京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.2905 氷ノ山・鉢伏山 -関西百名山シリーズNo.14・15-

鉢伏山(1114mピークより)

関西百名山シリーズで"初"が2つ、初テントと初雨降り、前者は楽しく、後者は影響を最小限に抑えられ、その夜の冷え込みで霧氷の氷ノ山が見られ怪我の功名もあった。そして氷ノ山は10日初冠雪が確認された。紅葉真っ盛りの氷ノ山・鉢伏を楽しんだ。

【日程】2008年11月8日(土)~9日(日)

【参加者】6名

 

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【1日目行程】氷ノ山 平成20年10月8日(土)雨のち曇り

京都桂川PA 6:15=(名神中国道)=山崎IC 7:50=坂谷林道分岐9:07-24~殿下コース分岐10:38~三ノ丸10:49-52~氷ノ山11:38-12:11~三ノ丸12:54-59~殿下コース分岐13:03-10~殿下コース登山口13:41-46~坂谷林道分岐14:49-15:00=▲福定親水公園キャンプ場15:51

【歩行データ】 歩行13.5㎞ 5時間25分 延登高 757m 延下降 757m 2座登頂

 

京都市内で参加者をPick upし名神桂川PAでT田車と合流し雨の名神中国道を走る。宝塚で渋滞にあった他は順調に進んだ。国道29号線戸倉峠の手前で坂ノ谷林道に入るとこれが、とんでもない悪路となり時速10~20キロでの走行となる。標高1,000mを越えた所で瀞川氷ノ山林道と交わり「←坂ノ谷コース登山口500m」、「殿下コース登山口4.0km→」の指導標が立っている。当初は大段ヶ平(おおだんがなる)に車を1台回送し縦走を考えていたが、この先の林道に不通区間があるとの情報に坂ノ谷、殿下の両コースの周回に変更しここに車を置いた。

雨具を着込んで出発準備をしていると、ツアコンの靴がない!そうだ家の玄関に置いたまま積み込むのを忘れてしまった。大失態!仕方がないので運転してきた運動靴で登る羽目になってしまった。いつも山には運動靴などローカットの靴はダメと言っているのに情けない話しだ。

T野リーダーを先頭に坂ノ谷登山口へと向かう。幸い雨は小降りで大したことはない。氷ノ山までの距離は5.7キロ、標高差は500mしかない。途中に三ノ丸(1,464m)があるが大した登り返しはない。傾斜の緩やかな登山道を進み標高が増すと雨がみぞれに変り、ササ薮の上がザワザワ揺れる。風は強いようだが直接当たることはない。登山口から1時間15分、殿下コースの分岐点に達する。皇太子殿下が登られたときに付けられたといわれるルートで"殿下"がそのまま登山道の通称になっている。林道から最短距離で氷ノ山に達することができる。

この分岐を見送ると避難小屋が現れ"三ノ丸避難小屋"と書かれた小奇麗な小屋がある。少し行くと三ノ丸(1,464m)山頂で展望櫓まで建っていて、「氷ノ山三ノ丸1,464m」と書かれた山頂標識がある。登山地図によると三ノ丸というのは兵庫県芳賀町の呼びかたで、養父市若桜町では"二ノ丸"であるらしい。

みぞれは止んだが濃いガスに覆われている。展望は全くなくよく整備された緩やかなアップダウンの稜線を行く。やがて茶色の小屋が見え出すともう山頂、記憶にある避難小屋と少し違うなと思ったら最近建った展望台だった。1階はバイオトイレになっている。その先に氷ノ山(1,510m)山頂の1等三角点と避難小屋がある。

小屋に入り昼食にする。1階は土間で壁に沿ってベンチがあり、2階には非常用の寝具も備えられた寝室スペース。少人数なら泊まることも可能だ。風の音が凄まじい。でも外に出ると小屋の中で感じるほどの風ではない。鉢伏山・扇ノ山・三室山の山座同定のミッションを用意していたがこのガスで何も見えず中止した。

記念撮影をして、元来た道を引き返し殿下コース分岐に戻る。左に折れ下るとコース中ほどに仙人門と名づけられた殿下コースの名物がある。二俣に分れた木の根が門のようになり立ったままで潜り抜けることができる。

登山道は広く刈払われ整備が行き届いているが、泥濘があり滑りやすい。林道に達すると立派なトイレがあり扉を開けると自動的にエンジンが始動し屎尿の処理をするようだ。瀞川氷ノ山林道は舗装され駐車地点とは大違いだと思ったが舗装されているのは50mほど先までですぐにダートになった。

暫く行くと一際大きなブナの木があり見事に黄葉して素晴らしい。大木2本の間から見るブナ林が額縁のように見えることから「額縁ブナ展望駅」と名付けられている。地元のカメラマンが三脚を据えて写真を撮っていたので挨拶すると、以前に撮った写真も見せてくれ誇らしげだった。そして福定の方から来たと言うので不通区間があるはずでは?と思ったが通れることに間違いは無く、覚悟していた大迂回をせずに福定に行けそうだ。紅葉は標高1,000m以下の所で美しく林道から見える山肌を楽しみながら駐車地点に戻った。

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瀞川氷ノ山林道に入り殿下コース登山口の方に走る。最初はあの悪路の続きだが、ブナの駅から先は舗装とダート道が交互に現れ格段に走りやすい。やがて横行渓谷に下りる林道を右に分岐し、氷ノ山南東稜を乗越す。ここが大段ヶ平登山口、神大ヒュッテ経由で登る登山道があり、広い駐車場が備わる。林道は氷ノ山国際スキー場内を通り抜け福定親水公園に到着した。

キャンプ場は100mほど離れた所にある。炊事棟の傍に場所を決め、山岳会備品の"鳥海山"と名付けられた6人用テントを張る。夕食はN田食当の厳選ビーフシチュー。ごとごと煮込み牛肉いっぱいのシチューで暖まる。食事が済むとテントに潜り込みドリンクタイム共同購入したビールの他は皆が持参したワイン、日本酒、焼酎、ウィスキーなんでもある。話は盛り上がり酒は進むが、そうそう飲めるものではない。いい心持で21時お開きとし眠りに着いた。

 

【2日目行程】 鉢伏山 平成20年10月9日(日)  曇りのち雨

▲福定親水公園キャンプ場6:33~氷ノ山越8:17-25~赤倉頭8:51-54~布滝頭8:59~1,048m標高点10:21~高丸山10:35-44~鉢伏山11:24-12:04~林道出合12:25-28~福定親水公園14:26=とが山温泉天女の湯15:05-16:25=和田山IC=南丹篠山IC=(R372)=千代川IC=京都19:46

【歩行データ】 歩行17.9㎞ 7時間53分 延登高 1,230m 延下降 1,230m 4座登頂

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5時起床、曇り空、朝食のパンに昨日の残りのご飯も食べて腹ごしらえ完了。テントを撤収し駐車場に戻るとこの日JOINするT胡さんが待っていた。昨夜仕事を終えて徹夜で走って来たという。駐車場には他に神戸ナンバーが1台、6:33出発するとすぐに追い越して行った。

谷が分岐しその中間の尾根に取り付く、その先端で北側の谷の先に布滝が見える。比較的落差があり2.5万図にもその名が記されている。急登斜面をジグザグに登り尾根を南側に外れだした所で南側の谷にある不動滝が見える。これも結構落差があり紅葉の中に流れ落ちている。トラバース道となり少しの平地に達すると三体の仏像が安置された地蔵堂がある。

この日T胡さんは例会初参加、読図ポイントの取得のため講習会を始める。塾で社会を教えているので地図記号等は良く分かっているので主にコンパスの使い方中心の講習となった。

赤倉山の尾根を南側に反れて登って行くと雲に隠れた氷ノ山山腹の"とうろう岩"の案内表示がある。目立つ岩ではなく探すのに一苦労した。そして氷ノ山越に達する頃、氷ノ山山頂を取り巻いていた雲が取れ山頂の避難小屋まで見えるようになった。そして姿を現した山頂には霧氷が斑に付いて素晴らしい。

氷ノ山越(標高約1,240m)にはお地蔵さんと高床式の小奇麗な避難小屋があり暫し休憩し霧氷の氷ノ山を楽しんだ。ここからは氷ノ山と鉢伏山を結ぶ縦走路、若桜町からの登山道とも合し赤倉山(1,332m)の東を巻いて北へと進む。以前来たときは、激ヤブを漕いで登頂したものだが・・・

北の肩に出ると北方の視界が開け鉢伏山が姿を現した。鉢伏は遠い。赤倉頭(約1,290m)、布滝頭(1,264m)の山頂は夫々展望がある。氷ノ山も鉢伏山も雲が取れ幸先良しと喜んでいたのも束の間、雲が下がり、また頭を雲が覆いだした。前方に横たわる大平頭(おおなるがしら・約1,230m)はこれもヤブ山、以前に突っ込んだときは返りのルートを見失い危うくなりかけた。

大平頭の直下に避難小屋があり中に入って休憩を取る。昨日ほどの風はない。昨日中止したミッションの代わりに300mほど先にある3等三角点「大久保」(1,171m)を探した。果たして三角点はホードー杉への分岐点にあった。ホードー杉とは?500m尾根を下ったところにあるらしいが、そこまでアルバイトする気にはなれずそのまま通過した。

大久保三角点からの下りは、急で滑りやすく難渋する。1,019mの鞍部まで下りが続き200m高度を下げる。東側は鉢伏高原の草原地帯となり鉢伏山まで展望の利く稜線歩きとなる。今日のミッション1は「1,048m標高点を特定する」で地図を確認しながら歩くと見通しがよくかなり手前から想像がついた。1,048mピークを越えると小代越、ハチ高原BSへの道が分岐するが工事で止められている。

鉢伏山の雲が取れそうだが、山頂で予定していた山座同定のミッションができないといけないので次の高丸山(1,070m)山頂で行った。ミッション2「氷ノ山を山座同定する」は雲に隠れた氷ノ山の山頂方向を特定し、ミッション3「蘇武岳を山座同定する」は鉢伏山の陰になり見えず北西方向にある扇ノ山(1,310m)に変更した。見えたと思っていたが、帰宅後写真と合わせて確認すると20万図で扇ノ山だと思った山は実は手前の青が丸(1,239m)で扇ノ山はその後で雲に隠れて見えなかった。

先に進むと鉢伏山(1,221m)は近い1,114mピークを越えると最後の登りここで、臨時ミッション「山頂登頂時刻予想クイズ」。思い思いに登頂時刻を予想したところK城さんが見事11時24分をピッタリと当てた。おめでとう。スキーリフトが山頂まで上がっており、小屋もあるのでゆっくり休憩できるかと思ったが、山小屋ではなくスキー場の施設の一つだった。風があり寒い中、昼食を取った。山頂の雲は無くなり展望が利くので改めて北東の蘇武岳(1,074m)の山座同定を行った。関西百名山シリーズでいずれ行く山だ。

南尾根を900m下ると瀞川氷ノ山林道に達する。この頃氷ノ山が再び姿を現し、また霧氷の山頂を見ることができた。ここからは8キロは延々と林道歩きで福定親水公園に戻る。ハチ高原のスキー旅館街に入った頃雨が降り出してきた。傘は車の中に置いて来たので、雨具を着て残りの5キロ余りを歩いた。

立ち寄り湯は養父市のとが山温泉天女の湯、国道9号線に出てすぐの国道沿いにある。T田さんが湯当たりしてしまい暫く休憩し丹波篠山経由で帰路に着いた。T胡さんは徹夜で走ってきたので皆と分かれて仮眠を取りながら別途帰宅となった。《山紀行659》

【歩行データ計】歩行31.4㎞ 13時間17分 延登高 1,987m 延下降 1,987m 6座登頂

 

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【感想】  48期 M.K.

≪1日目≫ 氷ノ山

氷ノ山は私の中では雪のイメージしか浮かびませんでしたが、登ってみると紅葉は素晴らしく又整備された登山道は快適でした。背丈程ある笹が風をさえぎり、「サクサク」と落葉を踏む音だけが聞こえる静かな山を楽しむ事が出来ました。山頂手前にあった千年キャラボク、苔の付いた太い幹は地を這うように曲がり横に広がった枝には濃い緑の葉、靄に包まれ襖絵のようでした。紅葉終焉のブナの原生林は、太い幹に寄り添ってみると伸びる枝先が何処までも続くように広がり天に模様を描いていました。登山道に比べ坂谷林道は悪路で、運転された山本さんと豊田さんは大変だったと思いますが、乗せていただいた私は紅葉の楽しいドライブでした。夕食は美味しいビーフシチューと丹波ワインの新酒や冷酒を頂き、テントは寒いと思っていたのに意外に暖かくぐっすり寝る事が出来ました。

≪2日目≫ 鉢伏山

氷ノ山越から、望みの氷ノ山霧氷が見られて嬉しくなりました。高丸山への縦走路から見る山は、左斜面は紅葉の樹林で右はスキー場のススキに分かれていて面白かった。高丸山に着くとガスが切れ、鉢伏山山頂が見えリフトが上まであるのが分りました。降りは「リフト」と冗談言いながら階段の登山道を登ると、山頂にはスキーコースの標識がありました。冬に来るとここまでリフトと思うと変な感じです。11月なので花は見られないと思っていたのに、ウメバチソウやリンドウが見られた。紅葉と初冠雪の山と花が一緒に見られた不思議な山行でした。

 

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【リーダー感想】 36期 Y.T.

 随分前に公園まで行ったことがあります。大雨の中炊事場で宴会をし、翌日は山には登れませんでした。その山に今回登れました。関西百名山はずっと天気が良かったのですが今回は少しだけ雨に降られました。でも一日目の2時間ほど、二日目の1.5時間ほどの小雨なので、まずはよかったです。

 一日目、車の底をすりそうな林道から坂の谷コースを登りました、もちろん始めて。緩やかな尾根筋を登る歩きやすい道で、大きなブナが印象的でした。氷ノ山はガスの中、立派な避難小屋で昼にして下山しました。テント場は炊事場と電灯もあって快適、美味しい食事とお酒にワイン、よく眠れました。

 二日目、氷ノ山越から鉢伏山。氷ノ山越近くでガスが流れて氷ノ山が見え出しました。うっすらと雪化粧、おそらく今期の初冠雪でしょう。稜線は先まで見通せて快適。ミッションの山座同定で蘇武岳が見えて良かったです。阿瀬渓谷の休憩所にテントを張り、翌日蘇武岳に登っています、1994年11月の例会で。まだ登れていることを喜び、同行を快諾してくれる皆さんに感謝しています。