京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3088 福寿草を求めて藤原岳 《関西百名山シリーズNo.52》

雪解けの山に咲く福寿草、昨年の霊仙で花盛りだったので同じ時期に計画したが今年は雪が多かった為か大貝戸道は未だ蕾の状態だった。人の少ない丸尾を登り、メジャーな大貝戸道を下山するコースを取った。

20110402藤原岳3

写真:藤原岳山頂にて

 

 

[例会No.3088]  福寿草を求めて藤原岳 《関西百名山シリーズNo.52》

   平成23年4月2日(土)

48期 山本浩史

雪解けの山に咲く福寿草、昨年の霊仙で花盛りだったので同じ時期に計画したが今年は雪が多かった為か大貝戸道は未だ蕾の状態だった。人の少ない丸尾を登り、メジャーな大貝戸道を下山するコースを取った。

 

【参加者】 堤潤L(車)、秋房伸一(車)、向昌宏、藤堂尚久、吉川彩、会員NM、小野幸代(非会員)、山本浩史TC(車) 計8名

 

【行  程】 京都駅7:09=京都南IC=(名神)=彦根IC=9:10藤原岳自然科学館9:20=9:28木和田尾登山口9:42~10:41寒山10:49~12:24冷川岳12:54~13:04白船峠~13:38頭蛇ヶ平13:40~14:18天狗岩14:29~14:55藤原山荘15:03~15:19藤原岳15:25~15:39藤原山荘~17:07神武神社17:16~17:26藤原岳自然科学館=17:35木和田尾登山口=17:45神武神社P 17:55=18:05阿下喜温泉19:47=彦根IC=(名神)=京都南IC=21:35京都駅

 

【登山データ】 天候:晴後曇 歩行12.6㎞ 7時間44分 延登高 1,244m 延下降 1,324m 5座登頂

20110402藤原岳地図

 

 出発時刻が遅くなり大津付近で少々渋滞に嵌ったが、それ以外は順調で前日に冬季閉鎖の終わったR306鞍掛峠を越えて三重県いなべ市に入った。三岐鉄道西藤原駅から北西1㎞ほどの処にある藤原岳自然科学館前の有料駐車場に堤車を止め、秋房車、山本車の2台に分乗し丸尾登山口に向かった。木和田尾コース登山口付近の広場に車を止めた。

 

歩荷に挑戦するNMさんは15kgぎりぎりで計量をクリアし重荷を背負って林道を歩きだした。冷川谷に沿って進み1本目の堰堤を過ぎると川面が近づく。2本目の堰堤は堰堤本体に階段が刻まれ対岸には赤いテープが巻かれている。此れは臭いと思い対岸の小さな標識を確認すると「寒山」の表示があり、紛れもなく丸尾への取り付きだった。最初は谷沿いを行くが二股に分かれるところで真ん中の尾根に取り付いた。登山道に入るとすぐにカタバミの花を向さんが見つけた。今日の目的は福寿草だが藤原岳は花の百名山でもある。丸尾にはマンサクも咲いていた。

 

 樹林帯の尾根を急登して最初のピークは寒山(650m)。標高差400m余りだが最初の急登は結構堪える。さて此の山、「かんざん」と読むのか「さむやま」と読むのか良く分らないまま展望のない山頂で暫し休憩した。鈴鹿主稜線の冷川岳はまだ遠い、更に400m登らねばならない。寒山を下った鞍部は西側がガレて稜線が崩れ登山道が後退している。ガレの縁からの展望は良く目指す冷川岳、御池岳や国道306号線の越える鞍掛峠を挟み鈴北岳と焼尾山が対峙しているのが見える。

 

 登り返しも傾斜は落ち着いてP770に到る。ここでNMさんの歩荷にOKを出し身軽になった序でに今後の悪路を想定しスパッツを着けて出発。P906を過ぎると登山道脇にコンスタントに雪を見るようになり、最後のアタックで主稜線に達し冷川岳(1,054m)に到る。残念ながら展望はないが、お昼休憩を取り大休止、じっとしていると寒い。今年の3月は寒い日が多かった。此れを4月なっても引きずり季節の変わりが遅い。時間はもう13時前、予定より45分遅れている。気持ちだけピッチを上げて少し南に進むと再び「冷川岳」の表示、これは南のピークで1,050mの表示があった。本峰は先程の1,054m地点で間違いない。

 

 南西に向きを変えて進み下りきった処は白船峠(1,008m)、2.5万図には「白瀬峠」とありどちらも正しい。滋賀県側真ノ谷に下りる道と三重県側坂本谷へ下るルートが越える峠だが、坂本谷は土石流で通行止めになったままだ。しかしwebで見る限り登っている人はかなりいるようだ。

白船峠からは2本の送電線の越える頭蛇ヶ平を目指す。中部電力の送電設備で鉄塔付近は展望良く御池岳が目の前にドカンと見える。実は天狗岳でのミッションで山座同定のミッションを設定していたが、誰もがわかってしまいミッションになりそうにないので、ここでコンパスを合わせて確認作業をした。

 

 この辺りから藤原岳の山頂域の特徴である高原状のお花畑の雰囲気があり、福寿草への期待は高まる。白船峠で出会った人の情報によると「大貝戸道(表道)8~9合目に咲いていた。」、先程すれ違った人は、「頭蛇ヶ岳の鉄塔を越えた所に咲いていた。」と言う。その2本目の鉄塔のすぐ先に頭蛇ヶ岳山頂があり、2等三角点「坂本村」と貧弱な山頂標識が迎えてくれる。展望も良く雪原の先、大きく湾曲した登山道の彼方に天狗岩が望める。下り尾根を間違えかけて、しかもミッションを忘れていた。戻ってきたので幸いミッション2「頭蛇ヶ平から天狗岩までの所要時間を予想する」を行なった。距離は1.1㎞、一旦下って100m程の登り返す殆ど雪道という条件で考えた結果28分から60分の予想時間が出た。

 

 いよいよ福寿草の目撃証言のあったエリアで左右に目を配り進むが中々見つからない。天狗岩への登りに差し掛かった頃登山道から5mほど離れた所で1輪発見、良く見ると近くに数輪咲いていた。本来もう少し花期の早い節分草もこの付近で見ることができた。

天狗岳への道は北東側を巻くようにして登山地図には描かれているが、稜線伝いに直登する道がありそちらをルートにしていたが雪に埋もれトレースもなく一行は直進してしまった。TCが最後尾で偵察に行くとやはり右に進むべきだったが、先に行った一行を引き戻してまで行くのもどうかと思いそのまま進んだ。藤原岳への道の途中から100mほど引き返すようにして天狗岩(1,171m)山頂に到着、数人の先客がいた。そして所用時間は30分丁度だったが、福寿草撮影とTC偵察時間をロスタイムとしてカットしミッションの結果として28分だった。藤堂さんがドンピシャで秋房さんが続いた。

 

 この岩の南側は切り立った断崖で等高線の詰まり方は半端じゃない。南にはこれから目指す藤原岳、さらに奥には鈴鹿主稜線の竜ヶ岳、静ヶ岳の展望があり素晴らしい。しかし頭蛇ヶ平付近から雲が出だし、光量は少ない。尤も霞がかかり遠景は最初から良くなかった。高原の雰囲気を楽しみながら進むと2階建ての藤原山荘に達する。

トイレも用意され登山者が憩っている。小休止の後、藤原岳まではピストン36分で行って来た。藤原山荘から見ると藤原岳は雪を纏って優雅に横たわっている。あくまでも優雅で荒々しさは一切ない。右に回り込むように登山道が付きなだらかに山頂に到る。雪のないところは泥濘んでいる。殆どが雪に覆われ植物はない。山頂に達する頃には雲が多くなり遠望は奪われた。藤原岳(1,140m)は俗に展望丘と言われている所が山頂だが、その呼び方は気に入らない。やはり堂々と山頂と呼んでほしい。一番高い所に壊れた「藤原岳」の標識があり何とか山頂を形作っている。風が強くゆっくりすることはできない。記念撮影をして早々に引き返した。

 

 2.5万図では大貝戸道の分岐は藤原山荘に戻る手前の鞍部から分岐しているが、ここは廃道となり山荘からの分岐となっている。予定時間を1時間以上過ぎているので山荘を素通りして大貝戸道へと入った。このところの好天で少しましなようだが雪解けもあって噂どおりの泥濘悪路が続く。福寿草目撃証言のあった9合目に向けて沿道に花を探すが、まだ花期に早く殆どが蕾の状態だった。

 

 8合目辺りは花の多い処でユリ科のミノコバイモも咲いていた。俗に裏道と呼ばれている聖宝寺道が分岐し藤原町坂本へと下って行く。一行はそのまま表道である大貝戸道を進み長い植林帯の下り道となり足元は改善された。4合目で小休止し17:07神武神社に達した。神社のすぐ下に立派な観光施設があり裏手には汚れた靴を洗うブラシまで用意されており有難い。

 

 皆は此処で待機し、運転者3人は藤原岳自然科学館までさらに700m歩いた。堤車で木和田尾登山口に置いた車を回収に行くと、まだ2台車が残っていた。先に帰るという秋房車を除き2台で阿下喜温泉に向かいゆっくり入浴、夕食も食べて、帰路に着いた。 《山紀行733》

 

【感想】 52期 秋房伸一

実は、鈴鹿の山は、岩登りでの御在所と沢登りで一部徘徊しただけで、これまで行ったことがありませんでした。自転車で峠を走っていたくらいで。

石灰岩質の山で、比良や北山とは違った雰囲気があり、スケール感も大きく、魅了されました。以前から京都の岳人が、鈴鹿奥美濃に足繁く通うのもうなずけます。今度はテント泊縦走で鈴鹿をいろいろ歩いてみたいと思いました。積雪期も面白そうです。山に登ると、どんどん行きたいところが広がりますね。同行の皆さん、ありがとうございました。

 

【感想】 52期 向 昌宏

福寿草のひびきにさそわれて昨年の霊仙に続き参加しました。樹々はまだ冬芽でしたが、マンサクの花が咲いていたのでもうすぐ一面みどりにつつまれることだと思います。福寿草は咲き始めのようで個体数はすくなかったけどその分きれいでした。おまけにセツブンソウまで見れて良かったです。雪の上は快適に歩けたけど、どろどろの道で2度も転び少々苦戦しましたが楽しかったです。終盤に膝が痛み出し何の気なしに軽く走ってみたらものすごく楽でした。荷物が軽ければ下りは走ってみるのも良いかもしれませんね。ご一緒いただいた皆様ありがとうございました。

 

【感想】 53期 吉川彩

藤原岳は去年初めて登って福寿草がとても印象的で、またぜひ行きたいと思い参加しました。おかげさまで今年も黄色く輝く福寿草が見られました。残雪の山の景色も美しかったです。体調不良で避難小屋からの頂上往復を断念しかけましたが、皆さんに励まして頂き、一緒に行けてよかったです。にも関わらず下りでは走っ てハデに転んで、調子に乗りすぎたと反省。温泉も行きたかったのですが、また次回体調の良い時に。皆様、どうもありがとうございました。

 

【感想】 54期 NM

今回、藤原岳への山行に参加された皆さんのお陰で、小さな草花に足を止めて目を向けたり、鳥の声や姿を探すのに空を見上げたりして、心が優しくなる山登りができました。山頂から眺めた鈴鹿連峰の大パノラマはもちろんですか、厳しい急坂や木々の間を行く穏やかな登りの繰り返しの道は結構気に入っています。シャーベットのような雪の上もチョコレートフォンデュのような泥道も全部含めて藤原岳が好きになりました。

ご一緒した皆さん、どうもありがとうございました。とても楽しい1日でした。また、どうぞ宜しくお願いします。

 

【感想】 非会員 小野幸代

初めての登山は不安もありましたが、みなさん優しく手助けしてくれ、安心して登る事が出来ました。また、みんなで福寿草などお花を見たり、景色を見たり、雪で遊んだりと楽しく、気持ちよかったです。またご一緒できる日を楽しみにしています。ありがとうございました。

 

【リーダー感想】 50期 堤  潤

藤原岳というとお花が楽しみですが、丸尾という点線ルートも楽しみにしてました。歩いてみると、直近は人が歩いてないですが、踏み跡はけっこう明瞭であちこちペンキ印もあり安心して登れました。寒山というピークで休憩して、その先少し険しい尾根がありましたが、そのスリルも楽しかったです。雪は主稜線までほとんどなく、順調に冷川岳に到着できてよかったです。

そのあとは藤原岳の手前で福寿草観察ですが、今年は雪のせいか開花が遅れているようでしたが、少な目でしたが咲いてるのを見ることができてよかったです。藤原岳山頂にはちょっと遅れて15時半到着。貸切状態でした。っていうか、もう登山者はみんな下山した後でした。

余談ですが、亀島さんも藤原岳へ来ていたとのことですが、100名くらいの団体もいて人だらけだったとのことでした。亀島さんは歩くスピードが早すぎて、僕らが頂上の時にはとうに京都に帰っていたようです。会えなくて残念でした。

今回は時期が遅いと思っていたセツブンソウも見れたし、コセリバオウレン、ミノコバイモも見れて良かったです。マンサクもたくさん咲いていたし、山ろくではミツマタも咲いてました。二度ルートを外してしまったのは恥ずかしい失敗でしたが、みなさんと楽しく山に行けて楽しかったです。ありがとうございました。

 

20110402藤原岳1

写真: 福寿草(天狗岩北方にて)

 

20110402藤原岳2

写真: 藤原岳(藤原山荘付近より)