京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.2789 白山紅葉巡りハイキング

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【日程】2006年10月20日(金夜)~10月22日(日)
【参加者】5人


◆1日目 10月21日(土)
【天候】晴れ
【行程】上小池駐車場8:46~9:34山腰屋敷跡9:42~11:05六本檜11:20~12:24剣ヶ岩12:40~14:43三ノ峰避難小屋
【記録】上小池駐車場から登り、林道に出て少し行くと登山道入口の案内板。最初は急斜面だが、すぐに樹林に入りミズナラの中を進むと山腰屋敷跡。木のベンチで休憩。スギの古木群の道を行くとジグザグの登りになる。素晴らしい紅葉に歓声があがり、急斜面にさしかかった所で見上げるとヒノキの巨木、六本檜に到着(杉峠の道と合流)。紅葉の谷の向うに、三ノ峰を真ん中に峰が連なる。反対方向には荒島岳が見える。ヒノキの巨木と紅葉の水平な道から、ブナの樹林帯の登りになり、チシマザサの稜線に出る。ここで銚子ヶ峰から三ノ峰へ続く美濃禅定道・願教寺山・西には赤兎山・大長山などをT野さんに教えてもらう。剣ヶ岩が迫り、横の急斜面はダケカンバの黄葉と白い幹、真っ赤なモミジ、オレンジ色のウチワバカエデ、チシマザサの緑が鮮やかです。道草をしながら剣ヶ岩に到着。最後の登りが急坂なのは見て知っていたのに、忘れていて皆無口になる。やっと三ノ峰避難小屋に到着。きれいな避難小屋でのんびりしてから小屋の南のピークへ行くと、別山の左後ろに御前峰・剣ヶ峰が顔を覗かせていた。夕日は雲海に落ち、18時には満天の星空となる。三ノ峰方向には北斗七星・北極星カシオペア、明け方4時頃には、冬の星座オリオンが南の空に見えた。

◆2日目 10月22日(日)
【天候】晴れ一時曇り
【行程】三ノ峰避難小屋5:50~6:00三ノ峰6:30~7:15別山平(御手洗池)~8:10別山~8:46御舎利山~9:00別山9:10~10:40三ノ峰避難小屋11:20~12:25剣ヶ岩12:32~13:35六本檜13:40~14:09山腰屋敷跡~15:29登山口~15:50上小池駐車場
【記録】三ノ峰で、北岳御嶽山の間から昇るご来光を見る。チシマザサの道を鞍部に下り、別山平へ登り返す。切り立った斜面、草紅葉は終わり水が氷って光っていた。別山平からは、別山の左に御前峰・大汝峰の白山主峰が連なり、ヤセ尾根を進むとチブリ尾根・観光新道・白山一帯が見えた。別山神社にお参りして山頂へ行く。休憩後、チブリ尾根分岐を見て御舎利山へ。山頂にいる時は、別当出合の駐車場の車が見えるほどの良いお天気だったのが急変して、別山からの下りではガスが湧き寒くなる。三ノ峰避難小屋に戻り昼食後出発。剣ヶ岩への下りの途中で晴れてくるが、山頂は雲がかかっている。又ゆっくり歩きになり、紅葉の谷を走る雲を楽しんだり、山を眺めたり、キノコを探したり・・N田さんにクチベニダケを教えてもらう。ツルリンドウ・シラタマノキ・ゴゼンタチバナ・ツバメオモトの実を見たり、クロマメノキ・ヤマボウシ・コケモモの実を食べたりして、自然観察をしながら下る。上小池駐車場に着いた時には、満足と疲れから皆でほっとしました。車で鳩ヶ湯鉱泉に行き秘湯に入る。旅館から出てくると日が暮れていてぼんやり街灯がついている。昨日の夜中、車の中からタヌキをいっぱい見たのを思い出して「すごい秘境に来ているんだな」と・・・
すばらしい紅葉の企画をして頂いたY本さん、山の名前を教えて下さったT野さん、キノコの先生のN田さん、食事担当のY田さん、皆様のおかげで楽しい白山紅葉巡りハイキングが出来ました。ありがとうございます。


参加者感想

36期 Y.T.
すばらしい秋山でした。山行中に見えた山を拾ってみました。
10月21日(土)
上小池の駐車場からススキをバックに三ノ峰が絵葉書みたいに見えます。頂上の手前の坂はきつそう。山越跡からは西に赤兎山への稜線が、南東に願教寺山が見えます。
六本桧に着くと北に紅葉の尾根が一気に目前に迫ります。南に荒島岳、打波川、上小池。願教寺山の麓が台地状(原ノ平)でここに刈込池があるのですが、確認できませんでした。稜線を登るにつれ北東に三ノ峰から別山、西に六本桧から赤兎山・大長山、南に銚子ヶ峰に続く南縦走路が見えます。雲海に沈む夕日を見ました。
10月22日(日)
日の出前の雲海に浮かぶように見えるのは、右から御嶽山乗鞍岳八ヶ岳穂高連峰穂高連峰の上は雲に覆われていました。御嶽山乗鞍岳の間で御嶽山寄りに見える三角の山が北岳御嶽山の右に空木岳荒川岳などが見えているようだが判別できませんでした。
三ノ峰から別山に登る途中から御前峰の左に剣ヶ峰の頭が見え出す。別山の南面の太平壁のすごい岸壁が印象的です。染み出した水が凍って光っていました。
チブリ尾根の向うに白山観光新道が見え出すと、この夏合宿で通った殿ヶ池避難小屋、陣ノ助避難小屋が確認できます。赤い屋根のチブリ避難小屋への下りはきつそうです。
別山では360度の展望が得られるはずでしたが、すごい雲海と日光の加減で朝見えていた東方面はだめでした。北東に白水湖、三方崩山。この山も登ってみたいです。北には白山(大汝峰、御前峰、剣ヶ峰)から白山釈迦岳。この先の御舎利山まで行って、ようやく南竜の小屋が見えます。
雲海は荒島岳、銚子ヶ峰、一ノ峰、二ノ峰、三ノ峰の稜線から東に広がっていました。下山する頃にはガスが稜線を西に越え始めました。
勿論もっと多くの山が見えていたのですが、私には分からなかっただけです。雲海に沈む夕日、雲海と朝日。素晴らしかったです。20万図を持って来るべきだったと後悔。


40期 K.N.
 白山に登ったら紅葉の他に是非見つけたいものがありました。*ホホベニタケ(頬紅茸)という、図鑑にも載っていない幻の小さなきのこです。
 登り始めから、いきなり蹴上げの異様に高い急な階段が現れ、前途の多難を予感させられました。
 赤や黄色に色づいた落葉が美しく敷き詰められた登山道を歩きながら、リーダーから植物の名前など、詳しく教えていただきました。今年最後の花を残しているものや、かわいらしい実をつけたものなど、たくさん観察することができました。
登りが一段と急になったところで、六本檜に到着しました。そこには、全員が声をそろえて「何や、これ!!」と絶句するほど美しい光景が広がっていたのです。幾重にも織り重なるように混ざり合う木々の色は、まさに錦織そのものでした。
 六本檜からは、見晴らしの良い尾根道が続き、山肌に緩やかに掛けられた錦に、ダケカンバの真っ白い幹が不思議な模様を織り出していました。いくつかの急な登りを越えて、三ノ峰避難小屋に到着、暖かい飲み物でお疲れ様の乾杯をしました。夕食後、小屋の外に出て、眼下に広がる雲海に静かに沈んでいく夕日の美しさに寒さも忘れて見とれていました。
 翌朝は三ノ峰の頂上より、御岳と北岳のちょうど真ん中あたりから登ってくる御来光を拝みました。360度のパノラマを堪能した後、別山に向けて出発しました。別山平は花の宝庫らしく、様々な花の痕跡があちらこちらに残っていました。ハイマツの中にイワヒバリの姿が見え隠れする様子を楽しみながら登っていくと、やがて別山神社に到着。山行の安全と、顔のしみとしわがこれ以上増えないことを祈願しました。
 みんなが、岩室を偵察に行っている間、神社の石組にもたれ、湧き上がっては青空に消えていく雲をぼんやりと眺めていました。一人では、絶対に来る事ができなかった白山。足手纏いになりそうな私を山行の仲間に加えて下さった、Y本さん、T野さん、K城さん、Y田さんの暖かい人柄に感謝しています。
 今回、とうとうホホベニタケを見つけることはできませんでしたが、次回のお楽しみにとっておくことにします。
* ホホベニタケ・・・クチベニタケとほぼ同型。全体がほんのりピンク色。
  大山、赤兎でそれぞれ採集。


48期 T.Y.
夏の合宿に続いて秋の白山例会に参加させていただきましたが、今回も天候に恵まれ、紅葉の白山を満喫できとてもよかったです。ただ一部反省すべき点は、登りで大量に汗をかき途中で水を補給しましたが、水がにがい味になってきて、足が上がりにくくなったこと。原因は汗と一緒にミネラル成分が体からなくなり、電解質のバランスがくずれたからだと思います。多量に汗をかくときは、スポーツ飲料や塩分を補給する事が大切だと痛感しました。山行については、赤や黄色の紅葉の中に、ダケカンバの白い樹姿が印象的で幹や枝は、踊っているよう形をしていました。その様子はとても不思議で美しく、絵本の中の世界のようでした。
そして、避難小屋では、日没やご来光を見る事ができ、登ってきてよかったと実感しました。今回の白山では、紅葉だけでなく日没やご来光、そして雲海などのオプション?も楽しめ、ますます白山が好きになりました。今回この企画を考えてくださったN彦さん、歩きながら読図を教えてくださったT野さん、ありがとうございました。そして、きのこのこと教えてくださったN田さん、お花やカメラのこと教えてくださったK城さん、ありがとうございました。
おかげで、印象に残る山行ができたことを感謝します。
P.S もう少しボッカができるようになったら、ぜひ白山縦走しましょう。


44期 N.Y.
 最近の夜中の都落ちは2度目。けれども実はうれしい悲鳴をあげるほどのある作戦もふくまれての出発時間でした。とにかくIC出口を午前1:00-3:00の間に出る必要があるのです。このことはやった人にしか分かりません。知りたい方は今回の参加者に聞いてください。(大いにご活用ください。ただし、少々眠いし、何匹かの狸をよけなければなりませんが・・・)
 さて、前日は雨。登る土日のみ晴れ。月曜日は下り坂でまた雨の予報。早い話が、われわれが山にいる間は晴れてくれると言うこと。この晴れは、T田リーダーの前回の花の白山例会以来です。先鞭をつけてくれた同リーダーに感謝。
今回は気象・山岳地図・山座同定で私が頼りきっているT野さん、キノコ博士のN田さん(今回は何かどでかい狙いがあるはず!)、それに高山植物に詳しいK城さん(ひさしぶりのごいっしょの山行です)、そして、新しい本格派のカメラを手にし花に目がないY田さん。それに私で5人。今回は2日分の水と寝具一式は必携。それに2日間の食料などをいれると各自は12-18kgのザックになっている。ゆっくり行こう!
それにしてもまあ、紅葉は山腰屋敷跡あたりから全開状態に。ヒトツバカエデ・ウルシ・ツタウルシ・ハゼノキ・ケヤキ・コバノガマズミ・ヤマブドウ・ミツデカエデ・ハウチワカエデ・イロハモミジ・ヤマハゼ・ヒロハカツラ・ブナ・オオカメノキ・ミズナラ・ウスノキ・ヤマボウシ・イタヤカエデ・オオイタヤメイゲツなどの紅葉はみごと。ウスノキのちじれた実や、ヤマボウシの実を鳥のようについばんだりしました。ホウノキの大きな褐色の丸まった葉が落ちています。森の陰ではヤブコウジの赤い実や山道脇にはかなり上までツルリンドウが私達の目を楽しませてくれました。いい森が続きます。
 六本檜でみな「うわーっ!」「何や、あれは!?」と目の前の紅葉のすばらしさに目を見張るばかりか口も開けてしまったのでした。私もひさしぶりの素晴らしい紅葉にお目にかかって幸せになりました。「白山山塊は奥が深い・・・!」
 そこから右手に泰澄が悪蛇を剣でとどめを刺したといういわれのある「剣ヶ岩」を見て、あえぎながら登ります。ここは人の少ない秘境?かと思いきや、登る人、降りる人の多いこと。ここはやはり人気のあるコースだったのです。
 三ノ峰避難小屋ではあまりの着いたうれしさに実は中は撮影していないのですが、新しいすばらしい小屋でした。2日目にデポした荷物を取りに寄ったときに地元の山岳会のみなさんが定期的な点検と修理に見えていましたから、みなさんがいかに大切に維持されているのかを目の当たりにしてその中の清潔さがわかり頭が下がりました。
 三ノ峰から別山は私は甘く見ていましたが、これがくせものでした。みなさんにはかなりきつい思いをさせてしまって申し訳ないです。ただ、別山から御前ヶ峰方面がきれいに見えましたし、そこからも白山を前景に360度のパノラマを堪能できましたのでお許しを。そして夏に歩いたルートが手に取るように見えました。私は密かに「どこが秘密の花園かな?花をチェックしなくては。」と別山平を見ましたがもはや「草紅葉花々どもが夢の跡!」で、夏の花園の想像も付きません。結局はまた夏に来なければならないようです。それにしても別山の大平壁は朝には大きな一枚岩を流れる水が凍って朝日にキラキラと反射しているのが印象的で威容を誇る岩壁でした。そして別山のエッジのような山道をみなさん、よくがんばりました。御舎利山まで行って、岩室・チブリ尾根の分岐点を確認して帰途につきました。
 帰りはひたすら降りるのみ。それでも登りには見えなかった、ダケカンバにまとわりついたツタウルシの真っ赤な紅葉や、オレンジのカエデの紅葉などに目がゆったりといきました。
考えてみますと、今回はいままでの山行と違って、上に水が全くないという状況での厳しい山行でした。食料や小屋泊まりの用意だけでもかなりの重量になるのに、そこに2日分の水と共同炊事の水まで担ぎ上げましたから、「ハイキング」どころか6時間余りをかけての立派な「ボッカ」に匹敵。しかも、小屋とはいえ、朝は0度近くまで冷えました。装備、重量、条件とも「秋合宿?」に近いものになりました。特にまたもや甘えてしまって、食担をしてもらったY田さんには、コッヘルだけでなく食料のほとんどを担ぎ上げてもらってありがとうございました。(「これほんまにハイキングか?」とは思っていても口には出さなかった今回のメンバーの思いやりに心から感謝していました!)
それで登りに「小屋泊まりで別山に行くんですか?うらやましい。」と何人かに言われた理由(わけ)も分かってきたのでした。
 帰りにはいつものことですが、ザックは来たときよりも大きくなります。今回は特に私達のは大きくなったようです。その分はきっとあの雲海に沈む夕日と、夜の降るような満天の星と雲海からの日の出などの「感動」が一杯詰まっていたと思います。心残りと言えば、私が頼んでせっかくK城さんが星座を教えてあげる!といってもらったのにたぶん私は爆睡をしてしまい、その貴重なチャンスを・・・残念です!今度あの様な星空に出会ったときにはよろしくお願いします。
 みなさん、すばらしい体験を共有できましたことを心より感謝します。またこりずに(今度は水のあるところに)花巡り・紅葉巡りにいきましょう。ありがとうございました。