16座登頂

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山中湖(標高981m)の西岸、山中湖村寺屋敷の"ホテルマウント富士入口BS"に近鉄高速バス"フジヤマライナー"は停車する。今回の登山口にもってこいの位置だ。しょぼ降る雨の中雨具を着込み暫く湖畔を北上する。まずは大出山(1,102m)に登る。山頂には下車したバス停名になっているホテルマウント富士の白い建物が目立ち車道が上がるが、少し避けてバンガローの林の中を登って行った。ホテルの車寄せを通過するときは一寸気恥ずかしいが兎に角、3等三角点峰大出山1座登頂。

東に進むと東海自然歩道が北の忍野村から上がってきて指導標も完璧。ただ富士山の火山灰質の土が凍上し、今日の雨で溶けて靴が1センチ位沈み込む泥濘だ。すぐに長池山(1,178m)に到着、山頂からの展望が良い。眼下に山中湖、その向うに富士山が見えるはずなのだが、雲に覆われその姿は見ることができない。山頂にはドコモの電波塔があり携帯は良く通じる。登山地図にも載っていないが、400m足らず先に飯盛山(1,190m)、こちらも展望の良い山だ。

降り続いていた雨が上がり天候回復を期待するが周りの山の雲はまだ厚い。一旦下った後、だらだらと登ると2等三角点峰の大平山(1,296m)に到る。山頂には東屋があり、ハイキングに良さそうだ。

芙蓉台別荘地が山中湖から斜面に点在し稜線にまで達している。さらに登るとこれまた展望の平尾山(1,310m)に到る。登山地図で山頂の位置がはっきりせずその先にある1,318mの標高点かと思っていたが、尾根に乗りあがってすぐの展望の利く小高い所が山頂だった。御正体山へと続く尾根は徐々に標高を上げて樹林帯を進む。登山道脇から「ブー」という鼻息の音、なんだろう?と辺りを見ると猪が左から旋回するように登山道の先10mほどを「ブー、ブー」言いながら走って行った。これぞ本物の猪突猛進、こんな近さで野生の猪を見たのは初めてだ。

石割山(1,412m)には6年前にも来た。展望が良く、上空には送電線が通っている。食事休憩をしようと目論んでいたが泥濘んでいてザックを下ろせない。行動食を食べただけで通過、6年前のルートを逆方向に展望もなく特徴のない尾根道を行く。この尾根の一本南側には甲相国境尾根が走りその谷間は道志道(どうしみち)と呼ばれる国道413号線が通る。この両尾根が山伏峠で連結しており国道はこの下をトンネルで抜ける。峠付近では国道の登山口に下山する道が両側に分岐している。

また小雨が降りだした登山道を山伏峠(標高約1,135m)から甲相国境尾根へと登り返す。大棚ノ頭(おおだなのあたま・1,268m)が結節点で登山道から巻き道や作業道が何本も分岐して行くが、左側の稜線道を辿れば山頂に通じる。山頂には立派な標識がある。丁度1年前に鳥ノ胸山から縦走した時に来て以来の山頂だ。展望はなく笹の被った道を下ると分岐点で甲相国境尾根縦走路に合流した。

東海自然歩道のしっかりした道に戻り山中湖、富士山の展望地である富士岬平(約1,170m)、高指山(たかざすやま・1,174m)を越え切通峠(1,050m)に下る。昨年通った道もここまでで、再び処女ルートとなる。2.1キロに渡ってだらだらと登り鉄砲木ノ頭(てっぽうぎのあたま・1,291m)に到る。草原状の山頂には真新しい山中諏訪神社奥宮の祠が鎮座し、富士山が素晴らしいのだろうが、雲の中でどうしようもない。山頂標識には"明神山"と表示があるが三国峠東の明神山と紛らわしい。

三国山との間の三国峠(約1,175m)は山中湖と駿河小山を結ぶ道が越えている。150mほどの登り返しで三国山(1,320m)に到る。甲斐、相模、駿河三国の境の山で現在の県境でもある。残念ながら樹林帯で展望はない。

甲相国境をそのまま進み楢木山(1,353m)、大洞山(おおぼらやま・1,383m・3等三角点「角取山」)と展望のない山を進み植生保護の柵で整備されたアザミ平に到る。篭坂峠への縦走路から分岐し畑尾山(約1,360m)、立山(たちやま・約1,330m)に足を伸ばす。どちらも展望はなく畑尾山には山頂標識すらなかった。

立山の少し崎には4等三角点「立山」(1,309m)があるが、下っていくのも億劫なので山頂で引き返した。アザミ平の分岐まで戻らなければならないと思っていたが立山と畑尾山の鞍部に篭坂峠への道があり儲けた。深く抉れた谷筋を下って行くとアザミ平からの道に合流する。篭坂峠には墓地があり、墓地の中を通って峠に到る。墓地の小屋の庇で、山道モードから車道モードに切り替え、さらに山中湖東岸の平野へ向かった。

バス便もあるが本数少なく、湖岸の朝日丘で乗り換えの不便もあり、車道歩き5.6キロを敢行し、旅館レーク荘に到着した。冬場に泊まる人とてないだろうと思っていたが、この季節の山中湖はワカサギ釣りと富士山の写真を撮る人たちで結構賑わう。この日は写真屋が1人、釣り屋が6人、山屋は私だけという陣容だった。広島から来た初老の男性(ヒワダさん)は月に1度は着ているという超常連、宿の5歳の娘が懐き楽しそうだ。夕食に出たワカサギのてんぷらは美味かった。

 

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2日目(1/13):山中湖~西丹沢 曇り一時雪

【行程】△平野・レーク荘6:48~パノラマ台7:10-13~三国峠7:31~三国山7:47-51~明神峠8:28-30~明神山8:41~湯船山9:03-06~白クラノ頭9:19-21~峰坂峠9:47~蘇峰台10:04-24~世附峠10:28~不老山南峰10:51-11:00~不老山11:03-14~番ヶ平11:51-54~山市場12:39-42~谷峨ST13:25-14:02-松田14:14-15:05=△田代向・平成館15:23

【登山データ】歩行 22.0㎞ 6:37 延登高 1,100m延下降 1,920m 8座登頂

 

新品の靴は買って2度目の山行、まだ足になじまず、昨日靴擦れを起こしてしまった。バンドエイドを貼って2日目の山行を続けるが一寸つらい。東電寮入口から山道に入るがすぐに車道に飛び出てしまう。車道がひと曲がりするとパノラマ台、ここは富士山・山中湖のビューポイントで朝焼けの富士山を撮ろうというカメラマンが大勢来ていたが、雨こそないものの富士は雲の中。同宿の広島の人も夜明け前から撮影ポイントに出掛けたが、諦めて帰ったようだった。

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凍結した車道を歩き三国峠に達する。昨日縦走で南北に通った同じ道を三国山へと登って行く。一日降り続いた雨は夜雪になり、ほんの1㎜程度の積雪だが気温が低いので解けていない。昨日撮れなかった三国山山頂写真を撮って本日の最高峰を改めて味わった。

今日は甲相国境尾根を離れ相駿の国境尾根を進む。少し下りだすと雪がちらつき始め防寒を兼ねて雨具の上だけ着た。暫く進むと稜線の張り出しに4等三角点「上野」を発見。少し下ると送電鉄塔がある。切り開かれて雲は多いが甲相尾根の展望が良い。鉄砲木ノ頭や菰釣山が見える。

三国峠まで歩いてきた車道がここで交差し稜線付近を走り明神峠へと繋がっている。登山地図にはこの車道を歩くようなルートになっているが、稜線にも明瞭な道がある。一つ小さなピークを越える以外はほぼ下りで明神峠に到る。また車道に下りるがすぐに山道に戻る。下界から騒がしいバイク?の音が静かな山中に轟き渡る。騒音は絶え間なく続きうんざりする。後で地図を見るとどうやら公道を走るバイクなどではなく、富士スピードウェイのレース場からの騒音のうようだった。

明神山(976m)は何の表示もなく樹林帯で知らずに行過ぎてしまいそうだ。雪は止んだが、時々ガスが掛かりすっきりしない。湯船山(1,041m)、白クラノ頭(978m)はいずれも展望はない。

峰坂峠(標高720m)と世附峠(よづくとうげ)の間は登山地図にはまた車道歩きのルートになっているが、この稜線にも登山道がある。悪沢峠(あしざわとうげ)から少し登ると"樹下の二人"と標識のあるピーク、以前は蘇峰台(そほうだい)と呼ばれていたらしく何故の改名か、ロマンティックなようで全く悪趣味な名前だ。伐採された山頂は展望が良く、着いた時は雲に隠れていた白クラノ頭や不老山は、昼食をしている間にくっきりと姿を現し、写真に収めることができた。

世附峠(標高710m)は今日の縦走路の最低箇所。不老山(928m)まで200m以上の登り返しとなる。登り始めてすぐに小さな小さなピークにある3等三角点「峰坂峠」にご挨拶をして登り続けると前方に人影が見える。今山行初めての人との出会いだ。猪や鹿ばかりしか出会わなかったので妙に人恋しい。また山市場、駿河小山を起点に良く歩かれている山域に入ったことも実感できる。

まず登りついた所は不老山南峰(926m)で、振り返れば白クラノ頭や三国山、昨日登った大洞山も見ることができる。残念なのはその隣に見えるはずの富士山の姿がないことだった。山頂から南に駿河小山へ下る県境尾根が分岐しており、世附峠経由のルートも含めて駿河側からは4本ものルートがある。

県境尾根と分れなだらかな登山道を200mほど北東に進むと不老山本峰(928m)に到る。折しも山頂には20数名の団体が宴会中で全く幻滅してしまった。小広い山頂に防火帯の切り開かれた部分に少し展望があるだけで南峰の方がよほど良い。

腹ごしらえを済ませ東へと下る。1.4キロ行くと林道が交差し"番ヶ平"と道路標識が建っている。その先に顕著なピークがあるが登山道からは外れている。分岐点には「登山道ではない」と記されているが、作業道であろう明瞭な踏跡がありピークに達する。登山地図に番ヶ平と記されているので山名として頂くことにした(標高867m)。分岐まで400m戻るのは、かったるいので南に続く尾根の樹林帯を突っ切り登山道に下りた。

後はひたすら山市場に向けて下るだけ、植林帯の中をジグザグに道は続き2.7キロ歩く。河内川の本流に達すると山市場の集落(標高210m)だ、バスもあるが時間も早いし、距離も知れている。谷峨駅までの3.7キロは県道を歩くことにした。丹沢湖、玄倉に向かう西丹沢メインの道なのでそれなりの通行量はある。

無人駅の谷峨駅には和歌山電鉄貴志川駅で有名になったスーパー駅長"たま"の如く猫が居ついて人が傍を通っても逃げもしない。そのうちに駅長に祀り上げられるのでは?

御殿場線に乗り3駅先の松田で降りる。寄(やどりき)行の富士急湘南バスに乗り換え宮地山麓の田代向で下車し今日の宿「平成館」に入った。温泉宿で24時間入浴できる。夕食には猪鍋と鹿料理が出て舌鼓を打った。

 

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3日目(1/14):丹沢表尾根 雪一時曇り

【行程】△田代向・平成館6:30~宮地山7:15-18~シダンゴ山7:57-8:02~ダルマ沢ノ頭8:30-33~秦野峠9:12~伊勢沢ノ頭9:56-10:04~檜岳10:22-25~雨山10:48-50~茅ノ木棚ノ頭11:34-36~鍋割山12:12-37~小丸12:56-58~大丸13:16~塔ノ岳13:37-40~木ノ又大日14:00-02~新大日14:12-15~政次郎ノ頭14:30-32~行者岳14:41~烏尾山14:57~三ノ塔15:22~二ノ塔15:32-37~葛葉の泉16:23-27~菩提原BS16:58-17:29=渋沢17:47-18:01-秦野18:04-12-(小田急はこね号)-新宿19:10-22:38-東京22:51-23:10-(▲ムーンライトながら)-大垣6:55-7:00-京都8:56

【登山データ】歩行 27.1㎞ 10:28 延登高 2,677m延下降 2,717m 18座登頂

 

丹沢は5年ぶり、丹沢主稜を縦走して以来だ。今回は西丹沢から塔ノ岳、表尾根を下る馬蹄形縦走を目指した。構想は欲張り結果27㎞の大縦走になってしまった。

夜が白み始めた6時30分宿を出発、車道を歩き宮地山の登山口を探すが結構ややこしい。何度か間違え指導標のある曲がり角に達し一安心。標高390m辺りから登山道に入り植林帯のジグザグ道を登る。宮地山(512m)山頂は鹿除け柵が張られ展望はない。

フェンスの周囲を迂回し縦走路を進む。588mピークを越え登り返すとシダンゴ山(758m)の分岐に達する。標高差70mほど斜面を登ると山頂に達する。漢字では「震旦郷」と書いたそうで、震旦とは中国の旧異称でそれが語源だとも、「羅漢」の梵語「シダゴン」が転じたとも言われている。樹林帯を飛び出した山頂は展望良く3等三角点が置かれている。晴れの天気予報だったのに朝から雪がちらついている。

分岐に戻り西へ進むとすぐに林道が交差する。アルミ階段で切り通しを登り登山道に戻っても急登が続き812mピークに到る。なだらかになり展望のないダルマ沢の頭(880m)の先で南西に続く尾根を離れ林道秦野峠に下る。標高745mまで高度を下げ先程の林道を再び横断する。

本当の秦野峠は別にあり複雑な道を進み荒廃した旧道が寄大橋へと下りて行く。再び登りに転じ1,000mを越えるとちらついていた雪が解けずに登山道にうっすらと積もっている。伊勢沢ノ頭(1,177m)は少しだけ展望があり山頂の先で90度方向を変え東に進む。

今日のものと思われる足跡が突然現れるがどうも不自然だ。やがて犬の鳴き声が聞こえ登山道の先を吼えながら走って行った。どうもハンターがいるようだ。やがて「パーン」という鉄砲音。やはりそうなのか、おっかない。登山道を外れないように鈴を鳴らして進む。丹沢もご多聞にもれず鹿が増え過ぎて食害対策に防護柵があちこちに張り巡らされている。

檜岳(1,167m)まではなだらかな山頂域が続いたが、雨山(1,176m)の登りは厳しい馬ノ背の稜線となり雨山峠へと続く。雪は止んだ。雨山峠では寄沢を登ってきたルートが合流し鍋割山へと登っていく。深く抉れた登山道は恐ろしく急でやっとの思いで稜線に辿り着くと今度は岩場の通過で神経を使う。樹林の隙間から雨山を振り返るとピラミダルな山容が素晴らしい。茅ノ木棚ノ頭(1,108m)辺りは霧氷となり鍋割山とのコントラストが素晴らしい。

鎖の掛かる難路を進み鞍部の鍋割峠に達すると寄コシバ沢のルートを登ってきた道が合流する。今日の足跡が2つほど鍋割山に向かっている。峠から標高差200mほど、やはり難路を登る。北側が大きく崩れ登山道も崩れ落ちている箇所がある。ここからは丹沢主稜の山々が見え、雲の隙間から顔を覗かせている。山頂域に近づくと登山道が整備され丸太階段が歩きやすい。時刻は12時、鍋割山荘の有名な鍋焼きうどんを思い浮かべながら頂上を目指した。

 

山頂は賑やかで、7~8人が休んでいた。鍋割山荘は山頂にあり今日も鍋焼きうどんを賞味する人たちが中に10人ほどいた。980円の鍋焼きうどんを注文し、5年ぶりの味を懐かしく噛みしめた。5年前は東京の友人4人と一緒に昼頃に着いて鍋焼きうどんを食べそのまま泊まって豪勢な石狩鍋を食べて早めの忘年会を楽しんだものだ。今日は一人、鍋焼きうどんを食べると塔ノ岳に向けて出発だ。

東へと歩を進めると霧氷は更に発達して素晴らしく塔ノ岳の姿もまだ遠くに真っ白に聳えている。小丸(1,341m)、大丸(1,386m)のピークを過ぎ"金冷し"では大倉からのメインの登山道と合流する。前回工事中だった、登山道設置工事が終わり、丸太階段と木道が完璧に付けられ、余計なところに踏み出さないように柵も付けられ植物園の遊歩道を行くようだ。この山域の地質は脆く、登山道が抉れ、歩きにくいものだから脇を通るようになり登山道が広がり破壊が増々進んでいたものだった。

塔ノ岳(1,491m)は今山行の最高点、広い山頂には立派な山頂標識があり、大きな尊仏山荘が営業中、手前にはトタン張りだった日の出山荘の跡が残る。展望は良いが、ガスが出て何も見えない。13:40ヤビツ峠はまだ遠い3分留まっただけで出発、表尾根を下る。

表尾根は長い。雪の踏みしめられた急坂を下る。アイゼンをした方がいいなと思いながら登ってくる人に聞くとこの先なだらかになると必要ないとのことだったので、アイゼンはしないで木につかまりながら下った。斜面から白い表尾根が見通せ、霧氷の美しさと相まって壮観な眺めだ。木ノ又大日(1,396m)では雲の下に抜け展望の良い山頂からは表尾根のピークごとにある山小屋が山座同定の助けになる。この山も山頂のすぐ東に木ノ又大日小屋があるが冬季休業中。

500m東は新大日(1,340m)のピークで新大日茶屋、これも冬季休業中、この先書策小屋(かいさくごや)、烏尾山荘、三ノ塔休憩舎がピークごとにあり面白い。三ノ塔へは結構登り返しとなりそうだ。書策小屋まで下ると大山(おおやま・1,252m)の姿が望め中々のものだ。書策小屋は廃業しており、扉がなくなり雪が吹き込んでいた。

小屋の先は険しくなり、政次郎の頭(1,209m)、山頂標識はピーク北側の大倉への分岐点にあった。2.5万図にはこの地点に"行者岳"の表示があるが位置が間違っている。行者岳はこの先の岩場で長い鎖が掛かり一番の危険箇所だ。山頂からの展望は良く振り向くと木ノ又大日、新大日が聳えその手前に書策小屋が目立っている。塔ノ岳は残念ながら未だ雲の中。

南側の斜面も厳しく慎重に下る。登り返すと烏尾山(1,136m)で山頂は360度の展望で烏尾山荘がある。これも冬季休業中。次はいよいよ三ノ塔(1,205m)、100m余り登り返しとなる。台形状のどっしりした山だ。山頂には夏は人の入る休憩舎があり、一人の女性が休憩中。どこへ下るのかと尋ねると三ノ塔尾根を下ると言う。私がヤビツ峠に下ると言うと、今日は道路凍結のためバスは来ていないとのこと!

バスを当てにしてそこへ下りようとしていたのに!

さらに下の蓑毛まで下りるとなると1時間余計に掛かる。思ったほど時間短縮できていないので、このまま行くと日のあるうちに下山することは不可能。さてどうしよう。表尾根の縦走を完遂しておきたかったので、ニノ塔(1140m)まで行きニノ塔尾根を下り秦野市の菩提原へ下りることにした。林道に出れば暗くなっても問題はない。

ニノ塔尾根は登山道の抉れが激しく、人の歩行に支障を来たし新たな道が何本もできている。標高705mで林道が交差し更に登山道を下り標高差700mを下降して漸く2本目の林道に飛び出した。林道ゲートがあり、一般車はここまで。100mほど行くと「葛葉の泉」と銘のある名水が沸いている。地元の人であろうか10?ほど入りそうなポリタンクを何本も持ってきて名水を汲んでいる。途中で500mlのペットボトルに入れるのに割り込ませてくれた。

車道を2.9㎞歩き、暗くなるぎりぎりの16:58菩提原BSに到着した。17:15に秦野行きのバスがあるはずだったが待っても待っても来ない。反対側に渋沢行きのバスが来たのでそれに飛び乗り小田急渋沢駅へと向かった。1駅先の秦野から小田急"はこね号"に乗り新宿へ。東京の友人Fさんが改札口待っていて"ムーンライトながら"に乗るまでの時間を共に過ごしてくれた。

【登山データ計】歩行 80.2㎞ 26:01 延登高 5,655m 延下降 6,512m 42座登頂

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