京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉《山紀行874》 伊勢の三つ星・白猪山 《近畿百名山シリーズNo.89》

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平成2755日(火)

 

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白猪山(819m)松阪市飯南町にある。「宮の御料として猪を飼っていた」とか「山に白い猪が棲んでいた」事が由来とされるが如何なものだろう。堀坂山、局ヶ岳と合わせて「伊勢の三つ星」と言われている。この三山は何れも近畿百名山に指定されている。

 

【メンバー】 山本浩史(単独)

【行  程】 ▲茶倉道の駅4:575:14柿野神社~6:12都・林道入口~7:18白猪山7:267:56高野山8:40御在覧場~9:50高須ノ峰10:1011:04櫃坂峠11:1211:48茶倉道の駅13:5214:29美杉・姫石の湯15:2316:32IC16:4918:55

【登山データ】 晴れ 歩行17.0 6時間07 延登高1,483m延下降1,197m 4座登頂

 

昨日の雨は止んだが空は曇っている。明るくなり始めると共に行動を開始し、国道166号線を松阪方面へと歩き始めた。昨日登山口の大石町(おいしちょう)を偵察した処、駐車場は無く、上まで集落が続いているので路駐も難しそうだ。諦めて道の駅を出発点とした。飯南町横野の仁柿神社は伊勢迄歩講で休憩したポイント。懐かしく境内に入り登山の無事を祈った。あの時歩いた伊勢本街道を懐かしく辿った。所々現在の国道と異なりその部分には風情が残っている。

伊勢本街道を分れ登山口へと谷川沿いに遡って行った。都集落が途切れ水道施設の処で林道が右に分岐し「白猪山 都登山道 此処から林道に入ります 現在位置(標高約280m)」と記されていた。林道に入ると傾斜が更に増しヘアピンカーブを過ぎこんな奥までと思うような所に開かれそして放棄された田圃と現在も行われている椎茸栽培のほだ木を見て進んでいると送電巡視路の表示があり違うかもわからないが歩こうとしている尾根なので尾根にさえ乗ればと巡視路に入って行った。やがて稜線の送電鉄塔に達した。尾根に乗ると送電巡視路は終り、獣道のような踏み跡でやはり正規の道と違ったのだろうか。その後も道は不明瞭なままで傾斜が増すと直登するのがきつくなってきた。2.5万図には谷を巻き隣の尾根に移り変わっているが、其れも良く分からないまま歩けそうな所を選んでやや右手に振りながら進んだ。白猪山の東尾根に達すると稜線を風が吹き汗をかいた体に心地よい。

白猪山(いしらいさん819m)山頂は2等三角点「白猪山」があり展望も利く。北東方向には堀坂山や直ぐ西側に電波塔があり此処からは南西に局ヶ岳の雄姿を見ることができ、白猪山と合わせて伊勢の三つ星と呼ばれる山の位置関係を知ることができた。

暫し休むと涼しさが寒さに変わり上に1枚着て西へと縦走を続けた。山頂域は良く手入れされた植林帯で、枝打ちされた枝が散乱し危ない。一直線の稜線ではなく結構右に左に、上へ下へと忙しい。白猪山西の鞍部で「坂内」の表示があるが崩壊により通行止めになっていた。P810に達すると「高野山」と山名が掲げられていて1GET。しかし完全な樹林帯で展望なし。

高野山の西に2.5万図には点線道が複雑に絡んでいるがどれも分岐が分らなかった。そんな中2.5万図にピークで4方向に道が分かれる箇所があり、地図を確認しないまま明瞭な踏み跡を辿り北に行ってしまい何時まで経っても三角点ピークの姿が見えてこないなと確認してみると何んと西に進むべき所を北に来てしまっていた。重い気持ちを引きずって元に戻り西へと進むが一寸端折って北西山麓をトラバースし登り返しを避けた。道草食って3等三角点「深山」に到ると此処にも「御在覧場」という山名があり三角点に立て掛けるようにプレートが置かれていたが此処も展望は利かない。

御在覧場から900mほど進むと中部電力の伊勢幹線送電線が尾根を越えている。最近の送電容量増加で規模の大きい鉄塔が2本並列に設置されている。鉄塔付近は刈払われ展望が良く再びツンと澄ました局ヶ岳の姿を見ることができた。次の読図ポイントはP726で星型5方向に顕著な尾根が張出している。ピーク手前で南西尾根に入らねばならないが取敢えずピークを踏む。微かに期待していた山名はここには無かった。間違いなく南西尾根を下り、登り返すと高須ノ峰(798m)に到る。2等三角点「上仁柿」があり早めの昼食休憩を取った。展望のない狭い山頂で訪れる人は少なそうだ。

これで今山行の予定していた山は全部登った。後は櫃坂峠に向かって下るだけだ。要注個所は稜線の途中から南南東に下る処、其れらしい尾根を見つけたがどうも自信を持てず一つ先まで行ってみるとやはり間違いなく先程の尾根だ。自信を持って下りだすと随分傾斜が急になり、結構危険な個所もある。奥立川と仁柿川の夫々支流の源頭の瘦せ尾根を慎重に通過しP558に登り返すともう登りはない筈と思ったが小さなアップダウンは続き、やがて松阪津の市境を離れ櫃坂峠の上部に達する。開けた所から見下ろすと一部完成している国道368号線の新線区間を越す現在の国道368号線の橋が見え、峠集落跡は手入れされて昭和50年に廃村になったとは思えないような姿で残っている。峠へはコンクリートで固められた階段を下り峠に降り立つと林の中に昨日デポした自転車が待っていた。峠からは局ヶ岳への登山道の入口があり、国道と分れて伊勢本街道の山道が右手に下って行く。

櫃坂峠は標高約430m、茶倉道の駅まで300m余りを下る10.8㎞の道程で最後に少し登り返しがあるだけで殆どペダルを漕ぐ必要はない。途中ビューポイントがあり局ヶ岳の姿を望めた自転車ならでは立ち止まることができる。国道166号線に入り振り返ると白猪山・高野山の姿が望めた。

道の駅に着いて車のkeyを探すとない! あ~ 自転車の鍵と同じホルダーに付けていたので櫃坂峠で解錠した際落としてしまったようだ。途中で落とすことはあり得ない。歩いて戻ると3時間は掛ってしまうだろう。そして戻って来る手段もない。タクシーもなくヒッチして乗せてもらうしかない。此処で捕まえようとしても殆どの車は166号線を松阪方面に行ってしまう。粥見赤滝交差点で国道368号線が始まる処でヒッチするしかないと1.5㎞歩いて待つこと20分、地元のお爺さんが家は近くだが乗せて行ってやろうと言って頂き伊勢本街道沿いの自宅で乗用車から軽トラに乗り換えて送って貰った。自転車をデポした地点を探すとあった! よかった。小父さんも一緒に喜んでくれ乗せて帰ってくれた。おまけに自宅に立寄りお茶まで御馳走になり感謝感謝。そしてご自宅が終わりではなく道の駅まで送って貰い親切この上なしだ。

この間1時間40分、早くリカバリーできた。再び368号線櫃坂峠を越えて奈良県御杖村の姫石の湯で汗を流し帰路に就いた。

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写真1: 白猪山山頂より堀坂山(757m)を望む

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写真2: 送電鉄塔より局ヶ岳(1,029m)を望む

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写真3: 高野山(810m)と白猪山(819m) 国道166号線茶倉道の駅付近より