京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.2871 比良堂満岳中央稜

当初中央稜の予定を変更して、1ルンゼで基本的な雪山の技術の練習をして、ルンゼを登ることになった。

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【日程】2008年2月17日(日)

【天候】曇り時々雪、時々晴れ間 

【コース】

イン谷口8:40~大山口~堂満1ルンゼ入り口9:35~訓練~(2/3あたりまで登る)11:09下降~青ガレ~金糞峠12:24~縦走路分岐~東レ新道~一つ目のピーク13:22~戻る~金糞峠~青ガレ~大山口14:37~イン谷口15:06

【参加者】計2名

【報告】50期 J.T.

8時前に山科駅を出発、イン谷口まで車で行き、堂満ルンゼを目指す。予報よりもいい天気で時折晴れ間も見えて最初はいい感じ。もう少し寒いと思っていたのに暑い。ルンゼまでに汗をけっこうかいてしまった。入り口のえん堤を越えるといよいよ目的の1ルンゼ。前には2パーティほどいた。

入り口の広いところで、まずなだれの危険度をはかるための弱層テスト。弱層は上から50cmほどに1箇所。そこから上は少し締まった層が下部にあり、上部は昨日から降り積もった雪にようでふわふわである。表層がなだれる危険が少しあるようだが、締まり気味のためルンゼを登ることになった。その前にスタンディングアックスビレーの練習、M山さんのピッケルやスノーバーによるセルフビレイ、初めて使う僕のピッケルを足元に埋めて確保支点作り、ピッケルの使い方などを教えていただいた後、ルンゼを登り始めた。

先行パーティがあったため、踏み跡を行けばそんなに沈まないで登っていける。当初の予定は堂満1ルンゼ~堂満岳であったが、2/3ほど登ったあたりで細かいチリなだれがパラパラ落ちてきた。上部にくると下よりも雪がさらさらで、丸山さんはなだれの危険有りと判断したので、一旦取り付きまで戻り、一般道を青ガレから金糞峠へ行き、東レ新道を堂満へ向かうことになった。

下で少し腹ごしらえをして青がれを登る。雪が降ってるし面倒なのでハーネスもアイゼンも装着のまま登る。峠手前で、搬出訓練をしていたので行く手をはばまれ少し時間ロス。

しばし見学となった。

峠から堂満岳は雪が深くて撤退してきたと単独行の方の言葉だったが、お願いして堂満を目指してもらう。しばらくはひざ下程度だったが、縦走路分岐を過ぎてから深い雪とシャクナゲブッシュにはばまれ、なかなか前進できない。時々足がすっぽりはまってしまう。M山さんがずっとラッセルを続けてくれたが、最初のピークに着いたのが13時20分。

吹雪いてて寒いし、踏み跡もないし、この深い雪(腰くらいの雪が続いた)では頂上に着くのが15時半~16時になるだろうと言うことで、撤退することとなった。

撤退を決めたら下山は早い。すぐに金糞峠に着き、アイゼンをはずして、グリセードで滑りながらどんどん下る。僕はグリセードに慣れてないため、10回くらい何度も転んだ。

青ガレを降りるとあとは穏やかな雪景色の中を快適に下り、あっと言う間に登山口に到着した。ルンゼを全部登れなったのは残念だったけど、色々教えていただいたし、誰も踏んでいないパウダースノーをいっぱい堪能できたし、楽しかったです。

M山さん、ありがとうございました。

【リーダー所感】43期 H.M.

Tさんとは金比羅ライミング以来でした。正面谷では、一斉に木から飛び立った一群の小鳥の名を即座に教えていただきました。(「フィンチ」の一種の「マヒワ」でしたっけ?)さすが野鳥の専門家です。

当初は雪崩の危険の少ない中央稜(最高V級の5ピッチ)を計画しましたが、Tさんはアイゼン登攀の経験がないとのことで岩はやめ、(ちなみにこの日、堂満中央稜には下京のMさんのパーティーと指導委員長のYさんも入っておられました。世間は狭いですね。)スタンディング・アックスビレイやスノーバー、ピッケルの使い方など雪上訓練をメインとしました、僕自身も毎年やらないと感覚を忘れてしまうので、いい機会になったと思います。ルンゼ下部で弱層テストをした時点ではザラメの弱層の上に新雪が乗り、少ししまった新雪の下部と弱層のフリクションは両手で少し強めに引いてズレル程度。様子を見ながらルンゼ中間部まで登りましたが、どんどん表層の雪質が軽くなり、木から落ちた雪玉が斜面を転がり落ちるスピードも速く、左右の支沢の状態も見て撤退と判断しました。他パーティーは撤退したところと構わず行ったところとあったようです。どれが正解か決めるのは難しいですが、雪崩の危険性の判断は経験と知識を積み上げていくしかないのでしょう。

正面谷から金糞峠の間では和歌山労山が遭難救助搬送訓練をしていました。アンカーからメインロープをインラインエイトノットで固定分散していたのは同じでしたが、梱包にブルーシートを使い、クローブヒッチでなくザイル担架に近いロープワークをしていたようで興味深く見学させてもらいました。

金糞から堂満の稜線は予想以上にラッセルがあり、下山時刻が遅くなりそうなのであっさり諦めてしまいました。Tさんはもっとラッセルしたかったと思いますがまたの機会ということで。これに懲りずまたご一緒してください。