京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3416 剱岳 早月尾根ピストン

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写真:馬場島「試練と憧れ」碑にて

 

翌朝は暗いうちからヘッドライトの明かりを頼りに出発。月は出ておらず、満点の星空の下を夢見心地で歩きました。周囲の樹木が膝下の高さになり空が白んでくると、眼下に雲海の広がりを見渡すことができました。遠くの山が白い雲の海にぽっかりと浮かび、まるで瀬戸内かどこかの島のようでした。

歩を進めるごとに標高は上がり、空も明るさを増し、白い雲海の端がピンクに染まり始めました。急な登りでしんどいはずでしたが、右を見ても左を見ても上を見ても下を見ても美しい景色に、足取りも軽く登っていくことが出来ました。さらに時間が経ち陽光が大地を照らし出すと、周囲の色彩は赤や黄、オレンジ、緑の、錦に変わりました。好天に恵まれ、錦秋を迎えた剱岳に登れたことは本当に幸運だったと思います。

 

 

【メンバー】

L秋房伸一、亀島文子、小西幸一郎、久代まゆみ、渡邉桂  会員5名

【行程】

26日(金) 京都駅21:00=24:15小矢部川SA(仮眠)

27日(土)小矢部川SA=立山IC=馬場島デポ地8:10~試練の碑8:25~1800m道標11:05~12:30早月小屋

28日(日) 早月小屋4:30~7:20剱岳山頂8:05~10:10早月小屋10:25~1800m道標11:30~13:35試練の碑~13:50馬場島デポ地=京都

【天気】晴

 

【記録】52期 秋房伸一

今回の例会は、早月小屋泊の軽量装備で無理なく剱岳に登頂できるプランにした。

27日 馬場島を出発。亀島を先頭に淡々と登る。天気は快晴、早くも紅葉を楽しめた。小屋に着くと、御嶽山が噴火したことをTVで知った。19時には就寝。

28日 亀島は就寝中にトイレに行く同室者に脚を踏まれて痛めたとのことで、小屋で留守番することになった。

天気が良い上に冷え込みも緩く、グッドコンディション。ヘッドランプを頼りに歩き始める。雲海が美しい。遠く、御嶽山から噴煙が上がっているのを確認できた。頂上は適度の混雑で、列をつくるほどではなかった。

亀島が待つ早月小屋には頂上から約2時間で到着。小屋からは皆揃って下山した。

 

【感想】56期 久代まゆみ

昨年GWに奥大日手前から雄大な早月尾根を眺めて、いつかは行きたいなと思っていたら例会に!! 初日は久々の山登りだったからかエネルギー補給がままならず、シャリばてしながら早月小屋到着。

2日目は大きな星空の中出発、皆で北斗七星を確認したり、秋色に染まりつつある毛勝三山、大日三山、前日に噴火した御岳を眺めながら登っていきましたが、岩場になったとたん、私はテンションが上りまくりで、そこからはあっという間に山頂についた感じでした。

素晴らしい好天に恵まれて、山頂からは富士山も見え、広大なアルプスの尾根を眺めつつ、至福の時をすごせました。これが登山の醍醐味ですね!行きたいと思っていた山々も比良山岳会に入ってから不思議なくらい例会等で行くことができたし、今回は剣に登れたなんて本当に夢のようです。秋房リーダー&同行して頂いた皆様、色々ありがとうございました!

 

【感想】57期 渡邉桂

初めての剱岳、初めての泊りがけ例会参加、初めてのSAテント泊ということで文字通り不安と期待いっぱいで臨んだ山行でした。

馬場島ののどかなテント場を過ぎるといきなり「試練と憧れ」の石碑があり、北アルプス三大急登のひとつである早月尾根に向かうにあたってさらに緊張が高まりました。早月尾根は噂に違わず急登の連続で、1200m手前で早くもバテそうになりながら、必死で元気な亀島さんの後ろを追っていきました。泣き言を言わずに小屋まで行き着けたのは、畏敬の念を感じさせる程の巨樹たちや色づき始めた山の木々、パーティーの皆さまの軽妙なトークに、元気を分けていただいたおかげだと思います。道すがら生っている木イチゴの甘酸っぱさも、萎えかけた心を癒してくれました。

午後早くに着いた早月小屋は派手さのない、これぞ山小屋といった感じのストイックな建物、設備でした。缶ビールで渇いたのどを潤し幸福感に浸っていると、他の登山客から御嶽山噴火の情報を聞きました。YouTubeの画像を見せてもらいましたが、その時はあれほどの大参事になるとは予想もしておらず、夕方のニュースで被害の大きさを知りました。

翌朝は暗いうちからヘッドライトの明かりを頼りに出発。月は出ておらず、満点の星空の下を夢見心地で歩きました。周囲の樹木が膝下の高さになり空が白んでくると、眼下に雲海の広がりを見渡すことができました。遠くの山が白い雲の海にぽっかりと浮かび、まるで瀬戸内かどこかの島のようでした。

歩を進めるごとに標高は上がり、空も明るさを増し、白い雲海の端がピンクに染まり始めました。急な登りでしんどいはずでしたが、右を見ても左を見ても上を見ても下を見ても美しい景色に、足取りも軽く登っていくことが出来ました。さらに時間が経ち陽光が大地を照らし出すと、周囲の色彩は赤や黄、オレンジ、緑の、錦に変わりました。好天に恵まれ、錦秋を迎えた剱岳に登れたことは本当に幸運だったと思います。

試練と憧れを経て辿り着いた剱岳山頂では360度の絶景が待っていました。しかし絶景の中には噴煙を上げる御嶽山も含まれており、登頂を素直に喜びきれない複雑な心境を味わいました。また、苦手な下山に対する不安も喜びを減じる一因となっていたかもしれません。

下山は転倒することなく何とか無事に乗り切ることが出来ましたが、途中で左膝周囲筋を痛めてしまい、歩行速度遅延から皆様にご迷惑をかけてしまいました。そんなときでも迷惑顔ひとつせず、同じ速度で歩いていただいた秋房リーダーはじめパーティーの皆さまの寛大さと安心感がとても嬉しく感じられました。また、行きと帰りでそれぞれ大事な愛車のハンドルを握らせていただいたのも、印象的な今回の山旅に彩りを添える楽しい思い出となりました。本当にありがとうございました。

 

【感想】56期 小西幸一郎

まだ行っていない剱岳には、来年の夏に行こうかなどとイメージしていたところに、早月尾根からの剱岳山行例会の計画があり、飛びつくように参加させていただきました。

登山口の馬場島から山頂まで2,200m以上の標高差に一抹の不安を感じつつスタートしましたが、小屋泊装備であったこともあり、なんとか登頂できました。ご一緒いただきました皆様ありがとうございました。

しかし、今回は剱岳山頂から噴煙が目視出来た御嶽山の噴火が、最大のトピックであったと思います。二週間前に身内が行っており、ある意味紙一重なんだなと、身につまされます。多くの登山者が亡くなられたことにご冥福をお祈りしたいと思います。

 

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写真:雲海上の景色にうっとり

 

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写真:急登が続く

 

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写真:難所の通過もスムーズ

 

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写真:剱岳山頂

 

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写真:早月小屋を望む