京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3140 富士浅間神社から登る富士山

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[No.3140]2011年9月17日(土)~19日(月)祝敬老の日

富士浅間神社から登る富士山

 

記録 52期 小泉賀奈子

【参加者】CL小泉賀奈子 四方宗和 堤潤 高橋秀治  計会員 4名

【天候】9月17日(土)晴れのち雨、18日(日)19日(月)ともに快晴

 

【行程】1日目 (9/17)

7:00京都駅新幹線改札口集合、7:16JR京都駅―(のぞみ)―7:51JR名古屋駅7:58―(こだま)―9:44JR三島駅10:10・・(富士急行バス)・・12:12浅間神社前、昼食後行動開始。12:57富士浅間神社~13:13富士吉田登山道 遊歩道入り口13:40東富士五湖道路との出合い~14:15中の茶屋~馬返し(幕営

 

     2日目 (9/18)

5:10起床、7:00馬返し~7:13一合目鈴原天照大神~7:43二合目~8:13三合目 三軒茶屋~8:34四合目大黒天~9:00四合五勺 御座石~9:17五合目~9:27車道との出合い~9:40佐藤小屋~五合五勺 経ヶ岳~10:40六合目~11:30七合目 花小屋(大休止)~12:30鳥居荘~13:14八合目 太子館~14:05白雲荘(小屋泊まり)

 

    3日目 (9/19)

2:15起床、3:13白雲荘~3:40八合目トモエ館~5:00山頂鳥居《5:32御来光》~5:57浅間神社奥宮~6:20剣ヶ峰△・3775.6m~7:00御殿場口登山口~7:21小屋~8:04馬の背~8:14宝永山~8:30馬の背~(大砂走り)~9:03次郎坊~9:24大西小屋~9:30御殿場口新五合目・・(タクシー)・・御胎内温泉・・(タクシー)・・JR御殿場駅―(御殿場線)-沼津駅―(東海道本線)―三島駅―(ひかり)―京都駅、解散

 

 

 出発日前日、台風15号・16号の接近と秋雨前線の発達により悪天候が予想されていた。しかし、当日の朝は晴れ。中止にするのはもったいないので、天気の許す限りは行程を進め最悪の場合は引き返そうと考えて新幹線に乗り込んだ。車窓からは裾野しか見えなかった富士山であったが、日本一の山にこれから登るのだと思うとメンバーの士気も少しずつ高まっていった。

 

 順調に公共交通機関を乗り継いで富士浅間神社に到着。ちょうどお昼時だったので名物の「吉田うどん」のお店へ。4人ともまさかの注文ミスに見舞われながらも、おいしくいただいた。

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霊験厳かなる北口本宮富士浅間神社にお参りし、無事に登頂できることをお願いした。神社を奥に進み、車道に出る。しばらく行くと左手に「富士再発見の道」という道標があり、舗装道路に並行して散策路が設けられていた。傾斜も緩く、森のにおいがする気もちの良い道である。トラノオが咲いていたり、オニグルミが落ちていたりしてなかなか楽しい森林浴ができた。道中、すぐ脇の道路を富士吉田駅から馬返しまでのシャトルバスが何度も往復していた。

 

 途中雨が降りだしてきたが、馬返しは目前だったので傘を差そうかと思案した頃に到着した。ここはバスの終着点になっており、駐車場とトイレがあって幕営に適していた。ポットラックがすっぽり収まるくらいの大きな木があり、一晩雨をしのぐことができた。しばらくお酒をたしなんで食事にした。豚の角煮丼と野菜の味噌汁。ガスコンロの上で高橋さん持参の飯盒を炊くのはなかなかシュールだった。ご飯時も就寝してからも馬返しの駐車場に車で到着しては富士山に向けて登っていくパーティーがぽつぽつあった。夜通し歩いてご来光を見ようという計画だそうだ。そう思うと我々の計画はずいぶんゆったりとしたものなのかもしれない。

 

 翌朝、雨はすっかり上がり青空が広がっていた。朝食をとって身支度を整える。本日は3000mほど高度を上げるので、メンバーの顔に緊張が走っていた。一合目鈴原神社、二合目御室浅間神社。森の清々しさに加えて神聖な雰囲気が垣間見えるようになってきた。道中、岡田先生の声にそっくりの方(羽田さんとおっしゃった)が率いるきのこ狩りのご一行と出合い、休憩ごとにいろいろなお話を聞かせていただいた。

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 三合目三軒茶屋。昔はここに3軒の茶店があったそうだ。馬返しから登ってきて一息つくのにちょうど良かったのだろう。四合目大黒天、四合五勺 御座石。道標や説明書きがあって、往事に思いを馳せることができた。御座石は神が宿ったと言われる一枚岩。かつては女人結界になっており、女性はここまでしか登ることができなかったという。しばらく行くと県道702号線に出た。視界が開けていて河口湖や三ツ峠山が見渡せた。美しい景色に感動していたのも束の間、堤さんがアマツバメを見つけてその生態について語った矢先、ガスが立ち込めてきた。アマツバメは雨雲の発生時に見られるそうだ。天候が崩れないか心配しながら先を急いだ。

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 佐藤小屋で小休止。富士山の山頂が現れ、多くの登山者が登っているのが見えた。ここからが正念場、気合を入れなおして歩き始めた。五合五勺、経ヶ岳では朝に馬返しで会った外国人女性ランナーと再び遭遇。4時間半ほどで山頂まで行き、ここまで戻ってきたそうだ。かなりの健脚である。六合目の登山センターまで来たらここからは火山礫の急な登りとなる。階段状に整備されていることで歩き辛さも否めない。高度を増すごとにメンバーに疲労の色が見られるようになってきた。見上げればすぐそこに七合目、八合目の山小屋が確認できるが、なかなかたどり着くことができないのだ。休憩をたくさんしながら一歩、また一歩と進んでいく。ツアーに参加している人、家族で初富士登山に挑戦している人、日帰りで登れるとこまで行こうとしている人もいた。様々な人に出会い、富士山への思いを交流できるのはとても楽しい。軽装が多い中で60Lのザックを背負う我々はやはりダントツ目立っていたけれど。

 

 やっとの思いで本日宿泊する八合目白雲荘に到着。雲が少なかったので、裾野の広がりが気もちの良いくらい見渡せた。絶景をつまみにビールで乾杯。天気がいいのでポットラックを乾かすことができた。夕方、山小屋で食事の準備をしていると夕日がとてもきれいだった。もしや?と思って外に出てみるとくっきりと影富士ができていた。

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 あまりの美しさに感動。富士山はどこまでも雄大である。明日で営業終了という白雲荘は少々慌しかった。食事のあと翌日の予定を確認して就寝。用意されていた布団の上にシュラフを出して眠った。

 

 3日め。行動食がたくさん残っていたため、それらを朝ごはんにして時間短縮を図った。外気はそれほど寒くなく、半袖にカッパで十分だった。満点の星空に迎えられて行動開始。月も美しく輝いていた。ゆっくりのペースで登っているものの、高度があることと朝といえど深夜であるため、メンバーはなかなか本調子が出なかった。立ち休憩をとったり、堤さんからブドウ糖をもらったりして様子をみた。朝焼けに染まる東の山々に焦燥感を覚えながらも着実に歩みを進めていく。この日は登山客が少なかったように思う。5時、日の出の約30分前に鳥居に到着。絶景ポイントにザックを置いてしばらく待機。空が明るくなるにつれて、だんだん人が増えていった。5時32分、歓声とともに雲海の果てから姿を現した、待望のご来光を拝む。互いに記念写真を撮り合った。

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 次は最高峰の剣ヶ峰を目指した。ここは写真スポットなので、行列ができていた。影富士を見ようと期待したが、昨年入れた元測候所の展望台にはロープが張られ、立ち入ることができなかった。山頂を満喫したところで御殿場口登山道を下る。下山道は段差がなく、緩やかなスロープ状の道をどんどん進むことができた。眼下には山中湖や箱根の山々、遠くには相模湾伊豆半島駿河湾まで望めた。

 

 宝永山ではそれまで凪いでいた空気が一変して暴風に変わった。宝永火口のぽっくりえぐられた様は、富士山が火山であることを我々に知らしめていた。

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 この先は大砂走、一大テーマパークである。あれほど重い、重いと言っていたザックを背負ったまま激走できる、走らずにはいられない、不思議なスポットである。登山はたいてい下りで筋肉痛になるのだが、そんな心配はいらない。本当にありがたいスポットである。メンバー4人とも軽快に御殿場口新五合目にたどり着くことができた。下山後はタクシーで御胎内温泉へ。汚れも疲れも落として帰京した。

 

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【感想】50期 堤  潤

今年は個人的には雨にたたられる事が多かったので、台風の接近で当初からびびっていました。が、蓋を開けてびっくり。雨は初日の晩だけで、あとはすごくいい天気。見慣れた日の出も、富士山山頂から見るのはすごくきれいでした。歴史ある浅間神社からの味わいのあるルート、一度駆け下ってみたかった大砂走り、絶景の宝永山までも行けたし、満足の山行となりました。

ご一緒していただいた皆さんのおかげです。本当にありがとうございました。

 

【感想】53期 高橋秀治

「登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿」と富士講で昔から謂われていた富士登山

一度は登りたいと思っていたら、小泉リーダーが「富士浅間神社から登る富士山」例会を企画して頂き、早速参加表明をしました。前日まで台風等の影響で中止になるかと思っていたら「行きます!」とメールが入り、ご来光は見られないだろうと思いながらザックに共同装備等を放り込み就寝。

新幹線のぞみ号での山行も初めてなので小学生の遠足気分で京都駅には30分も前に到着(笑)「水を一人4Lは食事用に持参して下さい。」との事。

水だけで6キロ、それに焼酎900mと、嗜好品等で65Lザックは・・・

浅間神社富士登山の無事をお参りし、遊歩道を馬返しまでひたすら歩荷で・・・何とか雨も降らず到着。しかし夕食の準備を始めだすと雲息が怪しくなり雨が降り出しました。早速テントの中で宴の始まりです。明日は雨具を付けの富士登山かなと思いながら就寝。

目を覚ますと、快晴。本日の歩荷行程は海抜1400mの馬返しから海抜3200mの白雲荘までおよそ2800m余りを会長がリードして頂き登り予定通り14時に到着。早速ビールで乾杯。歩荷の疲れが吹っ飛びます。夕食の準備をしながら、堤さんが奥様に携帯で連絡を取り山頂の天気を確認して頂くと「晴れ」との事。午前2時頃団体さんの起き出す気配で目覚め、3時前に山頂目指して出発。夜空を見上げると満点の星空です。

 

9合目当から東の空が白見出し、綺麗な朝焼けにご来光を確信しながら山頂を目指します。日の出前に何とか山頂に着き、ご来光を望みます。(まさかご来光を望めるなんてリーダー以外は皆思ってもいませんでした。)

こんな時思わず目頭が熱くなります。

剣ヶ峰で記念写真を撮り、宝永山からみた富士山はまた素晴らしいとリーダーに勧められ、突風の稜線を進みます。さらに、大砂走りを童心に帰り砂煙で鼻の中が真っ黒になるのも忘れて走り下ります。気が付けば、御殿場口新5合目に無事皆到着です。

「登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿」と謂われているものの、経験した者しか味わえない素晴らしい山行になりました。

 

【感想】  31年ぶりの富士山

6期 四方宗和

私には2度といくまいと決めていた山が2つある。その1つは尾瀬沼(燧ケ岳と至仏山を含む)でもう1つは富士山であった。いずれも遠い昔に行ったところで尾瀬沼は50年前、学生時代に行ったがその雰囲気、静寂とのどかな中に見るニッコウキスゲミズバショウそして水生植物や池塘は感激の連続であった。しかし近年の尾瀬は人が多く鳩待峠などは都会の雑踏並みとか聞くと私にとっての尾瀬沼は頭の奥にセピア色のまましまっておきたいのである。

そして富士山は31年前の2月に登っている。その後の富士山に対する私のイメージは①人が多く頂上への道はしばしば渋滞に陥る、②オーバーユースでし尿の処理が追いつかなくて登山道にもトイレのにおいがする、③山小屋の対応がよくない、などで

あり1度登った誰もいない、何のにおいもしない、純白の富士山を永遠に残しておこうと考えていた。

今回この禁を破ったのは富士山大好きな女!小泉さんの31年前に私が登ったと全く同じルートである吉田・浅間神社から馬返し、1合目、佐藤小屋と辿る計画に惹かれたのとそして私にはもう1つ高所を経験しておかなければならない理由がありその2つが重なり参加を決めた。

参加理由が少し大げさになったが快晴に恵まれた今回の富士山行そのものは大変楽しいものであった。積雪期と無雪期の違いはあったが馬返しから2合目くらいの潅木帯、佐藤小屋横の冬のテント場、お鉢めぐりなど思い出す箇所も多々あったし宝永山経由の下山路も楽しいものであった。なお富士山の名誉の為に記しておくが各小屋のトイレは200円と有料ではあったがきれいに運営されていた。  

 

【感想】52期 小泉 賀奈子

この度、2度目の「一合目から登る富士山」シリーズを為し終えてとても満足している。個性豊かなメンバーで日本一の山に挑むことができてとても楽しかったです。  

大学時代、卒業論文のテーマに山部赤人「望不尽山歌」を選んだ。「田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士の高嶺に雪はふりつつ」と聞けば百人一首だとピンとくる人も多いだろう。(これは改作なのだが…)赤人は万葉集に「望不尽山歌」を残している。天皇行幸に侍従する宮廷歌人として富士山の神々しさ雄大さを歌っている。

神聖なる山、崇める対象であった山。登ることはなんだか愚直な行為に思われて、はばかっていた。それをなぜ登ろうと思ったかは置いといて、今回はその神聖な部分にスポットを当てて山行を企画した。江戸時代に流行った富士講。吉田の山麓ルートには朽ちた神社がたくさんあり、なんとも神聖な空気が漂っていた。人々は何を祈願し、山頂を目指していたのだろう。

5合目からの登りはやはり辛かったけれど、高度を上げるにつれて景色が美しくなっていく様、雲が眼下に漂っている様は筆舌しがたい。お付き合いくださった、いつまでも若々しい晴れ男四方会長、鳥と蝶と自然を愛すスモーカー堤さん、そこはかとなく体力・ボッカ力・睡眠力のある高橋さん。初めてのリーダー業を支えてもらって感謝しています。ブドウ糖もいびきも4Lの水もいい思い出です。宝永火口の南に延びる富士宮口登山道は見ているだけで登り辛そうな印象を受けましたが、また新たな発見が期待できることでしょう。次回も素敵なメンバーと富士山を満喫できますように。