京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

伯耆大山:船上山から三鈷峰縦走

甲ヶ山から見下ろす弓ヶ浜の美しさには目を見張りましたし、親指ピークやゴジラの背など、歩いていて飽きさせない楽しい道のり。

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写真:「親指ビーク」にて

[NO.3155] 11/11(金)~13(日)伯耆大山:船上山から三鈷峰縦走

【参加者】

CL秋房伸一、加藤一子、寒川陽子、AT、藤松奈美、鹿嶽真理子 会員6名

【天候】11日:霧 12日:晴れのち曇り 13日:曇り

【記録】(計時)寒川(文章)藤松

■11.11(金)夜

20:30集合烏丸御池20:40=(マイカー)⇒0:15⇒下山駐車場・0:30就寝

■11.12(土)

5:30起床・出発6:45→6:50大山寺橋7:00=(タクシー)⇒ 7:35船上山登山口7:50→8:00東道分岐-(横手道)→8:25屏風岩直下→8:40正面道出合-(正面道)→9:00船上山20→9:30船上神社→10:35 941.0mピーク50→11:30勝田ヶ山三角点50→12:05勝田ヶ山→12:45甲ヶ山北方小ピーク(蜂刺されによる応急処理)55→13:10ゴジラの背下部20→

13:30ゴジラの背上部→13:40甲ヶ山55→14:50小矢筈→15:15矢筈ヶ岳30→16:10大休峠避難小屋・19:10就寝 [行動時間6:25]

■11.13(日)

4:30起床・出発6:10→7:00野田ヶ山→7:50親指ピーク→8:20休憩35→8:45振子山→9:10象ヶ鼻→9:25ユートピア小屋30→9:45三鈷峰55→10:15ユートピア小屋35→10:50上宝珠越-(砂すべり)→12:25元谷小屋→12:35大堰堤40→50下宝珠越分岐→13:00大神山神社15→13:25大山寺→13:30下山キャンプ場 [行動時間6:10]

下山キャンプ場15:10=(マイカー)⇒15:25植田正治写真美術館16:20⇒大山高原PA⇒19:30丹波篠山口IC=(R372・京都縦貫道)⇒21:00京都市

アルパインな気分が味わえる山」。いつもの秋房例会とは違うさわやかな文言につられ、参加した人は多いだろう。

11日夜に出発し、駐車場でテントを張って仮眠し、12日早朝から船上山を登り始めた。少し登っただけで大地が広がる景色が見え歓声があがる。初めての穏やかな山行、、、と思いきや「左は途中から急稜。健脚者向き」との看板が現れる。すかさず「急稜気になりますねえ」とつづの先輩。

いやな予感。若干の反対むなしく急稜コースへ。どこから取りつくのか迷っていたところ、上へのけわしい道が見えた。ロープがはられた急斜面を登ると、ロッククライミングにぴったりの岩が現れる。「まさかここを通るの?」さすがに間違いに気付き引き返す。正しい道に戻るが、急稜とあるだけあって、かなりの斜度のガレ場で息が切れた。船上神社は公園になっており休憩。そのまま森のような気持ちのいい登山道を通り第一のピークへ。

「この先、難所があります」と秋房さん。岩場に変わり眺望が開け、しばらく景色を楽しむ。

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写真:弓ヶ浜半島も一望

その時、鹿嶽さんが「いたいっ」と叫んだ。慌てて駆け寄ると蜂に刺されている。寒川さんとつづの先輩が決然と殺処分したものの、2カ所腫れている。すると秋房さんが「ポイズンリムーバーがあります」といつものように「道具」を取り出した。やっぱりドラえもんのよう。

3分ほど吸い出す作業を繰り返すと血と一緒に液のようなものが出てきた。「効きそう」。その後、登山道管理する町職員の人と会い「僕は何度も刺されています。大丈夫」と聞き、少し安心する。

先の難所は、ごつごつした岩場を吹きさらしの中進む「ゴジラの背」。つづの先輩が、平地のようにすいすいと通過した後、岩場の経験が少ないとためらう鹿嶽さんを寒川さんがしっかりフォローし、進む。安全な場所に落ち着くと、眼下の絶景に感動し、写真家つづの先輩に向かってみんな笑顔でポーズ。

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写真:“ゴジラの背”

その後も、小さい難所がありながらも、ベテランに支えられ、順調に進み、夕暮れに避難小屋にたどり着く。加藤さん特製のレモン酒で乾杯し、鹿嶽さんがすべて下味を付けてきてくれた絶品みそ鍋を頂く。お酒も飲み体が温まり良い気分に。ほかのパーティもおらず広くて快適な避難小屋に寝袋をしき、寝ようとした時突然ドアががたがたっ。驚いて飛び起きると、外国人の姿が。寒川さんが流ちょうな英語で「何人か」「どこから来たのか」などと声をかけ、フランス人だと分かり譲り合って休んだ。

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写真:大休峠避難小屋

 4時半起床。前日の残りを味噌汁にして温かい朝食。この日のメーンは「親指ピーク」と言われる岩場。遠くから見ていると、片足で立つほどの面積しかなさそうな細いとんがった岩。あんなところ登れるのだろうか。ところが近づいてみると、岩場の隙間を歩く物の、つかまるところも多く、登りやすかった。

つづの先輩が、親指ピークに立つ私たちを撮影しようとする。ふきっさらしのため立つのはさすがに怖いと尻込みする私たちを尻目に寒川さんは片足で立つ。さすがである。秋房さんが「この写真はHPにアップできませんね。新入会員がいなくなります。」加藤さんは「寒川さんのお母さんに絶対見せられない。危ないからもう」と気をもむ。その後も、アルプスに来たかのような岩場や雄大な景色が広がり、霧がかりも一層の迫力を増す雰囲気を醸し出す。

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写真:三鈷峰手前にて

ユートピア小屋で休憩し、先へ進む。砂滑りで降りるか、普通の登山道で降りるかの分岐に到着。砂滑りの場所には、中に入れないようロープが張り、「通行危険」の文字が。秋房さんは「禁止とは書いてない」つづの先輩「気になりますねえ」。

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写真:砂すべり

「何があるか分からないし危ないですよ」と抵抗を示すが、聞き入れられずはずもなく、採石場にも似たガレ場を下るはめに。やはり秋房例会。普通のルートを通らせてもらえるはずもなかった。

なんとか無事下山し、ほっとひといきつく。それにしても、非常に奥深い場所に入ることができ、バリエーション豊富な景色を堪能できる魅力的な山だった。

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写真:甲ヶ山から岩稜を慎重に下る

【感想】 48期 寒川

 リーダー行動のシミュレーションを個人における山行目的とし、今例会に参加させて頂いた。参加人数が程良いこともあり、集合から解散に至るまでリーダーからの指示や助言が行き渡り、危険箇所については適度な緊張感があったと感じている。単独行だと自分の決定が全てであるが、どこで休憩をとるかどのタイミングで周知するか等、リーダーの個性が出るのはグループ登山の面白さの一つとして欠かせないなと思う。

 だがリーダーの負担が重すぎるようにも感じた。各人に渉外などの係を分担すれば良いのだが、ある程度のノウハウや信頼がないと任せられないため、下調べ・調整をリーダーが行っている山行が多い。自分のやりたい活動をやるのは結構なことであるが、今の会の現状を考えると、私のような一通り山を知っている者は、育成のための山行に時間を振り分けるべきなのかもしれない。

 時折こんな小難しい事を考えつつ行く縦走路では、船上山から大山中腹までのルートや植生の変化たるや見事なもので、岩場やザレ等たまに恐い顔をしながらも人を選ばず受け入れてくれる大山の懐の大きさには本当に恐れ入るばかりであった。

【感想】 51期 T

ずいぶん昔に夏山登山道から訪れた大山(弥山)の穏やかな印象を持って参加した今回の大山でしたが、その印象が180度変わるようなダイナミックな道程に驚かされる山行でした。

後半は残念ながらガスが出て全容が見えなくなってしまいましたが(それはそれで高山ムードが出て良かったですが)、甲ヶ山から見下ろす弓ヶ浜の美しさには目を見張りましたし、親指ピークやゴジラの背など、歩いていて飽きさせない楽しい道のり。また、最後に秋房リーダーの強引判断(?)で下った砂すべりの崩れた景色もダイナミックで楽しく、わずか1700mの山でこれほど雄大な景色を堪能出来るものかと驚きの連続でした。あとから秋房さんに聞いたところでは、大山は「西の谷川岳」との異名を持つほどの厳しい山だそうで、妙に納得をしてしまいました。僕の持っていた大山の認識を大きく改めなければなりません。

今年ももう終わりですが、今年の山行のなかでも5本の指に入る印象深い山でした。ぜひまた訪れてみたいものです。

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写真:変化に富んだ縦走路

【感想】54期 藤松

けがのため、夏と秋の山に全く行けなかったため、とても楽しみにしていた例会でした。

大山の深い懐に飛び込ませていただいたような、濃密な自然に囲まれ、心ときめく山行でした。

力と経験不足のところもありましたがフォローして頂き、おいしい食事やお酒も、本当に楽しかったです

ハプニングもいくつかあり、怖い目したのがやはり秋房例会でしたが・・・。

行けなかった時期があっただけに、やっぱり好きで、もっと行きたいと実感。

足をもうすこし万全に治し、体力も技術も付けられるよう、がんばります。

みなさま、ありがとうございました。

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写真:甲ヶ山

【感想】22期 加藤

 溝口辺り、月明かりの中にうっすらと大山が陰のように現れた。また、やって来たよ。

 んー十年ぶりの船上山、低いのにぐるり周りに岩の鎧をまとった格好いい山だと以前から思っていた。んー十年ぶりの甲ヶ山、振り返れば見覚えのある岩の形。懐かしい島根半島、弓ヶ浜の景色。んー十年ぶりの大休峠、以前はこんもりとした薄暗い森の中にテントを張っていたのに、頭上が開け、きれいな小屋が建っている。まるで別の場所の様だった。んー十年ぶりのユートピア。以前は四角いコンクリートの小屋だったっけ?んー十年ぶりの砂すべり。ずいぶん荒れていて落石が怖かった。後から下りて来られたおじさんの話では、昨年は普通に滑って下降出来たとの事。元谷からの大山の勇姿、六合目の小さいコンクリート小屋は昔のまま。どこかで山が崩れているのか、落石の音が聞こえていた。そして、いつもの様に大神山神社、大山寺、下山(しもやま)へ。とても楽しい山行でした。

【感想】52期 秋房

 いわゆる「大山」のピークである弥山には登りませんでしたが、十二分にダイナミックで変化に富んだ山行でした。

 予想以上の面白さで、今後も通いたいと思います。皆さん、ありがとうございました。