京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉 関西百名山シリーズNo.68 新緑祭協力山行・桟敷ヶ岳

桟敷ヶ岳(896m)は京都市北区の岩屋不動の奥にある山だが今回は北側に当たる旧京北町井戸集落の奥、妹路谷橋から周回登山を行った。北山にしては展望の良い山域で快晴の空の下新緑を楽しんだ。

 

20120519桟敷ヶ岳2

 

写真: 桟敷ヶ岳(祖父谷峠南西より)

 

 

[個人山行]  関西百名山シリーズNo.68  新緑祭協力山行・桟敷ヶ岳

   平成24年5月19日(土)

 

48期 山本浩史

 

桟敷ヶ岳(896m)は京都市北区の岩屋不動の奥にある山だが今回は北側に当たる旧京北町井戸集落の奥、妹路谷橋から周回登山を行った。北山にしては展望の良い山域で快晴の空の下新緑を楽しんだ。

 

【参加者】 山本浩史L、吉川彩、鹿嶽眞理子、木村好見 計4名

【行  程】 京都6:11=7:50妹路谷橋7:57~9:10祖父谷峠~9:39ナベクロ峠9:42~10:03桟敷ヶ岳10:36~11:25林道~12:08送電鉄塔12:25~12:42石仏峠~13:56妹路谷橋14:00=15:03朽木温泉16:00=16:19△葛川キャンプ場

 

【登山データ】 天候:晴れ 歩行 11.3㎞ 5時間59分 延登高 912m 延下降 912m 1座登頂

20120519桟敷ヶ岳地図

 

 

鹿嶽さんと吉川さんを自宅近くで拾い、木村さんだけは出町柳まで来てもらった。国道162号線笠トンネルを越えて丹波に入り、周山から477号線を通り長閑な井戸集落へと車を進めた。井戸祖父谷に沿って付けられた府道61号線に入ると最早民家はない。この道は「京都京北線」として上賀茂から岩屋橋を通り、祖父谷峠を越えて来ることになっているが峠部分は未開通で車は通れない。人だけが通れるが繋ぐほどの需要はなさそうだ。妹路谷の分岐点にある橋の袂に車を置き、府道を奥へと歩き始めた。車道沿いにはクリンソウが可憐な花を付け、ハコベマムシソウも咲いていた。そして春によく見る紫の花があったのだが名前が出てこない! 鹿嶽さんに聞いても「何だったっけ?」で胸がもやもや・・・ 帰って調べてみるとムラサキサギゴケだった。花の名前は1シーズン経つと忘れているのが多い。年のせいだろうか?

 

標高575m程の処で車道が途絶え登山道となった。一部トラバースで高度を稼ぐ個所があったがずっと井戸祖父谷を遡る。暑くなって木村さんが服を脱ぐとその服の背中に黒いものが、「蛭だ!」、皆全身蛭チェックをするが被害は無かった。もう活動期に入っているのだ。祖父谷峠(標高782m)に近づくと首のないお地蔵様が鎮座していた。此の峠が越える尾根は山城・丹波の国境でナベクロ峠まではこの城丹国境を歩く。二組の送電線が上空を通り鉄塔のあるピークは展望が良い。北の方にある山はどれも特徴がなく同定は難しい。それに引き換え比良の山々は武奈ヶ岳を始めとして分かり易い。其れと合わせて見ると、峰床山や白倉岳、前週に行ったフカンド山なども其れと知れる。送電線に導かれるように進むと標高860mほどの小ピークで国境稜線を離れナベクロ峠に達する。南の谷間、長谷を登ってきた登山道が合流している。

 

今日のミッション1は「ナベクロ峠から桟敷ヶ岳までの所要時間を予想」で、距離は900m、小さなアップダウンはあるが標高差は50m程と知れている。そういう条件を地図から読み取り23分から30分の予想タイムが出た。歩き出すとすぐにチゴユリを見つけた鹿嶽さんが写真タイム40秒、此れはロスタイムとして所用時間から差し引くので所用時間に影響はない。桟敷ヶ岳への縦走路に入ると北区雲ヶ畑のエリア。岩屋橋まで来ていた京都バスが廃止になり、代替として住民が自主運行で乗合タクシーを運営するようになった。登山に使えるバスはどんどん減っている現状は一寸寂しい。

 

10:03桟敷ヶ岳(896m)山頂に到着。所用時間は20分で23分を予想した山本が最も近かった。2等三角点が二つあり一つは角が欠けケルンの上に傾いていたが此れは改埋した以前のものが置かれたままになっているようだ。点名「桟敷岳」の本物はしっかり埋まっていた。30分ほど休憩し思い思いに栄養補給をした。北から東に掛けて少し展望があり、武奈ヶ岳等が見えていた。山頂の少し南のピークを送電線が横切り鉄塔があり此処からの展望も良い。此処でミッション2「水井山を山座同定」を行う。水井山(794m)は比叡山の北に連なる山で、比叡山が樹木の陰になり見えないので山座同定の教材としては最適だ。昭文社の登山地図を使いコンパスを合わせ4時の方角に水井山を見つけてミッション成功。

 

府道京都京北線の山城側に一旦下りるが此の道は送電鉄塔の10m程南から分岐する。ピークの頂上で分岐すると云う先入観があったので、ついつい縦走路を進んでしまい何時まで経っても分岐がないので引き返して下山路を発見! ハあ~ 気を取り直して谷筋を下るとフデリンドウを発見し一寸嬉しくなった。府道と言っても林業の車しか通らない林道と同じ、斜面では間伐が行われて居る最中で数人の作業員がチェーンソーの轟音を響かせている。見上げると丁度木が倒れるところで立木に引っかかり中々倒れない。この辺りは云わずと知れた北山杉、真っ直ぐ伸びた杉の林が美しい。

 

祖父谷川に沿って遡り右に折れる頃からミッション3「石仏峠への登路のルートファインディング」の領域となる。右に折れた処からは府道ではなく単なる林道、ぐにゃぐにゃと回り国境稜線の直下を掠めて他所に行ってしまう。散々曲った後で取り付く道はあるが、何処か手前で効率的な所、登れそうな所で尾根に乗りたい。現在地を確認しながら進み林道が90°東に向きを変える所に北に進む林道の枝道があり、何んとなく行けそうな感じがするので突入した。最早林道として機能していないが道形は続き二俣に達した処で途切れた。右は荒れ放題なので左の谷を進み最後は急斜面を攀じ登り送電鉄塔に達した。ミッション3も成功した。

 

激闘の疲れを癒し、再び城丹国境尾根を行く。二組の送電線と絡むように石仏峠へと進む。鉄塔があるお陰か展望が良い。石仏峠(標高約805m)に達すると石仏がありそうなものだが無い。国境尾根を離れ丹波側の谷筋を下り始め100m程進むと杉の大木がありその根方に2体の石仏が置かれていた。峠が生活路として機能していた頃、旅の安全を願い置かれたものなのだろう。道はしっかりしていて順調に下って来たが地蔵谷に下りる直前で道が分からなくなってしまった。尾根を登り返すが方向はあっているようだ。GPSで確認しても間違いはない。急な尾根を細心の注意を払い直接下降、地蔵谷に達すると谷の上流から踏跡が現れ20m先は林道の終点、何処かで道を見失ったようだ。

この後は林道歩き、もう間違うことはない。地蔵谷が妹路谷に合流し、さらに井戸祖父谷に合流する処で車が待っていた。朽木温泉に立ち寄ると加藤さん達がいた。温泉でさっぱりして山岳会の新緑祭会場へと向かった。

《山紀行No.769》

 

 

【感 想】 53期 吉川  彩

晴天の新緑の中、気持ち良いなぁ!と感じているのは私たち登山者だけではないようで、糸にぶら下がったアオムシや、トカゲやヒル、いろいろ遭遇しました。とくに木村さんが虫に好かれているのが可笑しかったです。そういう私の口の中にも虫が飛び込んできて…登りで苦しくても口呼吸は危険と実感。先頭を歩き何度も道を間違え、今回も反省多々です。はっきりした良い道だったのに、下りはどこで間違えたのか…また確かめに歩いてみたいと思います。とても楽しい山行でした。ありがとうございました!

 

【感想】 54期 鹿嶽 眞理子

目に鮮やかな新緑の季節、空も真っ青に晴れ渡り、気持ちのいい山でした。結構展望があり、あちこちで北山を見渡せましたが、どんぐりの背比べのように山が並んでいるのが特徴的だなあと思いました。まったりとした山道だけでなく、林道をショートカットして谷筋からのトライ、最後の尾根の激下りと変化もあり、なかなか楽しかったです。ありがとうございました。

 

【感想】 55期 木村 好見

雲一つない青空が広がる絶好の登山日和。充実したいい山行だった・・と言いたいが、足首が痛い。前週の山行で新しい靴が足になじまず足首を痛めたが、いくらなんでも一週間あれば治るだろうと思っていた。ところが歩き始めて10分ほどでテーピングをする始末。御一緒した皆様、御迷惑をおかけしました。しかし、それを除けば、楽しい山行だった。新緑と青のコントラスト、蓬莱山からツルベ岳まできれいに並んだ比良の眺め、谷上りあり、道なき斜面のトラバースあり(笑)と充実した山行でした。ありがとうございました。

 

20120519桟敷ヶ岳1

写真: クリンソウ(井戸祖父谷にて)

 

20120519桟敷ヶ岳2

写真: 桟敷ヶ岳山頂にて