京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉御坂山地 黒岳~本栖湖縦走

 2013.11.8夜~10(金夜~日)

山頂に幕営し早朝にテントの入口を開けたら富士山が顔面に飛び込んでくる、こんな素敵な幕営地を私は他に知らない

131108-10misaka5 テントから顔出せば富士さんがいました

 テントから顔出せば富士さんがいました

 48期 寒川 陽子

 

【参加者】単独

【天候】9日:曇り 10日:曇り

【行程】

・11月8日(金)

自宅22:05⇒京都駅八条口23:25=(フジヤマライナー・車中泊)

 

・11月9日(土)

⇒8:20河口湖駅8:28=(バス)⇒9:00藤の木下バス停=(バス)⇒9:10三つ峠入口バス停

三つ峠入口9:15→10:15御坂峠30→11:10黒岳→11:25すずらん峠→11:35破風山→11:45新道峠→12:00中藤山→12:25休憩35→12:40不逢山→12:45大石峠-(給水)→13:40大石峠→14:00金掘山→14:30節刀ヶ岳→14:45金山→15:00鬼ヶ岳→15:45鍵掛峠55→16:05鍵掛→16:35王岳・18:00就寝

       [行動時間(休憩除く)6:45]

 

・11月10日(日)

5:00起床・6:10出発→7:10五湖山→7:35女坂峠40→8:10大三方山→8:35精進山コル→9:00精進湖分岐→9:10パノラマ台25→9:40烏帽子岳45→10:05本栖遂道バス停→10:25本栖入口バス停

[行動時間(休憩除く)3:50]

本栖入口10:25=(バス)⇒11:45新富士12:12=(こだま)⇒14:34京都

 

【記録】

 寝ぼけて天下茶屋にバスが行かないのを失念していた。下り坂に転じてしばらくでおかしい事に気がつき藤の木下でバスを降りる。甲府側に来てしまったので藤の木から御坂峠に行こうかと来た道を戻っていたが、無線連絡を受けた河口湖行のバスに拾ってもらい三つ峠入口まで乗せて頂いた。さらに天下茶屋までの道を教えてくださり、もし歩いていたら乗せるようバスの運転手さん(※違う運営会社)に連絡しておくとのこと。感謝しきりで拝みたくなるくらいありがたいが、実は黒岳~天下茶屋は過去に行ったことがあるため、車道を歩くくらいなら三つ峠入口入山でいい。日和って「同じ所要時間なら支尾根より稜線歩きがいい」などと考え出した事が原因で、計画段階で河口湖発天下茶屋行バスは時刻が遅いのを調べた上での三つ峠入口入山とした事を思い出した。山中でなくとも朝一は危険である。

 

131108-10misaka1 御坂峠、フカフカのじゅうだん

↑御坂峠、フカフカのじゅうたん

 

 早速御坂峠の登りで左靴の紐が切れた。切れそうだったのを承知で靴ひもを持ってきたが、穴が小さくて通らず針金が活躍した。稜線はひたすらに白い。終日素晴らしい展望を拝めるはずが、ひたすら登っては下りの修行である。とにかく細かいアップダウンが多く、支尾根の張り出しのある場所は相応な登り返しがあると思って間違いない。大石峠は4張程度可能。展望もよく、甲府側に30分ほど下ると水も得られる(が、土くずや岩の堆積した沢筋の斜面を下降するのは骨が折れる)。ひたすら黄色く色づいた笹原と樹林帯。しかし節刀ヶ岳から急に岩が出てきて細尾根になる。

 

131108-10misaka2 主峰が1つ、節刀ヶ岳

    ↑主峰が1つ、節刀ヶ岳

 

131108-10misaka3 鬼岳周辺より行く手を望む

   ↑鬼岳周辺より行く手を望む

 

鍵掛峠は極端に狭いコルで幕営などできない。王岳は3張程度可能でここに設営する。通話・通信電波良好。風があるせいか、白い世界に一瞬富士山が姿を現し慌ててシャッターを切った。

 

131108-10misaka4 王岳、今日の我が家はココ!

  ↑王岳、今日の我が家はココ!

 

夜間に雨が数回降った。ガスに囲まれた視界。天気予報では時間経過に伴い下り坂、雨に降られる前に抜けよう。テントが飛びそうな程の風、雲が飛んで富士山を拝めたらと一抹の期待を抱きつつ西進。昨日同様、甲府側は視界がクリアに見える。どうやら高度1500m程度を境にガスが立ちこめている様子。五湖山では眼下に精進湖が。

 

131108-10misaka6 精進湖を巡る稜線、奥は本栖湖

  ↑精進湖を巡る稜線、奥は本栖湖

 

過去にウルトラマラソンに出走していた関係で河口湖から本栖湖にかけては思い入れのある場所なのだが、精進湖は湖岸を走らないため前から気になっていた。一言で言うと意外と広い。青木ヶ原にかかる直線的な橋がやたら目立つ。北側に目をやれば、はるか彼方に韮崎市街が見えた。そして精進湖の向こうには本栖湖も見える。五湖山から大三方山までは、精進湖からの強風で身体を持っていかれそうな位だ。晩秋の森歩きをしばしで突然大広場に飛び出る。

 

131108-10misaka7 青木ヶ原樹海、西湖、十二ヶ岳方面

 ↑青木ヶ原樹海、西湖、十二ヶ岳方面

 

131108-10misaka8 これが見たかった!

    ↑これが見たかった!

 

ここパノラマ台は文字通り本栖湖~毛無山、御坂山地と樹海と周辺の湖、遠くに三つ峠山とおぼしきもの、そして正面に富士山、と全て見渡せる。とはいえ曇天で遠望は効かず、大三方山、王岳・十二ヶ岳あたりの岩峰、河口湖周辺、本栖湖方面、富士山上部が見えない。しかし富士山上部は強風で雲が次々に流されていたのでシャッターチャンスを待った。当初の天気予報からすれば思いがけない収穫を得て、ホクホク顔で本栖湖畔に下山した。

 

今回の山行を終え、念願だった富士山外輪山(山中湖~御正体山~三ツ峠山~節刀ヶ岳~本栖湖~毛無山~白糸の滝)を完踏した。関西はおろか、関東のガイドブックでも大きくは取り上げられない山域なのが不思議な程素晴らしい場所である。アクセスもよく、富士山と湖を拝みながら延々と歩ける。極めつけは、三つ峠山や王岳、毛無山、長者ヶ岳のように、山頂に幕営し早朝にテントの入口を開けたら富士山が顔面に飛び込んでくる、こんな素敵な幕営地を私は他に知らない。晩酌をしながら富士山と降るような星を愛でる事も可能だろう。欠点は水の確保に苦労する事くらいか。世界遺産化に伴って「富士山を拝む好スポット」として、御坂山地にも入山者が増えるのだろう。今後も素朴でしかし自然を楽しめる山域であってほしいものである。

 

131108-10misaka9 最後のピーク、烏帽子岳より

  ↑最後のピーク、烏帽子岳より