京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

剱北方稜線

昨年二度敗退した剱岳、三度目は晴れると信じ挑んだ。北方稜線はクライミング力こそ問われないがルートファインディングと状況判断が重要でアルパイン的なルートだった。

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[No.3228]剱北方稜線 *テント泊ポイント

 

【メンバー】L長野浩三,向昌宏,辻博史,浅野則明(会員外)

【日時】2012年9月13日夜~17日

【山域】剣岳

【天候】14日晴れ後時々雨,15日晴れ後雨,16日晴れ,17日晴れ

【行程】13日20時30分京都発~14日1時立山

14日 アルペンルートで室堂8時30分室堂~13時真砂ロッジテント場(幕)

15日6時40分真砂ロッジテント場~7時30分二股~9時30分仙人峠~9時55分仙人池ヒュッテ~10時55分池の平小屋(幕)

16日3時40分池の平小屋~4時20分小窓雪渓取付~5時20分小窓~7時30分三の窓~8時30分池谷乗越~10時30分剣岳本峰11時~別山尾根~15時剣沢小屋~16時剣沢テント場(幕)

17日5時40分剣沢テント場~7時40分室堂8時~アルペンルート立山駅~立山国際ホテルで入浴後帰京

【記録&リーダー感想】46期 長野浩三

 1日目は20時30分に烏丸御池に集合して辻号で立山駅へ。立山駅は結構車が止まっていた。テントを張って就寝。

 2日目は7時始発のケーブルには乗れず,7時10分のケーブルのチケットを確保。バスを乗り継ぎ8時には室堂にたてた。

 大荷物なので剱御前小屋までの登りがこたえた。剣沢小屋で一本たてて,剣沢雪渓へ。雪渓は長次郎谷あたりで大きく割れていた。長次郎谷の下部で雪渓からあがり登山道で真砂沢ロッジへ。早く着いたのでビールや酒を飲んで17時過ぎに就寝。

 3日目は余裕の行程なのでのんびりでた。仙人新道は登るにつれて三の窓雪渓や小窓雪渓,チンネなどがよく見えた。天気がよく暑かった。

時間があるので仙人池ヒュッテに行き,仙人池に映る山を見た。ビールで一本たてる者もいた。池の平小屋についたのも午前だったので,向,浅野は池の平山を往復した。午後になると雨が降ってきた。池の平小屋のテント場は7,8張張っていたが,小屋にはたくさん泊まっていたようだ。

 4日目はメインの縦走の日なので2時30分起床,3時40分に出発した。暗い中を鉱山道を踏み外さないように歩き,小窓雪渓の取り付きへ。ここでアイゼン,ピッケル(バイル)をだし,ひたすら登った。小窓でアイゼンを外し,登山道を進んだ。登山道はときおり別の踏み跡があり,迷いかけるところもあった。1箇所急な雪渓の横断があり,みなさん緊張して渡った。

小窓の王をまき,急な下りを下って三の窓へでた。三の窓はテントがはれる場所が何カ所かあった。チンネ左稜線を登攀している人達がいた。

池谷ガリーは噂どおりのガレ場ではあったが,最初左端を歩き,大きな岩の下で右に進路をとれば結構あっさり登れた。落石もそんなには起こらなかった。

 池谷乗越では八峰の景観がすばらしかった。その後,ルンゼ状を登り,途中でフェースにでた。その後1箇所お助け紐があるところが微妙なバランスが必要だった。長次郎の頭は左から巻いたが,巻道がわかりにくく,迷いかけたが,平行して進んできたパーティが正解を捜してくれた。

 その後は本峰まで二登りした。本峰ではたくさんの人がいた。源治郎尾根も2峰の懸垂下降の箇所に20人くらいいた。

 本峰で一本たてた後,別山尾根を下山したが,カニの横ばいで約1時間渋滞した。とにかく人数が多かった。

 剣沢小屋についてビールを飲み,テントを張って夕食とした。さすがにテント泊装備全装備をもっての縦走は疲れた。

 最終日は約2時間で剣沢から室堂へ帰ってきた。

 北方稜線はなかなかおもしろかった。スリリングなところもあり,ルートファインディング,体力も必要だ。特に我々は今回テント泊装備全装備もっての縦走だったので体力がかなり必要だった。次回やるとしたら,剣沢にテントを張って,池の平小屋まで行き,小屋に泊まって翌日北方稜線を縦走という手もあるかもしれない。

【感想】52期 向 昌宏

 昨年二度敗退した剱岳、三度目は晴れると信じ挑んだ。北方稜線はクライミング力こそ問われないがルートファインディングと状況判断が重要でアルパイン的なルートだった。池の谷ガリーも特に難なく登れたが先行者や対向者の動きにも注意が必要で緊張した。何事もなく済んでいるが途中見上げた岩壁の一部は「おちるで」と言ってるかのように変色しとがった岩がむき出しになっていた。ここは全速力で通過した。

 今回の山行は日程的にもゆとりがあり天気にも恵まれたのでとても快適で楽しかった。全装備での北方稜線に当初抵抗はあったがやり終えてみると充実感に満たされた。準備では初め40Lザックに入れようとして何とか入れたが最終的には60Lに変更した。そしたら60Lがパンパンになってしまったので何事にも間口は大事だなと思った。軽量コンパクトな山行が出来るようにこれから精進したい。

長野リーダーをはじめご一緒頂いた皆様ありがとうございました。みんなでルートを見極めながら進むのが楽しかったです。

【感想】 53期 辻博史

 西穂~奥穂例会に参加できず残念な旨を長野さんに話すと、9月に北方稜線を予定していると聞き、是非にと参加を申し込みました。ルートの資料や記録をみると難易度的には高く無いような記述が多かったので後は体力と思い、トレーニングしておかなくてはと思いつつ、十分な準備が出来ていないままの参加となりました。その為、案の定体力不足で皆さんについて行くのがやっとでした。特に池の平から剱岳本峰まではひたすら手元、足元しか見ておらず、ゆっくりできませんでした。今回は長野リーダーがルートファインディングをしてくれているが、一人ではルートファインディングしながらではとても体力が持たないと思いつつ登り通しました。

 体力的には大変苦しい山行でしたが、途中でみた小窓の王、チンネや池の谷ガリーのスケール感、荘厳さは写真では味わえないものがあり、日本にもこんな場所があるのかと感動しました。

 次回山行には体力をつけて参加したいと思います。

すべての段取り、ルートファインディングをしてくださった長野リーダーありがとうございました。

初対面にも関わらず豊富な山経験を面白おかしくお話しいただいた浅野さんありがとうございました。

遅れがちになるとさりげなくフォローしてくれたり、気を使ってくださった向さんありがとうございました。

同行いただいた皆様のおかげで歩きとおすことができ、パーティのありがたみを感じた山行となりました。感謝します。

【感想】浅野則明(会員外)

剱岳北方稜線」-この言葉には憧れをかき立てる独特の響きがある。2007年7月別山尾根から初めて剱岳に登頂したとき、山頂には金属プレートがあったが、「●北方稜線:この先キケン 一般登山者は入らないでください(環境庁富山県)」と書かれていた。北方を見ると、長次郎の頭や八ッ峰などの岩峰群が立ちはだかっている。いつかはここを歩いてみたいという願望が生まれた。2011年9月早月尾根から再び剱岳に登ったが、次は北方稜線だと心に決めた。

 しかし、このルートは一般登山道ではなくバリエーションルートであり、標識、クサリ、ハシゴのような人為的な補助手段はほとんどなく、途中に避難小屋もない。不安定な岩場の登下降、急峻な雪渓の通過技術、的確なルートファインディングなど、すべて各自の判断能力と体力に委ねられると言われている。装備もピッケル、アイゼン、補助ロープも必携とされている。そのため、単独では不安なため、登山経験の豊かな長野氏に同行を求め、同会の例会として企画してもらい、向さん、辻さんと4名で望むこととなった。

 山行3日目の9/16は好天に恵まれた。池ノ平小屋から剱岳北方稜線を剱岳本峰をめざした。このコースの方が登りだけに時間がかかる。小窓、三ノ窓、池ノ谷ガリー、長次郎ノ頭と次々と出てくる難所は息つく暇もないほどの「ごちそう」であった。その中でも、小窓から小窓ノ王へ向かう途中の雪渓トラバースはピッケルを忘れた私は恐怖感と緊張感を味わった。もうひとつは、長次郎ノ頭を巻く手前のバンドで乗越が不安定な足場で少し怖かったが、錆びた残置ハーケンに補助ロープが1本ぶら下がっていたのに助けられた。長次郎ノ頭の通過には2、3方法があるそうだが、ルートファインディングを間違えると、懸垂下降しなければならなくなるが、少し間違いながらも何とかリカバーして通過することができた。池ノ平小屋を出発してから約7時間かかったが、ともかくも剱岳北方稜線を無事縦走することができたことを仲間とともに喜び合った。これまで別山尾根、早月尾根と2つの方向から登った剱岳であるが、北方稜線から登ってくると、何だか違った場所のように思えるのは不思議である。

 単独では多分歩けないところであったが、長野氏に引っ張られて何とか歩くことができたことに感謝します。同行していただいた向さんと辻さんにも、楽しく4日間過ごすことができてありがとうごさいました。また一緒に行きましょう。

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