京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

例会No.2985  六甲山系・摩耶山 《関西百名山シリーズNo.33》

摩耶山空海が釈迦生母の摩耶夫人(まやぶにん)像を安置し、忉利天上寺(とうりてんじょうじ)の山号となったことから始まる。昭和の廃寺跡を訪ね、軽登山を楽しんだ。

20100211摩耶山2

例会No.2985  六甲山系・摩耶山 《関西百名山シリーズNo.33》

平成22年2月11日(木) 48期 山本浩史

摩耶山空海が釈迦生母の摩耶夫人(まやぶにん)像を安置し、忉利天上寺(とうりてんじょうじ)の山号となったことから始まる。昭和の廃寺跡を訪ね、軽登山を楽しんだ。

【メンバー】 辻野喜信L、西田和美、井上純子、奥野淳子、尾崎稔、TC山本浩史      計6名 

【行  程】  京都7:44-(JR京都・神戸線)-8:44六甲道8:54~9:38伯母野登山口9:47~10:41長峰山10:57~11:25杣谷峠11:49~12:27摩耶別山12:29~12:54摩耶山13:01~14:09青谷登山口~14:30灘15:40-16:44京都

【登山データ】  天候 曇りのち小雨 歩行13.0㎞ 5時間36分 延登高 921m 延下降 921m 3座登頂

20100211摩耶山地図

JR六甲道駅現地集合の奥野さんと尾崎さんが加わり全員揃った。まずは“最難関”の街中歩きで伯母野山町の登山口を目指し辻野Lを先頭に歩き出した。どんよりと雨雲が垂れ込める六甲山山系を仰ぎ見ると、何時まで保つかは時間の問題。予報では9時から雨マークになっている。

今日のミッション1は「登山口までの歩行路の書き込み」で2.5万図をしっかり見て進む。曲がり角の「×」マークのところにはしっかり交番所があり当たり前のことながらちょっと嬉しい。何故警察マークが「×」なのかと疑問には辻野Lが「警棒が交差しているイメージ」であると解明してくれた。9時を過ぎたころそらからポツポツと雨粒が落ちてきた。予報と寸分違わぬ振り出しに気象庁に敬意を表した。

阪急六甲の踏切を渡り、神戸大学のキャンパスを右に見て六甲川を渡り、神戸松蔭女子大学とマンションの間の道を歩く。どちらも茶色の煉瓦のイメージの外観で関連施設のようにマッチしている。傾斜がきつくなり住宅街へと入り昭和7年設置の神戸八景「伯母野住宅」の碑をみて登山口に達する。ミッションも終わってみると何てことはないごく常識的な経路だった。

標高は既に290m、ここから長峰山への登山道が始まる。ミッション2は「長峰山登頂時刻を予想」。標高差は約400m、距離は1.7㎞のほぼ一貫した登り。55分から1時間30分の予想タイムが出た。雨も気になるほどでなく極弱い雨が降ったり止んだりしている。松蔭女子大の打ち捨てられたようなグラウンドを通り抜け長峰尾根の登山道に入った。

一時、雨が本格的になるかと見え雨具を用意するが、樹林帯の中では雨の影響は全くない。六甲山系のいいのは神戸の街の展望、樹林の隙間から見え隠れする。送電線が何本も上空を通過し尾根道に乗ると北方向から西方向に緩くカーブし偽ピークを2つ越えた処に長峰山(688m)山頂があった。山頂部は岩で4等三角点「天狗塚」が置かれている。展望は素晴らしく、今日のメインの山である摩耶山が西側正面に見える。「天狗塚」は三角点名であるが2.5万図にはすぐ西側に“記念碑”の記号がある。探したがそれらしいものはない。昭文社登山地図には西側の鞍部に「天狗塚」と記されている。Webで調べてみても長峰山の山頂の岩が天狗塚であるような記事ばかりで謎は深まるばかりだ。さてミッション2の結果だがロスタイムを差し引き51分で登頂した。今回も皆さん長い目の予想でTC予想の55分が一番近かった。

休憩後は杣谷峠を目指し長峰山の急坂を下る。登り返し送電線が南から近づき縦走路のすぐ南側で西に向きを変える。平行するように進むと車道が見えてきた。この手前で峰を乗越すところが杣谷峠だが切通しになっていて車道側に下りてくる。水洗のトイレや東屋があり、お腹も空いたのでここで休憩を取ることにした。すぐ北側には穂高湖(ダム湖)があり周遊路が設置されているようで杣谷を登ってきたハイカー二人が下って行った。

休憩後は東屋の裏手に明確な踏み跡があるので車道と離れ稜線を通る登山道があるのではと急坂を這い上がるが稜線にあったのは送電鉄塔だけで単なる巡視路だった。引き返して車道を歩き摩耶別山を目指すが気が緩んで六甲全山縦走路の分岐を見過ごしてしまい忉利天上寺前も過ぎ、なんとオテル・ド・摩耶(国民宿舎)まで来てしまった。ここは摩耶別山の反対側の麓で見事に西側を巻き切ってしまったようだ。一体何時分岐を通り過ぎたのかとあれこれ話し合ったところ、“アゴニー坂”と表示のあった処がそれらしい。後で見てみるとそれは登山地図にもしっかり載っていた。

摩耶別山(717m)は今日の最高峰でそのままパスするのも勿体なく国民宿舎の門から入り、逆に登って行った。天上寺の大きな伽藍を右下に見て舗装道路を短絡する登山道で山頂に達する。展望も無く神戸市の水道減圧槽の施設がありその傍の木に小さな山名プレートが掲げられていた。

六甲全山縦走路は神戸市に依って標識が整備され、毎年11月に全山縦走大会が催されている。昭和50年に始まったので今年で35年目となる。近々井上純子さんが3回に分けて全山縦走例会を企画されている。国民宿舎の前も縦走路の一部で車道に出ることなく摩耶山掬星台(きくせいだい・展望台)に達した。ごく弱い雨が降り山は雲に覆われ、神戸の街並みは霞んでいる。「星をすくう」とはまた何と大胆な名を付けたものだろう。夜景が素晴らしそうだ。

摩耶ロープウェイの裏手から縦走路を進み摩耶山(702m)山頂を目指す。薄暗い木立の中に3等三角点「摩耶山」(689.6m)と立派な山頂標識があるが、最高点は神社の前あたりになる。磐座を祀る石丸猿田彦大神と石碑のある天狗岩大神の鳥居が接するように建っている。

下山路は南の尾根のしっかりした道を下る。何やら刻まれた石の残骸や奥之院跡が現れ、やがて基壇が残る広場に達する。ここにはかつて忉利天上寺(とうりてんじょうじ)のあったところで昭和51年の火災で焼失破棄された高野山真言宗のお寺の跡だった。すでに34年の歳月が流れ神戸市が史跡公園として整備中だ。そして忉利天上寺は摩耶別山の山頂近くに立派に移転再建されている。

旧寺域は広く宿坊まで備えていた大寺だった。2.5万図にも残る石段が真っ直ぐに描かれている。石段の下には唯一の遺構仁王門が朽ちかけてはいるが現存している。但し仁王さんは動座し空っぽ。門のすぐ下で青谷道へと入り、やがて大日大聖不動明王に出る。奥の方に不動滝があり天上寺が在りし頃、行者が滝に打たれ修業をしたことだろう。旧摩耶道が分岐し右手に去って行った。青谷川に沿って下ると神戸観光茶園「静香園」を右に見る。

灘区青谷町で市街地に達し松蔭女子高、海星女子学院大学、葺合高校、王子公園のある文教地区を抜けJR灘駅へと辿り着いた。駅に着いたころから雨が本格的になりだし滑り込みセーフ。時刻は14:30、駅前の喫茶店でケーキセットを賞味し反省会を行った。生憎の天気だったが、雨らしい雨ではなく楽しむことができた。関西空港から北海道へ旅立つ尾崎さんと駅で別れ帰路に着いた。    《山紀行699》

【感 想】  40期  西田 和美

摩耶山…何て神秘的で美しい響きをもった山名なのでしょう。山頂には、夜空の星を掬うことができるという展望台がありましたが、あいにく当日は曇り空で星は掬えそうにありませんでした。港神戸の街並みもガスで白く霞んでいました。そういえば、ここにはずいぶん前に大道さんや神農さん、幼かった娘も一緒に山岳会の方々と来たことがありました。長峰山(天狗塚)で写真を撮るのに、順番を待つ登山者の長蛇の列ができていましたっけ…。穂高湖のほとりで、嬉しそうにお弁当を食べていた娘の姿を懐かしく思い出しました。

 下山後、JR灘駅前の喫茶店でいただいたコーヒーが、冷えた体にとても美味しかったです。

【感 想】  48期  井上 純子

週間天気予報で,早くから雨天ということはわかっていましたが,そんな生ぬるいことではあかん!と思い直し,参加させていただきました。「関西百名山は雨が降らないはず」との浩史さんジンクスが効いたのか,参加者の日ごろの善行の成果かはわかりませんが,本当に少雨で(京都方面は結構降ってたようですが),楽しい1日でした。

【感 想】 50期 奥野 淳子

二年前の2月11日の朝、摂津本山で降り損なった悪夢が何度も頭をよぎり今朝のJRはドキドキものでした。「次は六甲道~」とアナウンスが聞こえた時、心からホッと致しました。でも現地集合にして頂けて助かっています。

【感 想】  52期  尾崎 稔

六甲山系の山に登山の経験がなかったので、前から楽しみにしていましたので参加させていただきました。天気は曇りと雨が断続的に降っていました。麻耶山の山頂ではあまり神戸の市街地の様子が見えなかったのは残念でしたが、焼失してまったお寺の跡に非常に興味を感じました。立派な門は、全く修復された様子はなくこのまま朽ちていくのは非常にもったいないと思いました。参道の石段はかなりあり、焼失前のお寺を見たく感じました。今回の天気はあまりよくなかったですが、次回は天気のいい日にまた登山したいです。

【リーダー感想】  36期 辻野喜信

今回は山本TCのミッションに加え、地図の先読みを心がけ歩いた。杣谷峠手前で送電線が大きく曲がるところに出た。地図ではドライブウエーに向かっているが、道は直接杣谷峠に向かっていた。

摩耶別山への入口を見落としてしまった。摩耶別山ではなくアゴニュー坂と表示されていたようだ。オテル・ド・マヤの前から登れた。なんと全山縦走路になっていた。読図は難しいと改めて思いました。

好天が定番の関西百名山シリーズ。雨の確率が高いにもかかわらず、山行中はぱらぱら程度で済んだ。TC山本氏は2ヶ月以上前の天気を読んでいるのだろうか・・・

20100211摩耶山1

写真:摩耶山と摩耶別山長峰山より)

20100211摩耶山3

写真:忉利天上寺跡