京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.2965 七七頭ヶ岳・赤坂山 《関西百名山シリーズNo.29・30》

湖北余呉町で丹生富士と呼ばれる七七頭ヶ岳、高島トレイルの赤坂山、快晴の秋、紅葉も見ごろで最高のコンディションで2日間の山行を行った。そして夜はマキノの田辺邸で楽しく過ごした。

20091107七七頭・赤坂4

 

赤坂山山頂にて

 

 

例会No.2965 七七頭ヶ岳・赤坂山 《関西百名山シリーズNo.29・30》  平成21年11月7日(土)~8日(日)

48期 山本浩史

 

 湖北余呉町で丹生富士と呼ばれる七七頭ヶ岳、高島トレイルの赤坂山、快晴の秋、紅葉も見ごろで最高のコンディションで2日間の山行を行った。そして夜はマキノの田辺邸で楽しく過ごした。

 

【メンバー】 加藤一子L、多胡豊弘(8日のみ)、尾崎 稔、山本浩史TC    計4名

 

1日目(11/7)  七七頭ヶ岳 晴れ

【行  程】  桂6:02=6:22竹田駅6:32=京都南IC=木之本IC=7:48木ノ本駅8:10=8:22上丹生谷田部橋8:39~P381 9:03~9:32七七頭ヶ岳10:38~11:28菅並11:38~12:20上丹生谷田部橋12:40=12:55北近江の湯14:51=15:17石道寺15:50=16:40△田辺邸

【登山データ】  歩行6.8㎞ 3時間41分 延登高 528m 延下降 528m 1座登頂

20091107七七頭・赤坂地図1

 

 

休日1,000円の高速道路は車が多い。しかし渋滞もなく木ノ本ICまで順調に走り、集合場所の木ノ本駅に着いた。舞鶴から来る尾崎さんを待つがいつまでたっても来ない、電話してみるとなんと駅前の違う場所に既に着ていた。小さい駅なので駅のどこでとまで打ち合わせしておかなかったのが災いした。

車2台で県道285線を高時川に沿って進み上丹生集落に達すると県道から分れて林道に入る。終点が広場になっており地図にはない橋(谷田部橋)が高時川に架かっている。対岸を並行して走っている県道から直接入れるようになったようだ。先着の車が1台男性一人が登山準備中だった。

七頭ヶ岳の地図を配りコース説明が終わると、早速ミッション1:「登頂時刻を予想」を行う。登山口からの距離は2.1キロ、標高差500m、途中P381があるが小さな丘程度という条件を2.5万図から読み取って加藤Lが3時間、尾崎さんが2時間、私が1時間20分と大きくバラつく予想を立てた。

加藤Lを先頭に歩き始め林道の続きを少し進むとすぐに斜面に取り付く。稜線に這い上がったところにあるはずの「P381を特定」がミッション2で地形を見て注意深く進む。一寸した丘を避けるように右に登山道は反れるが、直進する踏み跡も微かに続いている。これがP381であることは間違いない。左の稜線道を辿りピークに立ちミッション2は成功した。

稜線を行くと西側の展望が良く行市山(660m)と思しき山体を望むことができた。標高は徐々に上がり七七頭ヶ岳(693m)山頂に辿り着いた。山頂では先に登り始めた男性が休んでいた。観音堂があり、「西林寺」と銘額が掲げられている。登山口にあった石碑によると伊香西国二十九番の札所であるらしい。勿論無住である。ミッションの結果は登山口からの所要時間50分で誰の予想よりも大幅に短かった。

樹林帯の山頂に展望はなく観音堂から20mほど先に3等三角点「七七頭ヶ岳」がある。西側に少し下ると瑠璃池があるので行ってみようと歩き始めたがいつまで下るのか見当がつかず、水場程度のショボイものだとの情報ですぐに諦め山頂に戻った。樹林越しに横山岳らしき山体が見えるので山座同定してみると正に横山岳だった。昨年(平成20年12月)関西百名山シリ-ズNo.16で新雪を踏んで登った山だ。

ミッション3「菅並への分岐を特定」は下山路で尾根を直進し道に迷ったというHPの記事があったので、右に分岐し菅並集落への正しい下山路の分岐を見つけようというものだ。入会初参加の尾崎さんは今日、読図ポイントの対象なので、時間に余裕があるので2.5万図とコンパスで進路を小まめに合わせ、間違いなく分岐点を見出すことができた。

余中横山岳が姿を現すポイントがあり懐かしく写真に収め、菅並集落に下山した。下りて来た場所が集落のどの当たりであるかを周りの地形と照合しほぼ集落中心部であることを確認した。上丹生まで県道285号を3キロ歩き谷田部橋袂の登山口に戻った。この県道は直線的にトンネルで付け換わり、2.5万図に描かれている道はすでに旧道となり車は走っていない。ここにも過大な公共工事の手が入っているようだ。

わずか6.8キロの行程で12:20早くも登山は終わってしまった。物足りない加藤Lは福知山マラソンに向けてこれから走ろうかと真剣に考えてみたものの暑いのでやっぱり嫌だと温泉に直行することになった。木之本の北近江の湯に立ち寄る。去年の横山岳の後も来た温泉だ。ただ土休日は1,200円と一寸高い。

小腹が空いたのできつねうどんやたこ焼きを食べて寛ぐが、まだ時間が早いので木之本の古刹を訪れようと云うことになり、鶏足寺を目指したが何の案内もなく石道寺に変更、駐車場もある。お寺の前のもみじ1本だけが見事に色づき素晴らしかった。平安時代に栄えたこのお寺も明治27年仁王門が焼け、その2年後に山津波で壊滅状態になり旧寺域を捨て現在地に十一面観世音菩薩と2体の持立仏だけが祀られている。3体とも重要文化財。探していた鶏足寺はここから400mほど北へと案内表示があり、そのまま歩いて訪れた。色付き始めたもみじの参道は立派で両側には塔頭の跡、相当規模の大きな寺院であったことが窺われる。後半の連休の頃、紅葉は盛りを迎えそうだ。

観光で時間を食ってしまった。国道8号線、303号線、161号線を通り一路田辺邸を目指した。3回目の訪問で道に迷うことなく到着、既にお泊り参加の野沢さん奥野さんも到着し、宴会準備は万端整っていた。遅れて来る富岡さんは待たずに宴会を始め19時前皆が揃い楽しいひと時を過ごした。

 

2日目(11/8)  赤坂山 晴れ

【行  程】  △田辺邸6:00=6:03近江中庄6:15=6:28マキノ高原6:38=6:48国境6:54~8:16乗鞍岳8:27~10:37黒河越10:55~11:40三国山11:57~13:03赤坂山13:13~14:09寒風14:16~15:04マキノ高原16:28=16:44国境16:46=京都駅18:52=19:10桂

【登山データ】  歩行 18.4㎞ 8時間14分 延登高 1,397m 延下降 1,609m 4座登頂

20091107七七頭・赤坂地図2

 

朝5時、田辺さんと奥野さんが起きて朝食の準備をしてくれた。昨夜の鍋にうどんを入れ、おにぎりを食べ6時出発、近江中庄駅でこの日だけ参加の多胡さんと合流しマキノ高原へ、山本車と尾崎車をデポし多胡車で国境スキー場へと向かった。スキー場の入口はロープで閉鎖されているのでロープ前に駐車しスキー場内へと歩き出した。歩荷に挑戦する尾崎さんはそこらに転がる石を14キロ詰め、多胡さんは不足分の1.5キロほどの石を詰め20キロの規定重量をクリアした。

皆に配布する予定だった地図はマキノ高原に置いた車の中に忘れて来てしまった。TCの持っている地図だけで登ることになってしまった。昭文社登山地図「比良山」は最近この山域もカバーするようになり使い勝手が良い。田辺さん情報によると登山口が分り辛いとのことだったが、リフト間のゲレンデ端を真っ直ぐ登るとゲレンデの最上部で登山道を見出すことができた。

今日は高島トレイルの基点からまずは乗鞍岳を目指して進む。この稜線は4本もの送電線が平行して走っている。送電線は格好の目標物となりいいところもあるが、やはり煩いものだ。しかしこの内の2本は2.5万図には載っていなくて新しいもののようだ。

乗鞍岳(865m)には2等三角点「野口村」があり、琵琶湖側だけが開けている。このところの晴れ続きで霞んで遠望は今一よろしくない。2.5万図では三角点の傍に電波等があるが移設されたのか今はなく建物だけが残っていた。そして200mほど南には関西電力の巨大な電波等がある。作業道がここまで上がり、広い駐車場のようなスペースも整地されていた。ただしこの道一般車は通行止め。

西の方の展望が開けると三国山と赤坂山の間に明王ノ禿のガレ場が見えた。まだ先は長い。アップダウンの少ない稜線を進み再び送電線が頭上を横切り、2本目の送電線で休憩、三国・赤坂の属する野坂山地敦賀の先端部まで見通せ、先端には野坂岳(914m)が鎮座している。

昨日とは違い風がありじっとしていると肌寒い。シャツ1枚では冷えてきて歩きたくなってきた。標高差150mの初めての大下りをすると、国境尾根が南に90°曲がり4組の送電線の南に出た。先のピークを右に巻くように道は下って行く。地図がないので今日唯一のミッションとして「白谷三角点を特定する」は、この先の小高いピークにありそうだ。微かに続く踏み跡を辿り進んでいくと、果たして4等三角点「白谷」はあった。山名はないがプレートがいくつもあり結構来ているようだ。

展望はなく南に向けて踏み跡が続くが方向が違う、偵察してみるが方向が転じる様子もなく分岐まで戻るか、ヤブを突進するかだが、関西百名山シリーズに後戻りはない。ヤブに突進し短絡して登山道に復帰した。100m下り黒河越(くろこごえ・565m)に到る。トイレが設置されているのでしばし休憩、駐車車両が10数台、殆どの人が三国・赤坂山に行っているのだろう。乗鞍岳方向へは途中で出会った2組の登山者だけだった。

国境から続けてきた歩荷はここで終了、尾崎さんは14キロの石を捨て身軽になったが、多胡さんは捨てられる物が1.5キロの石一つでさらに歩荷は続き後半戦の三国山へと踏み出して行った。国境尾根を外れ南側を巻くように登山道を進むと右側から林道が合流し100mほど林道を行く。右側への指導標に従って再び登山道に入る。三国山は縦走路が南西側の中腹を通っており、分岐して山頂を目指す。分岐付近では敦賀から来たボーイスカウトの子供たちが休憩中だった。

三国山(876m)山頂は3等三角点「三国岳」があり、東方向に一部展望が開ける程度で狭い。野坂山地北の稜線に道はないが野坂岳へと通じているはずで、何やら意味ありげなテープが巻かれている。ここは一度踏み入れてみたい山域だ。分岐に戻り縦走路を行く。八王子川支流の源頭のガレ場、明王ノ禿は独特の風景を醸し展望は素晴らしい。登ってきた三国山やこの先の赤坂山も遮るものはない。昼食休憩を取りゆっくりしていると、さっきのボーイスカウトが赤坂山に1列になって登って行くのが見えた。そして間もなく彼らは山頂に達し広くもない山頂に溢れんばかりの人で禿頭に“毛”が生えたようだった。

赤坂山(824m)へは稜線が露出し大した登り返しもない。もう彼らはいないだろうと思ったが、何を何をまだ山頂でお弁当中だった。山頂には4等三角点「赤坂山」がある360°展望の山だ。10分ほどで山頂を後にし、栗柄越に下る。武奈ノ木平を経由してマキノ高原に下る道が分岐するが、今日は縦走を続け寒風から下山する。2.1㎞も先だ。芝生のように気持ちの良い稜線を行くと斧研川の谷間にマキノ高原そしてそこに至る真っ直ぐに伸びるメタセコイヤの並木道なかなかいい眺めだ。

寒風(約850m)で最後の展望を楽しみ下山にかかる。中国訛りのある女性を含む3人がこのルートは急坂で怖いからと後から付いて来たが加藤リーダーのペースには振り切られていつしか見えなくなってしまった。何組もの人達を追い越したので問題なかっただろう。加藤Lによるとなんでこんな道が危ないの?確かに等高線は詰まっているが登山道はジグザグに付き極々歩きやすい道だった。

西山林道への分岐を過ぎるとマキノスキー場に飛び出しゲレンデを下る。多胡さんの話によると以前はリフトがあったが今は撤去されリフトのないスキー場になっているとのこと。2.5万図には2本のリフトがしっかり描かれているのだが・・・

国境からの長い縦走を終えマキノ高原に到着するとモトクロスの競技が行われているようで、草原にコースが設けられ、自転車が走りまわっていた。マキノ温泉“さらさ”に入浴(\600)し解散、尾崎さんは先に舞鶴へ、国境で多胡さんの車をピックアップし、帰路に就いた。渋滞を避け堅田から途中越で京都に戻ると極々順調に走ることができ正解だった。《山紀行690》

【登山データ計】  歩行 25.2㎞ 11時間55分 延登高 1,925m 延下降 2,127m 5座登頂

 

【感想】 51期 多胡豊弘

1年ぶり2度目の例会への参加ということで、大変楽しみにしておりました。来年はテント泊デビューをしたいのでボッカに挑戦し、そしてなんとか最後まで歩くことができました。ボッカは黒河峠まででいいということでしたが、自らを鍛え上げるため最初から最後まで中身(天然水)は捨てないつもりでした。

赤坂山は以前にも登ったことがありましたが、思いのほかいい山で、途中の稜線歩きも本当に最高でした。ご一緒していただいた皆さん、本当にありがとうございました。

 

【感想】 52期 尾崎稔

関西100名山の高野三山に体験登山させていただき、二回目の登山に参加させていただきました。1日目の七七頭ヶ岳 は、山本さんから読図やコンパスの使い方などを教えていただき非常に勉強になりました。今まで一人で日帰り登山しかしたことない私にとって、いろいろ学べる山岳会に入会することができ非常にうれしく感じております。

登山後、田辺さんの邸宅に宿泊させていただきました。皆さんといろいろ話せて楽しかったです。特に加藤さんと野沢さんの掛け合いは非常におもしろく、食事もおいしくいただきました。

 2日目の赤坂山は、昨日と一転たくさん歩きました。下山する際は名残惜しいくらい紅葉がすばらしかったです。初めて山岳会に入り、個性あふれる皆さん出会うことができ、これからの登山が楽しみです。

 

【リーダー感想】 22期 加藤一子

今回はお天気も良く、初日早朝から張り切って出発したのに、あっという間に七七頭ヶ岳の頂上に着いてしまった。お陰で、ツアコンの読図特訓にたっぷり時間を取って頂く事が出来た。お風呂もゆっくり楽しめ、石道寺の散策もなかなか良かった。夜は、田辺邸のご馳走でお腹も心も満足した。

 翌日は、尾崎さんと田胡さんがボッカということで、ゆっくりペースで歩けると思っていたが、なんのその。お二人とも普通のペースなので、これからも一緒に歩くときは、いつもボッカして貰わないと……。乗鞍岳までは結構長く感じたが、後は気持ち良く、寒風まで歩けた。後半は見晴らしも良く、マキノの並木道が箱庭の様に見えていた。寒風からは、思ったよりも歩き易い道で、一気に下山出来た。

 藪こぎも、道迷いも嫌だと思っていたが、田辺邸のご馳走付なので、楽しみに参加させて頂きました。暖かい朝食も用意して頂き、とてもお世話になりました。

 

20091107七七頭・赤坂1

写真: 七七頭ヶ岳(県道285号より)

 

20091107七七頭・赤坂2

写真: 石道寺の紅葉

 

20091107七七頭・赤坂3

写真: 明王ノ禿

 

20091107七七頭・赤坂5

写真: 三国山、赤坂山(P841東端より)