京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3144 紅葉の北アルプス 蝶ヶ岳・常念岳

 単独行はストイックなイメージがあるが、オープンな気持ちで過ごしていればたくさんの出会いがあり、たくさんの思い出ができると感じた。素敵な出会いに恵まれた楽しい山行になった。

 

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[No.3144] 2011年10月7日(金)夜~10日(月)体育の日

紅葉の北アルプス 蝶ヶ岳常念岳

【参加者】小泉賀奈子   単独

【天候】10月7日(金)夜~10日(月) 4日間とも快晴

【行程】

1日目 (10/7)

20:00西京消防署前―(野沢さんマイカー)―21:00京都東IC-翌1:30平湯温泉○P(幕営

2日目 (10/8)

6:00起床、6:30平湯温泉発―6:40釜トンネル入口~7:39大正池ホテル~8:44河童橋~11:20徳沢園~14:30長塀山~3:25蝶ヶ岳幕営

3日目 (10/9)

5:00起床、7:20蝶ヶ岳~7:56 △・2664.3m~2661.8m~13:00常念岳13:14~2:00常念小屋(幕営

4日目 (10/10)

5:00起床、6:30常念小屋~641第1ベンチ~6:51最終水場6:59~7:09胸突八丁~7:27笠原沢~7:45烏帽子沢7:51~8:07滝王ベンチ~8:26古池~8:33山の神~8:42一の沢登山口~8:52冷沢小屋~9:50穂高ビューホテル(入浴)―(タクシー)―11:45JR穂高駅12:06・・・12:36 JR松本駅〈そば祭〉14:56・・・18:48京都駅

 

【記録・感想】

 当初は夜行バスで上高地に向かう予定だったが、同日に野沢さんが湯俣方面に向かうとのことで、便乗させてもらった。高速道路の混雑はなく、順調に予定地に到着。平湯温泉○Pには15台ほど車が止まっていた。

 

 釜トンネルの手前で降ろしてもらい、上高地に向けて歩き始めた。トンネル内は何台ものバスやタクシーが通過。出口で会った工事現場のおじさんには「一人で歩いてきたのか!」とえらくびっくりされてしまったが、人に会えてほっとしたのは事実である。大正池のあたりまで来ると、焼岳がきれいに見えた。河童橋を通り徳沢ロッジまでは平坦な散策路になっているため、観光客の合間を縫って早足で歩く。途中、単独の現役大学生に出会い、行程が同じだったためともに蝶ヶ岳を目指すことにした。

 

 長塀尾根は登りだしが急で、木の根が張り出していて歩き辛く息切れがした。この夏、上高地から日本海まで踏破したという大学生は余裕でサクサク登っていたのでとてもうらやましかった。社員の親睦を深めるため、と若手をひきつれて歩くおじさん、家族連れ、その他大勢がほぼ同じペースで登っていたので、抜かし抜かされしている間にずいぶん仲良くなった。長塀山まで行くと傾斜もゆるやかになり、快適に歩く。妖精の池を過ぎた辺りから蝶の最高点が見え、色とりどりのテントが望めた。小屋は満員状態という。人気のある山域なのだ

と実感した。

 

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 夕食後、あまりにも寒いため早々に就寝。しかし、寒さのために2時間おきに目が覚めてしまった。

 翌日、テントを出るとフライに薄い氷が張っていて驚いた。ゆっくり昇ってくるご来光はとても美しく、槍・穂高の山脈を柔らかく染めていく。テントを撤収しに外に出ると、隣のテントの2人組が出発するところだった。三股に車を停めているので、常念を経由して今日下山するそうだ。

 

 テントが半数に減ったところで出発。本日のコースは稜線歩きなので余裕だと思っていたが、これが結構起伏があり、岩場もあって楽しめた。蝶槍からは南アルプスや遠くは富士山まで見渡すことができた。3週間前はあそこにいたのかと思うと感慨もひとしおだ。常念岳に近づくと岩場になり、頂上までの稜線が荒々しかった。蝶へ向かうパーティーも多く、道を譲り合いながら進む。

 

予定より早く常念岳の山頂に到着。祠があって神聖な雰囲気がした。せっかくなので前常念岳に寄ってみることにする。花崗岩の白い岩肌は美しく、冒険気分で進むことができた。前常念岳には一等三角点があり、この3日間の行程で唯一の三角点に巡りあえた。

 

 山頂から小屋までは近いように感じたが、山と高原地図にはコースタイムが45分と表示されていた。実際に歩いてみて納得。岩がゴロゴロしていて足元がおぼつかない。テン場ではすでに30基くらいテントが張られていた。低木のすぐそばに空きスペースがあったので幕営。お隣は年配の夫婦で、これまた親切にしてもらった。夕方どんどん冷え込みが激しくなり、こっそり常念小屋でストーブにあたる。予想外の寒さにテント泊が思いやられた。

 

 夕食後、冷えないうちに早めに就寝。

翌日も快晴。雲海の果てから登る朝日にあいさつし、できるだけ早く出発する。一の沢の登山道は傾斜が緩く道がしっかりしているので、早歩きでぐんぐん進めた。いくつかのパーティーを抜かし、30分前に出発されたご夫婦にも追いついた。沢の音が近づくと最終水場だ。冷たくて透き通った沢の水は本当においしかった。ここからの沢筋は紅葉もきれいで快適に歩けた。

 

 予定より早く登山口に着き、温泉を目指して道路を歩く。穂高ビューホテルは11時~ 500円で入浴可能だ。大きなザックを背負って山靴でホテルに入るのは気が引けたが、親切な支配人さんの計らいで時間外にも関わらず宿泊者用の露天風呂に案内してもらえた。帰りはタクシーを呼んでもらい、穂高駅まで行くことにした。運転手さんには、「さっき歩いているのを見たよ。」と言われてしまった。

 

 大糸線松本駅で降りて、松本城に向かう。楽しみにしていたそば祭りに参加し、そばもご当地グルメも、期間中無料開放されていた二の丸庭園も満喫した。

 

 単独行はストイックなイメージがあるが、オープンな気持ちで過ごしていればたくさんの出会いがあり、たくさ

んの思い出ができると感じた。素敵な出会いに恵まれた楽しい山行になった。