京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3289 沢初め・南紀の沢  熊野川水系 相野谷川中ノ谷

昨年の沢例会記録を見て、楽しそうでしたので今年はぜひ沢に行ってみたいと思い、シーズン初めの沢例会に参加しました。

 

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[No.3289] 沢初め・南紀の沢 読図ポイント

 熊野川水系 相野谷川中ノ谷

 

 2013年4月20日(土)前夜泊~4月21日(日)

 

【参加者】CL小松久剛 上坂淳一 AT 秋房伸一 辻博史 藤松奈美 小松麻衣 由良俊夫 計8名

【天候】4月21日(日)曇りのち晴れ

 

【行程】

4/20 19:00京都駅八条口発→24:00子ノ泊山登山口着・幕営

4/21 駐車場から入渓地点まで下降~8:15入渓~8:30落陀滝~9:10落陀滝右岸巻き終わり~10:40 30m滝~11:25 30m滝右岸巻き終わり~ナメ滝エリア~11:55水切れ・つめ初め~13:00子ノ泊山山頂着~14:20駐車場着~帰京

 

【記録】小松

直前まで天気予報が晴れになったり・雨になったりで例会開催が危ぶまれたが、前々日の予報として早朝雨、徐々に晴れるという予報だったので例会開催を決定した。結果としては遡行中はずっと快晴で、山には行ってみるもの、沢には入ってみるもの、という言葉通りの結果になった。

 

4/20雨の降りしきる中、京都駅を19時に出発し、名神新名神伊勢自動車道紀勢自動車道を経由し、相野谷川沿いの林道に入る。「関西起点沢登りルート100」には中ノ谷橋の横に駐車スペースがあるとしているが、落石が多く、不安なのでパスし、10分程車で進んだ奥にある、子ノ泊山登山口前の広い駐車スペースに駐車した。大雨の中、幕営、明け方まで雨の音が激しく、不安の中眠る。

 

4/21不安だった雨もほぼ上がり、霧雨。幕営地のすぐ上は砂防ダムのようになっていて、押し流されてきた大岩が今にも道路に落ちてきそうな場所だった。登山口とはいうものの、テープのある木の周りは押し流されてきた土砂だらけで、とてもではないが、普通に登山できる状況ではない。登山口の鉄梯子も下に転がっている。「子ノ泊山、と言うだけあって12年に1回しか整備されないのでは?」という意見もうなずけるほどに荒れていた。後日、紀宝町のHPを確認すると「平成23年台風12号の被害により、現在、立ち入りできません。」とあったので、納得した。

駐車場位置から車を少し動かし、中ノ谷橋やや上流に駐車。沢装束に着替え、中ノ谷橋横にかかる梯子から入渓。

 

最初はゴーロがしばらく続くが、すぐに落陀滝30mが現れる。

新緑に斜瀑の白い光が映えて美しい。しばし見とれる。巻きは右岸に流れ込むルンゼを若干登り、バンドをへつるが、若干悪い所もありロープを出した。巻き道には綺麗な木製のはしごまでかけてあり、整備されすぎていて違和感を感じる。

 

バンドは滝の落ち口までつながっており、落ち口上部は美しい斜瀑になっていた。

斜瀑の上部は一昨年の台風の影響か、ガレガレの沢が続き、興ざめである。しばらく進むと左岸にガレ沢と30mほどの滝が出てきたので、これが次のポイントである30m滝かと少し勘違いしたが、これはただの支沢であり、左俣を進み、次いで右俣を進むと正真正銘の大滝30mが姿を現した。

 

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大滝30m

 

これは右岸に伸びるガレ尾根をよじ登るがほぼ垂直の部分もあり、手ごわい箇所もあった。ロープは出さずに済んだ。尾根を登り切って若干藪をトラバースすると滝の落ち口すぐ上に出ることが出来た。

そこからはしばらくナメが続く。一枚の岩盤の上を音もなく水が流れ、美しい。

美しさのあまり、勢い余ってウォータースライダーをして遊んでしまった。気温は15度程度。水から出ると震えるほど寒いが、新緑の中気持ち良い。

 

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ナメをウォータースライダー

 

ナメはどこまでも続き、一部ゴーロもはさむが最後の最後までナメ滝が続いた。

 

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ナメ滝を登る

 

右から大きなナメ滝が落ちる二俣は左へ、奥の二俣は右へそれぞれ進路を取り、最後は水が切れ、苔むしたゴーロをよじ登る。落石が非常に起きやすい岩の堆積で、登りにくい。尾根に詰め上がると、すぐ頂上となる。頂上が見え、駆け上がるようにして登る。視界の広がりの予感がして、左を振り返ると海が見えた。台高山脈南部も遥か彼方に見える。

 

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子ノ泊岳山頂

 

山頂からは易しい登山道がついており、駐車場まで駆け降りた。中ノ谷橋方面の登山道は不明瞭だったので、右手に折れ、鉄梯子の転がる桐原登山口に下り、一般的な銭湯に入り、豪勢な食事を食べて延々と運転して帰京した。

 

【感想】51期 AT

一年ぶりの沢登り、やっぱり楽しい!

沢に入るといろいろと思い出すこと、蘇る感触みたいなのがたくさんあって、とても刺激されました。

南紀の海の風景とか、町の風景もとても心が満たされて、とても癒される例会でした。

企画いただいた小松さん、みなさま、どうもありがとうございました。

 

【感想】53期 辻博史

昨年の沢例会記録を見て、楽しそうでしたので今年はぜひ沢に行ってみたいと思い、シーズン初めの沢例会に参加しました。

ふつう渡河は「川に落ちたくない」という緊張感がありますが、初めから川に入っているので安心して遡行できました。

今まで写真でしか見たことのなかったナメ沢は思っていた通り美しく、その中を遡行するのは写真で見た以上に美しく、実際にその場にいないと感じることのできない景色でした。

これを機会に沢にも積極的に参加させていただきたいと思います。

ご一緒いただいた皆様ありがとうございました。

 

【感想】52期 小松久

行き帰りで8時間車を運転してたった4時間程度の遡行をしに行く、と言うのは考え方によっては贅沢な話です。もちろん「無駄」という考え方も取りうるでしょうが、私はその立場には立たず、沢には遡行時間以上の濃密な時間が流れていると信じています。

沢初めというのは私にとっては大事な儀式のようなもので、今年も一年、山をやっていこうという自分への意思確認の場でもあります。比良の白滝谷のような簡単な沢でやるのが本当は手っ取り早いのですが、みんなでワイワイ遠出をして、気楽に歩けて、それでいて大滝もあってピリッとしていて、かつ自分が行ったことがない沢、として中ノ谷を選んでみましたが、皆様どのように感じられましたでしょうか。

メンバーとしては、新たに沢の仲間として辻さん、由良さんが加わり、沢への復活メンバーとして藤松さんが参加されましたが、皆さん危なげない動きで、一番危なっかしいのはリーダーじゃないかという雰囲気でした。上坂さん、T先輩、秋房さん、アプローチから風呂の選択までサポートありがとうございました。

良き沢初めでした。皆様ありがとうございました。

 

【感想】 52期 秋房伸一

去年と同じく、南紀で沢はじめ。冬はスノーシューでブランクがあったので、感覚が取り戻せるのか、去年よりも難しそうな沢だし、とちょっと不安もありましたが、メンバーが小松L、上坂師匠、Tさんと去年の松井さんがいらっしゃらなかったのは残念でしたが、女子の参加も加えて、素晴らしいメンバーでシーズンをスタートでき、ありがたいことでした。去年より気温は低かったですが、特に寒さを感じることなく、去年と同じく快晴の天気にも恵まれ、たいへん楽しい沢はじめとなり、参加の皆さんはじめ熊野の神々にも感謝の一日でした。ありがとうございました。

 

【感想】54期 藤松奈美

 今年は沢を頑張ろう、と思い、沢始めに参加させてもらいました。

 昨年は力不足でほとんど沢に行けず、今年はだんだん体力も付いてきたのでなんとかついていけるかな、と、不安の中での参加でした。

 前日まで天候が悪く、とても寒い日が続いたので、さぞかし大変だろうと思っていましたが、リーダーとみなさまの日ごろの行いか、快晴に恵まれ、とても楽しい遡行でした。すみきった青空、透明感あふれる新緑の間から差し込む陽光に反射したなめ沢、マイナスイオンが満ちた大滝、春の山を満喫できました。ちょっと手強いまき道もまたスリリングでした。さらに山頂からの景色!前を見ると、真っ青の太平洋、振り返ると、熊野の深い山々。最後までご褒美づくしの山行でした。

 ご一緒させていただいた小松夫妻、秋房さん、上坂さん、Tさんは、わたしが山岳会に入るきっかけになった方々で、原点に戻ってきたような感覚、初めて沢でご一緒させていただいた辻さん、由良さんは、初めてとは思えないくらいの身軽さで、とても素敵でした。

 沢は、山の中にいること、山に遊ばせてもらっているということを、とても強く実感できる場所です。日ごろもちゃんと練習して、今年は楽しみたいと思います。本当にありがとうございました。