京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

【番外】比良救助活動応援(八淵の滝隊)

初めて遭難現場の救助活動に協力しましたが、遭難救助応援の大変さを初めて実感できました。

写真3枚目

写真:5人で要救助者を稜線まで引き上げる

 

 

番外 2012年8月10日(金)夜~8月11日(土)

比良救助活動応援(八淵の滝隊) 

 

【メンバー】L上坂淳一,AT,小松久

【記録】小松久

【天候】曇りのち雨

【タイム】

8/10 0:20 T宅発→1:40 ガリバー旅行村着・仮眠

8/11 5:06 車両移動、キャンプ場駐車場に集合→5:15 初動計画の概要について説明(担当区域地図配布)→5:30 京都比良隊出発→貴船の滝上部まで遊歩道にて上がり、支沢(コマサカ谷)に入る。→6:30 コマサカ谷二俣から左俣/上坂、右俣/T、小松に別れ入る→右俣の中での左側本流にT、右俣に小松が入る→7:27 カラ岳頂上電波塔にて上坂・小松合流→T合流→ 小松は釈迦岳方向、Tは北比良峠方向に出発。縦走路から琵琶湖側をコールする。

→上坂は無線中継のためカラ岳頂上にとどまる→9:30 遭難者発見→10:00頃 警察、消防、京都岳連、滋賀岳連が現場に集合

→10:30 遭難者を稜線に引き上げ終了→ 遭難者を北比良峠まで消防が搬送→11:30オガサカ道分岐にて消防隊と別れ、下山

(遭難者は12:00頃、北比良峠から航空搬送された模様)→13:00ガリバー旅行村に下山

 

写真1枚目

 

写真:各隊、キャンプ場で方針の説明を受ける

 

 

【感想 48期 上坂淳一】

 午前5:00捜索開始、9:30発見、12:00収容完了という、ほぼ想定通りの救助活動でした。

 初動の24時間をいるはずのない登山道の搜索に費やしたのは少々お気の毒でしたが、一般登山者の搜索の場合は、公的救助機関に頼り切ることが多く、こういうパターンを辿ることが多いので仕方ないのかもしれません。

 我々が参加した捜索救助活動は、概ね順調に推移したようにも見えますが、現場にいて気になったことがいくつかありました。

 それは、ある程度の専門家が活動していたにもかかわらず、誤報や情報の混乱といった、場合によっては活動に重大な支障を来たしかねないも事態があったことです。

 まず、発見場所が当初「カラ岳と釈迦岳の間」と伝えられましたが、これは「カラ岳と北比良峠の間」の誤報でした。しかも、実際には私が無線中継していたカラ岳から直線距離にして300m程度の至近距離でした。このあたり、発見者から具体的にどこからどの方向にどのくらいの地点かという情報として出していただいたほうが良いと思いました。

 それに加えて、各団体・機関の通信手段がバラバラであったことが、情報の遅延と混乱を招きました。

 つまり、消防と警察は防災無線、岳連救助隊はアマチュア無線、岳連支援隊は携帯電話を使用していたため、それぞれの情報が遮断されていたことです。最初に発見した岳連支援隊から岳連救助隊へダイレクトに交信できていれば、ロスを少なくできたと思われます。

また、いささか結果論めいた話ですが、伝令でもカラ岳まで数分で伝えられた距離でしたので、その点にも一考の余地があります。

 登山道までの要救助者の引き上げ作業も、当初は消防に任せてもらいたいということでしたが、ほとんど装備や機材を所持せず、結果的に岳連が引き上げることになったので、最初に消防が行くのか、岳連が行くのか、もう少し話を詰めたほうが良かったかなと思います。消防もレスキューとそれ以外の組織では技術力に相当の差があり、相手の話を鵜呑みにせず、そのあたりの見極めも必要と思いました。

 当たり前のことですが、複数の組織が関わっている活動の場合、相互に活動情報が共有できるように努めること、協力する場合は作業開始前に責任者が打ち合わせをするという基本の大切さをあらためて痛感しました。

 今回は、比較的容易な活動地域と内容でしたので、大事には至りませんでしたが、今後のことを考えると安易に見過ごすべきことではありません。

 最後になりましたが、ご支援いただいた皆様にお礼を申し上げますとともに、負傷者のご回復をお祈り申し上げます。

 

写真2枚目

 

写真:カラ岳山頂で無線の中継をする上坂

 

【感想 52期 小松久剛】

 初めて遭難現場の救助活動に協力しましたが、遭難救助応援の大変さを初めて実感できました。一人である程度の沢を遡行できる程度の行動力は必要ですが、むしろ初心者こそ救助に行く価値があったかと思います。(二重遭難は絶対避けなければなりませんが)

 いろいろと至らぬ点はあったのですが、あえて自分の良かった点を挙げるとすれば

 

・普段の沢登りで基本的な登攀ロープワーク能力を身に着けていたため、一人でも行動できた点

・不謹慎ながら記録のために写真を撮り続けていた点

が挙げられるかと思います。

一方で至らぬ点については

・通信手段をスマートフォンしか持っておらず、(それもバッテリーの持ちが悪いので有名なIS05 SIRIUS)電池残量を気にしてほとんど通話が出来なかった点。

・救助には待機時間が多いことを考慮しておらず、虫除けグッズを何も持っていかなかった点。

 

 全員が持つ必要はないのでしょうが、救助活動にあたる可能性があるメンバーは4級無線を持っておく必要があることを痛感しました。

全体的には救助者がぎりぎりまで要救助者の氏名も服装もわかっていないのはなんだかなあ・・と思いましたが、ともあれ、多少の怪我があったものの遭難者が無事でよかったです。