京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉 関西百名山シリーズNo65~67  室生火山群コテージ泊(学能堂山・倶留尊山・古光山)

奈良県御杖村曽爾村辺りは太古の火山地帯であった。サンビレッジ曽爾のコテージに泊まり、関西百名山の3座、学能堂山(がくのどうやま)、倶留尊山(くろそやま)、古光山(こごうやま)を巡った。

 

20120414室生火山群1

 

4/14学能堂山頂にて

 

 

[個人山行] 関西百名山シリーズNo65~67  室生火山群コテージ泊(学能堂山・倶留尊山・古光山)

   平成24年4月14日(土)~15日(日)

48期 山本浩史

奈良県御杖村曽爾村辺りは太古の火山地帯であった。サンビレッジ曽爾のコテージに泊まり、関西百名山の3座、学能堂山(がくのどうやま)、倶留尊山(くろそやま)、古光山(こごうやま)を巡った。

 

【参加者】 山本浩史L、葛城美知子、亀島文子(食当)、辻春見、鹿嶽眞理子、鈴木かおり、石澤薫         計7名

1日目(4/14): 学能堂山

【行  程】 京都6:15=京都東南IC =(新名神)=甲南IC=8:33道の駅御杖8:51~9:30杉平~11:13学能堂山11:38~12:45佐田峠~13:18道の駅御杖14:35=15:00△サンビレッジ曽爾(コテージ)

【登山データ】 天候:小雨 歩行11.4㎞ 4時間27分 延登高 709m 延下降 709m 1座登頂

20120414室生火山群地図1日目

 

雨のそぼ降る京都市内で鈴木さん、葛城さん、鹿嶽さんを順次ピックアップし名神に入った。大津SAで長岡京で辻さんと石澤さんを乗せた亀島車と合流した。奈良県御杖村の道の駅“御杖”までは新名神を通ると2時間半程で来ることができた。午後から回復するという天気予報に期待を持ち、小雨が降るなか辻さんをトップに道の駅から歩き出した。杉平集落までは伊勢本街道の国道369号線の車道歩き。三多気桜花見の車の交通整理に警備員が出ていたが、聞いてみると桜は未だ全然とか・・・3年前の3月終わりに行った関西百名山シリーズ大洞山のときはここに下山してきたが其の時は蕾が膨らんでいたと思う。ヤマザクラだが今年はやはり遅いようだ。

 

杉平までは2.5万図に未だ載ってないバイパスを歩いたので登山道となる林道の発見に一寸迷ったが、地図どおりの林道を発見しひと安心。林道を辿ると左側に赤テープがあり山道が分岐しているが地図を見ると右に分岐するはず? もう一度確認すると地図が逆さまだった! 登山道は谷筋を直線的に登り、大きく迂回してきた林道に再び合流した。林道はここで途絶え、ルートは登山道だけとなる。下界から音楽が聞こえてきた。三多気桜の観光用だろうか? 誰かが歌いながら登って来るのだろうか? なんて冗談も聞こえた・・・

 

登山道は一貫して谷筋を登り登山口から1時間で稜線に達した。小休止を取って東に進路を変えて学能堂山を目指した。なだらかな稜線歩きの後、傾斜が増し樹林が途切れると学能堂山(1,022m)山頂に到着した。遮るもののない山頂は360°の展望が得られるはずなのだが、雨こそ殆ど止んだが雲低くどうしようもない。遮るものがないので風もまともで、東側斜面の陰で昼食休憩とするがゆっくりする雰囲気ではない。山頂で予定していた山座同定のミッション2件は中止し、唯一のミッション「佐田峠までの所用時間を予想」だけ行った。実は忘れて出発しそうになり石澤さんに指摘されたのだったが・・・ 皆さん55分から1時間30分の幅のある予想タイムが出し出発した。

 

佐田峠への分岐までは鹿除けネットに沿って急坂を下る。膝に不安のある辻さんは一寸辛そうなのでゆっくり進んだ。林道が稜線まで来ている。指導標なくうっかりすると通り過ぎてしまいそうだったがネットの結びを解いて林道に入った。ジグザグに下りしかも地図にない分岐を繰り返すので方向を見失わないようにコンパスでの確認が必要だ。造林小屋を過ぎると道は一本道。崖に咲く白花のショウジョウバカマを見つけ一寸道草をして集落が見えて来ると伊勢本街道の佐田峠だ。所用時間は立ち止まっていたロスタイムを差し引き1時間13分、亀島さんが1分違いで最も近かった。拍手を送り、夜の宴会で皆一杯ずつお注ぎしようと云うことになった。

 

伊勢本街道は30数年前に大阪YH協会主催の「伊勢迄歩講」に参加して歩いた道、ここ御杖村神末のどこかの民宿に泊まったはずだが何処だったのか記憶に蘇らない。雨は完全に上がり学能堂山らしき山体が姿を現した。明日への期待を込めて、道の駅に帰り着いた。併設されている御杖温泉“姫石の湯”に入浴、8年ほど前にできた新しい日帰り施設だが、洗い場が少なく三峰山霧氷バスで来た時の大混雑が思い浮かぶ。

 

サンビレッジ曽爾は3年前にも泊まった。前回はコテージに車を横付けできたが今回は少し離れた棟だった。敷地内の桜は蕾が膨らみつつあるが、咲くにはまだ1週間ほど掛りそうだ。見上げると鎧岳・兜岳が素晴らしい。15時に到着し食当の亀島さん指揮の下、早速夕食の準備が始まった。手際よい段取りと有無を言わさぬ指示でちゃんちゃん焼きが出来上がり、16時頃から宴会が始まった。美味しい料理に食欲が進み持ち込んだ酒はすっかり無くなり管理棟で販売している地ビールを辻さんがパシッて来て大盛り上がりの末21時宴は果てた。

 

2日目(4/15): 倶留尊山・古光山

【行  程】 △サンビレッジ曽爾6:00=6:12滝川林道=6:35大峠=6:50滝川林道6:57~8:07紅ヶ岳~8:23国見山~10:12倶留尊山10:35~10:58二本ボソ~11:45亀山12:10~12:30長尾峠~13:07後古光山~13:34フカタワ~14:09古光山14:21~14:39古光山南峰~15:13大峠=15:44滝川林道=16:01お亀の湯17:26=甲南IC=(新名神)=京都東IC=20:30京都

【登山データ】 天候:晴れ一時曇り 歩行9.5㎞ 8時間16分 延登高 1,388m 延下降 1,108m 8座登頂

20120414室生火山群地図2日目

 

快晴の朝を期待していたが鎧兜のピークは雲が覆っている。6時サンヴィレッジ曽爾を出発、紅ヶ岳の南麓を走る滝川林道に入った。登山口と思しき地点で皆を下ろし30分で往復し亀島車を下山口となる大峠にデポしてきた。紅ヶ岳へは北西尾根に点線道が描かれているが今日は登山道のない西斜面を登るのでミッション1は「紅ヶ岳へのルートファインディング」とした。林道の標高455m地点から直線距離500m余りで標高差400mを登る急登斜面だ。鈴木さんを先頭に林業者の作業道に入り微かな踏跡を辿るがだんだん怪しくなり夫々に適当な所を上へ上へと這い上がった。標高700m位に達すると前面に大きな岩の壁、リーダーの偵察により僅かに途切れている隙間を見つけ這い上がる。北に向きを変え右側に谷、左側は切り立った尾根に乗ると微かに踏跡なのか獣道かは知れない“歩き易い所”が続く。右の谷を巻きこむように紅ヶ岳(860m)山頂に辿り着いた。

 

梟の絵が描かれた山頂標識が壊れて木に立て掛けてあった。樹林帯で展望のないのが残念だが今日最大の難関を突破した達成感に浸り暫し休憩。南東稜線を倶留尊山・古光山へと縦走するがその前に国見山(約890m)をピストンする。再び鈴木さんを先頭になだらかな稜線に明確な登山道があり直ぐに到着、此処も展望はなく馬酔木が白い花を付けていた。此処にも梟の山頂標識(883m)がありその上には八咫烏と思しき絵の標識(863m)があるが何れも標高がおかしい。等高線を読むと890mある。ミッション2「紅ヶ岳から倶留尊山への所要時間予想」は帰路紅ヶ岳山頂までは行かず直下を巻くので国見岳からに変更した。距離2.7㎞、最低鞍部710mから倶留尊山の1,038mまで登るという条件。1時間25分から2時間10分までの予想が出た。

 

紅ヶ岳から亀山峠までの稜線は奈良県三重県の県境が通っている。最低鞍部では国見山の東側から登ってきた林道が接近し直下を通っている。林道からの道もあり登って来る人もいるようだ。P769を越えた鞍部から登り返すと一貫した登りの筈が小ピークからの下りがあり、左側には谷が・・・、知らぬ間に県境尾根を離れて1本西側の尾根に入っていたようだ。踏み跡が少し怪しいなと思っていたが別段支障もなく登れたのでよかった。途中から簡易モノレールの軌道が現れ倶留尊山へと続いている。辿って行くと木が倒れ掛かったままだったり、草に覆われたりで今は使われていないようだ。

 

谷が収束し再び県境尾根に合流すると踏み跡がしっかりし、高槻山からの縦走路を合わせると益々明瞭な道となった。倶留尊山は読みをモジって「来ると損する山」と言われるように入山料(\500)を徴収される。倶留尊山山頂北と二本ボソ山頂南に料金所小屋がある。料金を払わなければならないものと覚悟して来たが倶留尊山の小屋はシャッターが閉ざされ無人、支払いを免れたと喜び倶留尊山(1,038m)山頂に到着、ミッションの結果はロスタイムを差し引き1時間35分、鈴木さんが4分違いで一番近かった。8年前は味もそっけもない山頂標識だったが立派なものに変わり古いのは柱が無くなり三角点の傍に置かれていた。山頂からは二本ボソ、亀山、古光山や住塚山、鎧・兜など室生火山群の特異な山々を望むことができた。

 

尖んがり山の二本ボソ(996m)へは大きく落ち込み登り返す。倶留尊山で見え辛かった尼ヶ岳や大洞山、学能堂山が良く見える。山頂の南側10m程の処に料金所小屋、その手前に簡易モノレールのトロッコがあり小屋は有人、此処でしっかり500円を徴収された。トイレもあり話をしていると冬でも毎日来ているそうだ。モノレールの速度は遅く歩くのと変わらないそうだ。水などの荷物を上げる時や凍結時には重宝しているそうだ。そして「二本ボソ」という奇妙な山名は昔山頂に2本のホソの木があった事からそう呼ばれるようになったと教えて貰った。

 

二本ボソを過ぎると西側斜面は曽爾高原の草原、黒ずんで見えるのは3月28日に山焼きされた痕のようだ。やがて薄が一面を覆い素晴らしい茅原が広がることだろう。少年自然の家には小学生の団体が歩いている。マイクの声が稜線まで聞こえ入所のイベントをしているようだ。今日から3日間滞在するようなことが聞こえてきた。曽爾高原を見下ろしながら進む稜線は爽快、亀山峠は草原の中を登ってくる階段道が合流し観光客も登って来る。登り返して亀山(849m)は山頂標識もなく行き過ぎてしまいそうだが、11:45お昼休憩にした。昨日と違いいい日和だ。亀山からの下山は曽爾村御杖村の村界尾根を下ると思っていたが曽爾村側の尾根の階段を下りはじめた。若いカップルが夫々小さな子供の手を引いて登って来た。暫くして振り向くともうへこたれておんぶと抱っこ! そう云う時期があったな!

 

久しぶりの本格山行で一寸疲れが出ている辻さんは長尾峠で続行かリタイアかを決めて貰うことにしていたがゆっくりなら行けると云うので最後まで歩き通すことになった。後古光山(892m)、古光山(952m)、南峰(950m)の3ピークを越えるのは急登の難路が続く。特に後古光山と古光山の間にあるフカタワを越えるのは最大の難所でその名の如く深い乢で奈落の底まで岩場をロープ下りる感じだ。登り返しもまた厳しく這い上がるようにして古光山に到る。3組の登山者と出合ったが皆長尾峠からのピストンで元に戻ると云う。

 

古光山からさあ出発と先に進むが北尾根に入ってしまい3分のロス、仕切り直して反対方向の南峰に向かった。古光山3峰は夫々展望良く、室生火山群を楽むことが出来た。山頂からは昨日泊ったサンヴィレッジ曽爾のコテージも見えた。南峰からの下りに茅原があり足元は悪いがスミレが癒してくれた。大峠登山口は斎場の傍で余りいい感じじゃない。今日は歩行距離の割には難路で歩き応えがあった。辻さんも完走し自信を取り戻したことだろう。2日間で関西百名山3座を巡り効率の良さ楽しさは一入だった。

 

滝川林道に山本車を回収しに行き、曽爾高原のお亀の湯に立ち寄った。亀島さんによると薄の季節は超満員になるそうだ。名張市内で見つけた王将に立ち寄り、京都市内、長岡京駅へと夫々帰路に付いた。

《山紀行765》

【登山データ計】  歩行20.9㎞ 12時間43分 延登高 2,097m 延下降 1,817m 9座登頂

 

【感 想】 48期 葛城美知子

一番印象に残ったのは、2009年3月末の室生火山群例会で登った山がすべて見えた事です。住塚山・兜岳・鎧岳・尼ヶ岳・大洞山で、特異な形の山ばかり、又前回眺めた俱留尊山・古光山・学能堂山が歩けたのも嬉しい。

2日目は歩き始めから道無き斜面を1時間攀じ登り紅ヶ岳、次は曽爾高原を眼下にしながらの長閑な稜線歩き、最後は古光山の岩場の急登急下降で変化にとんだ1日でした。後古光山までの階段は嫌でしたが、後はアスレチックのようで面白く疲れを忘れさせました。

皆様お世話になり有難うございました。

 

【感 想】 53期 亀島 文子

朝から雨テンションは下がる一方、学能堂山迄は車道を歩き登山口が見当たらず雨の中うおさお。何処からかカラオケの歌声が山中に響き渡り(山小屋で宴会かな)、佐田峠~道の駅(姫石の湯)でほっこり。サンビレッジ曽爾コテージで夕食(ちゃんちゃん焼き)宴会突入。

爽やかな朝、昨日のアルコールが残っているのと車デポしに山本さんの後を追って走ること20分程。くねくねとスピード上げて走る車。すっかり酔っている気分。紅ケ岳迄は林業者の道をたどり(殆ど道が無い)国見山~倶留尊山~(きっちり通行料¥500取られた)曽爾高原のわらびはまだ顔を出していない。後古光山~古光山~南峰はアップダウンが厳しく、思わず辻さんに手厳しい指示(7ヶ月ぶりと、リハビリ山行、怪我をしてから3回目の引っ張り出し、別に罪の意識が有る訳でもないけどね)無事下山でホットした。

お亀の湯は何時行ってもチョー満員(洗い場少ない、お湯少ない)。ハイキングですからと誘ったけどチョット手厳しいしごきでしたかね ハッハハ。

参加のみなさんお世話しました。食事美味しく召し上がられましたか?リーダーの山本さん有難う御座いました。帰り道間違えて思わず名古屋に行く所でした。あわてて出口から降り甲南ICから大山崎ICで無事降り帰宅8時20分

 

【感 想】 53期 辻 春見

昨年夏に左膝の骨折、靭帯、半月板炸裂から8ケ月ぶりに山行に参加させて頂きました。バンガロー泊の優雅なハイキングをイメージしていましたが、初日は終日雨の足慣らし程度、翌日は道のない紅ケ岳までの急坂を直登、その後も後古光山、古光山とさらなる急坂、ロープが続いた自分にはハードな山行でした。事故以来、本当に歩けるようになるのかしら?とずっと不安に思っていたのですが、皆さんに助けられて、歩き終えた後に少し自信がつきました。また、バンガローでの美味しいちゃんちゃん焼きと楽しいお酒、山行後の温泉には癒されました。ありがとうございました。

 

【感 想】 54期 鈴木 かおり

 なか、おもしろい山行でした。反省点 地図を、ちゃんと読む、もっと注意深く歩くなど。間違った方向に下りそうになり、すみません。夜の宴会は盛りあがって楽しかったですねー! 亀島さんのちゃんちゃん焼きと持ち寄りのお酒。楽しかった2日間でした、ありがとうございました。

 

【感 想】 54期 石澤 薫

初日は雨の幻想的な山(地元民さんのカラオケ大会を背に)、二日めは植林から自然林にかけてのバリエーション、焼すすき野原、プチ岩場も楽しめる縦走 、変化にとんだ山歩きを存分に楽しませていただきました。また、コテージでの美味しいチャンチャン焼(亀島さん流じゃがいも入れに拍手)の夕べも笑いの中で初参加とは思えない程、寛がせて頂きました。山本さんはじめご同行の皆様に心より感謝いたします。

 

20120414室生火山群2

写真2: 4/15古光山、高見山(倶留尊山山頂より)

 

20120414室生火山群3

写真3: 4/15倶留尊山山頂にて

 

20120414室生火山群4

写真4: 4/15後古光山、古光山(亀山山頂より)

 

20120414室生火山群5

写真5: 4/15学能堂山(後古光山北稜線より)

 

20120414室生火山群6

写真6: 4/15倶留尊山、二本ボソ、亀山、後方に尼ヶ岳(古光山山頂より)