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京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

個人山行 2016年12月30日(金)〜2017年1月1日   だんだん富士山 奥秩父縦走

[メンバー]

江村一範+I(会員外)

 

 

【行 程】

 

30日 9:30大月駅~登山口11:30山口館~14:00白樺平~15:25雁ヶ腹摺山~16:10大峠~18:00黒岳~18:15白谷ノ丸~18:50湯ノ沢峠避難小屋

 

31日 5:00湯ノ沢峠避難小屋~6:00大蔵高丸~7:25米背負峠~8:50曲沢峠~12:00笹子~昼飯~12:20笹子分岐~13:40清八峠登山口~15:00清八峠~15:15清八山~17:15御巣鷹山17:30四季楽園

 

1日 9:00四季楽園~10:30霜山~1130カチカチ山展望台~12:00河口湖下山

 

 

[記録]59期 江村一範

 

ここ数年来、奥多摩や奥秩父の山域に通っている。関西からは馴染みの薄いこの山域は首都圏からの交通の便がよく、泊まりの長い歩きを楽しめる縦走路が豊富に伸びている。4年前には将監峠の小屋で出会った人と意気投合し、高速バスで東京へ赴いては山を一緒にする友人ともなった。今回も年越し山行を一緒にやることになり奥秩父のルートを考えてもらった。

大菩薩嶺の南にある雁ヶ腹摺山から笹子まで降りて、三つ峠山まで縦走し河口湖まで歩くルートだ。秀麗富獄十二景のピークを3つ歩けて(雁ヶ腹摺山、大蔵高丸、ハマイバ丸)、富士山を眼下に捉えながら歩けるこのルートは年越し山行に相応しいと喜んだ。

 

30日

29日夜に東京行きの深夜バスに乗り込み、翌30日早朝中央線に乗って東京の友人と合流し、8時半に大月駅へ着いた。大月駅から登山口までは長い林道があるのだが、駅から途中の遅能戸までのバスがあるので次の出発時刻まで喫茶店で待つ事になった。

 

 

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(喫茶店で来ないバスを待つ私達)

バス発車時刻の9時半、出発時刻になっても一向にバスは来ない。時刻表を見ると年末年始で運休扱いとなっていた。いきなり1時間のロスとなった。さっきまで喫茶店でうつつを抜かしていた自分を呪いながら長い長い林道を歩きはじめた。天気は快晴。

 

登山口の金山鉱泉・山口館に着いたのは11時半。2時間余の林道歩きにボディブローを打たれた身体に鞭打って登り始める。最初から急峻すぎる登りに二人共閉口した。

おまけに私は1週間前の宝剣岳山行でできた靴ずれが痛み始めてなかなか歩める速度が上がらない。

大垈山まで登ると富士山が姿を表した。目標が見えているのは心地いい。眼前に人参を下げられた馬の気持ちで足をすすめる。

14時白樺平を通過。雁ヶ腹摺山の登りは緩い傾斜ですぐにも山頂に付きそうな気配が漂っていた。ここまで禄に休憩を取らずに歩いていた為バテてしまい、山頂間近で休憩をとる。すると2頭の鹿の親子が遠くからこちらを伺って近づいてきた。彼らの餌場であるらしく、座る私達の近くの草を食べ始めた。そんな親子を見ながら私達も遅い昼食をとった。

 

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(鹿の親子とランチ)

 

15時25分雁ヶ腹摺山に到着。旧五千円札裏の富士山の絵柄はここから撮られた写真を基にしたらしく、富士山の眺めが抜群だった。16時10分大峠に到着。夕日に染まる富士山が拝めた。ここから本日の目的地の湯ノ沢峠まであと2時間。ヘッデンの準備をして黒岳を登り始める。ナイトハイクの苦手な友人の顔が曇る。

ついに17時10分日没。緋色のグラデーションをバックにした富士山のシルエットが美しい。ヘッデンをつけてナイトハイク開始。先頭を歩く友人のヘッデンが暗いのか度コースを見誤る。危ないので電池を交換する。ヘッデンは明るくなり友人の気持ちも充電された。

 

 

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(雁ヶ腹摺山からの富士山)

 

18時黒岳に到着。懸念していた雪は無かった。だが動いていないとべらぼうに寒い。アウターを着込んで先を急ぐ。早く暖を取りたい。18時15分白谷ノ丸。ここでテントを貼っているのが1パーティ。ここも展望良く闇夜に浮かぶ富士山が幻想的だった。今日一日富士山を見てきたがまだ飽きない。下りはザレ道だったが、土が凍結していて歩きやすかった。湯ノ沢峠避難小屋に到着。年末なので混雑しているかと思ったが、男性が一人だけ先に休憩していた。

水場へ水を汲みに行って急いで鍋を作る。ワインを温めて飲みつまみを食べる。身体が暖まると眠くなり21時に就寝した。

 

31日

朝、4時に起床し朝食を食べ5時に出発する。この日は笹子駅まで降りて、三ツ峠山を登り返す事になる長い一日。最初の大蔵高丸は草原状の山頂から富士山が拝める。東の空が明るみ始め、徐々に灰色の富士山に色がつき始める。北西を見ると南アルプスの山嶺と南アルプス市の夜景がぼんやりと浮かんでいた。この大蔵高丸とハマイバ丸の道はとても気に入った。まるで絵の様な完璧な構図がしばらく拝めた。この道はまた来たいと思う。

 

 

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(絵みたいな景色が続く大蔵高丸)

 

米背負峠、大谷ヶ丸、コンドウ丸を過ぎて曲沢峠から沢沿いに笹子まで下山する。ここの下りで初めて2パーティとすれ違う。12時笹子下山。せっかく街に降りたのだから何か食べようと地元の酒蔵笹一酒造がやっているレストランへ行く。大晦日にも関わらず店は営業していて助かった。店内には私達だけ。2人ともカレーライスを頼む。500円と安い。調子に乗って今晩用に地ビールの瓶を買う。なんだかこのまま家に帰りそうな気がしてきたが、まだ道は半分残っている。眠たくなってきた身体を奮い起こし出発。

 

 

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(大晦日の食堂で大喜びの私達)

 

途中、名物であるという笹子餅5個入りを工場の店先で買う。2時間後この笹子餅には救われる事になる。追分を曲がって林道へ入る。また林道か二人で愚痴をこぼす。途中、同じ登山口を目指す車に声をかけられ、乗せてもらえるのかもと期待するが会話だけで車は去っていった。がっくり肩を落とし林道を1時間半ほど歩きやっと登山口へ。林道はもう懲り懲りだ。清八峠までの登りはかなり急峻で友人もかなり遅れ始めた。稜線に隠れて富士山は見えない。さっき昼飯をたっぷり食べたはずなのにお腹が鳴る。途中のベンチに座って、さっき買った笹子餅を1個ずつ食べた。力がみなぎってきた。かつて甲州街道笹子峠を越えるのに旅人が食べたという笹子餅は偉大なエナジーフードだった。15時に清八峠に到着後さらに笹子餅を食べる。清八山からは違う角度の富士山が拝めた。だんだん近づいているのが実感できる。なだらかな尾根を過ぎて御巣鷹山の登りになる。この日最後の登りだ。普段は強い友人が珍しく弱音を吐いている。行動開始から11時間を過ぎて2人とも疲れてきた。18時、四季楽園到着。この日の夕食は餃子キムチ野菜鍋を用意した。キムチのスープが温まる。餃子も美味い。冷凍餃子20個をボッカした甲斐があった。瓶ビールを栓抜き無しで苦労してこじ開けるが、あとで十徳ナイフに付いていたのを知りガックシ。不用な恥をかいた。ラジオで紅白を聞きながら年越し蕎麦を作って食べる。もちろん海老天も持ってきた。日本酒をぬる燗にして飲む。山中に有りながらも大晦日のメニューは大体こなせたと思う。疲れた身体に少ない酒で気持ちよくなって21時半に就寝。

 

 

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(清八山の銭湯ライクな富士山)

 

1日

元旦5時起床。かまぼこ・卵焼き・黒豆・煮魚などを前夜のうちに切ってコッヘルに入れておいたおせちを食べる。乾燥ぜんざいに餅を入れて湯煎して食べる。紛うこと無く正月の朝食が再現できた。豪勢だがザックが重たい訳である。

 

 

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(氷点下で食べるおせち)

 

初日の出と初富士を拝むため、6時頃に近くの三ツ峠山に登る。極寒の山頂には大勢の人が集まっていた。6時50分頃、日の出が出てきて歓声とシャッター音が山頂を響かせる。日の出は富士山の片頬を赤く染めて目出度い物を見た気分になった。戻って荷物を片付けると時間が余ったので432.96khz帯にて無線通信を試みる。アマチュア無線の免許を取って初めてのCQ(無線の交信を周囲に呼びかけること)だったが、反応は無い。他の会話に紛れようとするも年始の挨拶を長々と喋っておられて入り込めなかった。9時に四季楽園出発。

 

この日は霜山を通って河口湖へ降りるだけ。富士山納めとばかりに富士山をバックに写真を撮る。12時河口湖へ下山。正月で静まる街には外国の方が大勢観光していた。食堂でご飯を食べて湖畔のホテルで風呂に入った。高速バスで一旦東京へ行き友人宅で正月のご馳走を頂いた。

 

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三ツ峠山の初日の出と初富士)

 

 

富士山に向かって歩くルートはとても気持ちよく、正月山行に相応しいものだった。ただ2日目の湯ノ沢峠から三つ峠山は12時間行動となった事もあり健脚じゃないと厳しい。三ツ峠山まで足を伸ばさずに笹子で泊まるか途中で幕営するとバランスが取れるだろう。笹子では酒蔵の売店や八百屋や笹子餅もあるのでボッカを少なくしてそこでの補給も可能だ。関西からは地味に行きずらい山域ではあるが、是非おすすめしたい縦走路(特に大蔵高丸~ハマイバ丸)である。(了)

 

 

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(近づく富士山・河口湖