京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.2897 大台ヶ原山 -関西百名山シリーズNo.11-

関西百名山シリーズ秋の再開第一弾は不安定な天気の合間を縫って廻り来った登山日和。奈良県上北山村大台ヶ原にハイカーに混じって"正統派"山行を行った。

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【日程】2008年9月14日(日) 曇り一時晴

【参加者】11名

【行程】京都ST6:33=平城山ST7:14-16=橿原神宮ST8:12-14=大台ヶ原P10:07-25~シオカラ谷10:54-58~大蛇分岐11:31-36~大蛇11:52-58~牛石ヶ原12:10-39~正木嶺13:21~日出ヶ岳13-36-14:02~大台ヶ原P14:40-50=入之波温泉15:35-16:37=橿原神宮ST17:48-51=京都ST19:48

【歩行データ】 歩行7.4㎞ 4:15 延登高 480m 延下降 480m 3座登頂

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週間予報では40%の降水確率だった。昨夜の天気予報は曇りのち晴れになってきた。関西百名山シリーズに雨なしのジンクスは今日も守られた。

6:30集合時刻。一人足りない!駆け込んできた遅刻者を乗せT野、A、Y本の3台の車で一路上北山を目指した。途中、平城山STでK藤さん、橿原神宮STでO野さんとTさんをPick upし11名が揃った。橿原市に住むTさんの提案で大淀町内の抜け道を通り時間短縮し3時間半で到着した。

何もない季節だが大台ヶ原駐車場はほぼ満車、広いスペースにビジターセンターやトイレも完備し、小屋やレストハウスもある一大観光地になっている。準備を整え加藤Lの訓示の後、登山開始。とは言っても登りではなく、まずはシオカラ谷への下りから始まる。ブナの原生林に苔と笹の落ち着いた森林の中を歩き、140mほど高度を下げると日出ヶ岳を源とするシオカラ谷がかなりの流量を湛え流れている。

吊橋の袂で関西百名山シリーズ恒例のミッション。その1「シオカラ谷から大蛇分岐までの所要時間を予想する」を行った。距離1.1キロ標高差165m、2.5万図を見て参加者がそれぞれのペースを考え所要時間を予想した。ここからは先頭のリーダーと最後部のTCの他は追い抜き自由で自分のペースで歩いてもらう。すると先頭グループはどんどん行ってしまいたちまち姿は見えなくなってしまった。後ろの人の中には植物観察や写真撮影時間込みで予想した人もいた。

皆が大蛇分岐に到着すると、結果発表。各自予想タイムと実際の所要時間を発表したところ一番近い人で-3分、最も差が大きかった人は30分近く多めに予想してしまっていた。

分岐から300m南西に進むと大蛇、先端は岩の上の絶壁で柵がしてあるがおっかなびっくり。先端まで行って見下ろすと凄い眺め。ゆっくりするには狭すぎて、他の登山者も多く順次入れ替わらなければいけない。時刻はお昼を廻り牛石ヶ原の広場、日本武尊銅像の前で昼食を取った。石畳の端に腰を掛け食べだすと雨が!これはいけないと雨具を出すが、出した途端に止んでまた晴れ間も出てきた。

今日はU田さんが読図ポイントの対照山行、最後部に呼んでこってりレクチャーをしながら歩く。すれ違う人達は、軽装のハイカーが多い。尾鷲辻を過ぎ正木嶺の登りに掛かると完全に整備された木の階段となる。

以前は原生林と苔の美しかった大台ヶ原だったが、昭和38年の伊勢湾台風の被害は凄まじく多くの木が倒され地面が露出、日当たりが良くなり苔が全滅、笹が生えそれを食べる鹿が増え、木が育たなくなってしまった。白骨樹の林立するササ原の風景の現在の大台ヶ原はそのようにしてできてしまったそうだ。今、植生回復に行政やボランティアの手が入り平成19年から西大台は入山規制が始まり、立木には食害を防ぐために金網が巻かれ、鹿除けフェンスが至る所に設置されている。そして登山道は完全にロープで囲われ踏み出しが防がれている。

正木嶺(約1,685m)のピークには何の表示もまくテラス状の展望スペースが設けられている。なだらかな斜面に付けられた木道を登り詰めると大台ヶ原の主峰、日出ヶ岳(1,695m)に達する。山頂には1等三角点「大台ヶ原山」が置かれ、二階建ての展望櫓が備わっている。

早速展望櫓に上がりミッション2「大普賢岳を山座同定する」、ミッション3「三津河落山を山座同定する」を行うが、残念ながら大峰山脈は雲の中、それと思しき方角だけを定め、手前の三角形の山は和佐又山ではという意見も出たが背後の大嶺山脈との距離が遠すぎるので、辻堂山(1,309m)だろうという結論に達した。三津河落山(1,654m)はすぐ近くの山で、きっちり方向を定め同定成功。

他の登山者が誰もいなくなり束の間山頂を独占していたが皆さんの次の興味は温泉に移り下山を開始した。駐車場までは1.9キロ、総行程僅か7.4キロのハイキング登山は終わった。しかしすれ違ったハイカーとは違い、山岳会らしく山装備は完璧、我らは山屋だ。 今日の立ち寄り湯は川上村の入之波温泉「山鳩湯」、入之波と書いて"しおのは"と読ませる。赤く濁った温泉で39度とぬるい目、長時間入っていてものぼせない。露天風呂から見た温泉の流れる沢は赤く盛り上がり、そこに苔が生え独特の景観をしていた。

帰路は橿原神宮駅で3名が下車し、京都駅には19:48到着、遅れたT野車とはもう会うことができずそのまま解散した。 《山紀行653》 

【感想】 36期 Y.T.

ずっと以前に大台ヶ原から大杉谷に下ったことがありますが、東大谷は初めてです。今回は日出ヶ岳からの展望(八剣山、大普賢岳高見山など)を楽しみにしていたのですが雲に邪魔されました。

大蛇からの眺めはすごかったです。地図で見てもかなりの壁なのが判ります。この景色を前もって地図から想像できれば、すごいと思いました。(勉強が必要)

入乃波温泉は有馬の金の湯のようで良かったです。湯の中のカルシューム(?)が成長していました。ただ身体を洗ったお湯がそのままダムに流れていたのは??でした。

関西百名山これからも楽しみです。CL、TCこれからもよろしくお願いします。

【感想】 48期 M.K.

初めての大台ケ原はシロヤシオ(ゴヨウツツジ)満開の5月初旬でした。大勢の人で賑わい、短いコースの散策で帰りました。今回は1周のコースで、シオカラ谷の渓谷や大蛇を見ることができた。シオカラ谷吊橋からの登りに見たツクシシャクナゲの群生、花の時季は素晴らしいだろうな・・・。大蛇から見た断崖は吸い込まれそう、展望を楽しむが雲で大峰の山は見えず残念でした。後半の正木ヶ原からは、立ち枯れのトウヒと背丈の低いイトザサ、紅葉しはじめのシロヤシオと緑のモミ・ツガを見ながらのアップダウンで大台ヶ原の景色がゆっくり楽しめた。今回の「ミッション1:シオカラ谷から大蛇分岐まで時間予想する」は思ったより早く着きすぎ、「ミッション2:大普賢岳を山座同定する」は雲で見えず、「ミッション3:三津河落山を山座同定する」は忘れていて全てダメでした。その代わりキノコの名前一つ覚えました。カイガラダケ、二枚貝の形そのままで分りやすい。以前と違うと思ったのは、フェンスが多くシカを見なかったこと、苔が少なくなった事でした。昼食の時には沢山の果物の差し入れありがとうございました。美味しかった。

【感想】 50期 T.A.

これまで参加した山行のなかでもこれぞ星一つという山行でした。自分のペースで無理なく歩ける今回の企画(自分の予想タイムを申告して登ってみるという企画)は最近とみに運動不足で体力の衰えを感じる私にはちょうど良い企画で、秋山シーズンに向けた足慣らしとなりました。

大台ケ原駐車場から最短で頂上を目指す人は本当に軽装でこちらの格好が大げさ過ぎるようで少し気恥ずかしかったですが心配した雨もほとんど降らず、日照りに閉口することも無く、すばらしい景色(お山にとっては決して良い状態ではないのでしょうが・・)を堪能することができました。

昼食時に頂いた様々な食べ物もみんな美味しかったです。これからは個人的に昼食を持っていかず、皆さんにおねだりしようかと思いました。(冗談です!)往復8時間の車中でも、眠気を催す暇も無く楽しいお話で盛り上がりました。チョットしゃべりすぎたかも?です。(山では無口なのに・・) これからも機会を見つけては出来るだけ参加したいと思います。皆さん本当に有難うございました。

【感想】  50期 J.O.

暑かった夏は駆け足で行き、今年は庭の虫達が鳴くのも早い。待ちかねていた関西百名山は一度行ってみたかった大台ケ原だ。紅葉には少し早い今日の大台ケ原は、人は少なく花は少なく風は無く、静かな秋だった。

恒例のミッションには新趣向が登場。「シオカラ谷から大蛇岩分岐までの時間を予想する」。地図を見て、距離を測り、傾斜を想像し、(夏の間に鈍りきった)自分の体力を検討し、所要時間を甘めに設定する。40分と予測した。ヨロヨロと歩いたにもかかわらず、33分で到着。読図ポイントは今回も落第だ。アキラメマセン。いつか地図を読む日まで。

【感想】 51期 K.U.

初めての大台ケ原でした。山行はそれほどきつくなく、ハイキングのような気分で、自然を満喫しつつ歩くことができました。行程途中の大蛇は、少し怖いと感じさせるほどの岩場でしたが、そこからの景色は圧巻でした。

 読図、コンパスの使い方では、Y本さんに教えて頂き、少しでも身に付いた感じがしました。

 この日は生憎の曇りで、雨も少しだけ降り、景色も遠くまで見渡すことができませんでしたが、それでも大峰山脈の一部分などは見ることができました。そして、大台ケ原近辺の山々も大峰山脈も、なんと山深き場所であろう、という気持ちを抱きました。  今回は、再びこの山域を訪れてみたい、という思いを抱かせてくれる山行でした。楽しい時を過ごさせて頂いてありがとうございました。

【リーダー所感】 22期 K.K.

ツアコンのご指名に預かり、先頭を歩かせて頂きました。いつもなら後ろの方を付いて歩くか、一人だと走ったり歩いたり気ままにしているので、かなりの違和感がありました。しかも、走ってくださいと言わぬばかりの整備された道。神社の庭でも歩いている様な錯覚を覚える程でした。立派な木の階段を歩きながら、雄大な景色と立ち枯れた木々の不思議な光景を眺め、日出ヶ岳頂上へ。山頂からの眺めは曇っていた為、完璧ではありませんでしたが、朝出がけとお昼頃ポツッと雨がこぼれそうになった割には、よく持ちこたえてくれました。交通の便が悪いので行きそびれていた山域に今回、車で連れてきて頂きありがとうございました。おまけに温泉付きでしたので、感謝の二乗でした。借り物リーダーとしては至らない点ばかりでしたが、お許しください。