京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

例会 御在所前尾根 マルチピッチリード練習

2020年10月4日(日)

f:id:hirasankun:20201017133603j:plain

P4をリードするSさん

【場所】三重県菰野市 御在所岳藤内壁前尾根

【メンバー】CL丸山 弘、T.S、J.N 計3名

【行程】3日(土)曇り 20:00 京阪山科駅前集合〜21:30 鳥居道駐車場着 仮眠

4日(日)曇り時々小雨 無風

5:00 蒼滝橋横駐車場へ移動〜6:15 駐車場発〜6:45 藤内小屋〜7:30 前尾根取り付き着〜14:00 ヤグラのコル〜15:30 藤内小屋〜16:00 駐車場着 入浴後解散

【CL所感】43期 丸山 弘 

会員の岩登り人口がまた増えてきましたのでしばらくぶりに御在所前尾根を企画しました。今回はある程度ジムや沢で登っているメンバーにマルチピッチのリードを経験してもらうという目的で、人数も1パーティ3名限定で募集しました。

ガスにときどき霧雨が混じる天気でしたが、無風で気温は高め、天気のせいで少し減ったと思われるものの季節がいいので、朝から5、6パーティーが取り付き、結構な渋滞になりました。

ジムで鍛えておられるSさんは安定した登りで、ランナーのセットや終了点でのセカンドビレイの操作も危なげない感じでした。ⅢⅣ級程度とはいえメンタル面やラインの取り方などリードの経験値をずいぶん上げられたと思います。

Nさんはジムでは5.8、5.9をリードされているそうで、体力も十分ですが、スラブ、クラック、チムニー状やジェードルなどジムと形状の違う御在所では少し勝手が違って苦戦されたところもありました。縦クラックやカンテを横に引いたり、プッシュ、ガストン、パーミング、マントル、ステミング、スメアリングなどさまざまなムーブを選択肢に入れるとスタンスやホールドが増えるので練習してみてください。

また、マルチピッチは途中で安定したテラスがあるとは限らないので、2時間程度ははいていられるサイズのシューズを選ぶとか、ザックを背負ったまま必要なものが取れるとか、物を落とさない工夫など、千石や烏帽子などとは違う注意点もありますので、次に生かしていただければと思います。

終始ガスに巻かれて景色はイマイチでしたが、下山するころには伊勢湾が望め、希望荘の展望風呂もいいお湯で楽しい一日になりました。

たくさんリードしていただいたSさん、ずっと元気にがんばられたNさんありがとうございました。

 

【感想】59期 T.S

私に、背伸びをしたチャレンジをさせて下さったCLに感謝します。現場での経験から得るものは大きいです。理論ばかりを重視する私は反省しました。

P6を登ったところで、CLに「次はSさん、リードしてもらえますか」と声を掛けてもらいました。「怖いし、いややわ!」と聞こえないように心の中で叫んでいました。かつて登山道からクライマーを見て、「よーあんなとこ、登らはるわ。コワないんかな?」と思っていました。だけど、やらないことには前に進まないのでトライしました。手がかりを見つけられず苦戦したり、落下を覚悟したりしました。恐怖で息が荒くなった場面もありました。しかし、かつて見た、出来る人のムーブを思いだしたり、ホールドを信じて踏めという言葉を思い出したりして切り抜けることができました。尊敬と信頼できる人に同行してもらえたから、自分としてはいっぱいの挑戦をできました。

<今回わかったこと>

・クライミングシューズは止まる。フリクションが効いて、小さなホールドでも立てる。やっと、わかりました。

・ルートが曲がるとロープの流れが悪くなる。ロングスリングを使って、それを抑止できる場合がある。

f:id:hirasankun:20201017133838j:plain

P3をリードするSさん

【感想】62期 J.N

昨年の金比羅山以来一年ぶりくらいの外岩で、基礎もたくさん忘れていました。

CLとS先輩には多大なご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

しかし、私にとっては何もかもが学びでした。一瞬、一手、一足にあんなに緊張し、全神経を集中して登ったのは初めてでした。御在所前尾根は金比羅山よりはるかに手強かったです。

P6のCLリードはよくこんなところをスイスイ登られるなぁと思い、私自身は真似して登ろうにもスタートの一手に困って登れず、S先輩に先に登っていただきました。一旦後ろからよく見て探すと、右に振ってからだと自分でも登れるホールドがあることに気づきました。その後は、CL、先輩のリードであっても、真似したくてもガスの向こうでは先が見えないこともあり、その時々で大回りしてでも自分が登りやすく確実なルートで登りました。

先輩のリードでP5、P4。私は少しずり落ちる場面もありましたが、なんとか自分なりに登れて嬉しかったです。

P3は、先に登っていた女性が苦戦されていたので、自分が登れるのかとても心配でドキドキしていました。それでも1つ目、2つ目と、後ろからCLのアドバイスをいただきながら、クリアしていきました。しかし、最後の方のクラック。スラブのわずかな窪みに足先で乗りかけて、ザッと10cmほどずり落ちた途端に足先に体重を載せることが怖くなりました。落ちることが怖くてクラックの中にカニのように入ってしまい身動きできずに緊張で手足がカタカタと細かく震えていました。穂高岳やジャンダルムの難しい岩場難所でも怖くなかったのに、こんなに怖いと思ったのは初めてでした。

CLは終始穏やかに待って表に出るよう教えて下さりました。また1歩目でずり落ちかけると下から支えて下さりました。先輩は思いきり引っ張って下さりました。

「落ち着け自分、先生と先輩が守ってくれてはる、大丈夫、諦めるな、頑張れ!」と自身を励まし歯を食いしばって再度チャレンジ。一歩目をCLに補助していただき、身体を引き上げると、その先のホールドが見えてきました!なんとかクリアし先輩のところまで登り切ると、途端に涙がポロポロ。メンタルの弱さが露呈しました。

今回、ロープの捌き方や、声かけの仕方、マルチピッチのビレイヤー、リードの役割、セカンドで登る時の役割、注意点などを学びました。先輩にロープを緩めてもらったり、テンションをかけてもらったり、声かけをしながら登ることや、ロープの半分や残り、終わりなどを伝え復唱して確認することで安全なクライミングになることを意識しました。ザックや立ち位置、靴が合ってないこと、セルフビレイなど初歩的なことができてなくてまだまだでした。

f:id:hirasankun:20201017133950j:plain

前壁ルンゼから見下ろす登山道

お二人から多くのアドバイスをいただき、自身のスキルを磨きたいです。CLからの課題を一つずつクリアできるよう練習あるのみです。もっともっと上手になって、ビレイやリードにチャレンジできるようになりたいと思います。

CL、S先輩、多くのご指導とサポートいただき、ありがとうございました!