京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

雪の奥比良全山縦走(冬合宿)

雪の比良全山はスノーシューとダブルストック必携だ。これならある程度は行けると思う。しかし,今回の雪は多すぎた。

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[No.2910] 雪の奥比良全山縦走(冬合宿)

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【日程】2009年1月10日(土)~11日(日)

【参加者】4名

【天候】1日目 雪時々曇, 2日目 雪後ち晴

【タイム】10日 7:45出町柳駅京都バス乗車=9:36桑野橋~11:06林道終点~13:34蛇谷ヶ峰~15:10ボボフダ峠

11日 5:00起床-7:52出発~10:54林道~11:54林道除雪地点着~12:17黒谷バス停-12:37=JR近江高島駅13:22発=13:58京都駅着

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【1日目記録】46期 K.N.

 冬型の気圧配置で天気予報も雪。絶好(?)の冬合宿日和だ。朽木へ向かう京都バスには,山へ行くとおぼしき人は我々だけだ。朽木ではバスの進路に雪がのった竹が垂れ下がって,竹をたたいて雪を落としてやっとバスが進行できるような場面もあった。

 桑野橋からの林道は最初から膝下の積雪。結構疲れる。きのこ研究所をすぎ,林道終点手前で雪は膝上となり,早速スノーシューの出番となった。今回は4人ともスノーシューで足が揃っていた。スノーシューをつけているのでそこそこのペースで登れるが,それでもスノーシューで膝上くらいまで沈むのでペースはしれている。1人でもワカンだったら大変なことになっていたなと思う。これからの雪の比良全山縦走はスノーシュー,ダブルストック必携だと痛感した。

 10分ごとにラッセルの先頭をかわり,13時34分に蛇谷ヶ峰到着。記念写真をとってすぐに出発。コースは気をつけないと間違えることはわかっていたが(数年前の合宿でコースを間違えて敗退したことがあったよう),1本西の尾根を下がっていることに気づき,100mほど引き返した。GPSをもっていてよかった!

蛇谷ヶ峰山頂

ボボフダ峠(最近の地図には別の名前で記載されているよう)まで来たときには15時すぎとなっていた。ラッセルはスノーシューで膝前後といったところ。おそらく横谷峠まで行くと暗くなるとの判断のもと,ボボフダ峠のすぐ南の登山道付近を整地してテントを張った。気温はかなり高くて(おそらく0度から氷点下2度程度),シャツ2枚とカッパだけだったが汗だくとなっていた。

 16時ころにテントに入り持ってきた酒で宴会。今回は食事は各自なので,おのおの食事を作り,19時すぎに就寝となった。

 一晩中雪が降っており,ときおり,木から雪がどさっと落ちる音がする。テントの上にも降る雪と木の雪が落ち,テント周りにみるみる雪が積もっていくのがわかる。端に寝ていたので,雪がテント越しにさわると冷たく,たびたびテントを叩いて雪を落としたが,ますますテントの横にたまっていくので,午前2時か3時ころ,トイレがてら,外に出て,テント周りの雪をスコップで除雪した。雪は60センチくらい積もっていた。おそらく,一晩で60~80センチくらいつもったんだろうと思う。

【2日目記録】52期 S.A.

予定起床時刻に全員目を覚ます。夜通し積雪が激しく、夜中にリーダーが適宜テント壁を叩いて雪を落としたり、テント周りの除雪に奮闘されたりするのを夢うつつで感謝しながらも、暖かいシュラフの中で一歩も動かない残りのメンバーであったが、起床時間は厳守できた。ラジオで天気予報を聞く。滋賀県北部は大雪警報。冬型の気圧配置は数日間続くようだ。大雪警報中に行動し、救助要請でもすることになれば弁解できないし、そもそも昨日の天候で山に入ること自体の見識を糺されることは必至だ。分別ある社会人山岳会としての責任と、昨晩の積雪も多く、物理的身体的にも当初のルートは無理と判断。リーダーがメンバーの意見を聞くが、異存なし。そうは言っても雪の武奈ヶ岳や水晶小屋への未練がないとはいえないが、横谷峠より先に進むと、明日一日で下れない恐れもあるとリーダーの言。比良山系の遭難は西南稜に集中しており、朽木谷への下降ルートはとらないというリーダーの判断は揺るぎない。横谷峠までは縦走するのか、このままボボフダ峠(須川峠)から「畑」集落に下るか悩ましいが、このまま下るという最終判断となった。

 行程に余裕がある分テント内でゆっくり過ごせることになった。出発する頃には雪も止み、青空も覗く。青空は、「また今度比良に来いよ」というメッセージだと解釈。なごり惜しいくらいのほうが、次の山行へのモチベーションが上がる。昨日のトレースは降雪により跡形もなく消えており、我々はまるで天から舞い降りて来たかのよう。

下るだけだし、楽勝と思ってラッセルスタート。昨日は「スノーシューの下りって面白いですね」といえる余裕があったが、一歩踏み出すと、これまでの人生で一番深い雪に戸惑う。下りカーブでバランスを崩して転倒。起き上がれない。水中でもがいているよう。足を斜面の下側になるように回転して、ようやく起き上がれた。

 先頭交代しながら進む。深雪にもだいぶ慣れたころ、リーダーが「TKさんがなかなか来ない。呼んでみよう」とコール。ラッセル時の小休止はパーティー全体を止めるのではなく(止まると身体が冷える)最後尾時に適宜とるようにすればよい(トレースをたどってパーティーに追いつける)とのことだったので、最後尾の人が若干遅れてもそのまま進んでいたのだが、この時の遅れ方はチェックすべきケースだと判断されたのだ。一瞬、心配したが、カメラを落として探しているからだとわかって一安心。我々も上り返して、手伝う。スコップで雪面を掘ったりするがなかなか見つからずあきらめかけた頃、想定箇所よりも若干後方のトレース隅で発見された。カメラの傷から、スノーシューで踏んでしまって弾かれて後方へ飛んだのかもしれないと推定。

 今日のコースは距離が短くて物足りないのではと思ってスタートしたが、十二分に堪能というか、いいかげんくたびれた頃、ようやく林道に出た。林道に出れば「スノーシューで行く快適ハイク」だと思っていたが、見事に予想外。重たい雪で、傾斜が緩い分、進むには力が必要となる。結局、登山マップでコースタイム1時間のところ、なんと4時間もかかり、ようやく除雪地点に着いた。

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【感想】51期 A.T.

今回本格的なラッセルは初体験でしたが、十二分にラッセルを味わうことが出来た山行でした。

スノーシューで歩くのも初めての体験で、初めは新鮮ですごく楽しかったのですが、何時間も深い雪の中を歩いているとさすがにくたびれてうんざりしてしまいました。

メンバーが四人いたから良いようなものの、これが過去では二人で行っている時もあると聞いていますから、どれほどラッセルが大変だったことだろうかと、ゾッとしてしまいます。

特に最後の林道をラッセルで進んでいるときは本当に「もうたくさんだ」と思っていました。

ところが、その翌日に撮ってきた写真を眺めていると何故か「楽しかった」「またスノーシューラッセルしたい」と思えてくるから不思議です。

リーダーのN野さん、同行してくださった皆さん、ぜひまたご一緒にスノーハイクしてください!

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【感想】52期 S.A.

 入会願いを出して初めての山行、雪山も初めてでしたが、こんなに楽しいものとなり、感謝しています。同行の皆様、ありがとうございました。

冬山はもっと寒いのかと思っていましたが、行動中はウールの下着2枚(半袖の上に長袖、"山シャツ"は脱いだ)+パーカーでちょうど良かったのは意外でした。テント内用ダウンウエアも使わずに済みました。普段は寒がりですが。

4人用テントに4人で寝たのは初めてで、スペースの狭さにどうなることかと思いましたが、それが出来るようにならないと"一人前の山ヤ"ではないとのこと。行動についても段取り良くできないといけないと痛感しました。これまでの単独行ではテント内の整理も時間管理も適当で、いかに緩い山行をしてきたのか反省しています。自宅でいつも妻から「出した物はちゃんと片付ける。段取りを考えて動いてください」と言われている意味がよくわかりました。

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【感想】51期 K.T.

1日目は、雪の上を歩いているなあと思えましたが、2日目は下りというのに雪の中を泳いでいる感覚でした。

テントで寝ていると、夜中に何度もどさっと音がしては目が覚めた。起きてテントの外を見ると樹木の背が低くなっていた。とにかく唖然としました。

畑・黒谷の集落まで降りるとなんだかほっとして雪に抱かれた山里の風景がとても美しくおもえました。

同行の皆様、どうもありがとうございました。

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【感想】46期 K.N.

 雪の比良全山はスノーシューとダブルストック必携だ。これならある程度は行けると思う。しかし,今回の雪は多すぎた。ボボフダ峠では前進か下山か迷ったが,コースタイム1時間程度の下山が3時間も4時間もかかる雪の量であり,下山で正解だったと思う。今回のメンバーは,本格的ラッセルは初めてという人も多かったので,ラッセル自体は楽しめたと思う。8人くらいいたら,交代ラッセルで前進できたかもしれない。また,食事は各自がやはり早いし,重くならなくていいと思った。

そのうち,また雪の比良山にラッセルしに行きたいものだ。是非みなさん次はご一緒しましょう。