京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3170 冬合宿  上高地スキーツアー

ふかふかの新雪、雪の少ない砂利道、足運びの難しい木道。何でもないような道がスキーを履いて歩くと意外性があっておもしろい。

まさかと思うような所でずっこけたりして大笑いした。

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梓川右岸の木道、細くて落ちそう!

 

 

[No.3170]2011年12月29日(木)夜~2012年1月1日(日)

冬合宿 上高地キーツアー

  記録 52期 小泉賀奈子

【参加者】CL穐月大介 中尾諭 加藤一子 小泉 賀奈子  計 4名

【天候】12月30日(金)・31日(土)とも曇りのち晴れ、1月1日(日)曇り

【行程】1日目 (12/29)

20:30阪急茨木市駅、21:00JR藤阪駅―(マイカー、京都東ICより名神高速中央自動車道、長野自動車道を経由)―翌3:55沢渡第2○P 車中泊

     2日目 (12/30)

6:30起床、7:15沢渡第2○P―(タクシー)―7:35中ノ湯 釜トンネル前7:48~9:21大正池ホテル~9:55田代橋~10:10ウエストン碑前~10:34河童橋~12:28穂高神社奥宮(昼食)13:12~14:27徳沢園(幕営

    3日目 (12/31)

4:00起床、6:19徳沢園(テントはデポ)~6:40新村橋~8:05横尾避難小屋~横尾本谷散策8:40~10:10新村橋~10:30徳沢園(テント撤収)~14:00河童橋~15:20田代橋~16:00大正池ホテル、18:30夕食(宿泊)

4日目 (1/1)

6:30起床、朝焼けを見ながら散策、7:30朝食、8:43大正池湖畔散策(荷物はデポ)~9:40大正池ホテル10:14~10:37釜トンネル入口(コーヒータイム)~11:32釜トンネル出口11:48―(タクシー)-12:05沢渡第2○P―(マイカー)―帰京

 

 阪急茨木市駅、JR藤阪駅でメンバーをピックアップし、高速道路を経て松本へ向かう。途中出口を間違い豊科ICまで行ってしまったため、予定より遅く沢渡駐車場に到着。地道を走っていると積雪があり、チェーンを巻いて進んだ。この日は車中泊をした。

 

 2日目。予約していたアルピコタクシーに乗り、釜トンネルに到着。入口は凍りついていてアイゼンが必要か・・・と思ったが、数メートル進むと乾いたアスファルトのいつもの釜トンネルだった。11%の傾斜をスキー担いでひたすら歩く。出口で朝食をとってからスキーを履いた。「今年雪が少ない。」とあちらこちらで聞いた。ラッセルの必要もなく、わりと平坦な道をすいすい進む。つぼ足で歩く4人組の蝶ヶ岳を目指すパーティーと一緒になったが、スキーの我々と速さはさほど変わらない。大正池、田代橋と進んでいくにつれ、雪がだんだん深くなる。シーズン中は観光客で賑わう河童橋も雪景色の中でひっそりとしていた。ここからは自然散策路を進んだ。ふかふかの新雪、雪の少ない砂利道、足運びの難しい木道。何でもないような道がスキーを履いて歩くと意外性があっておもしろい。

まさかと思うような所でずっこけたりして大笑いした。

 

 穂高神社奥宮にお参りして昼食にした。明神池は蒼々としていて、雪の白さとのコントラストが美しかった。絵葉書になりそうな景色に見とれることしばし。この先もアップダウンの少ない平坦な道だったが、斜度のある下りがあると滑るのが気持ちよかった。徳沢園に到着。2時までに着けたら横尾まで行くことも考えていたが、今日は無理をせずここでテントを張り、翌日空身でピストンすることにした。

 

 トイレの近くの大木の陰に槍Ⅱを張る。中尾さんが沢の水を汲み、雪を集めてきてくださった。夕食は一子さん特製の粕汁。野菜は天日干しをして軽量化するなど学ぶところが多かった。しっかり温まったところで就寝。4~5人用のテントだったのでわりとゆったり使用できた。

 

 翌朝、粕汁に餅を入れて朝食にした。気温は-20℃とあってお鍋の中はすっかり凍っていた。それほど外気は冷えており、さすが上高地の冬は厳しかった。朝食後、テントはそのままにして、まだ暗い中をスキーで歩く。梓川の川原は真っ白い雪原になっていて、北アルプスの山々を眺めながらトレースをつけていくのはとても気持ちよかった。本物のうさぎなど小動物の足跡もたくさんみられた。横尾まで行くと日が差し込んできてそれまで凍りつきそうに冷たかった指先も温まってきた。横尾谷を進み、屏風岩などを観察した。帰りも川原を歩いて徳澤へ。

 

 朝、内張りに結露していた水滴はさらさらの雪になっていてびっくり。装備のぎっしりつまったザックを背負って再びスタートした。空身と比べるとスキー板の滑りがずいぶん鈍くなってしまった。河童橋まで戻ったところでティータイム。ゆずしょうがティーと、マカロンならぬ大阪名物「まころん」は絶妙なおいしさでした。猿の軍団に遭遇しながらさらに進むと、田代池ではカメラを構えた人たちが霞沢岳の夕焼けを狙っているところだった。大正池ではさらに数多くのカメラマンたちがシャッターチャンスを窺っていた。感嘆の声とともに穂高連峰が赤く色づいていく。たなびく雲もピンク色。また、西に目を向けると焼岳の噴煙まで朱に染まっていた。「こんなに綺麗な夕焼けはめったにない。ここ3日ほど晴天に恵まれているが、これは珍しいことだ。」と上高地をよく知る人はおっしゃっていた。寒さを忘れ、長い間その美しい景色に我々も魅了されてしまった。

 

 今宵のお宿は大正池ホテル。冬季は年末年始だけ営業している。夕食には年越しそばが付いた。そうだ今日は大晦日、今年もよき一年でした。ビールで乾杯するとうさぎさんはさっそく酔いが回った様子。寒い中行動してきた体に温かいお風呂はこの上ない幸せだった。風呂上りに一子さん特製のレモン酒で晩酌。中尾さんの冬山秘話を聞きながら、もし今我々が穂高の稜線にいたなら・・・と想像してみた。きっと180°違った年越しになっただろう。

 

 新年明けて1月1日、朝食にはすまし汁のお雑煮が付いた。朝焼けは見られなかったけれど、樹氷がそれはそれは美しかった。ホテルの周辺を散策して10時を目途に釜トンネルに向かう。少しでも傾斜があると楽に滑っていけるのがスキーのいいところ。釜トンネルまで爽快に滑走できたのだが、初日はこれを上ってきたのかと思うと、2日前の自分を褒めたい気分になった。予約したタクシーの時間まで少しあるので、ここでもティータイム。雪解け水で煮出したドリップコーヒーは香り高く、またまた登場した「まころん」と好相性でした。

 

 初日にお世話になった運転手さんに送迎してもらい、沢渡駐車場へ。スキー好きが高じて松本に移り住んだ運転手さんの、山スキー、山ボード三昧のお話を羨ましく聞かせてもらった。沢渡駐車場には足湯があった。冷えた足をゆっくり温めていざ帰京。楽しい年末年始のスキーツアーとなりました。

 

【感想】  52期 小泉 賀奈子

 今季も心待ちにしていたスキーのシーズンがやってきました。滑るのが苦手な私にとって歩くこと中心の上高地はとても心地よかったです。梓川の清流、雪上に残る小動物の足跡、森の中に響く小鳥のさえずり。そのどれもが豊かな時間を感じさせてくれました。夕日に染まる穂高の山々は本当に美しかったですね。モルゲンロードならぬアーベントロード?そんな言葉があるのか知りませんが、気象条件に左右されて滅多に見られないというこの景色に、不思議な縁を感じました。

 参加された心強い穐月リーダー、中尾さん、加藤さん。またいろいろな所をご一緒したいです。そしてスキー愛好家が益々増えますように!次回は蓼科?こちらも楽しみにしています。

 

上高地キーツアー感想】21期 加藤一子

 夜明け前の沢渡は真冬の冷たい風が吹き荒れていて、車外に出ると、遭難の恐怖に襲われ、先行きがとても不安になりました。が、夜が明けると風も少しずつ弱まってきて、最高の天気の内に3日間が過ぎていきました。寒がりの私も何とか楽しいテント生活をする事が出来ました。明神や穂高は輝いていて、夏よりもずっと立派に見えました。梓川の河m原も広々として、人がいなくて、ステキでした。そして、ホテルのお風呂は遊んだ後の冷えた手足を暖めてくれ、幸せな気分になれました。冬の上高地は再度訪れたい場所の一つになりました。天気とメンバーに恵まれた、最高の年明けでした。

 

【CL感想】  25期 穐月大介

 上高地は当会に入るまえ私が初めてスキーツアーに行ったところで、入会当時は毎年のように歩くスキーで行ってました。しかし、一度も横尾まで行ったことはなかったので、今回横尾のさらに向こうを目指しテント泊で計画しました。今年の上高地は奇跡的な晴天で3日間穂高連峰が綺麗に見えていて、とても気持ちよい山行でした。でも昔こんなに寒かったっけ?

 

お正月だったのでおめでたく俳句三首です。

・雪道を横尾に向かって歩きながら・

ゆき道を くる年迎えに 上高地

 

・夕方大正池に帰りつき後ろを振り返って・

振り向けば 白き穂高が 朱に染まり

 

・年明けにスキーでコケて・

真っ白い 尻もちついて お正月

 

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明神岳を背景に美しい雪の明神池、行かないとわからない

 

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今夜のホテル、コンシェルジュの小泉さん

 

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道のない河原を歩いて横尾へ

 

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梓川から見た朝焼けの前穂高、写真を撮る手が凍る

 

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最終到達点の本谷から見た屏風岩

 

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年越しの朝の大正池ホテル、お風呂が有る

 

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焼岳がうっすらピンク色に

 

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今回のメンバー