京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉近畿百名山シリーズNo.91 宍粟50山の一つ藤無山 《山紀行880》   平成27年11月21日(土)

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5ヶ月ぶりで再開した近畿百名山シリーズで宍粟市と八鹿市の播但国境尾根にある藤無山(1,139m)に登った。同行者がなく踏み跡の殆どない公文川東尾根と志倉川東尾根を歩いた。

 

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【メンバー】 山本浩史(単独)

【行  程】 桂川3:38=(名神中国道)=山崎IC=6:00公文川東尾根取付6:24~8:11藤無山~9:10 P946~9:46銅山10:00~10:34 P946~11:55由宇屋三角点12:04~12:29志倉川東尾根取付~12:36公文川東尾根取付12:43=12:57一宮温泉14:05=14:25神子畑選鉱場跡14:46=朝来IC=(播但・北近畿豊岡道)=南丹篠山口IC=18:05桂川

【登山データ】 晴れ 歩行13.6㎞ 6時間12分 延登高1,339m 延下降1,339m 2座登頂

 

近畿百名山シリーズの夏の休止期間に入ってから、帯状疱疹に掛り、夏・秋のシーズンを無為に過ごしてしまった。シリーズ再開は遠く宍粟市まで足を伸ばし同行者を募ったが誰もなく、単独用に行程を練り替えバリエーションの尾根を歩くことにした。藤無山は志倉川の奥まで車で入り谷コースを登るのが最も歩かれているようだが志倉川を取り巻く東西の尾根を選んだ。先ずは県道521号線を走り「通行不能」の標識を越えて暫く行った処で車を止め明るくなるのを待った。

恐ろしく急な斜面を這い登り西への尾根の流れと合流するところまで来ると少し傾斜が落ち着いた。何んとなくの踏み跡(獣道かもしれない)が時々あり、山の所有者の境界か赤ペンキと黄色テープで記されていた。杉の植林帯を進み標高950m位に到ると展望が開け歩いて来た尾根を一望することができた。南西方向には一山(ひとつやま1,064m)も確認できた。今日は晴れる筈だったのに雲が多く高い山は雲に覆われている。P1044は展望なく急登を詰めて藤無山(1,139m)山頂に到った。山頂は雲の中で霧が立ち込めている。2等三角点「三本杉」があり少しは展望が利きそうだがどうしようもない。

少し立ち止まっただけで指導標にあった「志倉登山口尾根コース」を進む。此処からは宍粟市養父市の市境の稜線で同じ兵庫県ながら播磨と但馬を分ける国境稜線でもある。下り道も急で湿った登山道をスリップしないように慎重に足を下ろす。此方側は道形がしっかりしていてひと安心。やがて稜線に大岩群が現れ隙間をすり抜け通過した。志倉登山口への分岐は藪が深く指導票がなければ見逃しそうな所だった。更に進むと道形はまた怪しくなってきた。笹原に出ると雲の下に抜けて振り返ると藤無山が望めた。相変わらず山頂は雲の中で惜しいことだ。

P946は南に尾根が続く、今日の下山に使うつもりの志倉川東尾根だ。下山の前に国境稜線の北東にある銅山まで行って来る。展望のない稜線を進み左手を注意していると下の方に林道らしきものが見える。これは2.5万図通りで嬉しくなった。宍粟市側の床倉川への分岐がある筈だがはっきりしなかった。「銅山→」の指導標を見てもうひと息進むと銅山(どうやま954m)山頂に達した。3等三角点「筏」があるが樹林帯で展望なし。9:46まだ早いが昼食休憩を取った。

P946に引き返すとどうも此処だったか? と記憶があやふやでGPSで確認して確信を持った。志倉川東尾根は2.5万図を見ると複雑な地形が見て取れ気を引き締めて下り始めた。意外と展望のきく処がある。P896付近で西側がパッと開け藤無山が見えるがやはり雲の中、でも少し雲が上に上がってきたような気もする。東側の展望個所では段ヶ峰(1,103m)や千町ヶ峰(1,141m)、大段山(966m)等を見ることができた。

思った通り稜線の複雑さは手強く、何度かGPSで現在地を確認し進んだ。1時間余りの歩きで3等三角点「由宇屋」(800m)に到り、栄養補給をした。密かに山名があることを期待していたが何の表示もなくガッカリだ。2.5万図にはこの三角点の直ぐ近くから登山道が記されているの下山は安心と思っていたがいくら進んでも道形は現れなかった。急斜面が続き気に掴まりながら下り、益々急になって下りきった処は県道521号線と志倉川の林道が分岐する地点だった。登山口の表示はなく微かな踏み跡が入口を示していた。

県道521号線に「これより先未改修(悪路のため)通行不能」の黄色い標識を越えて駐車地点まで戻り周回登山を終えた。今日の立ち寄り湯は一宮温泉まほろばの湯で、8㎞程走った処にある。近くには家原遺跡公園があり縄文や弥生時代の住居が復元されていた。帰路は中国道の渋滞を避け朝来ICから播但道北近畿豊岡道で帰るつもりで国道429号線を走り、笠杉トンネルを越えると左手に巨大な堰堤が見え「?」と思って直ぐ、小さな機関車と客車、貨車が並んでいる。傍らに車を止め案内板を見ると「明延・1円電車の由来」とある。その背後には山の斜面一面にコンクリートの残骸、此処は神子畑、昭和60年まで稼働していた選鉱場の跡だ。ケーブルの軌道や外国人技師ムーセの居宅、シックナーと呼ばれる濾過装置は直径30mもあり見ごたえがあった。

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