京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.2955 「RDBの会」第12回植生調査 北山:桟敷ヶ岳

オルゴールのような『グリーンスリーブス』を響かせながら、バスは終点に着いた。雲ヶ畑岩屋川に沿って北へ向かう。ヨメナ似の花・マツカゼソウ・クサアジサイ。九月は花もひっそりと咲く。エリマキツチグリは栗が冬に備えて襟巻きを巻いたよう(なキノコ)だ。

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写真:アケボノソウ

 

 

【No.2955】2009年9月13日(日)

RDBの会」第12回植生調査

北山:桟敷ヶ岳

50期 奥野淳子

【参加者】CL西田和美、SL山本憲彦、穐月大介、四方真知子、葛城美知子、山本浩史、奥野淳子、宮崎みち子、向昌弘(会員9名)、國岡美千子(非会員) 計10名

【天 候】晴れ 時々くもり

【記 録】出町柳駅8:10=(京都バス)=9:07岩屋橋9:09-9:45志明院10:40-11:09薬師峠-11:50岩茸山-12:42桟敷ヶ岳山頂13:17-13:43ナベクロ峠-14:02祖父谷峠-15:06石仏峠-15:40狼峠-15:53祖父谷林道-17:11岩屋橋

                           

オルゴールのような『グリーンスリーブス』を響かせながら、バスは終点に着いた。雲ヶ畑岩屋川に沿って北へ向かう。ヨメナ似の花・マツカゼソウ・クサアジサイ。九月は花もひっそりと咲く。エリマキツチグリは栗が冬に備えて襟巻きを巻いたよう(なキノコ)だ。

志明院は鴨川の水源地に不動明王を祀っている。岩屋の入口に肩にカラスを乗せたキツネの石像があった。寺の横から緩やかな道を登る。沢沿いにアケボノソウの群落。小さな白い花をルーペでのぞくと、花びらの中ほどに黄色の楕円が2つ。先の方に濃い紫の斑点。(夜明けの星空に見えますか?)  クリンソウが葉を広げる沢を離れ、林の奥に六体並んだお地蔵様が見えて来ると、薬師峠に到着だ。

ここから東に向きを変え尾根を歩く。ひょろひょろと伸びた無数の樹は枝がもつれ合うように茂り、暗い。まだ青いイガ栗が落ちている。マンサクが黄葉し始めている。コナラの大木の根元に粉が積もっている。カシノナガキクイムシの仕業だ。ウリハダカエデの太い幹にクマの爪跡。カエデの樹液は甘い。そういえばクマは甘い蜜が好物だ。岩茸山の東を巻いて桟敷ヶ岳へ。山頂で昼食。尾根伝いにナベクロ峠へ向かう。

祖父谷峠から石仏峠へと回る道は送電線を何度もくぐる。電線の下の樹は切り倒されていた。その後に生えたウリハダカエデの若苗が大群落を為す。ママコナもあちこちで群落を作っている。朽ちた枝のロクショウグサレキンは深い海の色だ。ヒイロタケは倒木に紅い花が群れ咲くよう。石仏峠からの林道は一部崩れて狭まっていた。シマヘビの子どもが石ころ道の真ん中でじっとしている。平らな林道から一転、急斜を暗い谷へ降りる。

「狼峠」の道標の辺りは、木は切られ土は削られて「昔、狼が出た」という恐ろしげな面影はない。沢沿いにアケボノソウ・オタカラコウ・ママコナの群落。広い祖父谷林道に出た後はバス停までのんびり歩くだけだ。はじけそうなアケビ、たわわなヤマブドウのような蔓性木。アキチョウジやミカエリソウの開きかけたつぼみが秋の訪れを告げていた。

 

【感想】         52期 向昌宏

 RDBの会に初めて参加させていただきました。

 はじめは名前からコドラートなど持ち出して調査でもするのかなと想像してましたが、そんなことはなく、ゆっくりとした山歩き&自然観察会だったので安心しました。西田CLや山本SLから次々と出てくる植物やキノコの名前にすごい同定力だなと驚きつつ、いろいろ教えていただきました。ありがとうございました。

 今回特に印象に残っているのは、ママコナとウリハダカエデの群生です。ママコナがあんなに集まっているのは初めて見ました。ウリハダカエデは高圧線の管理ゆえでしょうが一面にびっしりと。紅葉はきれいでしょうが、印象としてはぎょっとしました。あとはエリマキツチグリとロクショウクサレキンも覚えています。

 これからちょっとづつ植物について、一緒に学ばせてもらいたいと思います。

【感想】      48期 山本浩史

雲ヶ畑は山の中

昔村だったが今や京都市北区

惟仁親王清和天皇)に皇位を持って行かれ、この地に隠棲した惟喬親王

親王を護り鴨川源流を守るという気位の高さを持ち合わせた里の人々

岩屋不動、惟喬神社にお参りし遠い平安時代に思いを馳せた一日でした。

 

【感想】      48期 葛城美知子

秋の気配を感じる登山日和で、桟敷ヶ岳の植物・キノコ観察と登山ルートの確認が出来た1日でした。花ではアケボノソウが1番印象に残りました。「1年目はロゼットといって根生葉だけで過ごし、2年目に花をつけると」と実物を見ながら山本さんから説明を受けると納得が出来覚えられます。「名の由来は花冠の緑色の斑点と黒紫色の斑点を夜明けの空の月と星に見立てたため」と知ると、よけいに可愛い花と思えます。

キノコではヒイロダケ。「朱色で鮮やかですが、涸れると白くなるが同じキノコです」と西田さんが教えてくれた。ママコナの群生を見たのは初めて、又祖父谷川沿いのオタカラコウ・メタカラコウも綺麗でした。葉の形が丸いのがオタカラコウで、三角なのがメタカラコウと教わり、見分け方が分かりました。

向さんが植物図鑑を3冊持参されたお陰で、バス待ちの1時間の間にアオツヅラフジとアクシバの実、ツルニンジンが確認出来たのもよかった。穐月さんには、アケビを頂き料理の仕方も教わりました。植物好きの人ばかりで、勉強になると共に楽しい山行でした。会員外の國岡さんには北岳に続き、今回もお世話になりました。本当に山が好きで、よく歩いてられる方だと感心しております。

 

 

 

【感想】      25期 穐月大介

久々の山歩きはとても気持ちの良い北山で普段の毒気が抜けたような気がしました、有り難うございます。

最初に行った志明院 (岩屋不動)はとても神秘的な水源を奉る由緒正しいお寺でした、創建は奈良時代と伝えられますがいつ頃から此処は神聖な場所だったのでしょう?始めにここに住み始めた人たちにとっても神聖な場所だったのではないかとおもいます。

お寺の奥さんは、都の造営の時朝廷に秦氏が材木の技術者として連れてこられたのでこのあたりの人はとても誇り高いのだととても誇しそうに話してくださいました、だから近年までお賽銭などは受け取らなかったそうです。

桟敷が岳は 惟喬親王(これたかしんのう)が桟敷を作り都を懐かしんだ場所と言われているところですが此処に親王がおられたという確かな記録はちょっと調べただけでは見つけかりませんでした、しかし親王は彼方此方の山奥を転々とされており木地師の始祖と崇められています、きっと北山には木地師がたくさん住んでいて吾こそは 惟喬親王の直系と誇りたかったのではないでしょうか。近くにこんな豊かな山を控える京の都はやはりすてきな都です。

岩屋不動が舞台の「鳴神(なるかみ)」というのは歌舞伎一八番の演目の一つで粗筋は以下のような物です。

鳴神上人は子のない天皇からの依頼をうけて皇子誕生の願をかけ成就させるが、天皇は寺院建立の約束を反故にする、怒った上人は竜神を滝壷に封印し国中が旱魃に襲われる。そこで天皇は内裏一の美女・雲絶間姫(くもの たえま ひめ)を上人の許に送り込み上人も抗しきれずとうとう戒律を犯してしまう。姫が竜神を解き放つとと豪雨が降りだし、騙されたことに気いた上人は雷神鳴神(らいじん なるかみ)となり、姫の後を追う。(Wikipedia抜粋)その滝壺が岩屋不動の滝壺と言うことだと思います。

【感想】      44期 山本憲彦

 今回は久し振りに(私は桟敷から奥はおそらく40年振りくらい?)桟敷ヶ岳周辺の散策です。

 今回は植生観察。おそらく花も端境期で、あまり咲いてないだろうと、踏んでいたのに、なんとアケボノソウやオタカラコウが満開でした。

 ミズヒキソウやママコナは群生していました。私はママコナは数年前に私担当の例会で鈴鹿山脈の仙ヶ岳で見て以来でした。しかもここのママコナは大きな群生です。この植物は半寄生植物で、私はとても気になる植物の一つです。

 キノコもたくさん姿を見せてくれました。ここ一週間ほどカンカン照りの日が続き、とてもキノコは期待出来ないだろう。企画の段階ではキノコがにょきにょき状態だろうと、あえて西田さんに今回はリーダーをお願いしていたのに、この日照りでは…?と思っていたら、例会の前日に大雨。西田リーダーは、念のために大雨の中を下調べに行ってくれたそうです。

 それに今回が関西での例会参加が最終回となる國岡さんが参加してくれました。おそらく比良山岳会のなかでも彼女と同じくらい京都北山を歩いているメンバーは珍しいのでは?なんと彼女は小さな沢筋まで何が咲いていたかを記憶しています。驚異の花女です。その彼女が(私は比良山に入ってくれると信じていたのですが)事情で関東に帰ることになり、みなさんに会いたいと言って引っ越し2日前にも係わらず参加してくれました。思い返すと、彼女とは一年半のRDBのメンバーと花を見続けたおつきあいになりました。関東にいるのでまたRDBの女性メンバーは押しかけることでしょう。

 RDBの会も今年は通算14回目の芦生例会で今年を終えます。けれど植生調査は来年もまだまだ続きます。

 今年も忘年会や来年1月の恒例の愛宕山初登山&新年会をやる予定です。また、RDBは例年1-3月の雪山は登らないので、私の発案で、登らない間にレベルアップを目指して、毎月一回、各地の博物館巡りをして、いろいろな分野の勉強をしていきたいと思っています。帰りに特産品の味を見るのも楽しみにしたいと思っています。ぜひご参加ください。

 さて、都ながめの岩にたって、歴史講師の穐月先生は何を思われたことでしょうか?「感想」が楽しみです。西田リーダーは当然キノコの記録を兼ねての「感想」でしょう。四方真知子さんは先日の燕岳例会に続いての参加。最近花を見る目に鋭さを感じます。宮崎さんは久し振りでした。でも今度の11月の芦生例会ではともに例会後半を盛り上げることで投合しておりますので、よろしくお願いします。

 そして、何よりもうれしかったのは、みごと復帰してくれた奥野さんの参加です。これからバリバリやってくれると思います。またさらに、向さんというすばらしいメンバーを迎えることが出来ました。若手がこのRDBの植生観察に継続して来てくれると大いに刺激になります。よろしくお願いします。

 花の好きな葛城さんもRDBの強力なメンバーの一人です。頼りにしております。今回は関西100名山のTCの山本浩史さんも参加。実は彼はRDBの参加メンバーでもあったのです。彼はRDBの前身の「花巡り例会」から飛び立っていったメンバーです。

 このRDBの会・植生観察・植生調査は今年、10月は頭布山、11月は八ヶ峰・芦生で「植生調査」は終了とします。

 2010年は、3月後半から調査を再会する予定です。まだ参加されてない会員のみなさんもぜひご参加ください。参加をお待ちしています。

 

【桟敷ヶ岳のきのこ】 40期 西田和美

 前日に降った雨の恵みが少しはあることを願いながら、志明院より桟敷ヶ岳を目指しました。登山道は乾燥気味で、きのこはほとんど姿を見せてくれません。

 諦めかけていた時、薬師峠での休憩中におもしろいものを発見しました。倒れて朽ちかけた木材に半分埋もれるようにして、白い小さな塊がいくつか見えているのです。硬質菌の幼菌かと思いましたが、触ってみると弾力性があり柔らかい…転げ落ちた一つを割ってみると、中から見覚えのある深緑色のゼラチン状グレバが…。シラタマタケだったのです。松の菌根菌で半地中生のため、普通は土に埋もれて生活しているのですが、変わりモノもいるようです。シラタマタケのグレバは、お線香を焚いた様な心落ち着く香りがします。「カビ臭い!」というご意見もありましたが、私の好きなきのこの一つです。

以下、同定のできたきのこの名前をあげておきます。

 

エリマキツチグリ、シラタマタケ、スギエダタケ、コカブイヌシメジ、スギヒラタケクヌギタケ、ヒメカバイロタケ、ツルタケ、タマシロオニタケ、スギタケモドキ、センボンイチメガサ、ツギハギハツ、ヒトクチタケ、ウチワタケ、アオゾメタケ、ヒイロタケ、カワラタケ、シハイタケ、スエヒロタケ、コフキサルノコシカケ、ホコリタケの仲間、ロクショウグサレキン、ミイロアミタケ

 

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志明院山門前

 

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桟敷ヶ岳山頂