京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

 No.3061 蓬莱山《比良GoGoNo.14&関西百名山シリーズNo48》

蓬莱山は日本三百名山でもある。比良山地武奈ヶ岳と双璧を為す堂々とした山だが山頂域がスキー場となっている為か求心力が低い。今回は坊村からバリエーションルートの白滝山、森山岳を経由して登った。

 

20101123蓬莱山2

写真: 長池

 

 

例会No.3061  蓬莱山 《比良GoGoNo.14&関西百名山シリーズNo48》   平成22年11月23日(火)

48期 山本浩史

蓬莱山は日本三百名山でもある。比良山地武奈ヶ岳と双璧を為す堂々とした山だが山頂域がスキー場となっている為か求心力が低い。今回は坊村からバリエーションルートの白滝山、森山岳を経由して登った。

 

【参加者】 秋房伸一L、中尾論、葛城美知子、井上純子、國領孝子、辻博史、辻春見、藤堂尚久、亀島文子、松田順子、吉良聡恵(体験山行)、酒井敏行(同)、会員NM(同)、出口まい子(同)、山本浩史TC                                             計15名

【行  程】 出町柳7:45=8:41坊村9:00~10:20ワサビ大滝~11:44白滝山12:14~13:37森山岳13:51~14:23蓬莱山14:34~15:43金比羅神社~16:24蓬莱16:27-17:04京都

【登山データ】 天候:曇り一時雨・霙 歩行13.7㎞ 7時間24分 延登高 1,150m 延下降 1,365m 3座登頂

 

 前日の雨は未明に上がり京都は晴れ間が覗きだした。冬型気圧配置となり京都バスが坊村に着く頃には雲に覆われ時雨れだした。それでも登山者は多く7:45朽木学校行は続行便が運転され2台での運行だった。この日は辻博史さんが歩荷ポイント、松田さんが読図ポイントに挑戦する。辻さんは計量で21kgの荷重で基準をクリアし明王谷林道へと歩き出した。松田さんには葛城さんと一緒に読図講習を始めた。

 

 30分余りの歩行で伊藤新道分岐に達し、ワサビ谷へと入り登山道が始まった。取り付きは南微西に向かって真っ直ぐに急な谷を遡る。谷が左にカーブし出した処で行く手にワサビ大滝が現れた。落差は15mほどあり其の右側にも細い滝が見られる。ワサビ谷の右岸を高巻き滝の上に出るが、ここで完全にルートを間違えてしまった。高巻いて斜面を這い上がり所々にある赤テープに導かれるように上がった尾根は2.5万図の点線道であると思い込んでいたが、2.5万図のルートの1本北の尾根を進んでしまったようだ。以前この辺りに大規模な崩落があり、昭文社登山地図によると滝の上で左岸方向に迂回し尾根に乗るようにルートが変わっていた。ネットの記事によるとこの辺りで結構迷う人が多いようだ。そして迷い込んだ人が付けたテープが益々迷いを増長している有様だ。

 

 思い込みというものは恐ろしいもので帰宅して秋房リーダーから送られてきたGPS軌跡を見て現実を受け入れるしかなかった。とんだ苦労をして白滝山に這い上がったがコースタイムを大幅に超える2時間を要してしまった。稜線を吹く北風は冷たかったが白滝山山頂では風が収まっていたので此処で昼食を摂ることにした。昼食後は臨時ミッションで蓬莱山を山座同定した。木々の葉は完全に落ち木立の中ながら見通しが利いた。

 

 白滝山から森山岳に到る稜線は池が点在する起伏に富んだ地形だ。白滝山を後にするとまず音羽池が前方に見えて来た。回りの木々から落ちた葉は池底に積み重なっている。これが分解されずにいると沼となり、湿地となって、やがて草原となってしまうのだろう。白滝谷の夫婦滝への道が分岐するが直進しカシラコ池、スギヤ池を通り長池に到る。名の如く東西に長い池で南側から池面を一望できる。

 さてここからがミッション1:「森山岳へのルートの地図への書き込み」だが、2.5地図に道はなく、指導標も踏跡もない。あるのは幾多の起伏と谷間だけ。ルートファインディングの練習には持ってこいの地形だ。葛川中村から打見山に到る送電線が上空を通り鉄塔が繋がっている。この巡視路らしき道を進み一つ丘を越える。巡視路は送電線の下を打見山へ行ってしまうので右に反れて小さな池を右に見る。複雑な地形にコンパスだけが頼りだが中々現在地を知るのは容易ではない。やがて秋房リーダーが以前に登ったオオカメ谷に達し記憶を頼りに森山岳に到った。

 

 “森山岳”は必ずしも広く認知されている訳ではなく単に1,080mの“無名峰”だという人もいる。オオカメ谷の頭にあたる山頂に達したが山頂を示すものは何もなく前記の説を裏付けるかのようだった。しかし関西百名山シリーズでは“山”と認識した。小休止をしてミッション2「蓬莱山までの所要時間を予想」をしてもらう。距離1.1㎞、標高差は50m下って135m登る。山頂直前藪漕ぎがあると云う条件で30分から70分の開きのある予想が出た。

 

 日本海を越えてくる風は蓬莱山を雲で包んでしまい、進行方向はコンパスで知るしかない。この先はしっかりした道がありルートファインディングには問題ない。時折霙が体に吹き付ける。気温は0℃に近く晩秋と云うより初冬を感じる気候だ。山頂付近の藪も大したことはなく蓬莱山(1,174m)に到着した。そしてミッションの結果は32分で藤堂さんの予想がピッタリ、葛城さんが2分差だった。ミッション3に鈴鹿山脈藤原岳の山座同定を予定していたが何も見えず断念した。

 

 スキー場で木がなく吹き曝しの山頂は寒くてゆっくり休憩することはできない。集合写真を撮って早々に下山に掛った。ゲレンデを少し進み右手に分岐し金比羅道に入る。急斜面の道で金比羅峠の手前には大規模な崩落があり道が付け替わっていた。石ころ交じりの道に落ち葉が積もり足元は危なっかしい。雲の下に抜け、木々に名残の葉っぱが見られだし標高660mで林道に下り立った。後は長い車道歩きで湖西線蓬莱駅へと向かう。途中で琵琶湖の展望が開け対岸の三上山や金勝アルプスを一望、山頂で見られなかった景色の代わりとして胸に収めた。

 

 16:27の電車にジャストタイミングで到着したが、強風の徐行運転で10分遅れており旨い具合にトイレタイムも取ることができた。京都駅前での反省会には体験山行の4人を含め11人が参加して山の話題に花を咲かせた。《山紀行724》

 

【感想】  48期 葛城 美知子

比良の山はすっかり初冬の装い、小雪がちらつく寒い1日でしたが、初めて行く森山岳のコースは楽しかった。白滝山への急登は前日の雨で滑る、又落葉で道が分かりにくく思った以上に大変でした。長池から森山岳へのルート確認は面白く、樹林の間から打見山・蓬莱山が見えた時は嬉しくなりました。蓬莱山から金毘羅道を降り、琵琶湖が見えると晴れている。山の天気は違うと実感した1日でした。

 

【感想】  48期 井上 純子

御在所岳・鎌ヶ岳に続き,プチバリエーションの例会。白滝山への道はずるずるの道なき道。白滝山頂に着いたときに靴の地色が見えないくらい,ドロドロになっていることに気付きました。目的の蓬莱山へはびしょびしょの低木に足をとられながらの藪コギ。藪のおかげで靴の泥がとれていて,愉快でした。

 

【感想】  53期  辻 博史

長池から森山岳経由の蓬莱山とのことでやぶこぎを予想していましたが、伊藤新道の途中からルートファインディングが必要になり、大変面白い山行になりました。登山地図にもルートが載っているのにこんな道もあるのかと思いました。白滝山から森山岳は葉がすでに落ちきっていましたが、樹林と落ち葉の絨毯が大変美しかったです。ボッカのため、みなさんに気を使っていただきありがとうございました。おかげで楽しい1日を過ごせました。

 

【感想】  53期 辻 春見

天気予報に反し、好天には終始恵まれませんでしたが、大変楽しい山行でした。★の数をいつも意識し、参加を躊躇してしまうことも多かったのですが、参加させていただくことで、それ以上に自分自身の課題が見えてくるのが興味深いです。今回の課題は「読図」でした。今まで何度かご指導いただき、理屈では理解できるのですが、実践に落とし込むと、全く通用していない。自分が今どこを歩いているかも曖昧。「読図」の本も購入しましたが、実践に参加することでさらにスキルアップを図りたいと思います。

 

【感想】  (体験山行)  吉良 聡恵

私にとって今回の山行はいつもより少し大変なものとなりました。最初の2時間ぬかるみの中で何度心が折れかけたことか・・・登山は体力だけでなく気力も大切な要素なのだなぁ、と実感しました。

道中現れた虹が印象深かったです。

 

【感想】  53期  亀島 文子

今日の天気は9時頃から快晴の予定が坊村で下車すると小雨。白滝から伊藤新道の道に入るが道らしき道は無し(新道と名が付く登山道は分かりにくい道が多い) 白滝岳の道無き道、落ち葉と濡れた山道を手袋も濡れ寒さと風の強さで疲労困憊。森山岳のピークから登山道をわざわざ外し、地図とコンパスで蓬莱山を目指す、霙まじりの雨あー早く下山して温かい温泉に入りたい!寒い快晴だったら紅葉を眺めつつ楽しい山だったのにね。寒い中もくもくと歩く皆さん。若いギャル女で寒さも吹っ飛んだのかな?楽しい山歩きありがとう御座いました。

 

【感想】  53期  松田 順子

比良山といえば武奈ヶ岳に足を踏み入れた程度で、秋深まる比良山の違った一面を見ることができて楽しかったです。読図については、丁寧に教えていただき、少しポイントが分かったような気がします。でも、ミッションは外しまくりでやっぱり難しいです。今回は読図はじめ、藪こぎ(読んで字の如くなのですね!)、果ては反省会と、味わい深い山行でした。一緒させていただきました先輩方、いろいろ教えていただきありがとうございました。

 

【リーダー感想】 52期 秋房伸一

 白滝山・伊藤新道は昨年の12月にも歩いていますが、一筋西の人工林の尾根を登ってしまいました。今回はきちんと登山道を辿ろうと気合いを入れ、先頭を歩きましたが、今回も途中で登山道が途切れ、沢登りの高巻きのようになってしまいました。

 家に帰ってGPSで軌跡をみますと、沢沿い左岸の登山道から右岸に渡渉したところから間違ったようです。左岸にははっきりとした道が続いていましたが、「作業道でしょう」という解釈で、間違えたのだと思います。

道が無くなってからは、とにかく上に登れば稜線に出られる地形でしたので、15名のパーティーの各人が登りやすいところを登った感があります。状況からしてそうしたことを特別問題視することはないかと思いますが、仮にもっと危険な地形や状況であれば、今回のようなスタイルではなく、別の方法をとる必要があったと思います。そのあたりのことが今後の課題と反省です。

 プチバリエーション的な楽しい山行ができ、同行の皆さん、ありがとうございました。

 

20101123蓬莱山1

写真: 蓬莱山と森山岳(音羽池付近より)

 

20101123蓬莱山3

写真: 蓬莱山山頂にて