京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉沢登り 比良・ヘク谷

2020年8月2日(日)

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ヘク谷最大の18m滝をフォローで登る辻博史

【メンバー】L秋房伸一、松井 篤、AT、辻 博史、NF、KI、山田俊男 会員7名

【行程】2日(日):ロッジ前7:30=8:20坂下トンネル旧道デポ地8:47~入渓8:50~12:38最大の18m滝~15:00小女郎ヶ池15:55~16:45坂下~17:00デポ地 =入浴(天空の湯)=京都

 

【記録と感想】52期 秋房伸一

当会にとっての新たな「伝説」に立ち会うことができた。

ATさんがヘク谷最大の18m滝=吉岡章「関西起点沢登りルート100」山と渓谷社2011で「18m滝はヘク谷最大の滝。直登は無理で・・・」と書かれた滝を登られたのだ。

本の著者の吉岡さんというのは、関西の沢登りのレジェンドで、沢登りの解説本のほとんどを書かれている。吉岡さんの記述で、「やや手強い」と書いてあれば「相当手強い」、「きわどいバランスが要求される」とあれば「怖すぎ~、難しすぎ~」、「悪場」とあれば「もう来ませんっ」という感じだと解釈したほうが良い。私の場合。滝の突破で吉岡さんが「無理」と書かれている重みは大きい。ただし、紀伊半島をホームグラウンドにされているので、アウェイである比良の谷については、台高や大峰の沢ほどに向き合うことなく書かれているような気もするが。

白滝の「夫婦滝」直登、奥の深谷の全滝直登、に加えて、ATさんの「比良の沢直登伝説」にまた一つコレクションが追加されたと記述させてもらおう。ATさん自身は淡々とされており「これくらい大したことないので・・・」と特にコメントもされていないのであるが、同行者としては報告しておきたい。フォローは辻さんで、他のメンバーは巻いた。

さて、当日は、7月の長雨がやっと終わり、ようやく前日に梅雨明けが発表されたといった状況であり、安曇川の渡渉に一抹の不安があったが、大丈夫であった。ちなみに1週間前にヘク谷に登ったメンバーによると、そのときは上流の橋を渡って、ヘツってヘク谷に取り付いたとのこと。

今シーズン初沢であるNFも順調に小滝をこなし、2条12m滝は、ロープを出し、KIがリード、真ん中の乗越に手こずったがATをショルダーにして突破し、後続はロープに確保されながらお助け紐も使ってよじ登った。左岸側は岩が脆くて中央突破とした。

途中、急に強い雨が降ったので岩の下で雨宿りしたが、降雨は一時的なもので、小女郎ヶ池に15時。なんと、ATはドローンをザックに忍ばせており、1時間ほど湖畔でドローンタイム。

https://youtu.be/sH66QpHMIjI

を参照されたい。

下山は、駆けるようなペースで、50分で麓の集落に着いた。

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今回のメンバー

【感想】62期 山田俊男

秋房さんから「ヘク谷に沢登りに行きませんか」とお誘いいだき参加しました。実はヘク谷は前の週にも行っており、これで2週連続となります。そう、私は沢登りに夢中なのです。沢登りは今年の5月から始めたばかり。でも今回で早くも5回目。これも秋房さんや先輩方が、初心者を足手まといになるにも関わらず連れて行って下さるからできること。先輩方には感謝しかございません。

さて、沢登りの方はというと、前週と比べると水量は少ないとはいえなかなかの迫力。次々に現れる滝を冷たい水に打たれながら、アドレナリンを爆発させて突破していくのは、緊張と興奮が入り混じる大冒険。普段の山行では味わえないものがあります。

そんな中、今回の行程のハイライトとも言える一番大きな18mの滝に差し掛かったときのこと。私はその滝の迫力と難易度から見て、当然高巻きするものと思っていたのですが、先輩2人が登攀の準備を始められました。その様子を見ながら「いやいや、それはないやろ」「こんな所ほんまに登れるのか?」と思いました。しかしそんな思いとは関係なく、あっという間に登攀が始まりました。しばらくのあいだ、目前で繰り広げられるその滝登りショーに魅了され、目が釘付けになりました。もちろん私は登らず巻きましたが、その光景はこれを書いている今もはっきりと脳裏に焼きついています。

その後は中小の滝を超えながら沢を詰め上がり、小女郎ヶ池に到着。降っていた雨もタイミング良く止み、山上の水辺は信州の高原を思わす美しさ。しばらくそこで談笑し景色を堪能してから下山しました。

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水流を感じながら進む

【感想】46期 松井 篤

7月のヘク谷例会が雨で変更になり、少しがっかりしていたところに、秋房さんが個人山行を計画していただき、迷わず参加させていただきました。

梅雨明けの暑さが嘘のような、寒さすら感じる水量豊富なヘク谷に、今期初めての沢登りを楽しませていただきました。

しかし、以前に登った時には、もっとサクッと登れたように思うのですが、寄る年波には勝てず、体力的に一杯いっぱいの状態でした。

それでも、ヘク谷は私レベルでも登れる適当な滝、特にシャワークライムの滝があり、また終了点が牧歌的な小女郎池ということもあり、登りはじめから終了まで目一杯楽しめました。

更に、今回はプラスαでATさんの華麗な登攀を拝見させてもらい大満足でした。

例会に匹敵するような大所帯をまとめていたさいた秋房さん、ご一緒させていただいた皆さん、ありがとうございました。

 

【感想】54期 NF

仕事に忙殺されているうちに、とっくに沢シーズンは始まっていました。今年は沢行に参加するのは無理かなと諦めていましたが、秋房リーダーからお誘いを受け、喜んで参加することに。温かく、頼もしいメンバーに恵まれ、助けられながら久しぶりの沢歩きや滝登りを満喫することができました。

そして、なんと最後には、ATさんの大滝登攀。遡行図には巻くと明記されているのにも関わらず、しばらくじっとルートを見つめられた後、果敢にも登って行かれました。

それまでも、ぬめぬめの滝を階段のようにすいすいと登っておられ、驚きの連続でしたが、最後に魅せていただきました。ATさん伝説はどこまでも続きそうです(でも見守っている方は心配でもあります。。すごいのは分かっていても)。時折大雨も降り、寒いときもありましたが、酷暑の中、寒いと思える贅沢さ。小女郎池も天国のように穏やかな光景でした。沢は本当にたのしいですね。秋房リーダー、みなさま。本当にありがとうございました。

 

【感想】57期 KI

前日の参加表明でしたが、秋房さんに快くOKを頂きありがとうございました。

久しぶりの大所帯。みんなでわいわい行くのも楽しく安心感もありました。

最初は安曇川の渡渉。そしてヘク谷に入渓。今回は秋房リーダーの指示で先頭グループを歩かせて頂くことになり、リードデビューもさせて頂きました。

カムを持たせてもらい、ロープをつけて登るのにずっしりと重量を感じる。またルート取りをするのに手間取り支点を作るのにうまく見つけられずとホロ苦いデビューでした。

ATさんに丁寧に教えてもらいながら、なんとかできましたが、フォローならなんともない滝が格段に難しく感じました。これから少しずつ経験を積んでいきたいと思います。

小滝から18Mの滝まで大小様々あり、渓相にも癒され、詰め上がると小女郎池という怖い伝説をもった池ありと、話題に事欠かないいい沢でした。

皆様またよろしくお願いします。

〈個人山行〉瀬場谷

2020年8月1日(土)~2日(日)

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登攀前のTSさんとKM2先生(於:F2) 

【メンバー】TS、KM2(会員外)、TW 計3名

 【記録】TW

今年も元会員のKさんと、愛媛県新居浜市の瀬場谷へ沢登り夏季特訓?に行ってきました(※KM2さんは、TSさんとTWの沢登りの先生です☆)。

入渓直後から滝に登りまくり、F2ではTSさんが華麗なるリード!!時間が無くなるほど滝に登って遊んできました。

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上部まで連続する大小の滝、ゴルジュ、豊かな緑、キラキラした鉱石で彩られたきれいな沢で、四国の自然の豊かさに感動しながら遡行しました。

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八間滝

 

〈個人山行〉Go to Hokkaido ~南暑寒別岳と雨竜沼~

2020年7月19日(日)

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雨竜沼

【メンバー】59期 梅村重和

【行程】道の駅たきかわ=南暑寒荘6:00-白竜の滝8:00-雨竜沼湿原入口10:20-南暑寒別岳12:30-雨竜沼湿原入り口14:00-南暑寒荘16:30

【記録】

今年の夏休みは昨年に続き『働き方改革』の恩恵を受け、海の日の連休に引っ掛けて10日間の長い休日となった。よって昨年台風でドタキャンとなった北海道の旅のリベンジ。ちょっとコロナの心配もあったが、感染予防対策を念頭に置きつつ、7月17日夜の敦賀発東苫小牧行フェリーから旅は始まった。

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7月19日

“雨竜沼 <うりゅうぬま> ” なんて素敵なネーミングなんだろう。ずっと前から是非訪れたかった。雨竜沼は暑寒別岳の東側に広がる湿原である。道の駅たきかわを早朝にスタート。いよいよ北海道のお山のデビュー戦である。暑寒湖を過ぎたあたりから登山口までは、時折現れる舗装道路とダートの狭い道。対向車が来たらどうしよう、とビビりながら、深い水たまりを避けつつ登山口に向かう。途中、3度ばかり道端にキタキツネを見かける。京都ではそこいらに歩いている野良猫のごとく、ごく自然な感じ!さすが、北海道である。滝川方面からは南暑寒荘が登山口となる。駐車場も2カ所あり人気のほどがうかがえる。6時、南暑寒荘をスタート。クルマの中に忘れ物をして駐車場まで引き返し、1時間30分ほどのロスタイムがあったものの、登山口から山道を正味2時間足らず、急登をクリアしてトラバース気味に登山道を行くと空が大きく広がり雨竜沼に着く。

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雨竜沼

湿原の魅力って何なのだろう。広々とした草原と大空。この開放感が何とも言えない。池塘に夏空が映り込み、池塘の淵に咲く花が安らぎを感じさせてくれる。

雨竜沼は高原の中の小さい沼地のイメージであったが、実際はとっても広大な湿原である。この景観は北海道ならでは。湿原の向こうに南暑寒別岳暑寒別岳が大きく広がっている。湿原の中の木道は山の端まで伸びている。山の端から登山道は南暑寒別岳までダラダラとした登りとなっている。登山道の両サイドは高さ2~3m程の密生した笹薮となっている。登山道のあちこちにヒグマのウ〇チがあり、好物のハクサンボウフウの根っ子をほじくり返した跡がそこかしこに見受けられる。 

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雨竜沼 正面に南暑寒別岳

ここはヒグマの生活圏であることを実感させられる。両サイドの笹薮にヒグマが潜んでいても、全然不思議じゃない。巡礼のごとく熊鈴を打ち鳴らしながら、12時30分、南暑寒別岳山頂に到着。帰路は雨竜沼で写真撮影。日がな一日のんびりして居たい心地いいところである。ヒグマに遭遇することなく無事下山。

 

【山行メモ】

・北海道に入るルートは時間が許せば新日本海フェリーがお薦め。のんびり船旅は

日頃味わえない贅沢なひと時となります。

・雨竜沼から暑寒別岳はヒグマの生活圏であり、早朝や夕暮れの行動はご法度。

・熊鈴は必携。出会いがしらの遭遇は絶対に避けたい。

・南暑寒荘前のテント場は、綺麗な芝生のテントサイトとなっており快適な一夜となりそうである。次回はここでテントを張り、雨竜沼でのんびりするのもいいかも。

〈個人山行〉北八ヶ岳スノーシュー山行

2020年2月21日(金)夜~23日(日)

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【天候】22日 曇り一時晴れのち雪、23日 曇りのち晴れ

【場所】北八ヶ岳 縞枯山茶臼山

【メンバー】CL鹿嶽眞理子、SL高橋秀治、橋本満里子、KY

【行程】21日 20:20山科三条Fマ前集合~24:00過ぎ諏訪湖SA幕

22日 7:00諏訪湖SA~8:00北八ヶ岳ロープウェイ駐車場8:40~ロープウェイ山頂駅8:54~9:06縞枯山荘9:30~雨池峠~10:10縞枯山~10:25縞枯山展望台~10:50茶臼山~11:10分岐~11:50五辻~12:30山頂駅~12:45縞枯山荘13:23~13:29雨池峠~縞枯山荘泊

23日 8:00縞枯山荘~8:10雨池峠~8:30分岐~8:50雨池9:05~9:30分岐~10:00雨池峠~10:50ロープウェイ山頂駅~11:20北八ヶ岳ロープウェイ駐車場~18:00京都着 

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【記録と感想】53期 高橋秀治

アルペン的山容の「南八ヶ岳」と違い、「北八ヶ岳」は、神秘的で日本有数の美しさと言われる原生林と湖が広がり、厳冬期でもロープウェイで一気に2337mまで上がることが出来、晴れていれば楽しい冬山スノーシュー遊びを味わえますと言う誘い言葉を目にして、鹿嶽さんにリーダーをお願いして行って参りました。

週間天気予報では、土曜日は曇りのち雨、日曜日は曇りのち晴れとの予報です。また、てんきとくらすでは北横岳や縞枯山の山頂付近は風速17m以上の強風予報で山登りには適さないCが連続しています。しかし、縞枯山茶臼山は樹林帯の中の道歩きだし、ダメで有れば山荘に停滞していれば良いかと行く事で現地に向かいました。

今年もふもとは雪がなく、北八ヶ岳ロープウェイ駅の駐車場もがらんとしています。乗り場には山頂の温度は-3、風速10mと表示されていました。

山頂駅をでると、アカゲラの看板が迎えてくれています。先ずはパシャリと記念撮影。ツボ足で山荘に向かい、食材等をデポして縞枯山スノーシューを履いて歩き出しました。雨池峠から直ぐに急登がはじまり、アイゼンに履き替え進みます。足元を確かめながら進むと、山頂に出ましたが展望はなく、さらに展望台まで進み皆さんようやく冬の2400mの景色と強風を肌で感じている様子です。さらに茶臼山まで進むと、さらに頂上付近は風が強くストックとアイゼンで強風に暫し耐えながら、シラビソやコメツガの冬の森の風景を楽しみ、たまにうっすらと顔を出す青空が、テンションを上げてくれます。寒さと強風の中で記念写真を撮り速攻で樹林帯の分岐まで戻り、またスノーシューに履き替え、その森の中を五辻まで下ります。Kさんはワカンで飛び跳ねるように歩かれている。そこから山頂駅までは横移動で赤旗も立ててあり、風と雪で視界が悪いが真白の世界を思い思いに楽しみ、山荘に13時頃に到着。遅い昼食を小屋入口付近で済ませ、雨池山までピストンで行こうと出かけるが、さらに雪と風が強くなりあえなく小屋に戻り、早い宴の始まり。

夕食も済ませ、最後は炬燵に足を入れてスタッフのメンバーや宿泊客の方たちと冬山談議で盛り上がり、就寝する。しかし、一晩中風の音は止まず、何度となく小屋全体が揺れる。

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翌日は曇りのち晴れの予報でしたが、風もまだ強く白い世界。ツアーの宿泊者は入口付近で貯まり、出ていく様子も無く停滞。8時前になっても出ていく様子がないため、こちらが外に出てスノーシューを履き出発する。昨日の強風で綺麗なシュカブラ(雪面の波のような紋様)が出来ている。それを踏むとパリパリと気持ちよい音を聞きながら雨池峠に到着。そこから先は、踏み跡のない新雪スノーシューとワカンで雨池目指して進む。サラサラの新雪は中々低山では味わえない感触を思う存分楽しみ、気が付けば雨池の上に立っている。一面氷が張り、その上を雪が覆って白い面がどこまでも続いている。その上に強風が吹くとつむじ風が舞う。やはり来て良かった実感して、来た道を急いで戻る。途中でテレマークスキーの跡を確認するが、先に道一杯にこちらが踏み荒らしている。

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縞枯山展望台

山荘まで戻り、アイゼンに履きなおし北横岳を目指しますが、どんよりした空模様で、登ることを止めてロープウェイで降りる事にする。

ロープウェイ駅に着くと、何と乗車待ちの長蛇の列。駐車場も車が停めるスペースは無い。前日に止めた所に戻ると車に20㎝以上雪を乗せていた。

八ヶ岳ブルーを見る事は出来ませんでしたが、フカフカ新雪を踏み、アイゼンを履き強風の中で山頂にも立つ事も出来た、有意義な厳冬期の北八ヶ岳を楽しめた山行でした。

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茶臼山展望台

【感想】57期 橋本満里子

新年会の折、鹿嶽さんより声を掛けていただき内心「え・・・冬の北八ヶ岳、、、大丈夫かな」と不安に思う反面 楽しみで仕方なくなり、2か月間あれやこれやめくるめく想像で楽しませていただきました。(雨具、買い換えておいて良かった~)

当日は、風雪もありトータル丸一日ほどの歩行になったかと思いますがアイゼンもスノーシューも堪能でき大変満足です。

きりっとした冷たい空気や、木々のこすれる音、新雪を踏みしめる音、風に流される雲、凍って姿を変えた湖、その上を舞う雪。稜線の突風とか、轟轟しい風雪など今までまだ経験できていなかった自然を体感でき、相当に冬の山に惹かれてきました。

行動中、アイゼン取り付けやスノーシュー取り付けであたふたし、行動食を摂る隙間時間が上手く確保できていなかったのか、帰宅後3日間は猛烈な食欲に襲われた次第です(笑)
ご一緒できたみなさま、ありがとうございました。色々と教えていただき安心して歩くことができました! ありがとうございます。また、機会がありましたらよろしくお願いします。

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【感想】60期 KY

初北八、今季初ワカン、久しぶりの山小屋泊を楽しみに参加させていただいた。新雪を踏みしめ、森を抜けてたどり着いた雨池までの道のりが特に思い出深い。雪化粧した針葉樹の森、ウサギの足跡、パウダースノー。「北八とはきっとこういうところ」のイメージそのもので感激だった。関西では、雪山でも登りは半袖T(+アームカバー)が定番だったが、北八では一度も半袖になりたいと思わなかった。自炊組で席をご一緒した、山に相当通っている人の雰囲気を醸し出す、素敵なお兄さんお姉さんとの出会いも楽しかった。帰りに立ち寄った、元旅館だったという「小斉の湯」も、レトロで楽しい温泉施設(源泉かけ流し)だった。

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雨池

【感想】54期 鹿嶽眞理子

八ヶ岳ブルーと素晴らしい景色にあこがれて北八に行きましたが、天気が良かったのはほんのしばらくで、ほとんどが曇りで時々雪がばらつき、強風が吹き荒れる時もありました。

雨池山と北横岳は強風のために断念しましたが、ふかふかのバージンスノーをスノーシューで楽しみ、12本アイゼンを使っての散策もできてよかったです。また晴天の時にリベンジしたいと思いました。

〈個人山行〉冬の真教寺尾根

2020年1月26日(日)~27日(月)

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【天候】26日曇り時々晴れ、27日曇りのち雪

【場所】山梨県八ヶ岳真教寺尾根

【メンバー】43期 丸山 弘(単独)

【行程】26日(日)4:00京都発〜9:00美し森駐車場着〜9:30駐車場発〜13:00牛首山山頂幕営

27日(月)7:00テント発〜9:00 岩稜とりつき〜10:00稜線分岐着(終了)〜12:30テント帰着・撤収〜15:00駐車場着〜19:30京都帰着

【記録と感想】 

年末の山行が雪不足で中途半端に終わったので、休みをとって1月末の冬山に出かけました。西側からのアプローチは大賑わいの八ヶ岳ですが、山梨県側からの登山道は人も少なく、展望もよいので偵察をかねて、昨夏、真教寺尾根から赤岳を越えて県界尾根を下る周回コースを日帰りで歩きました。

真教寺尾根は末端から竜頭峰山頂まで一本道のきれいな尾根で、山頂直下の2700mあたりから岩とガレの長い鎖場になります。夏道はちょっと難しめの一般道ですが、冬は八ヶ岳にしては雪深く、最後の岩場も夏道が埋もれるとロープが必要なルートです。甲斐駒黒戸尾根を少し短くした感じでしょうか。

強いパーティーは冬でも日帰りで行くようですが、私は体力不足で、初日は5合目の牛首山までテントをあげ、翌朝早くにアタックすることにしました。天候は曇り、月曜午後から下り坂、関東地方で大荒れの予報です。

久しぶりにテント・ロープ・ギアなどフル装備で25キロくらいあるザックを担いだので、予想通り初日はバテバテでテント場に到着。

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風に備えて、張り綱をいつもより多い6点からとって設営、午後3時にはレトルトカレーの夕食を食べて就寝。

ところが、真っ暗になった18時半と20時すぎに2回も大勢の足音とヘッドランプで起こされました。

聞こえてくる話の内容から、両パーティーとも日帰りを目指して入ったものの上部岩稜の登下降に苦労して,登攀と離合の待ち時間もあって数時間の遅れが出たようです。2つ目のパーティーは下山が午後10時を回りそうなので、他人事ながら心配になりました。

翌朝は4時起きで朝食に豚汁雑炊を作り、行動用のお湯を沸かしてテルモスに入れ、ゆっくり夜明けを待ってスタート。高曇りながら視界は十分、中間地点からは富士山も後ろにそびえ、なかなかの絶景です。

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(振り向くと雲をかぶった富士山が)

7合目まではトレースもあり快適に登り、岩場のとりつきに到着。ここまでスマホで写真を撮っていたのですが、ここで突然画面が真っ暗になり、まったく起動せず、せっかくの核心部の写真が取れませんでした。バッテリー残量は60%ほどあったのに突然のことで驚きました。機内モードにしてあり、寒さもマイナス5度程度なのでこの「突然死」は予想外でした。こういうことはよくあるのでしょうかね?

手袋を脱ぐリスクを考えても、やはり写真は専用カメラにした方が良さそうです。

とりつきから稜線まではロープを出すなら3、4ピッチ、傾斜70度くらいの小さな岩場と雪壁が連続し、直上と左へのトラバース、最終ピッチ手前に短いナイフリッジがあります。全体としてまっすぐ谷底へ落ち込むように見えるので高度感があり、阿弥陀北陵より怖く感じるかもしれません。

今回は、雪壁をけりこむと靴半分でブッシュや浮石が出てくるほど雪が少なく、バイルのシャフトを刺しても自立しないので厄介でした。逆に雪の深いところは高温で溶けて再氷結した雪の表面5センチほどが氷化し、その下がフワフワなので、踏み抜くとバランスを崩すし、氷の板が割れて大きな氷板がカラカラと谷底へ滑り落ちていく様子はなかなか気持悪いものでした。

手足とも不安定な雪壁とトラバースをだましだましで通過してなんとか終了。下りに時間がかかりそうなので簡単な赤岳は省略し、下りは迷わずロープを出して懸垂下降4ピッチで取りつきへ戻りました。(懸垂支点は、鉄杭や露出している鎖の一部に捨て縄をかけたり、ダケカンバに回したりと豊富です)昨夜の下山遅れパーティーも大人数だけに、これでだいぶ時間をかけたのでしょう。先行者の踏み跡もヤバそうなのを含めて何種類も有り、いろいろ試した様子が想像できました。

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(ルートの略図)

平日のため、朝から下山するまで誰とも会わず、尾根は完全に貸し切りで贅沢な一日でした。テントに戻ったころに予報通り雪となり、急いで撤収してさっさと下山しました。

このところ体力的には冬山を登るのはもう無理かなと感じ続けています。テント泊の冬山は達成感も格別ですが、無理して皆さんに迷惑をかけないよう、少しずつレベルを下げて、もうしばらくは楽しめたらと思います。