京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3012 蛇谷ヶ峰・三十三間山 《比良GoGoN0.9・関西百名山シリーズNo39・40》

平成22年5月15日(土)~16日(日)

比良GoGo企画と関西百名山シリーズとがコラボレーションし蛇谷ヶ峰を登った。夜は鯖街道レース組もJOINし朽木グリーンパーク想い出の森バンガローに宿泊、野沢氏の調達により、焼肉メインのディナーにビールに“七笑”、レースを慮って控えめながらも楽しい夜を過ごした。レース組を小浜に送り、江若国境の三十三間山に向かった。

20100515蛇谷・三十三間山1

蛇谷ヶ峰(自衛隊施設跡より)

 

48期 山本浩史

比良GoGo企画と関西百名山シリーズとがコラボレーションし蛇谷ヶ峰を登った。夜は鯖街道レース組もJOINし朽木グリーンパーク想い出の森バンガローに宿泊、野沢氏の調達により、焼肉メインのディナーにビールに“七笑”、レースを慮って控えめながらも楽しい夜を過ごした。レース組を小浜に送り、江若国境の三十三間山に向かった。

【参加者】  (山行)秋房伸一L、尾崎 稔(5/16朝まで)、山本浩史TC 3名

(レース出場) 穐月大介、豊田幸宏、富岡慶子、向昌宏 4名

(レースサポート) 加藤一子、野沢邦彦(食当)、田辺久美子 3名 計10名

 

 

1日目(5/15):  蛇谷ヶ峰    晴れ

【行  程】 

帷子ノ辻6:30=7:47安曇川8:22=8:41中野登山口8:50~8:59高面山9:04~9:34阿弥陀山9:39~9:52自衛隊施設跡9:58~11:15入谷越11:32~12:21 P536 12:25~12:35蛇谷ヶ峰13:01~13:40カツラ滝~14:48朽木グリーンパーク15:20=15:43中野登山口=15:55安曇川16:00=16:25△朽木グリーンパーク

【登山データ】  歩行11.8㎞ 5時間58分 延登高 916m 延下降 887m 3座登頂

20100515蛇谷・三十三地図1

 

安曇川駅舞鶴から来た尾崎さんと合流し、高島市安曇川町中野の登山口に向かった。太山寺からの林道に入れるかどうか分からなかったがゲートも無くダート道を登り峠の少し先で車を止めた。

まずは高面山(302m)に登る。道はなくミッション1に「高面山へのルートファインディング」を用意した。峠の藪の薄そうなところを選び問題なく8分で山頂に到着した。山頂プレートがあり先人が訪れていることを示していた。ルートファインディングは登りより下りが難しい。尾崎さんを先頭にコンパスを合わせ来た道を下り無事ミッション終了した。

反対側に阿弥陀山(565m)への登山口があり、こちらはしっかりした道だ。20分ほどで山頂に到着し一休み。展望もなく存在感のない山だが1等三角点「阿弥陀山」が設置されていて、これだけは存在を誇示している。展望が利かずミッション2「蛇谷ヶ峰山座同定」は先に持ち越した。

北西へと進むと左手に壊れたフェンスが現れ自衛隊施設の跡に近づいたようだ。フェンスをくぐり施設内に入ると断然歩きやすく開けて来て施設の中心部であった地域に達する。建物基礎が一部残るだけで施設は完全に撤去されている。長尾集落から上がってきた自衛隊専用道路が正門に到り“侵入”すると広々とした平坦地、一段高いところに上がると展望が良い。持ち越していたミッションの山座同定は改めてコンパスを合わせるまでもなく蛇谷ヶ峰は目の前にあった。

2.5万図には自衛隊の旗印と電波塔の記号がある。点の記には平成11年に観測した記録があり、「航空自衛隊饗庭野分屯基地第12高射隊 射統所ゲート」まで自動車で到達とあった。ここの最高点は阿弥陀山より高く470mほどある。自衛隊道路を西に行くと鎖錠されたゲートが行く手を阻みよじ登ろうかどうか思案していると、右側にフェンスの破れがあり潜り抜けて先に進んだ。200m先で自衛隊専用道路を離れ稜線に取り付く。

特に目印も無く不明瞭だ。この先登山地図では赤点線道、2003年版の旧図には登山道の表示すら無い。八田谷からの林道が現れ合流するところが八田谷越、北尾根への縦走路が分岐している地点だが分岐が分らず特定することができなかった。従ってミッション3「入部谷越までの所要時間を予想」は有耶無耶に。

高島町朽木村境の尾根の高島側を林道が続き登山地図にあるヘアピンカーブで林道を離れ稜線歩きとなるがテープ等の目印は無く、ルートファインディングの力が試される。稜線は西にあるP587に向かっており鋭角的に左に折れなければならない。この屈折点を見つけるのが一苦労で何度も偵察を出しては確かめ入部谷越に達した。テープもないルートとしてここは絶好の難路、このまま残したいものだ。

今では県道295号が直下をトンネルで越えているが朽木村から琵琶湖岸に出る古道として使われた道で馬頭観音の石仏が置かれている。大休止を取り腹ごしらえをして先に進む。朽木スキー場が右手に見え出しP536でゲレンデに飛び出した。スキー場越に蛇谷ヶ峰や歩いてきた稜線が見え、立ち寄らなかったがP587どっしりと存在感を持って聳えている。ここからはゲレンデの中を歩く。このようにだだっ広い中を歩くと何故か足取り重く感じてしまう。

ゲレンデの最上部で尾根に取り付き蛇谷ヶ峰の北北東に張り出した尾根のP817を目指して急坂を登る。急遽秋房Lの発案でミッション「P817までの所要時刻を予想」をすることにした。登り一辺倒で標高差は約230m、距離は約700mある。秋房L 35分、尾崎さん30分、山本TC 25分の予想でリーダーを先頭に登りだした。スキー場クラブハウスからの登山道がある尾根が近づきP817に達した。結果は20分、やはり皆安全サイドを見て長めの時間予想をする傾向があるようだ。

P817(現地標識は標高805m)からは傾斜も緩く蛇谷ヶ峰は指呼の間だが流石に直前のグリーンパークへの分岐からは傾斜が増す。そして辿り着いた蛇谷ヶ峰(902m)山頂は数組の登山者で賑わっていた。2等三角点「蛇谷ヶ峰」があるが不心得な登山者が点標の上に座っている。「立て」と言う大人気なくタッチするのは諦めた。今日は天気が良い。遠望も利いて北の方を見ると伊吹、金糞、蕎麦粒山の向うに白く白山もくっきり、手前の方には、あの自衛隊施設跡が良く分る。今まで何度も来た蛇谷ヶ峰だが今まで気に留めたこともなかった。

来た道を戻り直下の分岐点から北西尾根に入る。更にてんくう温泉への道と分岐し、カツラ谷へと入って行った。北西尾根をそのまま下れそうな地形だが敢えて谷に導いているのはカツラ滝を見せたいためだろうか?谷に下ったところに神社の祠があった。しかし肝心のカツラ滝は案内版もなく本当にこれかといった感じだった。指月谷、スンゴ谷の括れを大きく回り込み朽木いきものふれあいの里に達した。この季節なのに余り人影は無い。駐車場にはそこそこ止められていたのは登山者の車のようだ。駐車場から右に折れ、知善寺谷に架かる“おぐらす吊橋”を渡りグリーンパーク想い出の森バンガローに到着した。

チェックインは15:30だったが、アーリーチェックインを快く受け入れてもらい“もぐら”と言う10人用の棟に入った。野沢車が15:15頃到着し中野登山口にデポした車を回収に行った。安曇川駅では鯖組3名をピックアップしバンガローに戻ると、まずは温泉(宿泊者には入浴券が付いている)に入り、宴会へとなだれ込んだ。豊田さんが17時過ぎに到着し皆が揃った。野沢さん手配の食材で焼き肉、ちらし寿司、焼き豚、サラダをたらふく食べ翌日を慮って、22時頃には寝に着いた。

 

2日目(5/16):  三十三間山  晴れ

【行  程】 

△朽木グリーンパーク4:40=5:17小浜6:15=6:34倉見登山口6:44~7:13倉見林道終点~7:38夫婦松7:45~8:09風神~8:28三十三間山8:53~9:54近江坂の峠9:56~10:27能登野林道終点~11:26倉見登山口11:33=12:07朽木てんくう温泉13:23=14:45帷子ノ辻

【登山データ】  歩行12.4㎞ 4時間42分 延登高 934m 延下降 934m 1座登頂

20100515蛇谷・三十三2

 

3:30起床、昨夜に用意したおにぎりと味噌汁で朝食を済ませ撤収、4:40バンガローを出発した。鯖街道ウルトラマラソン小浜市商店街から山中を走り京都出町柳の鴨河原をゴールとする76㎞の過酷なレースだ。当会からは4名(穐月・豊田・富岡・向)が参加した。蘇洞門巡り観光船の出るフィッシャーマンズ・ワーフへ送り、スタートから1㎞位の南川を渡った所へ先回りした。元気いっぱいで走りだしたランナーを激励した。あの笑顔がゴールで再現されることを願って!

尾崎さんは舞鶴に帰って仕事、野沢さんはレースのサポート、田辺さんと加藤さんは帰路に着き、残った秋房さんとTCの2人で三十三間山を目指した。

国道27号線倉見峠を越えると三十三間山登山口(標高約95m)の案内版がありしっかり駐車場に到着、舗装されトイレもありしっかり整備されている。鹿除けフェンスの扉を開いて倉見林道に入る。川沿いに左へ左へと湾曲して90度回った辺りに車が1台止められていた。ここから林道の支線に入ると傾斜が急になった。林道終点(標高約260m)に“最後の水場”の表示があり渡渉して右岸の斜面に取り付く、急斜面をジグザグの登山道で高度を稼ぎ標高320m辺りで尾根に乗った。

今日のミッションは「夫婦松の位置特定」が一つ目で周りの地形に合わせ2.5万図の標高500mの位置にプロットした。風神への尾根は急登続きで南へ緩くカーブし北西側から回り込むようにして主稜線に合流した。南の方に草原状の“ろくろ山”が見え、天増川の谷を向こう側には三重嶽(974m)や武奈ヶ岳(865m)など中央分水嶺(高島トレイル)の山々を望むことができる。

三十三間山(842m)に近づくと稜線は草原となり気持ちがよい。ただ風が強く肌寒い。JR小浜線の通る平地の先に湖が点在している、これが三方五湖だ。再び樹林帯となり山頂に到着した。3等三角点「三十三間山」が置かれた小広く静かな山頂だが展望は殆ど無く南西方向に僅かに樹林の隙間があるのみ。草原で予定していたミッション2を忘れていた。「百里ヶ岳を山座同定」だったが方向だけでもとコンパスを合わせると何とその樹林の隙間から見える山がそれだった。

週間予報では雨だったのでミッション2の山座同定ができなかった場合の予備として「能登野林道への下降点までの所要時間を予想」を設定していた。ついでにこれもやって秋房さんが1時間、山本が48分のタイムを予想し北稜線に踏み出した。三十三間山までは整備された登山道だったが、北への縦走路は一般的ではなく途切れがちな踏跡程度でしかない。テープが僅かにあるだけで整備されていないので倒木が目立つ。美しいブナ林の稜線を爽快に歩くかと思えば、斜めに育った低木を掻き分け、歩けるところを見つけるのに一苦労した。

それでも順調に近江坂の峠まで近づいたが、曲者はここからで2.5万図によると能登野への下山路はP695から西側に続く尾根を下っている。その方向に進むと急斜面で踏跡も全くなくなってしまった。これはおかしいと引き返し踏跡を辿るとP695らしきところを通り北に下って行くと樹林から飛び出し開けた鞍部に達した。指導標があり「近江坂」とある。ということはここが近江坂の峠というこうとになり東西両方向に踏み跡が続いている。

西に向う踏み跡を辿ると、この先の小ピークを巻くように付いた登山道は枝沢を横断する箇所は危険な状態で、ここも手は入っていないようだ。先ほどの小ピークから流れる尾根に達するところで小ピークからの登山道と思しき道が右手から現れた。この後はしっかりした踏み跡になったので本道は尾根筋にそのまま付いていたのではないかと想像したが確認はしていない。ジグザグに尾根を下り両側から谷が迫ってくるとやがて合流地点に達し渡渉して右岸へと渡り、50mほど進むと林道終点に達した。設定していたミッション3は「能登野林道終点の位置特定」で地形と地図を見て今通ってきた下山路の見当を付け2.5万図にプロットした。

林道が谷から抜け広くなった川の合流点に巨大な堰堤が現れた。暫く行くと閉ざされたシカ除けフェンスの扉を開け“山”から脱出した。新しくできた車道を南下し闇見(くらみ)神社に達すると近江坂古道の案内版があった。案内版によると近江今津にある酒波寺(さかなみでら)と闇見神社を結んだ古道で年貢を酒波寺に運んだり、寺から倉見に祈祷に出向いたりという往来があったそうだ。略図では大日岳や大御影山など中央分水嶺を通っているようだ、これは一度真剣に歩いてみたい道だ。

倉見登山口に戻り周回登山を終えた。帰りに再び朽木てんくう温泉に立ち寄り、昨日の入浴券の残りで入浴(入浴券は1泊に付き一人2枚あてもらえる。)しさっぱりして帰路に着いた。14時過ぎ静原を通ると鯖街道のランナーが走っていた。この時間に走っているのは上位組で一寸速過ぎるがひょっとしたらと我がチームの姿を探した。遂に再び雄姿を見ることなく帷子ノ辻に達した。                      《山紀行708》

 

【後日譚】

鯖街道ウルトラマラソンに出場した4名は全員完走の快挙を果たした。小浜で偶然見つけたTCの同僚二人も10時間台で完走したとのこと。皆凄い人たちだ。同僚が「京都比良山岳会」のワッペンをつけた女性の後ろを走っていたと言っていた。これは正しく富岡さんだ!

 

【感 想】 52期 尾崎 稔

今回の登山は、初めて体験することがあり非常に勉強になりました。今まで山本さんの例会で、いろいろ読図の仕方を教えていただきました。今までの例会の登山道はテープが枝に付いているので、道を間違うことなどなかったのですが、今回の登山道はテープがなく道も不明瞭で、読図して正しい道を進む力が必要となり非常に勉強になりました。

途中峠に出るまでの下りを私が先頭になり進みましたが、山本さんに指摘され間違った方向に進んでいることがわかりました。まだまだ読図が甘く地形図を見て正しい道を見つける力をつけていきたいです。秋房さんにも地図の見方など教えていただきありがとうございました。

これからも百名山シリーズや比良55に参加し、読図を実践したいと考えております。よろしくお願い致します。

 

【リーダー感想】 52期 秋房 伸一

 関西百名山シリーズには、いつもながらTC・山本浩史さんのサービス精神が、ちりばめられています。今回は、更にスペシャルなイベントとしてとして鯖街道ウルトラマラソン選手への”壮行会”もジョイントされ、誠に盛りだくさんな例会になりました。朽木村のロッジでの焼肉パーティなど食事一切を野沢さんにお世話になり、ありがとうございました。

 初日、2日目とも、メジャーな蛇谷ヶ峰付近の一部を除き、全行程読図山行ともいえる内容でした。1日目で、地形図を頼りにルートを進んでいて、ドンピシャリで入部谷越の峠の地蔵に出たのには感動しました。蛇谷ヶ峰からの360度の展望も素晴らしかったです。

 2日目の三十三間山は、想像していた以上に雄大で良い山でした。稜線から見えた、「三重嶽」の平べったい山頂付近の特徴的な地形には、ぜひ今度登ってみたいという意欲が湧きました。積雪期に山頂にテントを張りたいです。

 三十三間山からの北方稜線は、適度に広葉樹が生えているなか、尾根を外さないように、踏み跡を辿ってひたすら前進するルートで、歩きながらのワクワク感は、沢登りとよく似た感じをうけました。はっきりした登山道をひたすら歩くのではなく、自分でルートを探して歩く楽しみが共通しているのでしょう。

またまた行きたい山域が増えてしまった山行でした。

 

20100515蛇谷・三十三間山2

自衛隊施設跡のゲート

 

20100515蛇谷・三十三間山3

蛇谷ヶ峰山頂にて

 

20100515蛇谷・三十三間山4

鯖街道ウルトラマラソン小浜市内にて)

 

20100515蛇谷・三十三間山5

草原の先に"ろくろ山”

 

20100515蛇谷・三十三間山6

三十三間山(北稜線より)