京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉 矢筈岳と護摩壇山

平成25年9月14日(土)~15日(日)

シリーズNo.89・90として計画したが台風18号の影響で計画変更を余儀なくさせられた。初日は晴れて蒸し暑い中、矢筈岳(811m)に登ったが、2日目の冷水山・果無(はてなし)山脈縦走は中止した。帰路雨の隙間を突いて、護摩壇山と白口峰に登った。

20130914矢筈岳6

駐車地点とP1066、後方は約1090mのピーク(白口峰北稜線より)

 

【メンバー】  山本浩史L、寒川陽子

1日目(9/14): 矢筈岳

【行  程】 京都3:30=有田IC=6:45上ノ段P 7:00~8:36矢筈岳8:51~9:42野々古川又林道出合~9:59三又橋~11:26清冷山~12:20渡瀬林道出合~12:56上ノ段P 13:06=14:04▲丹生やませみの郷

【山データ】  晴れ時々曇り 歩行12.4㎞ 5時間55分 延登高1,412m 延下降1,412m 2座登頂

20130914矢筈岳地図1

 

3:30寒川さんをピックアップし第二京阪道から有田ICまで高速に乗り、国道424号線を走った。カーナビの変な表示で40㎞も余分に走らされ6:45漸く登山口となる日高川町熊野川上の段に到着した。野々古川又林道に入り駐車場所を探すと2曲がり目の比較的近い場所に駐車するために整地したようなスペースを発見した。歩き出して林道を進むと車のドアをロックしてないことを思い出し慌てて引き返す。無事にロックし先に進むと尾根の張り出しに登路を見つけ急登斜面を這い上がる。微かな踏み跡、隣の尾根の方が良かったのかなと思うも似たようなものなのでそのまま登ることにした。台風18号から湿った南風が入り蒸し暑い。風もなく汗が噴出する。当面の目標はP573とするがなかなか達しない。高度計が合ってなくてGPSのデータと合わせるとさっきのピークがP573だと分かった。

 

回り込むようにして北西稜線に乗り少し進むと矢筈岳(811m)山頂に到着した。標識が所狭しと掲げられた山頂は、3等三角点「矢筈岳」が設置されている。北と南に一部展望があるが馴染みのない山域で清冷山以外の山は名前が分からない。広域地図を持ってこなかったので見えている筈の大峰奥駈道の山々も分からない。風が通り涼しく漸く人心地がついた。野々川の対岸にある清冷山に登るため下山は南側から一旦野々古川又林道に下る。道はあるのかどうか最短距離の尾根を目論んでいたが、赤テープに導かれる踏み跡を辿ると南へと進みどうやら西の方、鷲の川の林道に下りて行くようだ。この踏み跡を見送り何のためか張られたロープを越え下り道を行く。特段問題もなく下れたが尾根の先端に林道の姿が見えると切り通しになっているので容易に下ろしてくれず下山路を右と左に探し寒川さんが左の谷側に下山路を見出した。

 

下り立った林道は野々古川又林道から枝分かれする渡瀬林道で1.1㎞歩いて野々古川又林道に到った。そして三又橋の直ぐ近くから清冷山に取り付いた。再び暑さに苦しめられ、やたらに水が欲しい。当面の目標としたのはP755だったが是が遠かった。そこ迄は行き付く前に給水休憩を取る。樹林帯の中、シロハツらしきキノコを発見、群落して大きく傘を広げて沢山生えていた。1時間余りを要してP755に到着したが、展望もないので通過し清冷山を目指した。放置された間伐木の斜面は歩き難い。もう少しもう少しと云い聞かせ清冷山山頂に乗り上がると2等三角点「清冷山」が待っていた。今日の2山はどちらも山名=三角点名で分りやすい。真西に矢筈岳が望め、その距離感に思ったより歩いて来たことを実感した。

 

下山は北北西尾根を下り日高川に達する予定だ。しっかりコンパスを合わせて行こう。しっかりした踏み跡があり問題はなさそうだ。北尾根との分岐に気を付ければ大丈夫だろう。登りと違い下りはピッチが上がり前方に小さなピークが見えて来る。巻道が付いているがピークに行ってみると此処はP479で現在地確認。100m程行って処は展望台のような所で再び矢筈岳や北方の白馬山(957m)らしき姿を望むことができた。もう安心して方向も確かめないまま下り続けると尾根通しと思っていたのに山中の林道に出てしまった。地図を確認すると西に張り出した尾根を下り渡瀬林道に下りてしまった。林道歩き1時間程で当初下山を目論んでいた尾根の先端に到った。笠松大橋から国道424号線を歩き上の段の駐車地点に戻る。2.5万図には載っていないが国道はトンネルで滝頭集落をショートカットしているが長いトンネルは嫌なので少し長いが旧道を歩いた。

 

汗みどろになってしまった。早く温泉に入りたい。今日の宿泊地、田辺市龍神村丹生の川(にゅうのかわ)にある丹生やませみの郷に向かう。日帰り温泉施設の対岸にテントサイト、バンガローがあり受付は温泉の受付で共用だ。辺鄙な山間部で日帰りの温泉客もなく貸し切り状態で入浴し、ビールくらいあるだろうと期待していたがノンアルコールビールと缶ジュースの自動販売機があるだけでガックリ!テン場に移動すると家族ずれのオートキャンプが数張、丹生ノ川も浅瀬で子供たちが遊ぶには持って来いだろう。

 

昼食とも夕食ともつかない食事をしてやっと夕方になると持参のアルコールで案会開始、翌日の天気予報はどうやら最初は曇りらしい。雨が降っていなければ短縮コースで冷水山に登ろうとも考えたが頼みの熊野本宮へ抜ける林道が2年前の水害で通行止めになり復旧していないとのことで、ピストンするしかなく相当の時間がかかるので断念した。果無山脈は11月にリベンジという相談が成立した。

 

2日目(9/15): 護摩壇山・白口峰

【行  程】 ▲丹生やませみの郷5:48=7:35森林公園分岐7:44~7:54護摩壇山7:57~8:15森林公園分岐8:22=8:35県境尾根先端8:43~8:51白口峰~9:00県境尾根先端9:05=9:39高野山金峯山寺10:45=11:14やどり温泉13:03=17:04京都

【山データ】 護摩壇山: 雨 歩行2.5㎞ 0時間31分 延登高112m 延下降112m 1座登頂

白口峰:   雨 歩行1.0㎞ 0時間17分 延登高 87m 延下降 87m 1座登頂

20130914矢筈岳地図2

 

20130914矢筈岳地図3

 

 

昨夜21時頃雨が降り出した。テントを炊事棟の屋根の下に移動した。トタン屋根を叩く雨音が実態以上に激しく感じ、今日の登山は完全に諦めが付いた。5時に起床し果無山脈の果てを確認しようと県道735号線を走り十津川温泉へと車を走らせる。時々雨は激しくなり早く此の細道を抜けたいと思っていた所、県境を越え奈良県に入った途端、倒木が道を塞ぎ進めなくなった。人力で動かせる代物ではない。仕方なく引き返し何処かで行政に連絡しようとやっと見つけた龍神村西の駐在所に立ち寄った。7時前で未だ寝ていたのだろうかジャージ姿で出てきた人の良さそうな巡査に事の次第を報告し国道371号線高野龍神スカイライン)へと入って行った。

 

何処にも登らず帰るのは悔しく、護摩壇山(1,372m)直下を通る。この山も関西百名山で昨年9月シリーズNo.72で登った。森林公園分岐の登山口に到るとそこは標高1,290m、標高差80m程で登頂できる。寒川さんも登ったことがないという、行くしかない! 雨具を着て下はサンダルのままショート登山、山頂域はガスがあるが雨は大したことはない。10分で山頂に到着、勿論誰もいない。ピストンするのも面白くなく“ごまさんタワー”に下山スカイラインを辿り駐車地点に戻った。

 

カーナビを見ているとスカイラインを少し北に行った所に白口峰(1,110m)がある。これは以前から気になっていた山で登路があるかどうかは分からないが、行ってみよう。白口峰北東の和歌山・奈良県境がスカイラインを横切る処に取り付きがある。広い駐車スペースもあり林道跡のような広い道に入って行くが尾根から外れて行くようだ。

 

強引に斜面に取り付き這い上がって行くと赤テープもあり、尾根通し行けば問題なさそうだ。道中可愛いキノコが目を楽しませてくれ8分で山頂に到った。3等三角点「白口峰」があり、私製の山頂標識も付けられていた。残念ながら展望はない。下山は踏み跡らしき道のあった切り通しの際を下る。落石防止ネットを吊ったワイヤが登山道を横切り歩き辛い。しかし展望地が一ヶ所あり駐車した車と形のよい無名ピーク(約1,090m)を望むことができた。

 

今日の昨日と同じ2座を“登山”した。時刻はまだ9時で高野山観光を組み入れた。金剛峯寺前の駐車場に上手く止められ拝観料500円を払って参拝、茶菓の接待がありゆっくり1時間掛けて拝観しゆったりした気分になった。「阿字観」といって座禅の体験も2,000円で出来るらしい。日を改めて体験してみたいものだ。お寺を出て来ると雨が強くなってきた。本格的に台風の近づく明日はどうなることだろう。やどり温泉に立ち寄ると学生のグループ20人余りが来合わせ食事オーダーに随分待たされた。24号線の渋滞に嵌りながらも京奈和道だけ使って帰京した。

 

【山データ計】 歩行15.9㎞ 6時間43分 延登高1,611m 延下降1,611m 4座登頂

 

【感 想】 48期 寒川陽子

果ての無い山脈。縦走愛好家にはとてつもなく惹かれる名前だ。ある日、山深いと知られる大峰・台高の地図を見ていたのが、その山脈を知ったきっかけである。小辺路の一部から西に和歌山を経て紀州灘まで辿れそうな稜線。

 

悪天が予想されていたが、関西百名山企画に便乗。矢筈岳とその向かいに聳える清冷山は、900m足らずだが山容が大きく、台風の湿った風により蒸し暑い上に一部急登もあったためなかなか登りごたえがあった。視界のはるか彼方まで山々が折り重なって見え、関西の里山いいなぁと改めて実感。悪天候のため冷水山すら踏めず、十津川への県道は大木に塞がれと散々である。しかし暴風雨の合間を縫って高野龍神スカイライン脇の二座に立ち寄り、金剛峰寺に参拝しとちゃっかり楽しんだ帰路だった。

 

何より温泉付のひなびた道の駅でまったり時間を過ごすと、日頃の喧騒をすっかり忘れられた。日高川の原風景は、なんだか懐かしさを感じられる。企画もさることながら、悪天候の中長時間運転して頂いた山本浩史さんには大変感謝している。果無リベンジ行きましょう!

 

20130914矢筈岳1

写真1: 清冷山878m (矢筈岳山頂より)

 

20130914矢筈岳2

写真2: 矢筈岳山頂にて

 

20130914矢筈岳3

写真3: 矢筈岳811m (清冷山山頂より)

 

20130914矢筈岳4

写真4: 護摩壇山(1,372m)山頂標識

 

20130914矢筈岳5

写真5: 白口峰北稜線にて