京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉 奥深谷遡行

2010年7月10日~11日

奥深谷写真0

 【参加者】長野浩三 AT 小松久剛  計3名

【天候】10日 晴れ

    11日 雨

【記録】

<10日>記録:小松

7:00出町柳駅→367号線→8:30坊村→9:30奥深谷入渓口~14:00遡行終了点~14:45水晶小屋

 

 本番の沢の練習としての位置づけでしたが、梅雨の合間の晴れ間に恵まれ、すばらしい沢日和でした。

 時間通りに出発したものの、小松がまさかの「沢に行くのに沢靴忘れ」をやらかしたため、取りに戻るのに30分のロス。反省してます・・・。

 坊村で無事全員合流して出発。

 翌日に予定している口深谷の入渓口を確認しつつ、牛コバ付近から入渓。

 今回は本番と同様の装備ということでシェルター、大型コッヘルなどとともに、ウェットスーツ、ライフジャケットなども持参したため非常に荷物が重たく、かさばる。

 最初の小滝は速やかに通過。

 岩溝の奥にかかる4mの滝は通常は右側を巻いて速やかに通過するが、今回は時間も余っているということで直登にトライ。

 小松がフル装備で挑むが、失敗して釜まで流される。次にTが空身でトライ。ステミングに手こずるが、見事クリア。

 後続はさっさと直登を諦め、右側を巻いて懸垂で降りてヌンチャクを回収。

 次のチョックストーン滝は右側の岩場を直登。ここを越えたところで4段の滝の前に出るのでここで一度休憩。

 

 

奥深谷写真1

<チョックストーンの滝は豪快で美しい>

 

4段の滝は出だしの1段目がヌメリ、やや悪い。2段目・3段目の間に1箇所泳ぐ箇所が出るが、今回は既に充分泳いだ後だったので何の躊躇もなく通過。4段目も特に困難はなく通過できた。

 続く10mの滝が奥深谷の核心部となる。

奥深谷写真2

 <10mの滝をリードする小松>

 

ここはロープを出して小松がリード。残置ハーケンがあるあたりはホールドに乏しく、苦労するが、何とかクリア。滝の落ち口には長野がかつて残置したよく効いたハーケンが有るのでこれにロープを固定。

 続いてT、長野と登攀し、無事クリア。

 続く7mの滝は左を小さく巻き、続く斜瀑も左を巻くが、ここでTが滑落。

 10mほど落下したが、緩斜面であったためつめが割れる程度の軽症で済んだ。

 8mの滝については右岸を巻くが、この巻き道が悪く、苦労する。

 ここで後発の2人パーティーに追い抜かれた。

 9mと2段12mの滝は滝の横を直登。

 岩溝にかかる4mと3mの滝では先ほどのパーティーがハーケン打ちの練習を兼ねてトラバースの練習をしていた。ここは左に巻かず、水の中を進み、直登。

 遡行終了点付近の7m滝は釜がプールのようになっているので、ライフジャケット装着の上、飛び込んで遊ぶ。

 

奥深谷写真3

<華麗な飛込みを見せるT>

 

 

暫く泳いで遊んだ後、小滝やナメをこなして大橋付近の遡行終了点着。

 遡行終了点から1時間ほどで水晶小屋到着。時間もたっぷりあるので豚汁とご飯と焼き芋の夕食を作ったり、焚火を起こしたりシェルターを張ったりする。

夕食後は焚火を囲んで静かな宴会。

 夜更けまで語り明かして、平家蛍がちらちらと飛び交う中、就寝した。

 

<11日>記録:小松

5:00起床→6:30出発→7時40分牛コバ着→8時坊村着→帰京

 

 五時に起床するも、雨。

 口深谷については奥深谷よりも難易度が高いと聞いていたため、この時点で口深谷入渓は中止。帰宅することにする。

雨の中を下山。

 沢登り装備がすべてパッキングされたため、ザックが非常に重いがそれでも順調に牛コバまで下山した。

 牛コバから坊村までの途中、沢登り装備の2人パーティーと20人くらいの沢登りの団体を見かけたが無事下山できたのだろうか。我々のパーティーゲリラ豪雨の煙る中、無事車にたどり着き帰京した。

奥深谷写真4

 

<水晶小屋にくつろぐ>

 

 

【感想 小松】

 今回初めてウェットスーツとライフジャケットを試してみましたが、特にウェットスーツについては絶大な力を発揮し、水に濡れることについてほとんど嫌悪感がなくなりました。

 また、ライフジャケットについては必携とはいえないものの、水に沈むという恐怖からは解き放たれるので厳しい泳ぎの沢などでは一つあれば深い淵や渡渉のリードにかなり使える道具であることが確認できました。また、滝つぼなどで遊ぶのには必携でしょう。

 道具面ではこれくらいとして、全体の所感ですが、奥深谷は1年前に私がはじめて行った沢で、そのときにはただただ無我夢中で、景色などもほとんど見る余裕がなかったのですが、今回はかなり余裕を持って遡行できました。

 改めて、コンパクトながら滝に次ぐ滝で非常に美しい沢であることを感じました。

 また、1年前に私が滑落した箇所も確認しましたが、何でこんなところで落ちるの?というよりは、何でこんな落ちやすいところを通ったの?という疑問が浮かびました。

 1年で多少成長したとはいえ、今回も若干のアクシデントがあったことから分かるとおり沢では油断は禁物です。

 改めて気を引き締めて、次のグレードの沢に次々に向かって行きたい所存です。

 一緒に遡行してくださった長野さん、Tさんありがとうございました。

 

【感想 長野】

 小松さん,Tさんとも,クラックスで鍛えているだけあって滝登りはスムーズだった。また,台高の予行演習ということでフル装備をもっての遡行で結構重そうだったのに,すいすいいけていた体力もさすがだ。こちらは,山行不足,運動不足でついて行くのがやっとで,帰ってからは月曜日になって激しく筋肉痛となった。

 しかし,天候もよく,明るい奥深谷をほんとに楽しんだ沢登りでした。また,行きたいものです。小松さん,Tさん,ありがとうございました。

 

【感想 51期 T】

 奥ノ深谷を遡行してみてあらためて沢登りは面白いそして、沢登りは危ないということを再認識しました。

時間的にも余裕があり天候にも恵まれていたため、遊びながら遡行していました。そのため気がゆるみ、不注意から何でもないような高巻きで10mほど滑落してしまったのですが、幸い中指の爪を割ってしまったていどで済みました。

落ちた直後は、あまりにもあっさり無事だったので「あ~良かった~」くらいに思っていたのですが、時間がたつとともにだんだん「危なかった、死んでたかも」ということを身にしみて感じました。

とても運が良かった。

縦走などでもそうですが、「自分は滑落はしないだろう」という思いがどこかにあり、無事だったから言えることではありますが、ある意味本当に得難い貴重な経験をしました。

この経験を活かし次回からは気を引き締めてかかりたいと思います。

動画や写真の記録では、さも楽しげな瞬間しか記録されておりませんが、そういう恐ろしいこともありました。

小松さんも導入されましたが、今回僕もロングジョンという袖無しウエットスーツのようなものを着用してみたのですが、驚くほどの保温性で、腰まで水につかったまま一時間くらいは行動できそうなほどでした。

これは素晴らしい。個人的に次回から必携の装備です。

遡行終了後も着たまま行動しましたが、それほど熱いとは感じませんでした。

欠点は脱ぐのが面倒なことと、脱ぐとかさばることですが、それを補って余りある効果がありました。

小松さんには何から何まで準備計画していただいて、本当にありがとうございました。(沢靴を忘れるのも仕方のないこと、と長野さんと二人で納得した次第であります。)

また、経験豊富な長野さんがついていて下さったおかげで、だいぶ精神的に余裕が生まれ、楽しく遡行出来たことに感謝いたします。