京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3231 北アルプス 笠ヶ岳

雷鳥岩を右に曲がったところから笠ヶ岳の山頂が見え、山頂まで続く登山道をすべて目でたどることが出来る。

右手には焼岳〜西穂高〜奥穂高槍ヶ岳までの稜線が一望出来て最高の眺めである。

 

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[No.3231] 北アルプス 笠ヶ岳

 

【メンバー】CL AT、SL秋房伸一、山本夏雄、川嶋美帆 以上4名

 

【日程】2012年09月21日(金)夜~23日(日)

 

21日 19:30京都~23:30道の駅「上宝」(幕)

 

22日 道の駅「上宝」~6:00槍見館向かいの駐車場~6:30クリヤ谷登山口~9:10錫杖岳出合~12:00クリヤの頭~15:15笠ヶ岳~15:30笠ヶ岳山荘テント場(幕)

 

23日日 6:00笠ヶ岳山荘テント場~7:50抜戸岳分岐~8:15杓子平~11:40新穂高温泉~18:30京都

 

☆動画☆

 

 

記録と感想【51期】AT

当例会ははじめ、白山の大白水谷という沢を遡行する予定であったが、諸事情から急遽行き先山行形態を変更し、北アルプス笠ヶ岳を縦走する計画に変更した。

尚、計画はクリヤ谷から笠ヶ岳を経て、抜戸岳・大ノマ岳を縦走し、大ノマ乗越からわさび平をたどるというものであったが、二日目からの雨のため、帰路を笠新道に変更し下山した。

 

21日(金)晴れ

19:30にロッジ前に集合。快調に進んで日が変わる前に道の駅「上宝」に到着。仮眠をとる。

 

22日(土)晴れのち曇

下調べ不足で登山口付近の駐車場探しに少しウロウロするが、登山口付近を歩く登山者に、駐車場の場所を聞いて事なきを得る。

槍見館の横を歩いてクリヤ谷登山口へ。

息があがらぬようゆっくりしたペースで登る。

 

徒渉地点は増水も無く問題なく徒渉。

二時間ほど登ったところで頭上に錫杖岳の勇姿が見え、一同歓声をあげる。

錫杖岳出合までクライミング装備のパーティー3パーティーほどに追い抜かれたが、いずれも大きな荷物を背負っておられ、錫杖の下でBCするものと思われる。聞くと左方カンテを登るとのことであった。

この錫杖岳は野崎会長曰く「見ると登りたくなるよ」とのことであったが、先日見学した丸山東壁がとても登る気にならない恐ろしい壁だったことに比べ、こちらの錫杖岳は確かにまだ、登ると楽しいかもという気がしてくる岩であった。

 

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錫杖出合を過ぎるとなだらかな地形となり、このころになると日が高くなって暑い。

クリヤ谷は、地形図では上流まで水線が引かれていたが、二回目の徒渉地点の手前あたりから水が伏流してほとんど涸沢のようになった。

しかしところどころ水が出ているところがあり、抜きつ抜かれつだった二人組のパーティーが水を補給するタイミングで苦労している様子であった。(小屋で水を買えばいかがですか?と言ったが、自分で水を持って上がることにこだわりのあるご様子。)

 

なだらかなところからクリヤの頭までは急な登り。

今回、川嶋さんとまともに山登りをご一緒するのは初めてだったが、とても健脚でテント装備(川嶋さんには個人テントを持参してもらったので実質単独行とほぼかわらぬ重量となった)を背負っての山行も、最後までヨレることなくしっかり歩いていて「ちゃんと山歩きをしてる人だなあ」という印象。(反対に僕の荷物が「軽い」と怒られるほどであった。)

 

二時間ほど登るとやがて笹原となり、森林限界点となってクリヤの頭。

そこからすぐの雷鳥岩付近で休憩していると、川嶋さんが「あの山が綺麗」と少し北のところに見える尾根筋のなだらかな山容のピークを指して言ったが、見ると確かに登りたくなるようなやさしい山容のピークであった。名前のある山だろうかと思ったが、あとから調べると南西尾根2417ピークの様で、無名峰であった。

 

雷鳥岩を右に曲がったところから笠ヶ岳の山頂が見え、山頂まで続く登山道をすべて目でたどることが出来る。

右手には焼岳〜西穂高〜奥穂高槍ヶ岳までの稜線が一望出来て最高の眺めである。

思えば、焼岳に登る時も、西穂高に登る時も、奥穂高に登る時も、槍に登る時も、いつも反対側にはこの笠ヶ岳が堂々と見えていて「あの山綺麗やなー何やろ?笠ヶ岳か」というようなことをやっているわけであるから、反対側の笠ヶ岳に登れば当然このような眺めになるわけである。

 

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稜線の西側は切れ落ちた岩稜になっていて、夏雄さんが「若い頃に第二岩稜から登った」話をしきりに繰り返しておられる。

何でも当時は第二岩稜から笠ヶ岳に登頂したり、また別の時には劔から縦走してきて、クリヤ谷に下降したかったが沢の増水のため小屋に止められ仕方無く笠新道から下山。

今回のクリヤ谷の計画を聞いて、是非その時歩けなかったクリヤ谷を辿りたかったとのことで、二十代の頃にたどってきた夏雄さんのトラックが、ついにここで一周してつながったということであった。

 

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雷鳥岩からはすぐそこに山頂が見えているので近く感じるものの、山頂まで意外に長く三時間ほどかかり、そうしている間に雲一つ無かった空も東からの雲にみるみる覆われていって、山頂に着くころには曇りの様相を呈していた。

時間も午後三時をまわって山頂も雲っていることなので、記念撮影を済ませると早々にすぐ下にある山荘へ下りる。

 

笠ヶ岳山荘にはビールの他、アイスクリーム(クーリッシュ)も売っていて、山荘の人に「アイスクリーム売ってるなんてスゴイですね。」と言うと山荘の人は「いやいや、でもこれクーリッシュ(※)ですから。他の小屋はソフトクリーム売ってますからね。」なんてことを言う。

他の小屋といっても僕の知る限り、このあたりでアイスを売ってる山荘しかもソフトクリームとなると、西穂高山荘くらいしか思い浮かばない。

アイスを売っているというだけで珍しいので自慢してもいいようなものだが、笠ヶ岳山荘としてはやはり谷をはさんだ向いの西穂山荘に対してライバル心のようなものを持っているのだろうか?(それにしても大人気の西穂山荘の方では歯牙にもかけていないかもしれないが)

  ※クーリッシュとはロッテが販売するアイスクリームの商品名。

 

気温は九月後半ということもあり低い。歩いている時は暑いが、ジッとしていると寒くて震えるくらいである。

チューハイの他、せっかくなので記念にクーリッシュを買ったが、摂取したところ急激に体温が低下してガタガタ震え後悔する。

山頂からひとあし遅れて夏雄さんが到着し、全員で乾杯をしたあと、寒いのとお腹が減ったのとで、すぐにテント場まで下りてテントを設営し、夕食の準備。

夕食は今回、生肉生野菜生卵を使った豪華な「すき焼き」を食べる。(何か鍋でも、という話だったものだがどうしてすき焼きなのかというと、僕の好物だからである。)

 

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翌日の予報が冬型で雨、場合によっては初冠雪もということで、協議の結果翌日の計画を変更して笠新道から下山することとする。

その後寒いのでテントに入って宴会でもと考えるが、テントが窮屈なのと川嶋さんが猛烈に眠そうなので、紅茶を飲み就寝。

夜中にうっすら雨音を聞きながら眠る。

 

23日(日)雨

もしも天気が良ければ、暗いうちから起床して山頂からご来光でもと考えていたが、雨が止む気配なく起床は遅めの六時。

各自持ってきた朝食を採り、テントを撤収。

 

別テントの川嶋さんの撤収を待つ間、雨に濡れるので山荘に上がってココア等を飲みながら待つ。

川嶋さんも撤収してきたところで下山開始。

雨は降っているものの風は弱く視界はまずまず良好。

一時間半ほど歩いて抜戸岳との分岐へ到着。

 

すぐそこに抜戸岳山頂があるが、天気も悪く登っても仕方ないので早々に下山することにする。

抜戸岳分岐からすぐ下には杓子平が広がっていて、これが酒井さんが以前に笠新道から登られて「長い急登を登り切ったところに、〝何とか平〟というこの世の楽園のようなところがあったんですよ」と語っておられたいわゆる「何とか平」であったが、今回の計画変更で計らずもここを通ることになった。

 

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あいにくの雨なので今回は楽園とはいかなかったが、途中キタキツネが走って横切っていったりして、楽しませてもらう。

杓子平から先の下山路は新穂高側しか視界が無い樹林の急坂を、雨が降っているので滑らないように気をつけながらひたすら下る。(反対に笠新道を登ってきた場合には、急坂の樹林帯から急に笠ヶ岳と杓子平がワッと視界いっぱいにひろがるということになり、確かに楽園に来た様な気分になりそうな演出である。)

わさび平の林道まで下りたところで、秋房さんが先行して歩き、先に新穂高温泉からバスに乗って自動車を取ってきて下さり、そのまま温泉に入り6時ころには帰京。

 

京都へ戻ってくると6時なのに当たりはすっかり真っ暗で、窓を開けると夜風が涼しい。

出発の前はまだ夏らしさがあった様に思ったが、我々が飛騨へ旅をしている間に京都の季節はすっかり秋へと移ってしまった様であった。

 

感想「回想の山笠ヶ岳」【8期】山本夏雄

今回の例会、休みも合い参加する事にしました。

 若い頃約40年前は春山は笠ヶ岳の本谷の大滝周辺で、ピッケルの滑落停止の練習を先輩から習い冬山の備えとして厳しくトレイニングした事や、上部の沢に数人でラッセルして登攀してピークに立った事、その後4,5回春山に行きこれが雪山の魅了かとアルプスにはまっていった事を思い出しました。 

 特に春の三ノ沢の第一岩稜や第二岩稜の印象は今でも鮮明に記憶しています、第二岩稜はトップで完登できハーケンを打った音や感触を今でも記憶しています、最後の乗り越しの岩も覚えています、その岩は今回のクリヤの稜線から見る事ができました、そのときのパートナーは病気で他界され、一緒に稜線に出て懸垂下降で沢に戻り二の沢のベースキャンプに無事戻れその時の参加者から頑張ったと祝ってくれた事、天気で谷が増水して朝飛んで渡渉できた本谷が幅が広がり、対岸に渡るのに苦労しシャモニのピッケルを谷に流した事は今でも脳裏に焼き付いています。

 その後の笠ヶ岳は単独で夏の剣から7日掛けて縦走して秩父平でビバークして抜戸岳の三角点を取りに行ってダックを見失しない周辺を30分ぐらい探した事や亀甲模様の砂を見た事や抜戸の岩をくぐり、痛い足を引きずりながら笠ヶ岳小屋に行った事、笠ヶ岳のピークに立って多く登った穂高を見ながらこの縦走も何の意味が有るのかと至福の時を過ごし事をはっきり思い出しました、それだけ私が歳を重ねたのでしょう。

 今回のでき事は笠新道を下降している時に「キタキッネ」が30Mぐらいトップを歩いていた私の前を横切った事で本で読んだ「エキノコックス」が南下しているのを肌で感じ「生水」は飲まないのを再認識しました、高山植物も少し見られこれも思いでなるでしょう。

 今回は天気予報では2日とも良いとの事でしたが、なでか2日目雨の笠新道の下降になりました、景色を見ながら杓子平を歩きメンバーの元気に押されコースタイム位で道路の水場に無事下山できた事を感謝します。

 また思い出が一つ増えました、新穂高に着き「笠ヶ岳」を見て心の中でまた来ますその時は綺麗な景色を見せてください、その時まで青春の山、思い出の山「サヨナラ、サヨナラ」。

 メンバーの皆様のお陰で心にひっかかっていた台風で下降できなかったクリヤ谷をトレイスできました、有難う御座いました。

 

感想【55期】川嶋美帆

北アルプスのどこから眺めても目立つ、大きくて穏やかな山という印象が笠ヶ岳でした。過去、何度か行こうとしつつも何やかんやで流れてしまっており、私にとっては図らずも念願叶っての山行でした。

笠新道しか頭にありませんでしたが、今回の山行ではクリヤ谷から。行程も少し長めで、何となくメジャーじゃなさそうな分登山道も荒れているのでは?とちょっとビビってました。実際はきれいに整備されとても歩きやすく、1日目は天気にも恵まれ、山本夏雄さんに植物の名前を教えてもらい(すぐ忘れ)ながら、楽しく登らせてもらいました。

2日目は生憎の雨でしたが展望は悪くなく、霧が降りた穂高は神秘的で思わず足を止めてしまう程。ポジティブに考えれば全て良かった気がしてきます。

楽しく登らせてもらったのでどうも気付かなかったようですが、疲労は着実に蓄積されていたようで、酷い筋肉痛になっています。ただ突き進むように歩いてばかりですが、ストックやら使って負荷が偏らないような歩き方をマスターしなければと感じました。

撤収遅くてすみません、ご一緒してくださった皆様どうもありがとうございました。

 

感想【52期】 秋房伸一

 笠ヶ岳は、山岳会に入る前に一人で登った山で、その山容は、意地悪そうでなく“徳のある山”といった感じの優美さがあり、花崗岩の白と這松の緑のコントラストが美しく、大好きな山のひとつです。

そんな山にクリヤ谷から登り、テン場では美味しいすき焼きも頂き、誠に楽しい山行でした。また、登りたいです。ありがとうございました。