京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉鳳凰山(観音岳)とモルゲンロートに染まる北岳観望

2018年12月14日(金)夜~16日(日)

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(モルゲンロートに燃える北岳

 

【メンバー】CL土井司、SL高橋秀治、小前竜吾

【行 程】

12月15日 快晴

夜叉神の森8:00 ~ 9:00夜叉神峠 ~ 12:00火事場跡 ~ 13:00苺平 ~ 13:30南御室小屋(幕)

16日 快晴

南御室小屋5:40 ~ 6:40砂払岳7:00 ~ 7:20薬師岳 ~ 8:00観音岳8:15 ~ 8:50薬師岳 ~ 9:50南御室小屋10:30 ~ 11:00苺平 ~ 11:40火事場跡 ~ 13:00夜叉神峠 ~ 13:40夜叉神の森

 

【記録&感想】56期 土井 司

本格雪山山行への慣らしとして恒例になりつつある年末山行で今回は北岳を見たく(登りたいのではない)絶景ポイントである鳳凰山へいくことにした。

当初4名の予定であったが諸事情により3名となった為、前泊仮眠は車内ですることにした。中央道の諏訪湖SAまで足を延ばしここで仮眠とするが結構寒い。それでも時折エンジンをかけ暖房をつけていたのでよく眠れ他の2名もそこそこ眠れたみたいである。SAのフードコーナーで朝食をとったのち夜叉神の森駐車場を目指す。駐車場に到着しても雪のかけらも全くなく、それなのに7台程車が停めてありこの山の人気の高さがうかがえる。

夜叉神峠の森より晩秋を思わせる枯葉の積もった道を1時間ほど登ると夜叉神峠に到着する。それまでは展望のない道であったが峠に出ると目の前一面に真っ白な白根三山が現れた。その景色の素晴らしさに思わず「おお!」と声がでる。登山はできないが白根三山を見に遠くから夜叉神峠まで来る人がいると聞いたことがあるが、この景色を見るとうなずける。一流カメラマンになったつもりでたっぷり写真をとった後登山道を登っていった。

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(白銀の白根三山)

 

いったん下りとなった後急登となる。テントが重い。急登を過ぎると単調なのぼりが延々と続きまたこれが足にくる。杖立峠から時折雪道となったが南御室小屋まではアイゼンを付けずに登れた。途中下山の数名とすれ違うが皆軽装備なことからすると日帰りであろうと思われ、駐車してあった大半は日帰り登山の人たちであった。南御室小屋に到着したのは若いカップルに次いで我々が2番目。テン場は広く雪も少ない。水場を確認に行くと雪に埋もれず流れている。水造りがいらずラッキーである。結局この日は我々を含めテント4張り7名で、あと2名が避難小屋泊であった。テント場は樹林に囲まれて展望はきかないが、その分風もさえぎられ冬には良い場所である。

テントを設営してもぐり込むもすることもなく寒いので早速食事とした。高橋さんに食担をお願いしておりお肉たっぷりの鍋で体ぽかぽか腹パンパンとなり、お酒もそんなに飲める状態でなく18時過ぎで早々に睡眠となる。夜中(といっても22時頃)トイレで目をさまし外へ出ると満天の星空が広がっており、冬山は夜も美しい。

翌朝暗い中、鳳凰山観音岳)をピストンに向け出発。快晴のようで素晴らしい景色が期待できると確信した。小前さんの足取りが軽くスタスタと進んでいくので置いて行かれそうになり、必死についていこうとしたので汗をかいてしまった。冬山では汗は厳禁なのだが、結果そのペースのおかげで素晴らしい景色を見ることができた。当初、薬師岳でご来光を見ようと考えていたが出発が遅れたため危ういと感じつつ樹林帯を歩いていると徐々に空が明るくなってきた。ご来光に間に合うのか心配になるがこれ以上ペースは上げられない。砂払岳の直下で樹林帯を抜ける。まさにその時、富士の右横から太陽が!あわててカメラを出しシャッターを切る。なんとか間に合った。富士山、雲海、雲一つない空、ご来光。「素晴らしい」この一言につきる。小前さんのおかげである。シャッターを切り続けた後、砂払岳へ登ると北岳が見えた。北岳はモルゲンロートに燃えている。白い山容が真っ赤に染まっている。この美しさに息が詰まる。これを見たくてここへ来た。ここでもシャッターを切り続けた後、薬師岳、主峰の観音岳へと向かった。観音岳からは当初目的とした甲斐駒ケ岳が見えた。鋭く尖がっていて尾根も長く急である。こんな山に登れるのか?疑問を持ちつつも憧れが大きくなり下山した。

高橋さん、小前さん、私の好き勝手な山行にご同行いただきありがとうございました。皆さんのおかげで素晴らしい登山となりました。

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甲斐駒ヶ岳オベリスク

 

【感想】53期高橋秀治

昨年の12月に土井さんにご一緒して頂き、近畿以西の西日本最高峰である雪が付いた石鎚山に登り、すっかり雪山の魅力にとりつかれました。

今回は何処に行きましょうかと催促して、甲斐駒岳に登る予定をしていましたが、チームKで一泊二日では無理かと言う結論で、「鳳凰山(観音岳)とモルゲンロートに染まる北岳観望」という事になりました。

 天気予報では、15日は快晴・2000m付近の温度は-7℃、16日の午前中は稜線では快晴ながら風が15m・-10℃という事で覚悟して登りました。しかし、雲一つない快晴の登山日和に恵まれ、テン場ではトイレは使える、水も雪に埋もれていないという、もうしぶんのない環境の中で就寝できました。また、翌日も念願の北岳のモルゲンロートを観望でき、さらに朝日に浮かぶ富士山を見ながらの稜線歩きを楽しみ、益々やめられない山行きとなりました。

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(日の出)

 

【感想】61期小前竜吾

初の南アルプスとなった鳳凰山山行。土井リーダーからお誘いいただき、参加希望を即答した。翌日に地図を購入したほど喜んだ。天気予報が気になって仕方なく、毎日数回スマホをチェックした。今年2月に初雪山テント泊となった蝶ヶ岳山行は、はじめての事ばかりで四苦八苦したが、今回はその経験を生かすチャンスとばかり、ウエアの選定、持ち物の厳選を慎重に行った。山行当日は天気予報通り快晴となり心が弾む中、夜叉神駐車場を出発した。登り始めは標高1400Mというのに雪の気配は全く無く、茶色の地肌丸見えの山道を行く。しかし、夜叉神峠につくと雪化粧の北岳をはじめとする白峰三山がドンと現れた。「おっ~、南アルプスにきたぜ~」と興奮しながら写真を撮る。ここから北上し常に左側に白峰三山を見ながらテント場の南御室小屋を目指す。緩やかな登りが続き、高度を稼ぐよりも距離を稼ぐといった道程で、初雪山登山の方におすすめのコースと感じた。テント場の水場を心配したが、しっかり流れており雪を溶かす手間が省けた。避難小屋、トイレも完備され環境の良さに初雪山登山にもってこいのコースと再認識する。ちびちびお酒をいただきながら、山話に花を咲かせた鍋は格別に美味しい。夜もぐっすり眠れ、体調/天候/メンバーと完璧なコンディションで鳳凰山を目指す。1時間で尾根に出ると雲海から顔を出した富士山が日の出の淡いオレンジに包まれてたたずんでいる。後ろを振り向けば北岳は岩稜の影を残しつつ徐々にオレンジ色に染まる。何と美しい光景か! 正に至福のときである。もう山を辞めるられないのである。土井CL、高橋SL、何から何まで準備いただき感謝いたします。

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