京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉  口深谷遡行

2010年10月2日(土)

 

 

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【参加者】小松久剛、AT、本田勇樹  計3名
【天候】 晴れのち曇り
【記録】(担当:小松)
7:00京都駅前発→8:30坊村着~9:00入渓口~13:20大滝15m~14:10登山道横断点~15:00西南稜~15:10武奈ヶ岳山頂~中峠~小川新道~17:15水晶小屋着、ボッカ例会と合流

 今年の沢の締めくくりに秋の口深谷を遡行することができた。
 坊村からの林道を歩き、異常に暗い口深谷の入渓口から入渓。
最初の斜滝は左から巻いたが、どうも巻
きすぎたようで、次のゴルジュと10m滝もともに巻いてしまった。
 次の右から落ちる垂直10m滝は左のルンゼから容易に巻く。
 横断する一つ目の登山道を越えるとゴルジュ帯に入り、奥に垂直13m滝がかかるが、これはゴルジュ入り口まで戻り、かなり大きく右岸を巻いた。
 その後は暫くゴーロ帯、ナメをこなすが、全体として谷の雰囲気は暗い。
 ゴルジュ帯の奥の10m斜滝は遡行図には「アンザイレンして直登」とあるが、一見すると容易に見えたためノーロープで小松がリードするものの、登り出してみると意外とバランスを要し、ハーケンを打って手がかりを作りつつ登りきる。後続についてはロープで確保。
 後半は日も登ってきてようやく谷の中に光が差し込み、明るい雰囲気となった。
 最後の15m滝は滝に日光が当たり、美しい。ここで記念撮影。

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(最後の15m滝にて)


滝自体は左のバンドから小さく巻くが、落ち口が悪く、再度ロープを出して抜けた。
 その後は驚くほどに平和な河原となるのでワサビ峠に至る登山道が横切る地点でヘルメットなどの沢装備を解く。
通常はそこからワサビ峠に上がり、下山するようだが、今回は武奈ヶ岳までつめあがることとし、引き続き沢沿いにつめていく。
 途中、沢を下降してきた道迷いの男性と出合う。道を案内して別れたが、道に迷って沢を下るという、典型的な遭難パターンを踏んでいるわけで、絶対同じようなことをしてはいけないと自分たちを戒めた。 
 沢は源流付近で複雑に枝分かれするが、大きな分岐では北方向に進路を取りつつ尾根に詰め上がる。
 最後は急登をやぶこぎすると、武奈ヶ岳西南稜の山頂付近に飛び出た。

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 (西南稜の山頂付近に飛び出た)

 

 山頂で暫く休憩し、若干薄暗くなる中を中峠、小川新道を下って水晶小屋ボッカ例会に合流した。

 

【感想】52期 小松
 口深谷については、「奥深谷と比べるとだいぶ難しい」とか「貫井谷と並ぶ悪さ」とか、いろいろとお話を聞いていましたので若干恐れていましたが、今年自分なりに沢に打ち込んできたので、そろそろ突破できるだろうと個人山行を組んでみました。
 実際遡行してみると、たしかに奥深谷よりは長くて、巻きも大きく難しかったですが、何より印象的だったのは谷全体の暗さです。
 夏の後半には明るい鈴鹿の沢ばかり行っていたので、比良の沢の暗さがいっそう際立ったようです。
それでも最後の15m滝は圧巻でしたし、つめ上がって武奈ヶ岳山頂付近にひょっこり飛び出たときは感動ひとしおでした。
今回特筆すべきは沢自体よりも個性豊かなメンバーで、Tさんは沢登りそのものをアプローチとみなしたのか沢にトレランシューズで来るし、本田さんは沢初心者にもかかわらず、淡々と機械の様に歩かれるし、で見ていて飽きませんでした。
今年はそろそろ沢じまいですが、来年もどんどん新しい沢に挑戦したいと思っています。ご同行下さったT先輩、本田さん、ありがとうございました。

【感想】51期 T
 口の深谷は、奥の深谷と比べ高巻きが多く、その点で奥の深谷より危険度が高い谷だと思いました。
高巻きは、うまく巻けばグッと危険度は低まるし、反対に間違うと何でもない様な高巻きでも大きな危険をはらんだものに様変わりしてしまうものだと思います。
これからもっと上のレベルを狙うのだとすれば、そこのところをもっと強化すべきと感じました。
全体的に薄暗かった口の深谷は、爽快感こそなかったものの、そのぶん最後に詰め上がって武奈の西南稜に出た時の気持ちよさはひとしおで、思わぬ感動に包まれて自分でも驚きました。
山は逃げないと言いますが、山が変わらなくてもそれを登る人間のこころは日々変化していって、心に映る景色はその度に変化するものと思います。
武奈の山頂へ立ってみて、思わず山登りの醍醐味を味わった様な気持ちになりました。(沢登りだったけど。)
今回は、靴のことでお二人の足を大きく引っ張ってしまい申し訳なく思います。
小松さんのリードがこれほど頼もしいと感じたことはありませんでした。ありがとうございました。

 

【53期 本田】
入会当初より、沢登りに参加させていただき、今回初めての比良の沢、湖西に住み自然に好きになった比良ですが、その主峰である武奈が岳に詰め上がる沢ということで楽しみにしておりました。
前評判では、暗い陰気な印象だということで、どうかと思いましたが、黒くヌメった岩に、青空を木々が遮り、暗く滞った水流に虫が湧いているようなところもありましたが、嫌いじゃないです。
気になっていた防寒対策ですが、それほど水も冷たくなく寒さは感じず、快適に歩けました。天候が案外良かったのも幸いでした。
 終盤、何度も通った中峠に至る登山道と出合ったときは、とても不思議な感覚でした。さらにしばらく歩くとダブルストックの道迷いの方に出合い、これもなにかゾッとする不思議な感覚です。そのまま詰め上がり、西南稜に出たときの解放感、山頂が見えたときの達成感は期待どおり素晴らしいものでした。
リードしていただいた小松さん、Tさん、初めての比良の沢を堪能させていただき、ありがとうございました。