京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉愛宕山・明神谷から芦見谷東尾根《山紀行831》

平成26年3月4日(火)

今年の愛宕山は雪が多く楽しい。今冬4回目の愛宕山は前回歩けなかったルートを全て歩いた。再び明神谷を遡行し表参道五合目に乗り上がりケーブル駅跡の尾根、表参道東の尾根筋、愛宕三角点東尾根、そして芦見谷東尾根を辿った。このところ雨も降り暖かい日が続いたので雪の愛宕もこれで打ち止めだろう。

20140304愛宕山1

写真1: 明神谷最大の滝にて

 

【メンバー】 山本浩史L、四方宗和、吉川彩、田中靖之 計4名

【行  程】 嵯峨嵐山6:39-6:43保津峡6:50~7:21明神谷出合~9:57五合目10:13~10:05ケーブル愛宕駅跡~11:01社務所前11:18~11:26愛宕山~11:31愛宕三角点~12:31芦見谷出合~13:16 P812~14:17官兵衛山~14:45細野峠~15:43細野口BS 14:49=16:50四条大宮やまとの湯

【登山データ】 晴れ後曇り 歩行18.2㎞ 8時間51分 延登高1,570m 延下降1,280m 2座登頂

20140304愛宕山地図1

 

20140304愛宕山地図2

 

9日前の2月23日と同じ電車で保津峡駅に降り立った。同じ道を辿り明神谷へと入る。入口の第一歩から険しい谷が始まる。比較的規模の大きい滝が連続し、右へ左へと渡渉を繰り返す。岩肌を舐めるように流れる滝、朝露に濡れて滑りやすい。ロープが掛り、その滝の上部を横断する。事件は此処で起こった。先頭を行く四方さんが足を滑らせすべり台のように落下、凍りつく瞬間だったが幸い怪我はなく濡れただけで済んだ。帰りにスーパー銭湯に立寄る予定だったので持ってきていた着替えが役に立つがズボンは自然乾燥に任せて靴下は搾って履き、歩行再開した。後に引きずることなく持ち直したのは流石にベテラン登山家だ。

 

記憶力が衰えてきたとは言え、9日前の記憶はまだ鮮明、ルートのイメージはしっかり頭に残っている。今日は明神谷の途中から2.5万図にある点線道を辿り表参道五合目に出る予定だ。谷が左にカーブする所を注意深く見極め河原が少し広がる処で休憩を取った。明瞭な道形はなく微かな踏み跡を辿り安全そうな登寝に取り付くことにして高度を上げると明瞭な道が横切り2.5万図の道だと思い右に進路を取ると展望個所があり嵐山や山上ヶ峰が望めた。この先谷を回り尾根の張り出しを下って行っているので、地図の道ではないと見切りをつけて分岐に戻り表参道五合目から南に伸びる尾根を登った。微かな踏み跡があり途中にログハウス風の祠を見るとその先にアルミの梯子、何のためにあるのかよくわからない。やがて椎茸のほだ場が現れその先には小型のユンボ、車道幅の道となり五合目の東屋の処に乗り上がった。この作業道は表参道五合目を横断し大杉谷への道を経て堂承川の林道に繋がっている。

 

今日はバリエーションを楽しむ日だ。本来此処からは稜線の南側を巻く表参道となるが尾根に乗りケーブル愛宕駅跡を目指した。最初は明瞭な道が南側を巻き気味に付いていたが途中で途切れ稜線を歩く。右手の谷が不自然に均一の幅で並行しだすとそれは果たしてケーブルの軌道だった。愛宕駅跡に達し朽ち果てた駅舎内を見学、2階に上がれば天井から垂れさがる氷柱が凄まじい。P741の愛宕ホテル跡へは行かず南を巻く嘗てのメイン道路を進み表参道に飛び出した。

 

更にバリエーションを求めて表参道東の稜線を辿り愛宕神社社務所に達した。アクシデントがあったにもかかわらず前回よりも15分早く着いた。少し早いが昼食休憩を取り山頂を目指す。9日前にあれほどあった雪もこのところの暖かさと雨で溶けてしまい地面は殆ど露出している。平日とあって登山者は少なくお札を売る神職の方も暇そうだった。今年4度目の参拝を終え愛宕三角点に向かう。ジープ道からは武奈ヶ岳や蓬莱山がくっきりしている。比叡山から大文字山そして京都市街の方は一寸霞勝ち。流石に愛宕の北側に回り込むと残雪がしっかりある。10㎝はありそうだ。三角点(3等「愛宕」890m)に到るとベンチで一組の男女が休憩していた。ここも平日、人が少なくて静か、ゆっくり展望を楽しんだ後は首無地蔵への道に降り立つべく西斜面の道なきところを強引に下った。

 

今日は芦見谷と笹ヶ谷の間の尾根を下る。途中に811mの標高点があるのがランドマークでジープ道から続く広い道の先端には広場があり建物もあった。ここからは竜ヶ岳(921m)の眺めが良い。地図をしっかり見て目指す尾根に乗りなだらかに下る。樹林帯で展望は利かないが木の間越しに竜ヶ岳の姿が優雅だP811ともう一つ顕著なピークを越えると尾根の先端部で岩混じりの急斜面を芦見谷へ下る。谷沿いの登山道は雪に埋もれ壺足50㎝も潜ってしまった。渡渉し竜ヶ岳から下りて来る道と合流し竜ノ小屋に到る。

 

裏の尾根を登るとこれから目指す芦見谷川東尾根に短絡できるがかなり急そうで予定通り林道を行くことにした。尾根道に入ると直ぐに林道は途切れ山道となる一つ目のピークP792は東側を巻いている。無名ピークなのでそのまま巻道を進んだ。道があるか無いか分からなかったが比較的しっかりした道形があり問題はなさそうだ。小ピークが連続し一際高いP812に到る。この先のピークで90°右に曲がる処は見逃してはいけない。2.5万図の点線道は真っ直ぐ進んで行く。

 

その地点に達すると如何にも脇道のように下って行く尾根があった。北北西に進路を替え展望のない旧京北町京都市右京区の境であった稜線を進んで来たがP708からは旧京北町域となり640mほどのピークに立つと木に巻かれたテープにマジックで「官兵衛山」と書かれている。ネットで調べてみてもヒットしないので登山者の勝手命名かもしれない。しかし山名として貰っておくことにした。官兵衛山の次のピークは顕著で610mほどある。北の展望が素晴らしく三頭山(728m)やこれから行くP598その右奥には天童山(775m)が確認できた。P588も結構登り返しがあり70m余り下って細野峠に達する。左に茗荷谷、右にウジウジ谷の表示があるが、右はこの地点では既に田尻谷川と名前を変えている筈だが・・・

 

時刻は14:45、細野口からのバスは15:49で、その後は1時間ない。微妙な所だが急げば乗れるか? 皆力を絞ってスピードアップしてP598、P552を越え複雑に折れ曲がる稜線の小ピークは強引に巻き、林道に飛び出した。下の方には細野の集落が見えている。地図にない林道なので何処に連れて行かれるか分からない。標高はどんどん下がって行くのでそのまま林道を下ったがかなり遠回りになったようだ。道は泥濘み靴が汚れる。分岐に達しさてどっち? バス停方向と思われる方を偵察すると人家が見え細野の集落に下り立つことができた。細野口バス停は昨年12月21日に開通したバイパスのトンネルの出口付近に移設されており当然地図にはない。最後のルートファインディングで5分前に到着した。

 

【感 想】 6期 四方 宗和

愛宕以北は歩いていないのと長距離が魅力の「個人山行・保津峡愛宕~細野」が出たので飛びついたのはいいが、しょっぱなの明神谷で足を滑らし滝つぼに・・・・首までびしょ濡れになり・・・幸い「やまとの湯」用に着替えを持参していたので着替えはしたが下半身が涼しく「表参道」まで、「愛宕ピーク」まで、「首なし地蔵」までと考えながら最後まで付き合っていしまいました。私にとっては充実した1日でしたが同行者には心配をかける山行になりました。

 

【感 想】 53期 吉川 彩

初めて歩く明神谷。岩や丸太など足場が大変滑りやすい。先頭の四方さんのサポートを受けて恐々どうにか進む。歩きにくいけれど無名の美しい滝がいくつもあって見所も多い。興味のあったケーブル道跡、崩れかけのコンクリートの駅跡二階には沢山の氷柱が下がっていた。細野峠ルートは枯木が多く手がかりにと掴んだ木がよく折れた。けっしてバカ力で折ったのではありません。最後はバスの時間がありほぼトレラン。よく歩き大変充実した山行でした。

 

【感 想】 55期 田中靖之

定休日の水曜出勤の替わりに火曜日休みを取り、久しぶりに山本さんの山行に参加させて頂きました。愛宕山は3回ほど登ったことが有りますが、いつも表参道経由で愛宕神社で引き返し水尾別れ経由、保津峡駅までのコースでした。

今回初めて緊張感ある沢沿いを登り、愛宕神社より先に行き、3日前に個人山行で登った武奈ヶ岳も臨め、雪道を急降下したりと19キロ弱のバリエーション豊かなコースを堪能し、とても充実した山行でした。読図頑張りバリエーションルート行けるようになりたいです。

 

20140304愛宕山2

写真2: 武奈ヶ岳と蓬莱山(愛宕三角点より)

 

20140304愛宕山3

写真3: 芦見谷東尾根のP598 (P610より)