烏丸半島へ向かうバスの窓に風車が見えて来た。風力発電の「くさつ夢風車」だ。湖面を渡ってきた風は姿を変えて、水生植物公園で電気エネルギーとなって働いている。
[No.2987]2010年2月28日(日)
「RDBの会」第16回 博物館研修② 滋賀県立琵琶湖博物館
50期 奥野 淳子
【参加者】L西田和美、穐月大介、岩波宏、山本憲彦、井上純子、奥野淳子、木本美紀子(会員7名)、岩波昌美、岩波岳人、岩波美穂(非会員3名) 計10名
【天候】晴れ
【行程】JR京都駅9:07-9:30草津9:55-(近江鉄道バス)-10:25琵琶湖博物館・草津市立水生植物公園みずの森15:10-15:30草津15:52-16:12京都
【記録】 50期 奥野淳子
烏丸半島へ向かうバスの窓に風車が見えて来た。風力発電の「くさつ夢風車」だ。湖面を渡ってきた風は姿を変えて、水生植物公園で電気エネルギーとなって働いている。
400万年前、三重に生まれた湖は形を変えながら北上し、現在の深く大きな琵琶湖となった。湖底に眠る100以上の遺跡から昔の人々の道具や食物などが発見されている。
館内レストランでは外来魚駆除に一役買って?ブラックバス料理を試食する。「ブラックバスは黒いフナ」記録係の放言に、すかさず穐月さんが最新の携帯で検索し「ブラックバスはスズキ目」。バスの天ぷらを召し上がられた皆さんは「スズキに似てあっさりした白身で美味しい!」と評判はよろしいようで。
満腹の後は日本最大の淡水水槽のトンネルをお魚になった気分でくぐる。ビワマスの稚魚の群れはほんのり桜色にきらめいている。保護増殖センターでは絶滅危機にあるアユモドキやゼニタナゴなどの飼育と繁殖が行われている。
隣接の水生植物公園に向かう。温室では熱帯スイレンが咲き乱れている。水に浮かぶ青・白・ピンク何十種ものロータスに光が降りそそぎ、束の間、地上の楽園に迷い込んだよう。
【感想】48期 井上純子
今回の印象に残ったのは次の3つでした。
1つ目は,「丸子船」。学芸員の方から制作の苦労話(最後の船大工さんが堅田で作って,琵琶湖に浮かべて,博物館に入れた!)などを興味深く伺いました。
2つ目は,「バスの天ぷら」。当日まで近江牛にしようかと葛藤していました(大層な!)が,ものは試しとチャレンジしてみたら,淡白なお味で,○でした。
3つ目は,「はすソフト」。ご当地スイーツに弱いもので,即チャレンジ。コクを求める人には物足りないかもしれませんが,私にはあっさりとした食感がよかったです。
ご参加の皆様,大変楽しい1日をありがとうございました。
【感想】 44期 山本憲彦
前日は夜遅くまで雨。例会となるとどうしても天気が気になるが、今日はインドアだ。しかも真正面に比良連山を見ながらの研修だ。おまけにお昼はあのオオクチバスを食すのだ。今回も西田リーダーの工夫による不真面目そうで実は超真面目な企画だ。
子供が小さい頃はよく、浜大津から膳所にむかって左手に浜風を受けながらすぐに高く(?)そびえるお城まで車で急いだものだ。暗くて水槽など施設は今から考えるとお粗末だったけれど、なかなか味があった旧琵琶湖博物館だったと思う。
それがこんなに立派になって!うれしいのは生態がどの種も等しく見られるようになっていることだ。世話も大変だが、なかなか魅力のある展示形態だ。
入り口に全員のスタッフが紹介されていたが、その中に専門が「展示学」「博物館学」という専門家を入れていることに気が付いた。最初、なぜこのような分野の専門家をわざわざ2名も抱えているのか?見学中、ずっと抱いていた疑問だった。
展示を見学している内にだんだんとその意味が分かってきた。「謎かけと謎解き」は、どこの博物館でもやるが、ここは、先に明快な「謎解き」(答えの提示)をしてくれる。……すると、見ている方は逆に「えっ、なぜそうなるの?」という疑問が湧いてくる。するとその次に次々とヒントが出てくる。そして、最後にはドン!と大量のヒントと証拠が用意されている。岩も土も水も魚もすべて本物だ。すべてに手を抜いていないのがすばらしい。
もう一つ。
滋賀県のレッドデータブックカテゴリーで、絶滅危惧種(EW)の生態保存を館内で行っていたり、絶滅危惧I類の飼育を(絶滅を危惧して念のためにか?)、絶えず観察可能な状態でしっかりされているこの博物館の姿勢には、訪れ見るものに一種の感動を与えるようにも思われる。
この館内を一通り見て回るだけで、全国的な絶滅危惧種や特に琵琶湖での野絶滅危惧種の生態が分かるようになっている。もう琵琶湖に流れ込む水系には合成洗剤はいけないのはようく理解出来るし、現在のわれわれ人間と取り巻く環境とのバランスの中でベストの選択をしていかなければならないが、そのモチべーションのきっかけが取りにくいのも大きな事実。そういう意味では、この博物館が琵琶湖の「現実」を知る大きなきっかけとなり、環境を考えていくときに私達の意識をかき立てる一つのきっかけとなることを、オオクチバスのテンプラを食しながら感じていた。
さて、私たちRDBの会では、現在京都府やその他の地域の絶滅危惧種の確認、いや、その状態を意識しながら植生観察を続けている。いわゆる「絶滅危惧種」は全国的には環境省が網羅して、目録を作っているが、現在は、それとは別に各都道府県別に当該地方自治体がその地域の絶滅危惧種をその地域の基準で網羅し、目録を作って保護に取り組んでいるところも多い。だから、環境省の絶滅危惧種のカテゴリーのランクと地方自治体のランクとは異なる事が多い。
一度、会報でこの環境省の絶滅危惧種のレッドデータブックカテゴリーを紹介したかったので、ここに紙数をお借りして紹介します。
(1997年)
区分と基本的概念
絶滅(Ex)Extinct
我が国では既に絶滅している種
野生絶滅(EW)Extinct in the Wild
飼育・栽培下でのみ存続している種
絶滅危惧(Threatened)
絶滅危惧I類(CR+EN)
絶滅の危機に瀕している種(現状のままでは野生での存続が困難なもの)
絶滅危惧IA類(CR)Critically Endangered
ごく近い将来に野生での絶滅の危険性がきわめて高いもの
絶滅危惧IB類(EN)Endangered
IAほどではないが、近い将来野生での絶滅の危険性が高いもの
絶滅危惧II類(VU)
絶滅の危惧が増大している種
(現状のままでは近い将来「絶滅危惧I類」に移行することが確実と考えられるもの)
準絶滅危惧(NT)Near Threatened
存続基盤が脆弱な種
情報不足(DD)Data Deficient
評価するだけの情報が不足している
[付属資料]
絶滅のおそれのある地域個体群(LP)Threatened Local Population
地域的に孤立している個体群で、絶滅
のおそれが高いもの
(注)「種」=動物では種・亜種、植物では
種・亜種・変種を示す。
また、右の説明は私=山本が勝手に簡略化した部分があります。
さて、この環境省のカテゴリーを参考に各都道府県では独自にレッドデータブックカテゴリーを決めています。京都府でのレッドデータブックカテゴリーの紹介については次回にします。滋賀県のレッドデータブックカテゴリーについてもまた触れたいと思っています。
さて、当日は岩波さんご一家も参加。特に岳君やみほちゃんも、楽しそうに水槽の魚達を見ていたので、きっと環境をこれからは自分の問題として考えてくれ、頼もしく育ってくれると思った。そして、参加のみなさん、2回目の博物館研修。やみつきになりそう
【感想】 40期 西田 和美
博物館の入り口は400万年前の琵琶湖。限られた時間の中、壮大なタイムトンネルを駆け足で通り抜けました。昼食には、お約束のブラックバス料理を全員で賞味しました。
今回も時間配分がうまくいかず、すべてのコーナーを回ることができませんでしたが、機会があれば、ゆっくり一日かけて訪れてみてください。