京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉関西百名山シリーズNo.100最終回・比叡山と感謝の集い《山紀行838》

平成26年5月11日(日)

関西百名山シリーズが終に最終回となった。最後だからといわき市から駈けつけてくれた尾崎さんを始め過去最高の参加者を集め快晴の空の下、京都人の心のふるさととも言うべき比叡山に登った。大津市坂本から裳立山を経由し大比叡から八瀬に下りるルートで、下山後はがんこ二条苑で感謝の集いを行い完登を祝った。

 

20140511比叡山2

写真2: 大比叡山頂にて

 

関西百名山シリーズが終に最終回となった。最後だからといわき市から駈けつけてくれた尾崎さんを始め過去最高の参加者を集め快晴の空の下、京都人の心のふるさととも言うべき比叡山に登った。大津市坂本から裳立山を経由し大比叡から八瀬に下りるルートで、下山後はがんこ二条苑で感謝の集いを行い完登を祝った。

 

【メンバー】 山本浩史L、四方宗和、中尾論、辻野喜信、畑中里子、山本憲彦、田辺久美子、奥野淳子、尾崎稔、辻春見、高橋秀治、中村恵子、東野政行、船木佐織、土井司、小西幸一郎、河合美香、橋本満里子  計18名

【行  程】 京都9:16-9:30比叡山坂本9:47~10:10日吉東照宮~11:28裳立山11:59~12:18延暦寺ST 11:59~12:35根本中堂13:12~13:26大比叡13:57~14:20八瀬下山路分岐14:30~15:43八瀬比叡山口15:58-16:11出町柳

【山データ】  曇り後晴れ 歩行距離12.1㎞ 5時間56分延登高 933m 延下降 910m 2座登頂

 

20140511比叡山地図①

 

20140511比叡山地図②

 

JR湖西線比叡山坂本駅で全員が揃った。最終回と云うことでシリーズ最大18名の参加者となった。ミーティングの後、中尾さんを先頭に歩き始めた。真っ直ぐ西に伸びる道の左手に京阪坂本駅を見る頃から延暦寺の里坊の並ぶエリアとなり、独特の雰囲気を醸し出している。里坊は、座主や修業を終えた老僧が寒気の強い山上の生活を避けて住んだ所で、最盛期は80余の里坊があったそうだ。中でも滋賀院門跡は天台座主の住居として最も格式が高く、現在の座主も住んでおられる。

 

この道の突きあり日吉神社の鳥居のある所を左に曲がり比叡山高校の南側にケーブル坂本駅日吉東照宮の指導標を見つけ右折、ケーブル駅から車道で高度を稼ぎ日吉東照宮に立寄った。日光東照宮の雛形となった権現造りは此処が発祥とされ国宝に指定されている。祭神は徳川家康の他に日吉大神、豊臣秀吉が祀られている。門を入るには拝観料200円が必要で5人だけが参拝した。

 

東照宮の階段を下り無動寺道に入る。この道は叡山千日回峰行で歩かれるコースの一部で、この途轍もない荒行を2度も達成した酒井雄哉師が昨年9月に亡くなったのは記憶に新しい。無動寺道は、最初林道だがやがて整備された登山道となる。裳立山への道はこの無動寺道から何処かで分岐しなければならない。昭文社登山地図には記載がなく、ネットの記事と2.5万図の間にも乖離がある。明瞭な道がある筈だがはっきりしないので今日のミッション1に「裳立山への登路を地図に書き込む」を設定した。此れが結構難解で樹林帯で現在地の把握が難しい。ましてやお喋りしながら歩いているとお手上げだ。

 

修行の道らしく沿道に祠や石仏を見て、「浄刹結界跡」の石碑も現れた。嘗ては霊域として女人禁制だったのだろう。やはり2.5万図の点線道とはずれているようだ。2.5万図のH26の最新版と旧版でもかなり違っている。旧版地図では尾根に取り付いているが、新版地図は山腹を巻くようになっている。新版地図に近いようだが谷に50mも下り登り返すと云う所はなかった。標高約385mで「紀貫之墳墓從是西北九町」の石柱が現れ明瞭な道が分岐していた。広い場所があり暫く休憩、無動寺道を離れ裳立山へと登って行った。尾根を直登する道ではなく裳立山の東側山腹に付けられた道は裳立山の北北西500m程の処で稜線に乗り上がった。折り返すように南下し裳立山(595m)山頂に到着した。木立の中で展望は無し。

 

立山山頂には山頂を示すものは何もないが紀貫之の墓があり花が供えられていた。紀貫之平安時代歌人小倉百人一首にも和歌が収録されている。やはり紀貫之と云えば「土佐日記」が有名だろう。延長8年(930年)1月土佐守に任官し現地赴任し、延長5年(935)2月帰任した、この間の紀行を纏めたものだ。土佐国府のあった南国市はこの縁で今でも墓参に訪れ、記念碑が立ち並んでいる。昼食休憩を取り、墓前で記念撮影。

 

昼食後は根本中堂を目指し分岐へと引き返す。稜線を進むとドイツ人ブルノ・ベッオールドのお墓がある。権大僧を追贈されているが天台宗と関係があったのだろうか。お墓のピークの先の鞍部で丁度坂本ケーブルが走って来るのが見えた。此処が“もたて山”駅で、乗客がいないと停車しない。此処で下りる場合は発車前に申し出る。此処から乗る場合は両端の駅を発車するまでにインターフォン延暦寺駅にお願いしておかなければ止まらない。乗務員は乗っているが運転していないので致し方ない。此処で止まればもう一方の車両は“ほうらい丘”駅で止まっていることになる。それから2.5万図は“もたて山駅”の位置を誤っており、登山道から40~50m下ではなく、尾根の括れの位置が正しい。

 

線路沿いに歩き延暦寺駅に達すると無動寺道が南側から合流した。大乗院や辯天堂を通ってきた修行の道だ。駅前からは展望が素晴らしく蓬莱山、三石山(さんごくやま)、そして琵琶湖、その向こうには沖島や奥島山の姿が見える。その先の展望は霞んで難しい。展望を楽しんだ後は根本中堂に向かう。車道歩きでドライブウェイの駐車場からの道と合流する所に料金所があり拝観料を徴収している。根本中堂を拝観し時間調整をしようと思っていたので此処で料金を払う必要があったのだが、払わずに通過して行くと追いかけてきて料金を求められた。4人だけが550円を払って参拝した。堂内の奥まった処に伝教大師が灯したという不滅の法灯があり3基の灯籠に入れられ1,200年の間灯し続けていた。ただし信長の比叡山焼き討ちで一旦消滅し、山形県立石寺(山寺)に分灯されていたものを移し復活したのだと云う。

 

余り待たせては悪いので根本中堂だけを見て大講堂の横の路上で待つ皆に合流した。此処でミッション2:「根本中堂から大比叡山頂までの所要時間を予想」をすると28分から50分までの予想が出た。阿弥陀堂の前から大比叡を仰ぐことができる。結構高い、東塔の裏側から登山道に入り標高差130mを登る。山頂域は民放の電波塔があり、西端の小高い所が大比叡(848m)山頂となっている。1等三角点「比叡山」があるが展望は無い。さてミッションの結果は25分15秒で皆の予想より早かった。最も近かったのは田辺さんと東野さんの28分だった。

 

予定時刻よりかなり早いので30分休憩した。山頂写真を撮り、車道に下りると直ぐにドライブウェイの山頂駐車場に入る。南北の展望が良く北の方には横高山、水井山が望め、大原の里越しに翠黛山、焼杉山、峰床山皆子山などが見える。南側は比叡平の住宅と如意ヶ岳、その後方には音羽山が望めた。大比叡と対を成す四明岳(838m)は山頂域がガーデンミュージアムとなり、1,030円の入場料が必要なので北側の車道を巻いた。フェンスの向こうはシャクナゲが綺麗だった。

 

比叡山には嘗て人工スキー場があった。平成14年に廃止されてゲレンデはカヤトの広場と化し、建物は荒廃が進んでいる。ケーブル駅に行くまでに八瀬への下山路がある筈だ。辻野さんが怪しげな赤テープのある処で立ち止まっていた。随分荒れているのでどうかと思い先に進んだがロープウェイを越えそうになりやはりさっきの所が八瀬への分岐と確信した。先頭は離れて随分先に行ってしまった。コールしても聞こえそうにもないので奥野さんが呼び戻しに行ってくれた。この道は廃道然としておりミッション3:「八瀬下山路の地図との照合」が意義を成しそうだ。

 

分岐に入りトラバース道を進み、一つ目の尾根の張り出しを越えるとコンクリートで固められた水路の横断となる。水がないので問題は無いが倒木があり上か下で迂回する必要があった。2つ目の尾根の出っ張りを下降するとアーチ形の入口のある建物が朽ちていた。一体何の施設だったのだろう。

 

しっかりした道となったが余り歩かれていないのは明らかだ。下り続けて標高約550mに達すると十字路で、尾根の続きの道と東塔方面の道が交わり左折し八瀬への道に進む。尾根を2つ越え、上部で越えた水路の谷の北側尾根に乗る。谷に近づき橋で横断、やがてケーブルの線路が近づきケーブル八瀬駅に達する。川遊びの家族連れで賑う高野川を渡ると叡電八瀬比叡山口駅に到着した。時間調整しながら来たが予定時刻より17分早やかった。そして八瀬への下山路は2.5万図の新版が近かったようだ。

 

叡電に乗り出町柳に着くと感謝の集いの会場に30分繰り上げを依頼し、鴨川河原を歩いて向かった。かなり気温が上がったようだが爽やかな風が吹き抜け心地よい。感謝の集い会場は高瀬川源流の“がんこ二条苑”で嘗て山形有朋の別荘“第二無鄰菴”であった建物、庭がそのまま使われており満足度が高い。山行に参加しなかった西田さんもJoinし開演、100座完登を祝した。

 

【感想】 6期 四方 宗和

比叡山といえばいつも京都側からでしたが今回は琵琶湖側からだったのでこの企画はありがたかったです。天気もよく参加者も18人、昔なじみもいれば私にとって初めて同道する人もいて楽しい山歩きでした。最後の打ち上げ懇親会もみんな気合が入っていて盛り上がりましたね。

 

【感想】 36期 辻野 喜信

今回も読図は難しく、もたて山までの登りは地形図の道とは途中から南に外れていたように思います。ケーブル比叡駅手前からの下山は、予定の道より一つ南の尾根を下っていると思っていたのに、着いた鞍部は予定通りの位置にありました。こんなこともまた楽しい低山の山行です。関西百名山100座目の記念山行に参加できて本当に良かったです。ありがとうございました。

 

【感想】 50期 奥野 淳子

新緑の比叡山は初めてでした。途中お詣りした日吉東照宮の極彩色の彫刻や1200年間燃え続けているという「不滅の法灯」を観ることができて良かったです。ミッションの一つは「根本中堂-大比叡の所要時間を予測する」で、今回も当たりませんでしたが、考えることは楽しくもあり、勉強にもなります。

 

【感想】 52期 尾崎 稔

今回が最後の関西百名山のお知らせが来た時、必ず参加したいと思い、年中無休の薬局ですが無理を言って休みを頂き参加させていただきました。福島県いわき市から夜行バスに乗って参加した甲斐がありました。四方さんを始め会員の方々と久しぶりにお会いし、お話をすることができ楽しかったです。新しい会員の方々も参加されていて、さすが関西百名山と思いました。比良山岳会の会員として最後に参加できて非常に光栄です。山本さんお疲れ様でした。これからもよろしくお願い致します。

 

【感想】 53期 辻 春見

関西百名山シリーズのラストを飾る比叡山山行に参加させて頂きました。お天気も良く、最後を飾るには絶好の条件だったと思います。ミッションで途中から殆んど使われていない道に入るのですが、やはり自分にはその入り口が見つけられません。GPSに頼るより、地図読みを毎回の山行の中で実践し、問題を見つけて行きたい。入会当時よりは少し判るようになってきたので、更に場数をふみたい。後、毎回同じ経験をするのですが、東海自然歩道上にある根本中堂で、通過と拝観で嫌な思いをするのが残念でした。

 

【感想】 54期 中村 惠子

天気もよく絶好の登山日和でした。大人数でしたが、和気あいあいと楽しく登れました。毎回山本さんの例会のミッションはできたことがなく、最終回ぐらいはと頑張りましたが、できずに残念でした。下山路は、はじめ荒れ道でしたが、いつもらしくて楽しかったです。

 

【感想】 55期 東野 政行

滋賀の南部に住んでいながら、一度も山歩きで訪れたことがない山域のため直ぐに参加表明した次第です。天気予報では曇りの予報だったのに日程が近づくに連れ晴れとなり、真夏日間近の暑い日になりました。山本さんの山行は何故か興味を引き起こされるものがあり、今までも何回か参加させていただいていました。今回も妙なところの下山となり楽しい一日をありがとうございました。

 

【感想】 56期 土井 司

今回、日ごろからお世話になっている山浩さんの関西百名山100座目ということであり、ぜひ参加しようと思っていました。当初雨の予報でしたが神様も祝福したようで爽やかな五月晴れとなり、また人気ぶりがうかがえるかのようにたくさんの参加者もあり楽しい一日でした。ただそこは山浩さんの計画であり八瀬への下山路は到底普通人では発見できず、また踏み入れようとは思わぬ半けもの道だったり、更に延暦寺では追跡係のおっちゃんに道案内をうけるなどエピソードに富んだ山行でした。次回の目標イベントにもぜひ参加したくその節は宜しくお願いします。

 

【感想】 56期 小西 幸一郎

最後の関西百名山は、たくさんの参加者で初めてお会いする方も多く、楽しく歩くことが出来ました。日吉東照宮延暦寺根本中堂(参ってませんが…)の厳かな雰囲気の中、天候も良く爽やかな山行となりました。皆様大変ありがとうございました。

 

【感想】 56期 河合 美香

100回という、気の遠くなるような山行の記念の会に参加させていただきました。ありがとうございました。新緑の中、陽の光を浴びて、空気を吸って・・・。比叡山からたくさんのエネルギーを得ました。そして、参加されたみなさまからの爆発的なパワーも!でも私は普段平地をランニングしているため、足元が定かでない、斜めのところはやはり苦手であることを確認した次第です。

 

20140511比叡山1

写真1: 東塔と大比叡848m (延暦寺阿弥陀堂前より)

 

20140511比叡山3

写真3: 横高山、水井山の左に大原の里と翠黛山、焼杉山、峰床山皆子山 (比叡山頂駐車場より)