京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

例会No.3089・3090 愛宕山・ケーブル道・中尾根を行く 《関西百名山シリーズNo.17アンコール&RDBの会》

20110130愛宕山3

 

写真: 愛宕山ケーブル愛宕駅跡にて

 

 

[例会No.3089・3090]  愛宕山・ケーブル道・中尾根を行く 《関西百名山シリーズNo.17アンコール&RDBの会》

   平成23年1月30日(日)

48期 山本浩史

恒例の愛宕山&水尾柚子風呂は山本憲彦さんの不参加によりRDBの会単独開催が難しくなり、関西百名山シリーズと合体しての例会となった。登りは愛宕ケーブル道を登り、2年前ルート逸脱してしまった中尾根を大岩まで下り米買い道で水尾へと達した。水尾では辻の家の鶏すきと柚子風呂で楽しい時間を過ごした。

 

【参加者】 辻野喜信L、西田和美SL、四方宗和、山本夏雄、穐月大介、中尾論、井上純子、秋房伸一、辻春見、藤堂尚久、高橋秀治、菅美穂、秋房 麻理(非会員)、山本浩史TC 計15名

【行  程】 (オプション) 渡月橋7:47~8:00嵯峨釈迦堂~試峠~8:27清滝BS

(本コース) 清滝BS 8:52~(ケーブル道)~12:02愛宕山12:07~(中尾根)~13:10大岩13:12~(米買道)~13:40水尾辻の家16:20=(自治会バス)=16:34保津峡ST

【登山データ】 天候:晴れ時々曇り

(オプション) 歩行4.0㎞ 0時間40分 延登高 151m 延下降 76m 0座登頂

(本コース) 歩行9.2㎞ 5時間24分 延登高 943m 延下降 776m 1座登頂

 

【オプションコース】

TCの遊び心で渡月橋から清滝まで嵯峨釈迦堂、鳥居本歴史的風土保全地区を通り、試峠を越えるオプションコースを設定した。藤堂さんと高橋さんがJOINし渡月橋を出発した。今日も晴れているが年末寒波に匹敵する寒気が入り、マイナス2.9℃まで冷え込んだ。微風で体感温度は下がらずコンディションは良好。天竜寺の前で山本夏雄さんがひょっこり姿を現し暫く同行したが、嵯峨釈迦堂の手前で落柿舎の方へ消えて行った。嵯峨釈迦堂で登山の無事を祈り、嵯峨鳥居本北代町の豪邸街を経て歴史的風土保全地区へと入る。左手に化野念仏寺をみて鮎の平野屋を過ぎる清滝道(実は今日のテーマである愛宕山鉄道平坦線の軌道跡)を嘗て踏切のあった辺りで横断し試峠(約170m)へと登って行った。藤堂さんによると心霊スポットで有名だとか・・・車道はループして清滝へと下るが、直進の歩道で短絡し集合場所へと辿り着いた。暫くすると山本夏雄さんは清滝トンネルから姿を現した。

20110130愛宕山地図

 

【本コース】

予定のバスで全員が集合し、いよいよ本コース愛宕ケーブル道を歩く。このルートは山本憲彦さんがリーダーの平成18年12月No.2797例会で実施されており、今日のメンバーのうち5人がその時も参加した。清滝川を渡り清滝駅跡の崩れた石段を登ると階段状のホーム跡が土の隙間から顔を覗かせている。軌道敷は良く残っており駅跡から一直線に表参道の東側に伸びている。ケーブカーの路盤はレール支持部の横に軌道点検用の階段がずっと続き下手な登山道より歩きやすい。しかし昭和19年に廃止されてすでに67年の歳月が経ち、覆い被さった樹木は太く育ち、コンクリートの劣化も激しい。

清滝川に張り出す枝尾根の下を第1トンネルが穿ち、ヘッドライトを点けて突入する。短いトンネルで出口の明かりが見えている。トンネル後半から左にカーブすると直ぐに第2トンネルで、これを抜けると高架橋上には早くも雪が現れ踏みしめて進む。次に現れた第3トンネルは真っ暗で先が見通せない。それもその筈、内部が落盤により土砂で埋まっているのだ。右側の斜面を這い上り反対側出口へ迂回する。結構歩く人も多いようで踏み跡がしっかりしており赤テープに誘導される。トンネンルの出口で元の軌道敷に復し歩を進める。高架橋の上だけだった積雪がコンスタントに現れるようになり第4トンネルに入る。出口付近の幅が拡がりポイント部であったことが分かる。トンネンルを出たところがケーブルの中間地点で井戸の釣瓶のようにケーブルで繋がれた2両の客車がすれ違った場所だ。通常の鉄道と違い分岐器と云っても可動部分があった訳ではなく内側を通る車輪のフランジを欠き取り、平らな車輪として線路の上を転がって渡って行っていた。こうしないと線路の中心部を這うように進むケーブルが邪魔になってどうしようもないと云うことだ。

中間点あたりまでご夫婦連れが見え隠れに付いて来たいたがもう姿は見えない。暫く進むと表参道五合目(549m)から東に流れる枝尾根を穿つ第5トンネンルが現れる。このトンネルも入口すぐの処の落盤で埋まっており右側を巻く。この巻道が長く険しい。やがて表参道五合目から大杉谷に下る道と交差し暫く行くとトンネル出口へ戻ってきた。この後はほぼ一直線に登る。中間点を過ぎてからは傾斜が増したようだ。最後の第6トンネルを越え前方に建物らしき姿を認めるとそれはケーブル愛宕駅の跡、鉄分はすべて外され、コンクリートの廃墟が2階建てで残っている。地下にはケーブの巻上げ室であった広い空間、1階の床は所々穴が開き天井からは鍾乳石が吊下がっている。2階への階段も危なげに残っており参拝に、遊園地にと賑った往時が偲ばれる。

745m標高点峰を巻くようにトレースがあり水尾分れに達するが、ピークにある愛宕山ホテル跡を見に行く。コンクリートの基礎と壁が残り、リゾートホテルの草分けのような存在だったのだろう。水尾分れのすぐ手前には旅館水口屋の跡を右手に見て登山者の往来する表参道へと合流した。

表参道は、しっかり踏まれて雪はこちこちに固まっている。暫く歩くと傾斜が急になり危険になってきたので辻野リーダーがアイゼン装着を指示、これで何の不安もなく歩けるようになった。親族に不幸のあった西田SLは参拝を遠慮し社務所前の東屋で待つと云う。他のメンバーは神社に参拝、最後の石段は雪で階段がスロープになり、アイゼンがないとまともに歩けない状態だった。神社の温度計は昼の12時だと云うのにマイナス7℃、道理でここ数日、木に付いた雪が落ちず下界から美しい雪景色が見え続けた筈だ。

鶏すきの暖かさを思い浮かべ食も休憩もそこそこに下山を開始した。水尾分れからは2年前の例会で通るはずだった中尾根をリベンジ挑戦。その時は登りに使い米買い道と交差する大岩から谷筋に直進してしまい中尾根を登れなかったのだ。水尾分れからは、しっかりトレースもあり明瞭な道が付いている。標高が下るとみるみる雪は無くなり途中でアイゼンを外した。米買い道との交差点手前で、2年前に間違って進んだ分岐を発見、辻野Lと「此処だ、此処だ」と納得しあった。

米買い道交叉点の大岩で所用があり辻の家に行かない秋房夫妻は一行を見送り中尾根をそのまま府道へと下って行った。例会一行は米買い道に入り水尾を目指す。尾根の張り出し部分に「東の田圃跡」との看板があり、石垣を積んで平坦になった処は棚田の跡で耕作放棄されてから長い年月がたち植林された杉が立派に育っていた。見覚えのある学校に達し、その上に辻の家を発見した。まずは柚子風呂に入り、皆が出てきたところで鶏すき宴会開宴となった。《山紀行730》

 

愛宕山鉄道の歴史については平成18年No.2797例会の報告で詳しく掲載していますので参照してください。

http://kyotohira.web.fc2.com/activities/no2797.html

 

【感想】 52期 秋房伸一

愛宕山は、我が家からも近く、家内は一時期トレイルランニングで色々走って登っており、息子は中学校の「愛宕適応登山競走」(嵯峨清涼寺からスタートして清滝を経由して表参道を上るタイムトライアル)で頂上まで58分ほどということで、身近ではありましたが、実はケーブル道と中尾根は歩いたことがなく、今回、参加いたしました。積雪量は思ったより少なかったですが、変化のある面白い道で堪能しました。水尾には所用で立ち寄れませんでしたが、山本さんから中尾根をそのまま降りるコースを指南していただき、その道が実に良い道で、なんだかうれしくなりました。皆さん、どうもありがとうございました。

 

【感 想】 52期 尾崎 稔

愛宕山登山は初めての体験でした。ケーブル道はトンネルが6つあり、崩落してるトンネルや通れるトンネルなどいろいろあり登り応えがありました。昔のケーブルの駅やホテル跡などを見ることができました。昔はたくさんの人がケーブルに乗って愛宕参りをしていたんだな~と思い感慨にふけました。途中から軽アイゼンを装備しての登山は楽しく非常に貴重な体験ができました。下山後のとりすきは初めて食べましたが非常においしかったです。冷えた身体にゆず風呂も最高でした。登山後のゆず風呂ととりすき、毎年この例会が組まれている理由がよくわかりました。また来年も参加したいと思います。よろしくお願いします。

 

【感 想】 53期 辻 春見

山というのは、同じ山であっても、季節やメンバー、その日のコンディションによって、本当に満足度の度合いが違うものだという事を再認識しました。自分はそれほど多くの経験を積んでいませんが、愛宕山は当然何度か登ったことがあります。色んなルートがあると思いますが、このケーブル道は初めてでした。大変趣のある道で、歩きながら往時の賑わいを想像し、その朽ちたトンネルや駅舎を眺めるだけでも、興味深い山行でした。水尾でのゆず風呂&鳥すきも最高でした!楽しい企画に大感謝です。ありがとうございました。家内に、帰ってから三日くらいは、ジーンとそのことを考えていると話していました。(ちょっと大層ですが…)また、私が山岳会にお世話になった目的として、「学ぶ」という事があります。雪道の歩き方一つにしても、先輩方が教えてくださるのが、普通に新鮮に入ってきます。雪道に慣れ親しんだ方は、本当に楽しそうに歩いておられます。そんな初歩的なスキルも身につけたいと思います。

 

【感 想】 54期 菅 美穂

長年京都に住まいながら、初めての愛宕山登山でした。思った以上に積雪があり驚きましたが、スリリングなケーブル道も愛宕神社への参道も、雪を踏みしめる音が心地よく、とても楽しい登山となりました。ゆず風呂、とりすきも最高でした。最後に、スパッツ・アイゼンを装着する際、みなさんにご指導いただき、作業が遅いため御迷惑をお掛けしてしまった事、大変申し訳ありませんでした。次回からは完璧に出来るよう、きちんと練習しておきます。ご一緒した皆様ありがとうございました。

 

【サブリーダー感想】 40期 西田和美

 ケーブル道を登るのは今回で三度目ですが、雪のケーブル道は初めてで、とても新鮮でした。雪に足をとられながらたどり着いた山上の駅舎跡。廃屋に入り、見上げたガラスの無い高窓には青空が広がり、窓枠から伸びた幾本もの氷柱が冬の日差しにキラキラ輝いていました。

60年前の昔、ここを訪れたスキー客もこんな景色を見たのでしょうか。60年後の未来、温暖化の進んだ愛宕でこんな風景を見ることができるのでしょうか…。雪の上で笑顔の集合写真を撮りながら、ふっとそんなことを考えていました。

 

【リーダー感想】 36期 辻野喜信

 雪の愛宕ケーブル道は初めてでした。雪もあり楽しく登れました。雪を見ると元気が倍増する人がドンドン先を進んでいきました。助かりました。

 昭和4年開業、2130m、東洋一のケーブルだったようです。昭和19年資材供出と軍の命令で廃止されました。最近、戦前の国土地理院の5万図を見る機会がありました。嵐山から清滝は平坦線が、清滝~愛宕駅はケーブルが記されていました。

 中尾根はしっかり道がついていました。踏み跡もありました。2年前にかなり苦労して登ったのが嘘のようです。米買道のすぐ手前に大岩があり、ここから尾根に取り付くのが正解だったのです。気になっていたルートを歩けて満足です。

 

20110130愛宕山1-1

写真: 愛宕山(嵐山中之島公園より)

 

20110130愛宕山2

 

写真: 積雪のケーブル道を行く