京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3249 蓼科山

八ヶ岳南アルプス、御岳山、北アルプスと、360度の絶景。寒い夜を我慢したため、美しさが一層心にしみる

 

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写真:快晴の下、蓼科山から下山。右奥は御嶽山

 

 

[No.3249]蓼科山

 

【メンバー】CL秋房伸一、SL上坂淳一、亀島文子、藤松奈美 以上4名

 

【日程】2012年11月30日(金)夜~12月2日(日)

 

30日 20:00京都~1:00蓼科山登山口(幕)

 

1日 蓼科山登山口7:00 ~11:30蓼科山山頂(幕)

 

2日 8:30蓼科山山頂~11:20蓼科山登山口~13:00 上諏訪温泉片倉館~20:00京都

 

記録 藤松奈美

 

 「晩秋か初冬の静かな山歩きをしましょう」という秋房リーダーの言葉に誘われ、蓼科山(2530㍍)へ。

ロッジでの待ち合わせに現れたのは、ぴかぴかのシルバーの車。秋房リーダーの新車だった。屋根には、しっかり自転車を搭載するキャリアも付けられ、アウトドア仕様の車に仕上がっていた。荷物をのせようとし、「新車に汚れたザックや靴を積んだら…」とちゅうちょすると、「気にしないで下さい」と余裕のほほえみ。高速での揺れも少なく、快適なドライブが続いた。高速道路のサービスエリアで深夜割引きのための時間調整をし、午前1時ごろに登山口近くの駐車場に到着。「落石のない場所に車を止めましょう」と上坂さんが冗談を言い、素早くテントをはって仮眠した。

 

午前6時ごろ起床し、午前7時20分ごろ登り始めた。登山道には若干雪が残り、木には霧氷が付いていた。「もやがかかって景色は見にくいけれど、いい天気でよかったね」などと話し、時折休憩しながら順調に登る。

 

約3時間経過し、「暑い」と上坂さんがヤッケを脱いだ5分後、突然、吹雪になった。足場も、凍った岩場が多くなり慎重に進む。数組のパーティは、アイゼンを付けていたが、上坂さんが足跡を見ながら「次に登る人たちのことを考えていない登り方だ。集団登山をするための歩き方を学ばないといけない」と述べ、あえてアイゼンを付けずに歩く訓練をする。

 

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写真:初日の山頂ヒュッテ付近

 

午前11時半すぎ、山頂に着くが、猛吹雪で数㍍先もみえないほど。風に体をとられないよう、写真を一枚だけ撮り、急いで数十㍍下の蓼科ヒュッテまで降りていく。計画での幕営地は先の双子池。先に進もうとしたが、上坂さんが「やめよう。踏み跡もないだろうし、この吹雪ではたどりつけない可能性もある」と決断。前方からパーティが来たが、余り山に慣れていない様子。聞くと、車でほとんど上がれ1時間ほどで登れるルートがあるとのこと。

 

やはり、踏み跡があると見込めないため、ヒュッテ近くに幕営することを決め、テントをはった。

 午後1時すぎ、「ごはんにはまだ早いけど…」と言いつつ、ビールで乾杯し、寒さをしのぐため、紅茶にウィスキーをたらし、さっそく宴会モード。「残念だけど、まあのんびりしよう」と、おつまみを食べているとだんたん食欲が湧いてきて、3時ごろ本格的に宴会突入。亀島さんお手製のつみれとキャベツ、ニラの鍋を頂きながら、ワインや焼酎を飲む。外は吹雪。秋房さんが持っていた温度計を外に出すと、なんと-15度。7時ごろには寝袋に入ったが、靴下二枚履きでぞうあしをはいても非常に寒く、寝づらかった。(秋房さんと上坂さんは気持ちよく寝ておられました)。外は吹雪でテントに当たる風の音が怖かった。

 

 翌日午前5時半起床。外に出ると、昨日とはうって代わって晴れやかな空。幻想的な朝日に感動し、あたたかいおかゆの朝ご飯を頂く。テントを片付け、再び山頂に行くと、昨日とはまったく違う風景が広がっていた。八ヶ岳南アルプス、御岳山、北アルプスと、360度の絶景。寒い夜を我慢したため、美しさが一層心にしみる。歓声を上げながら、写真を撮る。

 

午前8時半頃、アイゼンを付けて下山開始。絶景を眼下にした下山はすがすがしい気分。すれ違う人たちに、「とってもきれいなので曇る前に見てください」と声をかけつつ、途中でアイゼンを外し、午前11時すぎに下山した。諏訪湖近くの重要文化財にも指定されている味わい深い温泉で、体の中からじんわりと温まり、昼食を食べて、帰京した。

新車で移動し、ずっと飲んで食べたのんびりぜいたく山行でした。何より、極寒の後の、絶景が一番のごちそうでした。

 

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写真:蓼科山山頂より北アルプスを望む

 

【感想】53期 亀島文子

 30日(金) 午後8時集合して、女乃神茶屋デポ(仮眠)

ヘッドランプも要らないくらい月明かりで明るい。

平な駐車場には他の車も無く。朝に一台登山者の車。

1日 デポ地~少し登ると雪道に変わり、晴天になる。

笹道の平坦な山道を登ると、滑りやすい急登りになり休憩を一本入れる。

上坂さんがサングラスをかけると、にわかに雪雲がわきあがり、しぐれカッパを着る。

蓼科山頂上迄アイゼン無しで登るが、石山の為滑りやすい。

蓼科山頂ヒュッテから頂上迄は歩いて5分も掛からないが、頂上は突風と雪で立ってられなく、直ぐに小屋迄降り、大河原峠~双子池を目指して下るが、突風、雪、で視界が悪く、上坂さん、秋房さんの判断で小屋横テント泊に落ち着く。早々に宴会モードに突入。

テントの外は風がゴーゴー、雪か霰かテントを叩く。トイレに外に出たくな~い。

バーナーの火が消えた途端に寒く、雪を溶かし、常に火を炊く。朝迄風が止む事無くうとうと!

朝目ざめると360度の晴天、昨日無理して双子池迄下山していたら、この素晴らしい山々の風景は見られなかっただろう!

素晴らしい判断に感謝。有難うございました。

 

【感想】48期 上坂淳一

例年より早めの寒波が訪れた北八ヶ岳

冬山準備のためのつもりで、冬装備で参加しましたが、予想以上の積雪と厳しい気象条件を前にあっさりと蓼科山で敗退しました。

双子池の再訪を果たせず残念でしたが、その代わりに二日目の朝に蓼科山からの眺望を楽しむことができました。

あらためていつか、双子池には訪れる機会をうかがいたいと思います。

 

【感想】52期 秋房伸一

狙いどおり静かな山行ができました。快晴の山頂を独占できましたが、これは計画していたわけではなく、天候判断の結果です。最初上坂さんが、視界が悪い天候のため「この先、特徴的な地形がないなかで地図とコンパスをたよりにルートファインディングするのは難しい」と発言されたとき、正直、意外に思いましたが、困難な状況を見極める判断力を持つのも経験の力だと学びました。下山すると駐車場は薄く雪が積もり、帰りの道路は一部アイスバーン状になっており、新しい車で凍結路面が経験できたのも、個人的には有意義でした。

 

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写真:蓼科山頂にて