京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3405 北アルプスの沢 岩井谷~赤木沢

iwai-3.jpg

 

天気は上々で、4月からこの計画を立ててきたリーダーとしては、先に進みたいような気持ちにもなったが、上坂、長野に制された。のちに先に進まなかったことが正しい判断であったことがわかった。

 

 

iwai-1.jpg

焚き火で岩魚を焼く

 

【天候】8月14日(木)晴れのち雨
8月15日(金)晴れのち大雨

【記録】

8/13 20:30京都駅八条口発~1:30有峰林道ゲート横着・幕営

8/14 6:20有峰林道入り口=折立駐車場=7:23出発~8:40岩井谷橋~2つ目の堰堤を越えたところでテント設営~11:30出発~13:30鳶谷出合い付近で遡行終了~15:30幕営地着

8/15 6:30 幕営地発~7:40折立駐車場着~8:30折立駐車場発~太郎小屋への登山道~10:05 1869.9ピークにて撤退開始~
11:00折立駐車場=帰京

 

 8/13 20時に京都駅を出発。日本列島を正体不明の前線が横断し、出発直前まで天気が読めない。とりあえず入渓地点までは行こうということで、北陸へひた走る。

 

iwai-2.jpg

岩井谷橋上流は穏やかな渓相

 

 日付が変わったころ有峰林道付近に到着。有峰林道は午後20時~午前6時の間は通行が禁止されているため、当初は富山地方鉄道立山線有峰口駅にて前夜泊の予定であったが、駅舎にあまりに風情がありすぎて宿泊する気分になれなかったことと、駅舎に先客が寝ておられたことから、もう少し先に進むことになった。

 有峰林道小見線の亀谷トンネル前に駐車場とトイレがあったため、ここで前夜泊をすることにした。暑くて蚊が多くて寝苦しい。

 8/14 すでに6時にはゲート前には30台ほどの車列が出来ていた。日本列島を横断している前線に動きはなかったため、この時点で今回の山行は途中撤退を決定。とりあえず、岩井谷に入って釣りをするとこまでは実現しよう、すぐに撤退できるよう、岩井谷橋付近にテントを張っておき、そこをベースにして進めるところまで進もう、という方針に決定。

 林道を抜けると折立の駐車場は満車状態で、道沿いに延々と路上駐車が続き、新折立トンネル内までそれが続いていたため、やむなく、トンネル内に駐車することにする。

 折立ヒュッテを右手に見送って林道を歩き、9時頃岩井谷橋に到着。橋自体は大きく、護岸工事をしているため、入渓口はすぐわかった。別パーティーは鳶谷に入るようだ。

 岩井谷橋からしばらく進み、堰堤を越えたあたりを幕営地と定め、テントを設営。ちなみに2つめ堰堤は右岸のはしに金属製のはしごがあるので石を積み上げたり木の上によじ登ったりしなくとも簡単に越えることが出来る。

 幕営地からは身軽になってつり道具と最低限の装備で先に進んだ。天気は上々で、4月からこの計画を立ててきたリーダーとしては、先に進みたいような気持ちにもなったが、上坂、長野に制された。のちに先に進まなかったことが正しい判断であったことがわかった。

 

iwai-3.jpg

尺岩魚

 

 岩井谷自体は鳶谷出合いまでは特段の難しい箇所はないが、水量が多く、渡渉は若干の注意が必要となる。増水するとほぼ渡渉不能になると思われる。

 鳶谷を過ぎた地点で14時頃になったため、撤退を決定。15時頃からは夕立もあったため、良いタイミングでの撤退判断であった。この時点で釣果はパーティーで5匹。

 15時半頃幕営地に戻って焚き火を起こす。

 幕営地に着いてからも2匹釣れたので、4人で計7匹と十分な釣果となった。

 今回も藤松に食事当番をお願いした。焼きイワナや岩魚の骨酒も加わり、満天の星の元、豊かな夜となった。

 

8/15 起床すると青空で、撤退判断が若干悔やまれる。林道を戻り、そのまま帰京するのも若干悔しいので、折立ヒュッテから太郎平小屋方面に進み、天候が持てば山上で泊まろうということで登山道を歩き始めたが、9時過ぎから猛烈な雨になり、登山道が小川のようになったため。撤退を決定。朝の青空にだまされて進んでいたら危ないところであった。撤退判断は正解であった。

 土砂降りの中、登山道を下り、有峰林道を下って温泉に入り帰京した。

 

 

【感想】48期 上坂淳一

このところ、会務や勤務の都合で、なかなか山行機会が得られなかったのですが、かねてより目をつけていた岩井谷を小松さんが企画してくださったので参加を申し込みました。

 しかし、お盆時期にも拘わらず太平洋高気圧の勢力が、例年になく貧弱で、難しい天候でした。

真夏の停滞前線には巨大なエネルギーが潜んでおり、ひとたび牙をむけば、沢中の増水はもちろん、山体崩落など、人間の無力を嘲笑するような災害になりかねず、しかも現在の予測技術では、いつ、どこで、何が起こるかは事前にほとんど予測できません。

そうした中で、幸運に頼らないリスク回避を着実にこなしながら、良好な釣果を得られ、楽しいキャンプを過ごしたことはリーダーの好判断と言えるでしょう。

個人的には毛鉤にヒットがなかったので、雪辱を期したいと思います。

小松リーダー、皆様ありがとうございました。

 

【感想】46期 長野浩三
 今回の例会は天気はさっぱりだったが、岩井谷でイワナがたくさん釣れて盛大なたき火で塩焼きにできたのは極めて大きな成果だった。ほんまもんの「サワヤ」に近づいた大きな一歩だった(^_^)。

 また、天気はさっぱりだったが、赤木沢へ入渓するかどうかの判断で撤退の大正解の判断をしたのは天候判断としては完璧だった。実際に赤木沢で遭難した人達がいたのだから。 

 今後も小松リーダーの沢例会について行きたいと思います。

 

【感想】54期 藤松奈美

 何ヶ月も前からずっと心の支えにしてきた山行だっただけに、撤退の判断を聞いた時は、寂しくつらいものでした。

 ただ、帰宅してから遭難のニュースを見て、早めの判断をされた長野さんの先見の明を知りました。行きたいと前のめりになる気持ちがいかに危ないかを教えてもらいました。(ちなみに会社では、私が危ないんじゃないかとちょっとした騒ぎになっていたそうです)

 今年は天候に恵まれない夏でした。つのるいらいらも、自然に包んでもらう遊びだから仕方ないと考えるしかありません(なかなか難しいですが)。

 自分でつった岩魚をたき火で焼いて食べたことは非常に楽しかったです。持参したルアーでは全く釣れず、むりやり小松リーダーの竿を借りたのですが(わがまましてすみません)、釣れて本当にうれしかった!!

 尺岩魚を釣られた小松さんのうれしそうな顔も印象的で、こちらまでうれしくなりました。小松リーダー、上坂理事長、長野さん。本当に本当にありがとうございました。鍛錬するので、またよろしくお願いします。

 

【感想】52期 小松久

 振り返れば今年は沢的にはまったくいまいちな一年で、沢初めの滝本本谷から雨のため撤退、大勢の人を募って企画した奥深谷例会も雨で中止、堂倉谷も増水のため、ハイライトの奥七ツ釜を見られず、そして4月から計画を立てて楽しみにしていたこの岩井谷例会も雨で撤退となりました。

 とはいえ、尺岩魚を焼き、骨酒を飲み、満天の星空の下で焚き火を囲んで語れるという芳醇な時間を過ごすことが出来て、それはそれで充実した山行となりました。

 生活環境も変わり、次はいつ沢にいけるやら、という状態ですが、隙を縫って、またこの濃い山の時間を過ごしに行きたいと考えています。

 撤退判断をしてくださった上坂さん、長野さん、食事当番をしてくださった藤松さん、ありがとうございました。また、沢に行きましょう。

 

iwai-4.jpg