京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

 関西百名山シリーズNo.79 ダイトレ起点から二上山

小春日和の師走の一日、世間では総選挙の投票日、早々投票を済ませ忘年山行を楽しんだ。今年最後の山行はダイヤモンドトレイルの起点に位置する屯鶴峯から二上山を目指した。

20121216二上山2

写真: 二上山雌岳山頂にて

[個人山行] 関西百名山シリーズNo.79    ダイトレ起点から二上山       平成24年12月16日(日)

48期 山本浩史

小春日和の師走の一日、世間では総選挙の投票日、早々投票を済ませ忘年山行を楽しんだ。今年最後の山行はダイヤモンドトレイルの起点に位置する屯鶴峯から二上山を目指した。

【メンバー】 山本浩史L、四方宗和、西田和美、井上純子、國領孝子、奥野淳子、藤堂尚久、亀島文子、鈴木かおり、船木佐織、増澤由美、藤堂節子(非会員)

【行  程】 京都8:44-9:33鶴橋9:38-9:59関屋10:14~11:00屯鶴峯~11:28屯鶴峯稜線11:46~11:57穴虫峠~13:36二上山雄岳~13:56二上山雌岳14:26~14:48万才山~14:56原岳~15:23皿ヶ谷三角点~15:37麻呂子山~16:00當麻寺16:11~16:28当麻寺ST 16:45-17:51大阪

20121216二上山地図

【山データ】  天候 晴れ 歩行 11.7㎞ 6時間14分 延登高 801m 延下降 791m 6座登頂

屯鶴峯(どんづるぼう)は白い岩肌が、遠くから眺めると、松林に多くの鶴が屯しているように見えることから“屯鶴”と名付けられた。数億年前、太古の春日山が噴火し火山岩屑が水底に沈積して凝灰岩層を形成した。長い年月の間にそれが隆起して露出した岩石群で風化、浸食により特異な風景を現出している。石器時代はこのカヌサイトが1万年に渡って石器として利用され、その遺跡が残る。戦時中は岩磐を穿ち陸軍航空部隊が戦闘指令所を置いたことがありその遺跡も残っているそうだ。また建設の際に犠牲になった霊も残っているのか心霊スポットとしても知られている。屯鶴峯入口にあったトイレには幽霊が出るとか・・・

2.5万図を見ると国道165号線から道路が分岐し谷筋の道から登山道が描かれている。最も縦走に相応しい道として関屋から計画したが現状通れないとの情報だった。登山に道など重要なものではなく、今日のミッション1に「屯鶴峯への登路をルートファインディング」を設定した。近鉄大阪線関屋で最終集合して交通量の多い国道165号線に出た。智弁学園の施設を見てその分岐点に達すると奥村組のロゴの入ったゲートがあり進入を阻めている。此れは強行突破する訳にもいかず、山腹に取り付ける所を探しながら国道を歩いた。山と国道の間には水の流れるしっかりした谷がありなかなか取り付くことが出来ない。やがて国道は田尻峠の方に反れて行くその地点に踏み込めそうな道のようなものがあり偵察すると笹原を漕いで山麓に到る事ができた。見上げると登り易そうな斜面が待っていた。コンパスを合わせると南西方向に130mを行くと屯鶴峯に達するはずだ。國領さんを先頭に尾根に取り付いた。大した藪もなく、難なく稜線に達するとしっかりした踏み跡があった。さて反対方向に行くとこの道は何処に達するのだろう?

屯鶴峯(154m)の山頂は何の表示もなく、送電鉄塔と壊れたコンクリートのベンチが転がっているだけだった。西の方に一部展望があり寺山(294m)と思しき山体が見えた。山頂は屯鶴峯たる奇観はなく樹林が覆っているだけの極普通の山頂だった。“屯鶴”を求めて南へと進むと屋根の抜けた東屋があり、これも心霊スポットなのか余り心地よくはない。先頭で歓声が上がると出てきました凝灰岩の稜線、将に奇観だ。谷越しに反対側にも屯鶴が舞い降り天然記念物を堪能できる。2.5万図の点線道と真逆に行ってしまったようで東に向かって岩の稜線を下った。桜の植林のある道路?に降り立ち反対の峰に登り返し岩のピークに達した。時刻は11:30、二上山まで達するのは無理なので

ここで大休止を取り、景色を見ながら昼食を食べた。

岩場を下りると広い遊歩道となり階段を下りるとすぐに県道に達した。例のトイレと屯鶴峯入口の看板、その横には屯鶴峯の説明書きの看板もある。反対側を見ると「ダイトレ起点」の石のプレートが埋め込まれていた。現状からするとダイヤモンドトレイルは此処を起点に屯鶴峯をピストンし南へ向かわせるようだ。県道を南西に進み穴虫峠で奈良県から大阪府へと入り西側を見上げるとP264峰の山麓に広がる葡萄畑のハウスが見事、ダイトレの標識に導かれ二上山への縦走路に入った。展望はないが小ピークが幾つもあり結構急傾斜が続く。しっかり整備された丸太階段は段差が大きい。二上山は前方にあると云うより横に見え尾根が違うように感じる。左に回り込んだ送電鉄塔のピークで展望があり二上山や岩橋山、反対側には信貴・生駒も見ることが出来た。

S字型に稜線を歩くと西田さんが沿道に綺麗に開いたツチグリを見つけた。花のない季節に唯一の収穫か。二上山雌岳に近づいて来ると広い道に出て山麓を巻くように馬ノ背に達した。先ずは主峰の雄岳(517m)に登る。山頂には二上神社の祠と塔婆の置かれた大峰山の靡(なびき)のような神聖スポットの端に山頂標識があった。少し東側に下った処には大津皇子の墓があるが今回は遠くからそれらしき屋根を望んだだけで引き返して雌岳へと向かった。雌岳(474m)山頂は明るい広場で大きな日時計のような十二支の方位板がある。大休止を取り藤堂夫人手作りの和菓子や國領さんの洋菓子が振る舞われお腹一杯。一息つくと西の方角が開けた山頂でミッション2「音羽山(852m)を山座同定」を行う。20万図では微妙な所が分からず一番高い所と皆思ったが実はそれは経ヶ塚山(889m)でその左のピークが音羽山だった。

山頂を後にしてダイトレ縦走路を南に進み岩屋峠へ下る。途中樹林が途切れ葛城山がズバッと見える箇所があった。関西百名山シリーズ初参加の増澤さんには読図講習をしながら歩き、今日の要注意箇所万才山への分岐を見逃さないように地図と首っ引きで歩く。もう少し迷うような分岐を期待していたのだがしっかりと指導標があり一寸がっかり? 万才山(約390m)は何の表示もなく2.5万図の点線道を少しずれて稜線を登山道に沿って忠実に進むと原岳(約380m)に達した。小さな山頂標識が掲げられているが展望はない。ほんの少し進んだ広場から二上山の展望が得られた。

最後のミッションは「4等三角点『皿ヶ谷』(215m)を探す」でこれは難しかった。登山道の途中にあると思っていたのに麻呂子山への縦走路が左に折れて行ったその先にあった。もうそろそろだと気にしながら歩いていたのに縦走路は谷間に下りて行く。どう考えても三角点と離れてしまいそうなので偵察に行くとやはり分岐から30m程先に行った所にあった。此れでミッションは全てクリアし分岐に戻り麻呂子山へと向かった。谷に下りるかと思った道は再び稜線に乗りイボイボの木に括り付けられた山頂標識がに迎えられた。「麻呂子山」の「麻」の字の下に「石」が誰か付け加えたようだが2.5万図には「麻呂子山」となっているので「麻」で正解なのだろう。廃屋の前を通り當麻寺境内に下山。重要文化財奥の院楼門を見上げ曼荼羅堂と呼ばれる国宝の本堂に参拝し当麻寺駅へと向かった。悔しいことに駅に着くと同時に16:27発の準急が行ってしまった。駆け込むことも出来たが女性陣はそんなことより名物の「中将餅」を買うことの方が重要で18分後の電車になってしまった。大阪駅で忘年会、帰ったら選挙速報は自民党の大勝と民主党の惨敗を告げていた。《山紀行789》

【感 想】 48期 國領孝子

屯鶴峰には、何年か前に行きましたが、今回ピークに行くことができ、よかったです。又以前行ったときは、真っ白でまぶしいくらいの場所だった記憶があるのですが、グレー色の山肌で少し印象が違いました。今回二上山から麻呂子山へ行くルートを初めて行きましたが、誰にも出会わずとても静かな山歩きが楽しめました。ただ、読図は難しくて皆様に助けて頂いて、無事下山することができました。ありがとうございました。

【感 想】 50期 奥野 淳子

屯鶴峯は小学校の遠足で訪れて、その奇妙な風景が心に残っていました。長年の希望だった再訪がようやく叶いました。イメージしていたもの(もっと丸みを帯びたなだらかなデコボコ)と少し違いましたが、満足です。ありがとうございました。

20121216二上山1

写真: 屯鶴峯154m(南の稜線より)

20121216二上山3

写真: 左手顕著なピークの左が音羽山852m(雌岳より)