京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

  剣尾山 《関西百名山シリーズNo.55》

嘗ての修験道信仰の山、能勢の剣尾山(794m)に登った。関西百名山シリーズの例会は天候に恵まれる。今回も午前中90%、所により雷雨の予報を覆しバスを降りた途端に雨は止み午後からは日も射す天気となりまた一つ伝説を積み重ねた

20110611剣尾山3

剣尾山山頂にて

[例会No.3115]  剣尾山 《関西百名山シリーズNo.55》  平成23年6月11日(土)

48期 山本浩史

嘗ての修験道信仰の山、能勢の剣尾山(794m)に登った。関西百名山シリーズの例会は天候に恵まれる。今回も午前中90%、所により雷雨の予報を覆しバスを降りた途端に雨は止み午後からは日も射す天気となりまた一つ伝説を積み重ねた。

【参加者】 辻野喜信L、中尾論、西田和美、奥野淳子、藤堂尚久、吉川彩、鹿嶽眞理子、鈴木かおり、山本浩史TC 計9名

【行  程】 梅田7:40-(阪急・能勢電)-9:11山下9:18=9:43城山橋9:57~10:48城山~11:52三ノ瀬~12:48剣ノ鼻~13:28剣尾山13:52~14:08笠山~14:41横尾山14:56~15:24頂上広場~16:05能勢温泉17:25=17:43山下17:53-(能勢電・阪急)-18:35梅田

【登山データ】 天候:曇後晴れ 歩行9.8㎞ 6時間08分 延登高 869m 延下降 779m 6座登頂

20110611剣尾山地図

午前5時発表の天気予報は降水確率90%で今も強い雨が降っている。普通なら中止なのだろうが梅雨前線は徐々に南下し回復傾向なので予定通り決行した。集合に指定した阪急宝塚線列車には山下駅集合の藤堂さんを除いて2人足りない!「十三で乗り間違って中津へ行ってしまった!」とKさんから電話があった。もう一人Yさんは当然中止と思い込み来てくれなかった。48分後のバスに変更して川西能勢口駅の喫茶店に入ってKさんを待った。山下駅からのバスの中で雨具を着て準備し城山橋で下りるとそれまで降っていた雨が奇跡のように止んだ。Kさん待ちの48分間は良い方に作用した。おまけに美味しいコーヒーも飲めたし。鹿嶽さんありがとう!オッと名前を云っちゃった。

歩荷に挑戦する吉川さんは16kgの荷重で計量クリア。辻野Lを先頭にバス道を少し引き返すように歩き出した。早速ミッションが始まり「4等三角点『城山1』への登路発見」に挑む。円錐形の美しい姿の城山は嘗て“能勢富士”と呼ばれていたそうだが今は余り流通していない呼び名のようだ。北東の峠からは道があるようだが南側は不明で藪漕ぎ覚悟で南から直登する月峯寺西の尾根に狙いをつけた。左に折れ林道のような道に入ると比較的新しい慰霊塔がありその少し先で道は途切れた。踏跡らしきものはないが人の手の入った山林で下草も無く潅木や倒木を避ければ難なく進むことができる。山頂部に近づくにつけ大岩が現れだし緊張が走るが脇を通り問題なく通過できた。

平らな所に乗り上がると4等三角点「城山1」(428m)は何の表示も無くひっそりと顔を出していた。此処が城山南峰で本峰の北峰は少し先にあり433mの標高がある。ここは山辺城または鷹爪城と言われた城跡であるが山頂あるいは城跡を示す表示は一切ない。石垣などの人工物の遺構は何もないが案内板位あってもよさそうな所だった。城山本峰の北峰はこれも平らに均されているようで本丸跡らしい。少し手前にあった小高い処が二ノ丸の跡で、一番広い南峰が三の丸跡である。ネットの記事によると建久2年(1191年)能勢国基が入部し居城としたことに始まり、戦国時代の天文年間に大町氏の居城となったが天正7年(1579年)に織田信澄、塩川長満によって滅ぼされ廃城となった。

二の丸と三の丸の間の鞍部から西に丸太階段が続きしっかりした道があるようだ。道がしっかりしているのに指導標が一切ないのがアンバランスに感じる。月峯寺の方に下りて行きそうな気がしていたが三ノ瀬との鞍部までしっかり続いていた。鞍部から三ノ瀬への登り返しは踏み跡に従い真直ぐ尾根に取り付き2.5万図にある登山道の一本東の尾根を登った。ミッション2は「4等三角点『三ノ瀬』を探す」で、登山道を外れる場所を探すのを目的にしたが

直接三ノ瀬(509m)に上ってしまいミッションはいとも簡単に終わってしまった。

時刻は昼近くになり行程は半分も来ていないが腹時計が休憩を求めて止まずお昼の大休止となった。昼食の後は90°折れ曲がるようにして2.5万図の登山道に沿って先に進む。送電鉄塔に達すると展望が開ける。雲は厚いが結構遠くまで見通すことができる。巡視路の方が明瞭な道で偵察するとの鉄塔へとトラバースして行きそうなので尾根筋の道を辿った。沿道にはヤマボウシエゴノキが花を付け今が盛りのようだ。637mの標高点には「剣ノ鼻」と名があり1山儲けた。

小ピークを一つ越えた鞍部で青少年野外活動センターからの“おおさか環状自然歩道”が右側から合流した。登り返して道がなだらかになってくると磨崖仏が現れる。この辺りから旧月峯寺(げっぽうじ)の境内で“しじみ池”のほとりに赤い前垂れをした13体のお地蔵さんが池面に姿を映していた。行者山からの登山道が合流する辺りは堂宇の跡と思しき平地、石垣や礎石、燈篭の残骸などが残っている。剣尾山月峯寺縁起によると推古天皇の御代に開かれ天文14年(1546年)波多野氏の兵火で焼亡し豊臣秀頼の家老であった片桐且元が城山の麓の現在地に再興したとある。

旧境内を通過し上空が開けて来ると剣尾山(784m)山頂だ。いつも賑わっている山頂には誰もいない!北摂で人気の山なのに天気予報のせいで誰も来なかったのだろう。この先も月峯寺跡であったグループ以外は誰とも会わなかった。北の方の空には青空も覗き出し完全に天気は回復した。関西百名山シリーズのパワー恐るべしだ。ただひとり16㎏の荷を背負い“修行”をした吉川さんはここで歩荷の行を満願しポイントGETした。皆で拍手!展望は良く雲から顔を出した京都の愛宕山らしき姿や能勢妙見山も確認できた。縦走路を北に進むが京都府大阪府の境、県境や府県境は良くあるが正しい意味での府境と云うのは当たり前だが大阪との境にしかない。この府境沿いに小しハミ出して笠山(719m)に立ち寄る。木立の中にひっそりと標識があった。此処でミッション3「横尾山までの所要時間を予想」を行い、夫々20分~40分と予想した。

縦走路に引き返すが2.5万図には巻道で先で合流する道が描かれている。来る時はこの道が確認できなかったが下草が少ないので適当にトラバースして問題なく進み剣尾山と横尾山の鞍部で縦走路に復した。登り返して反射板のある横尾山北尾根の端に乗る。明治10年に建てられた摂津・丹波国境の石碑が要所要所にある歴史を感じさせる。90°左に曲がり少し行くと横尾山(785m)山頂に到る。2等三角点「土ヶ畑」があり丹波方面の展望が開けている。瑠璃渓温泉の建物や深山(みやま)はすぐそこに見えている。そしてミッションの結果は27分で25分を予想した鈴木さんが最も近かった。

後は能勢の郷に下るだけ、温泉が待っている。南尾根を辿り送電鉄塔を越え食害保護ネットの張られた伐採地の所で左に折れてこのネット沿いに進む。頂上広場まで来ると能勢21世紀の森の整備されたエリアとなり登山道はハイキング道とになって「おにやんまの道」など軽い名前が付けられている。指導標もしっかりし、真っ直ぐ進んで一休み峠を過ぎると409m標高点へ最後の登り返となる。と言っても僅か10mほど、やがて建物が見え出し能勢の郷に着いた。バス停には山下駅行の最終バスが停まっているが発車まで15分しかない。しかし目の前にある温泉に入らない訳には行かない。

最近湯量が落ちていると張り紙があったがいい湯だった。全国各地の温泉に異変を起こした東日本大震災の影響なのだろうか?温泉フロントにあるホットラインでタクシーを呼び3台に分乗して帰路に着いた。梅田での反省会は中尾さんを除く8名が参加した。駅近辺はどこも満員で山帰りのおっちゃんにはそぐわないイタリアンのお店で大いに反省した。山よりも反省会が楽しみ?な中尾さんは「仕事をする」と泣く泣く帰って行ったのが寂しかった。

【感 想】 40期 西田和美

 春ゼミの声を聴きながら、ヤマボウシやエゴの白い花で飾られた登山道を歩くのはとても気持ちがよく、頂上からの眺めも素晴らしい山でした。

【感 想】 50期  奥野 淳子

「雨中の山行は勉強の一つ。今日こそは雨!」と気合を入れて出かけましたが、バスを降りると止んでいました。洗われた緑が心にしみて、雨でも晴れでも曇りでも、山はいいなと思います。

【感 想】 53期吉川彩

大雨の予報でしたが、歩き出す頃には雨はあがっており、剣尾山山頂では青空まで見えて関西100名山シリーズの力は本当にすごい!と思いました。今回2度目の歩荷。剣尾山ならそうハードな道ではないか、と思ったのは甘く、一般ルートではなく城山からの縦走、ヤブこぎ・・・。さすが関西百名山シリーズでした。面白かったです。翌日は久々に筋肉痛でした。皆さま、ゆっくりのペースに合わせて頂いてありがとうございました!

【リーダー感想】 36期 辻野喜信

大雨や洪水の予報の中の山行が、一度も雨に会わなかった。さすが関西百名山・・・。城山へは北側の集落から手入れされた山道が続いていた。鞍部からの登りは一筋東の尾根を登ってしまい、ミッション2の三ノ瀬のピークに直登してしまった。

月峯寺跡からは普通の山道で、能勢の郷に着いた。関西百名山シリーズは普通の登山道から外れ、TCが設定した道を探しながら歩く楽しみもあります。今回も先頭を歩かせていただき、ありがとうございました。 

20110611剣尾山1

写真1: 城山(能勢町大里より)

20110611剣尾山2

写真2: しじみ池のお地蔵さん(月峯寺跡にて)