京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉 関西百名山シリーズNo.78  湖北の秀峰・金糞岳

滋賀県標高第2位の山、金糞岳に登った。「金糞」とは古代の踏鞴(たたら)製鉄の金属屑に由来する山名で麓の村で製鉄が行われていたのだろう。麓は紅葉、上部は3日前の初冠雪が初冬の風景を醸し出していた。

20121118金糞岳3

写真: 金糞岳山頂にて

 

 

[個人山行] 関西百名山シリーズNo.78  湖北の秀峰・金糞岳     平成24年11月18日(日)

48期 山本浩史

滋賀県標高第2位の山、金糞岳に登った。「金糞」とは古代の踏鞴(たたら)製鉄の金属屑に由来する山名で麓の村で製鉄が行われていたのだろう。麓は紅葉、上部は3日前の初冠雪が初冬の風景を醸し出していた。

 

【メンバー】 山本浩史L、畑中里子、藤堂尚久、竹山昌孝、知念正樹、福瀬慶子 計6名

【行  程】 京都駅5:55=(名神北陸道)=木之本IC=7:19高月駅=7:43高山キャンプ場7:58~9:48滝谷ノ頭~10:35奥山10:46~11:47ゴロウ頭~13:02白倉岳13:18~13:58金糞岳14:12~14:30大朝ノ頭~14:38小朝ノ頭~14:52連状の頭~15:13小森頭~15:32追分~16:02高山キャンプ場=17:25高月=木之本IC=19:40京都

【山データ】 天候晴れ時々曇り一時霙

  先行隊 歩行 17.8㎞ 8時間04分 延登高 1,368m 延下降 1,368m 9座登頂

  本 隊  歩行 13.9㎞ 8時間37分 延登高 1,362m 延下降 971m 9座登頂 

20121118金糞岳地図

 

 前日は前線の通過で大雨だった。雨後冬型の気圧配置となり寒気が入り湖北地方は50%の降水確率となっている。京都駅集合組と大阪から直行してきた竹山さんが草津PAで合流し北陸道へと車を進めた。高月駅で待つ知念さんをピックアップし高山キャンプ場に着いた。もう今年の営業は10月で終り誰もいない。鳥越林道の入口に数台の車が止まっていたが、やがて林道に入って行った。このところ藪漕ぎが続いていたのでキャンプ場の裏手に明瞭な登山口を見つけると一安心。藤堂さんを先頭に花房尾の先端に取り付いた。単調な樹林帯の道で麓の紅葉は今が見頃。特に今年は色鮮やかなようだ。

 

今日の山行は歩行距離17.8㎞、標高差は1,300mを超える山行のため体力レベルは★★とした。コースタイム通りに歩いても下山時には暗くなってしまうので可能な限り時間短縮をと目論んだ。体力レベルに応じるように畑中さんを始め体力に自信のある人が参加したが、体験参加の福瀬さんは今日が山デビュー! 借り物のザック以外は全て新品、嘗ての奥野さんを彷彿とさせる。しかし体力的に一寸可哀そうで、体力★★の意味や歩行距離、高低差のデータが理解できないのも当然だ。でも意気込んで参加してくれたので最後まで一緒に山を楽しんで欲しい。

 

標高が700m位から登山道に氷の塊のような雪の名残が見られ、3日前に初冠雪した際は相当降ったのだろう。所々にあった雪が標高と共に登山道を覆うようになり何時しか紅葉の木々も葉を落とし景色は完全に冬になった。一つ目の山、滝谷ノ頭(905m)に到着、予定時間の5分遅れだ。福瀬さんの続行を危ぶむ人もいたがバテていないので大丈夫! 下山は鳥越林道にエスケープも可能なので必ず金糞登頂を果たして貰おう。

 

今日のミッションの一つ目は「奥山までの所要時間を予想」で1.3㎞先、ほぼ登りで標高差は163m、今日のペースを考えて29分から48分の予想が出た。樹林帯の中を進み乗りあげた所が奥山(1,057m)で3等三角点「深谷2」が雪の中から飛び出していた。ミッションの結果は42分で山本が予想的中だった。ここでプチ昼食の休憩を取る。山頂からは金糞岳と白倉岳が見えるがまだまだ距離感がある。見る限りなだらかな稜線でアップダウンは少なそうだ。50%の降水確率だったが、主に曇りで晴れ間もあり、時々時雨れることもあったが問題ない。稜線に出ると風が強くて寒い。雨具は防寒も兼ねて上だけ着た。伊吹山まで見えるポイントがあり滋賀県最高峰と第2位の山を近くに望むことが出来た。金糞岳から続くなだらかな中津尾に小朝ノ頭が飛び出している。

 

今は長浜市に統合され消滅したが旧木之本町長浜市の市町界に達した所はゴロウノ頭(約1,130m)、展望はない。もう完全に冬枯れの稜線を旧市町界に沿って進み滋賀と岐阜の県境尾根に達した所は八草出合で八草峠への道が北東方向に分れて行く。1,161mの標高点になっている。此処まで来れば白倉岳は近い。何時しかガスが周りを覆い弱い霙を伴っている。標高差100m程の登りで白倉岳(1,271m)に到着した。3等三角点「深谷1」があり大休止を取って遅めの昼食タイムとした。奥山にあった三角点は「深谷2」で、一寸安易なネーミングではないだろうか。

 

白倉岳には展望はなかったが前後の稜線は結構展望の良さそうな箇所があるがガスの中ではどうしようもない。白倉峠に一旦下り登り返すと金糞岳だ。岩の隙間を下りる一寸急な下りがあり固定ロープが掛っている。何時の間に通過したのか白倉峠を過ぎてしまったようで気が付けば金糞岳への登りに掛っていた。峠から約100mの登りで金糞岳(1,317m)に登頂、一人も脱落することなく皆でやり遂げた。ガスの中で何も見えないが北面は見通しが利きそうだ。能郷白山と蕎麦粒山(そむぎやま)の山座同定のミッションを用意していたが断念した。

 

行程をチェックすると予定時間を30分ほど超えている。このまま行くと下山が18時を過ぎそうなので、パーティーを二つに分けて運転者二人(竹山・山本)が先行し車で小森口まで迎えに来る事にした。14時12分山頂を出発し急ぎ足で中津尾の稜線を下った。花房尾は2~3人のトレースが残る程度だったがメジャールートの中津尾はトレースが道になっていた。標高が1,200mを切るとガスの領域を脱し木の間越しだが周りの山々が見通せるようになった。登山道の分岐があり左に鳥越峠への道が下りて行く。中津尾には林道が纏わり付いて登山口が4箇所ある。一番下が高山キャンプ場(255m)、二番目が小森口(655m)、三番目が連状口(955m)、一番上が鳥越峠(1,000m)となる。大朝ノ頭(1,070m)に少し登り返す。木立の隙間から小朝ノ頭が見える。大朝より立派な山体だ。標高も50m高い。此れでは名前が逆なのでは? と疑問を持つがどんなものだろう。

 

少し下って直ぐに登り返す。僅か60mの登りだがこの後はほぼ下り一方となるので貴重な登り返しと言えそうだ。小朝ノ頭(1,120m)山頂は展望はなく残念だ。滋賀・岐阜県境を離れ長浜市域となり尾根続きの一寸したコブ、連状ノ頭(1,083m)に到る。此処も展望はなく少し進むと鳥越林道が横切るポイント“連状口”に達する。鳥越峠を越えてきた林道が中津尾を乗越す地点で車10台位止められる駐車場がある。駐車場からの展望は良く雲に頭を突っ込んだ白倉岳を始め花房尾の山々、東側のP1071のある尾根が一望できる。駐車場横の林道枝道を少し下ると再び登山道となり直線的な尾根を下る。特段ピーク性のない所に小森ノ頭(822m)の標識が出てくる。更に進むと再び林道が交差する所は“小森口”の登山口だがキャンプ場入口にあった地図に出ていた駐車場らしきものは見当たらなかった。

 

登山道を下りると左手から谷が近づき堰堤の直ぐ下で白谷を細い鉄橋で渡る。片側だけ手摺が付いているが危なっかしい。此処からは林道となり深谷(みたに)と合して東俣谷川となった谷の左岸を辿る。河原が広まってくると西俣谷川との合流地点にある高山キャンプ場が見えてきた。やはり誰もいない。武山さんとの高速歩行で金糞岳山頂から1時間50分で駐車地点に到着した。靴を履き替え直ぐに鳥越林道に車を走らせ約束の小森口へと向った。到着して暫くすると、白い車が上って来た。止まったと思ったらドアが開き福瀬さんが下りてきた。 何で? 訳が分からない! 福瀬さんの解説によると三番目の登山口“連状口”で皆と別れ通りかかった車に乗せて貰い小森口を通り越し我々の車とすれ違い気付いてUターンして来たのだった。

 

小森口に着いて20分後16:35に残りの3人が下山して来た。車に収容し須賀谷温泉へと向かった。登山後の温泉は何よりの楽しみ、券売機で入浴券を買おうとすると「15時から18時半まで宿泊客貸切り」の札が掛り無情にも券売機の電源は切られていた。温泉に入ることが出来ず失意のうちに立ち去り帰路に着いた。高月に知念さんを送り木之本ICから北陸道に入る。八日市から19㎞の渋滞に嵌った。往路と同様、草津PAで京滋バイパスを行く竹山車から藤堂さんが乗換え京都に帰った。《山紀行786》

 

【感 想】       55期 竹山 昌孝

念願の金糞岳、予想以上の積雪、尾根からみた紅葉、人も少なく、やはり好きな山でした。山登りが初めての方がおられても、ストックを貸し、山本CLがスパッツと軽アイゼンを貸し、藤堂さんが踏跡を残し、谷沿いの尾根では知念さんがピッタリとサポート、そして愉快な鉄人、畑中さんがザックを持ってと…、みんなで登頂できたときは、ひとりでは味わえない感動で、思わずバンザーイでした。下山は山本お父さんの背中を追い、はぐれぬように駆け下りました。はふ~! (^.^)

 

【感 想】       (入会手続中) 知念 正樹

今回2度目の関西100名山に参加しました。関西の山はほとんど知らなかったのですが、この山行を通して山の魅力を少しずつではありますが感じています。しかし今回の「金糞岳」では、久しぶりの長時間歩行で体力の無さを痛感し、トレーニングすることを決意した山行にもなりました。また今回は、体験で初登山された福瀬さんも頑張り、無事登頂でき良かったと思います。しかし残念ながら最終下山予定地までは行けず、途中までとなりましたが無事下山できたのは、会の皆様の協力があったからだと感じます。今回は楽しいだけでなく、色々と学ぶ事も多かった山行になりました。今回ご一緒させていただいた会の皆様ありがとうございました。

 

20121118金糞岳1

写真1: 黄葉真っ盛り(花房尾標高600mにて)

 

20121118金糞岳2

写真2: 金糞岳1,317m(ゴロウ頭付近より)