台高山脈の端、三峰山。冬は美しい霧氷で有名である。その霧氷を求めて奈良交通の臨時バス「霧氷号」に乗り御杖村神末へと入った。天気は曇りから快晴となったがこのところの暖かさから肝心の霧氷は見ることができなかった。
[No.2914] 三峰山 -関西百名山シリーズNo.18-京都比良山岳会
台高山脈の端、三峰山。冬は美しい霧氷で有名である。その霧氷を求めて奈良交通の臨時バス「霧氷号」に乗り御杖村神末へと入った。天気は曇りから快晴となったがこのところの暖かさから肝心の霧氷は見ることができなかった。
【日程】2009年2月8日(日)
【行程】京都7:41-榛原9:05-15=みつえ青少年旅行村10:05-18~林道交差10:48-52~三峰山12:09-14~八丁平12:17-53~登り尾峰13:08~新道峠13:23~新道登山口13:48~みつえ青少年旅行村14:15-45=みつえ温泉姫石の湯15:05-45=榛原16:29-46―京都18:18
【参加者】8名
【歩行データ】歩行10.7㎞ 3:57 延登高 756m 延下降 756m 2座登頂
御杖村は谷間の僅かな隙間に開けた村、伊勢本街道が通る神末集落から奥はバスが通るような道ではない。大型ハイデッカーのバスが民家の軒先すれすれに曲がりくねった道を"みつえ青少年旅行村"を目指して進む。通常は集落の外れまで村営マのイクロバスが来ているが登山口までは入るのはこの季節の"霧氷号"だけだ。
バスは定刻よりも20分も早く旅行村管理棟前の臨時バス停に着いた。そして今日のミッションはもう始まった。「バス停現在位置を知る」で2.5万図上での位置を周りの地形を見て特定するのだが遊戯施設などがあり惑わされる。やはり地図にある建物マークの位置だと特定し立看板の地図と照合して正解を確認しミッション1を終了。
早く着いたので、余裕を持って出発、先ずは林道を引き返し登り尾コースの登山口へと向かう。400m進んで神末川を渡り不動川の林道に入る。暫く行くと右手に登り尾登山道が分岐するが先頭を行くS方リーダーはあわや行き過ぎそうになる。林道をそのまま進むと不動滝コースで、途中再び合流するが今日は御杖村指定の標準コースを行くことにする。
関西百名山シリーズも今回から歩荷ポイントの対象となり、新入会のA房さんが早速挑戦、20.5キロの荷重で参加し日帰り装備の登山者に混じって巨大なザックで歩き始めた。
すぐに尾根に取り付き20分も歩くとさっき分岐した林道の果てとここで交差する。見晴らしが利いて登り尾の先に三峰山が見える。文字だけ見ると「みつみね」と読んでしまうがここは「みうね」と読ませる。交差部にトイレ付き休憩舎があり林道で来てここから登りだす人もいるようだ。渋滞とは行かないまでもかなりの登山者がいる。自家用車の人たちはかなり早くから登っていたようでもう下山してくる人たちにすれ違う。北東尾根にトラバースする辺りでは展望が開け神末の集落を抱き込むように二本ボソ、倶留尊山、高槻山、ガンジ山の4つのコブと大洞山を望むことができる。
標高900mを越えると登山道に雪を見る。しだいに積雪が増してくると足元が危なっかしくなり登山道でアイゼンを付けるパーティーを何組か追い抜いたが、我々もそろそろ着けようとリーダーが立ち止まったが、すぐそこに小屋が見えたのでまで行くことにする。左に折れると避難小屋があったが登山道沿いにあるボロボロの造林小屋でアイゼンを履いた。ここは不動滝コースとの合流点でこちらを通る人も多い。標高が上がるにつれ積雪も連続して来て、大勢の人で踏み固められた雪にアイゼンが良く利いた。
三畝峠(みうねとうげ・約1,180m)まで来ると完全に晴れて空の雲は殆どなくなった。台高縦走路に出てもやはり木々には霧氷はおろか雪もなく如何にも暖冬ですと言うような風景が続いている。それでも稜線を吹く風は冷たく脱いでいたジャケットを再び着た。八丁平への分岐を過ぎ、なだらかに稜線を行き三峰山(1,235m)山頂に到着した。小広い山頂は昨年の高見山のような混雑はなく、登山者は
樹林の中で思い思いに場を占め雪の上で休憩していた。
北方向の展望が開け室生火山群の特異な山容を望むことができ3月の例会で予定している大洞山、尼ヶ岳や倶留尊の連山も一望できる。記念撮影のあと山頂を後にし、八丁平へと下った。南斜面で雪が解けの泥濘でアイゼンは泥を噛み泥んこ。5分ほど下ると視界が開け樹木も斑でなだらかな草原、ここが八丁平だ。ワサビ谷の源頭を吹き上げる風が局所を吹き抜けるが少し斜面を上がると陽だまり草原で心地が良く休憩ができる。雪は斑点のように残るだけだった。
昼食が済むと残りのミッション、何れも山座同定で一つは「迷岳(1,309m)」、もう一つは「池木屋山(1,396m)」にコンパスを合わせる。「迷岳」は"迷"わずに同定できたが、池小屋山がはっきりしない。20万図では細かい地形が分らず、同方向に同じような山が多すぎる。これだと定めたが異論も続出、決め手が無いままふっくらしたピークの西にある少し尖がった山だろうということにしておいたが帰ってじっくり調べてみるとその山は赤山(1,394m) でこんもりした山は千里峰だった。そして池木屋山はと言うとその左の方の山だった。このような密集山域での山座同定ミッションは20万図だけでは一寸無理があり、5万図程度の縮尺の地図も必要だと反省した。
下山はワサビ谷源頭をトラバースするように進み三峰山山頂への道分岐点に合流し三畝峠に戻る。この途中樹林が切れたところから八丁平で見えなかった高見山があの優美な円錐形の雄姿を現したが、ご一行は気付かずどんどん行ってしまった。三畝峠から先、御杖村ご推奨ルートは登り尾を左に分けて台高縦走路を直進する。リーダーの俊足に率いられ、なだらかな稜線をグイグイ飛ばし他のパーティーをどんどん追い越した。
登り尾峰(1,156m)のピークは展望もなく、ほとんど気に掛けることもなく通過、1,102mピークは何の表示もなくこれも通過、新道峠(1,163m)に達し高見山への縦走路と分れ新道コース下山路に入った。鹿除けネットが登山道を横切り開閉して通過するが、ネットに引っ掛りもがくKさん、道志でワナに掛かりもがいていた鹿を思い出してしまった。
標高が900m前後になると積雪が無くなりリーダーの指示でアイゼンを外した。2.5万図では神末川の左岸をずっと進み標高680m位で林道に合流するが実際の登山道は標高820m辺りで林道に下りてしまった。林道は右岸を進み2.5万図の登山道分岐を過ぎたところでSカーブして右岸に渡る。ケヤキ谷橋は珍しい木製の下路アーチ橋で散策路に繋がっているようだ。やがてみつえ青少年旅行村のエリアに入ると駐車場に"霧氷号"のバスが5台も停められているのにはびっくり、そうすると1台50人として250人は乗って来たことになる。自家用車の人、ツアーの人を入れると500人ほどは入山しているのではないか。
御杖村では霧氷まつりを1月10日から2月22日まで行なっている。具体的に何がと言うと、記念スタンプ帳の発行と、村の物産の販売、姫石の湯の割引券の発行位だが、2月11日に行なわれる餅つき大
会に来てくださいと帰りのバス発車前の宣伝活動もしっかりしていた。
14:45までに下山すると"霧氷号"のうち1台が、みつえ温泉姫石(ひめし)の湯に立寄ってくれる。30分前に下山できたのでこのバスに乗ったがK城さんは足の傷のため入らず、他の女性陣も入浴時間30分ほどしかなく断念、男性陣だけが割引入浴料500円で烏の行水を行った。バス1台分が一挙に入ると超満員、ぬる目の湯は体が温まるまでにも行かず、洗い場は順番待ちで体を洗うこともできず、どうにも欲求不満の残る中途半端な入浴だった。
温泉に寄り先行したので予定の時刻より30分早い電車で帰ることができ余裕を持って京都駅に到着。A房さんの歩荷と読図ポイントのダブルGETを祝って反省会を行った。(5名参加)《山紀行669》
【感想】36期 Y.T.
昨年の高見山のような樹氷を期待していたが今年はダメで、頂上に少し雪が残っているだけでした。
頂上からは3月末例会で予定されている大洞山、尼ヶ岳が良く見えました。鎧岩、兜岩は手前の古光山に隠れていてか分かりませんでした。住塚山は木立に遮られていました。楽しみの山です。
下山中に木々の間から高見山が端正な姿を見せてくれました。春先のような暖かい山行でした。
【感想】40期 K.N.
ガイドさん付きの大型観光バス霧氷号に乗り、三峰山へと向かいました。
昨年の横山岳でのこともあり、ちょっと心配でしたが、登山道は雪が残っている程度で歩きやすく、何とか予定の時間内で歩くことができました。白い霧氷は見ることができませんでしたが、春には白いシロヤシオの花が沢山咲くそうです。つややかな木肌が印象的なヒメシャラの群落もあり、花の季節にまた来てみたいと思いました。
【感想】48期 M.K.
期待していた霧氷は見られませんでしたが、春山のような景色を楽しむ事ができました。三峰山山頂からの曽爾の山々、八丁平からの台高山脈の山並、降りに見えた高見山と展望が素晴らしかった。広々とした八丁平に吹く風は気持ちよく、ゴヨウツツジやヒメシャラの季節は綺麗だろうなと思いました。女性は潅木の下、男性は平原で昼食したので寒かったようです。人気の山だけに、昨年の高見山のように渋滞かなと思いましたが、リーダーの高速に休憩入れて4時間足らずの登り降り。電車・バスに乗り、お土産も買って半分旅行のような山でした。
【感想】52期 S.A.
行きの近鉄京都駅のホームでY本さんがニコニコと取り出されたのは大きなバネ秤。男性は20キロ以上で歩荷ポイントなので、私のザックの計測用に取り出されたのでした。先日、新しい65Lのザック(ゼロポイント・エクスペディションバック)を購入したところなので、試用にちょうどいいチャンスだと思い、歩荷にチャレンジしたのでした。2人用テント、冬用シュラフ、マット、ガスコンロなどテント装備一式を入れたのですが、食料が少ないためか、自宅の体重計で量ると15kgほど。ポリタンクに水を4L積んだりして、なんとか20キロにしておいて良かったです。まさか当日実測されるとは思いませんでした(笑)。
規定の重量は背負ったものの、まったく歩荷のための歩荷になってしまい、山頂についても何の工夫もない昼食。歩荷を生かした何かをしたわけでなく、夏ならスイカを担ぎあげるとか、次回は何か有用な歩荷にしたいと反省しました。
天気も良く、穏やかな楽しい山行になり、同行の皆様、ありがとうございました。暖かく霧氷は見られなかったものの、頂上付近には雪もあり、歩荷でのアイゼントレーニングも出来、良い経験になりました。個人ではなかなか行けない山でもあり、企画性の高い山行で、とても楽しかったです。
【リーダー感想】 6期 M.S.
台高山脈の北のはずれとも云うべきところにあるこの山は1,235mとそこそこの高度をもち尾根続きの高見山とともにこの時期「霧氷の見られる山」として人気があるとの振れ文句があり、昨年は高見山でよい霧氷を見ることができたので期待しての例会であった。近鉄・榛原からのバスは「霧氷見学バス」、登山口の御杖村の青少年旅行村(ログハウス、遊戯施設や事務所がある)には「霧氷祭りののぼり」がはためいているし、かなり期待したものでした。
登山者の多いこの時期の登山路は決められていて尾根道コースを歩いた。登りは2時間で頂上。しかし期待の霧氷は暖かさのせいでまったくなく、足元の雪も少なくアイゼンのお世話になったのはほんの少しであった。昼食は南に少し下りた八丁平で摂ったが南面の牧場のようなこの平は暖かく昼寝でもできそうな気温であった。下山は新道峠経由で1時間15分ほどであった。
今冬は12月に冷え込みがあったが、1年のうち一番寒いこの時期を選んだにもかかわらず「霧氷」に関しては期待はずれであった。